321: ナイ神父Mk-2 :2017/05/02(火) 20:41:28
大陸SEED ゲート編 その7
連合の動きとオーブの憂鬱
オーブでの会談に於ける失態はオーブの国威を落とすには十分な事であり、更に首長誘拐に使われた兵器が問題であった。
フリーダムとアークエンジェル、どちらも前大戦に置いてオーブ防衛に協力し、3隻同盟として大戦終結に関わったある意味では英雄的側面もある存在である。そして、それが首長を誘拐してオーブ軍はその事態を静観するに等しい状況で見送ったのである。
傍目から見れば完全に現体制に反対する勢力が秘匿していたフリーダムやアークエンジェルを持ち出して現首長を誘拐したと言う様な状況である。秘密裏に条約に禁止されていた兵器を所有していたと連合に疑われたオーブのセイラン家は交渉による事態の打開を図る事は出来た物の、その代りとしてオーブ軍の海外派遣を約束されられる事と成った。
そして、現在オーブ軍はカーペンタリアへと向けた空母タケミカズチを旗艦とした艦隊を派遣、その途中連合軍所属の空母ウィリアム・ハルゼー率いる艦隊と合流していた。艦内では派遣された艦隊の指揮官として派遣されたユウナとハルゼーのに乗艦していた連合軍側の指揮官が握手を交わしている。
「オーブの援軍に感謝します。」
「いえ、此方こそ今回の事は渡りに船でしたので」
「では早速作戦の立案に入りましょう」
司令官はそう言うと部下に命じてテーブル上のパネルへとカーペンタリア周辺の地図を投影、作戦の会議を開始する。其処で連合側の出して来た作戦は攻撃は対空防衛網が弱体化している間に対地攻撃用の艦艇及びMS部隊による攻撃を中心に実施し、その後に陸戦部隊を上陸させて攻撃を行うと言う物である。
「・・・と言う訳で我々が用意したダガー部隊が中心と成って爆撃を行います。オーブの艦隊には防衛に出てくる航空MSの
排除と制空権の維持をお願いしたい。」
「その後は連合軍と合同で基地に陸戦部隊を投入、生き残った陸戦MSを排除しながら基地の制圧と言った所ですね?」
ユウナのその言葉に司令官はわが意を得たりと言った表情で頷くと更に言葉を続ける。
「その通りです。いやあ、話が早くて助かりますな!」
連合側の将官から煽てられて喜ぶユウナに対して会議に付いて来ていたトダカを初めとした兵士達は呆れたような表情をしながら明後日の方向を向いて情けない自国の指導者の姿を見ない様にしている。そして、その間にも司令官同士の会話が続くがふとユウナ思い出したかの様に他のオーブ兵達に指示を与える。
「ああ、そうだ君達は先にヘリへと戻って待っていてくれ」
「は?しかし・・・」
「良いから良いから、もう作戦会議も終わってるし此処から先は少しプライベートな話だから」
ユウナのその言葉にトダカ達は怪訝そうな顔をしつつも艦橋から退室して行く。全ての将官が退室した事を確認したユウナは改めて将官の方へと振り返る。その顔には先ほど有った煽てられて喜んでいる表情では無く真剣な顔をした政治家としての顔であったその様子の変化を感じ取り連合の将官も襟を正した。
322: ナイ神父Mk-2 :2017/05/02(火) 20:43:27
「宜しいのですか部下を全て退出させてしまって?」
「ええ、あの侭居られると今の話で騒がれるでしょうし」
「其れほど厄介な話なのですかな?」
「厄介と言えば厄介ですね・・・自国の軍隊を信用出来ないと言うのは有れですが、オーブ軍の話です。」
「オーブの?」
「最初に言わせて頂くと、わが軍のムラサメでは向こうの連合軍が行った様な一方的な制空権の奪取と言う事は難しいでしょう。」
「それは又、如何いった理由で?」
連合軍の将官の疑問は有る意味最もであった、現状洋上での敵艦隊の撃滅を図る事を目的として水中用MSを後回しにしてでも主力であるムラサメと大型航空母艦を完成させたのである。そのムラサメを役には立たないと最高指揮官であるユウナが他国の軍の前で言うという異常事態なのである。
「此れは何れ連合の方にも送る予定の情報で有りますが、交渉によって手に入れた向こうの連合の機体の情報を入手しています。
検証の結果把握できたのですが、向こうの機体と此方のムラサメでは性能が隔絶しています。正直あのレベルの戦果を上げる事は不可能です。」
「それほどまでに・・・いえ、そう言った事で有れば分かりました。考慮して置きましょう」
ユウナは連合の指揮官の言葉に安心した表情に戻ると待たせてあるヘリへと遅れて搭乗しタケミカズチへと戻っていく、その数時間後オーブ及び連合の合同艦隊はカーペンタリア基地近海へと到着、攻略作戦を開始する。
323: ナイ神父Mk-2 :2017/05/02(火) 20:44:01
カーペンタリア攻略と連合の奮闘
カーペンタリア、前大戦よりザフトが大洋州連合より取得した軍事拠点でありザフトの有する地上拠点でも有数の大規模拠点である。
そんなザフト有数の基地は今や連合への誤認攻撃の際の大打撃によって所属艦隊の大半を失い、更に同盟国である大洋州連合の友軍艦隊も壊滅状態、制海権も制空権も失った両国には最早連合軍を止める手立ては無く我が物顔で入ってきた連合軍にはエース部隊であるミネルバを初めとした残存艦隊の脱出の影響も有って手を打てずに居た。
そして、各連合艦艇は次々に格納庫のハッチを開放すると次々と格納庫の中からはダガーLが出撃し、それに少し遅れてムラサメ隊がMA形態で次々と空母より出撃していく。この行動に対して少し遅れてザフトのディンを中心とした迎撃部隊が次々と基地より飛び立って行き、港湾部にはザクやガズゥート、バクゥといった機体群が展開しビーム砲やミサイルランチャーを上空へと向けている。
しかし、幾ら少数精鋭としているザフトで有ってもフリーダムの様な特機も無ければクルーゼの様なスーパーエースでも無い一般のザフト兵たちには流石に無謀と言う物であり、無線からは直ぐに悲痛な叫び声が聞こえてくる。
「此方、ハワード隊!包囲されているきゅ、救援をー」
「く、クソ!数任せのナチュラルなんかに!!」
ムラサメ隊に包囲され、次々とビームよる射撃によって次々とディン部隊が撃墜されていく中、今度はムラサメに追い越される形で後に到着する事に成った。ダガー部隊の隊長はレーダーを確認しミサイルの射程圏内へと到達した事を確認すると各部隊へと通信を繋げる。
「時間だ、ザフト軍にタップリとミサイルを御馳走してやれ!近づきすぎて対空砲火に捕まるなよ!」
部隊長のその言葉に連動してダガーL部隊は次々とその両翼に搭載されたミサイルを陸地へと向けながら射出し港湾で対空支援を行っていた陸戦MS部隊への爆撃を開始する。ダガー部隊より放たれた無数のミサイルを確認したザフトの陸戦部隊は一部の部隊は回避を優先しようと回避運動を初め、又ある部隊は落ちてくるミサイルを迎撃しようと対空用に撃っていた砲をミサイルへと向けるがこれが悲劇へと繋がる。
回避しようした部隊は多数の攻撃を避けようと後方へと移動を開始するが、後方へと陣取って迎撃を行おうとしていた
ガズゥートやザウート部隊と衝突する兵士が出てしまい其の侭激突したMSと共にミサイルの爆撃へと巻き込まれ、迎撃を選択した部隊も又、ミサイルの飽和攻撃を迎撃仕切る事は出来ず、自機のへと着弾するミサイルは落とす事に成功した物の周辺への着弾によって基地全体へと爆撃を防ぐ事は出来ず結果として多数のミサイルが迎撃を行っていた対空兵器へと着弾。カーペンタリア基地を大きく揺らし、作戦指揮を取っていた指揮官も思わず体勢を崩して転倒してしまい、部下達が慌てて駆け寄ってくる。
324: ナイ神父Mk-2 :2017/05/02(火) 20:44:35
「司令、ご無事ですか!?」
「私は良い、それより基地の被害はどうなっている。」
助け起こされた司令官は近づいてきた副官にそう言うと周囲へと目を向けて、基地の被害状況を確認するもモニターへと写る友軍や対空兵器の表示はその多くが通信不可乃至はロストと表示されている。
「クラーク隊通信途絶!及び対空迎撃に出ていたコジマ隊とも交信できません!!」
「先ほどの攻撃で対空機関砲4割に障害及び特に海岸線に置かれていた対空砲はその殆どが稼動に障害が出ています!」
「友軍は何処まで離脱出来ている!」
その言葉が示すようにオーストラリア全体を表示する地図からは幾つかの光点がオーストラリアの東側からインド洋方面へと向けて離脱しようとする様子が写されている。司令官がそれを確認知ると同時に第二撃目の爆撃と思われる揺れが指令室を更に揺らし、それによって掛けた天井の破片が指令室へと落ちて来る。
「く、もう暫く持たせろ、少なくとも全軍が大陸から海洋へ出るまで時間を稼ぐのだ!我等コーディネイターの意地、地球軍に見せてやれ!」
「敵艦隊より大型の熱源接近!ミネルバに有ったデータと合致した事から大型MAと思われます!」
「なにぃ!?」
オペレーターのその言葉が示す通り、現在カーペンタリア基地へと一機のザムザザーが多数のシュライク装備のアストレイを引き連れてカーペンタリアへと向かってきており、先ほど空爆を行ったダガー隊を交代する形で対空砲と迎撃MSを失った港湾部へと次々と上陸してくる。残って居たバクゥを初めとしたMS隊も上陸したMS隊への排除へと動くが、既に先ほどの爆撃によって戦力を失い更に上空をザムザザーに取られた事によって損害は更に加速していく。
その損害を少し手も減らそうとしたのか迎撃部隊の中で生き残っていた4機のザクがスラスターを吹かせて飛び上がり上空のザムザザーへと向けてビームを発射しながら上昇してくる。その光景はザムザザーの下部に取り付けられていたカメラからも確認できるものでありそれを見た機長は即座に部下に対して指示を出す。
「脚部砲門を斉射しろ!」
その言葉に従って動き出したザムザザーは4本の脚部を下方へと向けてビームを斉射し、上昇してきていたザクの内3機を撃墜、残る一機のザクに対してはクローを展開して捕まえ、その勢いに任せてザクのボディを両断して破壊する。残って居た部隊の中でも比較的上位のパイロットが乗っていたと思われるザクの撃墜はザフトの防衛隊側へと動揺を生み、この後に弾薬を補充してきたダガーL隊が制圧戦に加わった事でカーペンタリア基地は陥落している。
しかし、基地主力の大半は既にオーストラリア大陸より離脱済みであり結果的にザフトは基地防衛に残った殿部隊を除き戦力の温存へと成功している。その後、戦力と頼みの綱のザフトを失った大洋州連合は連合へと降伏、後の協議によってオーブが大洋州連合の占領及び統治を任されている。だがそれはオーブにとっては無視できない負担でもありオーブの現状の最高責任者であるセイランは大洋州の土地を如何扱うのか頭を悩ませる事になる。
325: ナイ神父Mk-2 :2017/05/02(火) 20:47:05
以上ですWIKIへの転載は自由です。取り敢えずはゲート向うで本来は起らない出来事だったカーペンタリア攻略戦の様子はこんな感じとなります。ちょっと大陸側の描写が無いですが今回は原作側の出来事と言う事で一つ
誤字脱字誤変換修正
最終更新:2020年05月24日 12:26