378: トゥ!ヘァ! :2017/05/03(水) 21:00:52
アナザーseed if もしもゲートが現れたら



プラント独立戦争と言われた戦いから大よそ4年の月日が流れた世界。
本来ならばこの年も何事もなく過ぎていき、人類文明は何事もなく復興と発展していく予定であったが、この世界ではある種のifとしてまた別の歴史を辿ることとなる。


CE75年11月20日。

この日唐突に世界の各地で靄のようなものが現れた。
地上では北大西洋沖と北太平洋沖、中央シベリアの三つ、宇宙では月近辺のL1宙域に。
計四つの観測不明地域が出現した。
地上ではまだ霧のような靄という言い回しが効くが真空であるはずの宇宙空間においても正に霧のようなとしか証言しえない代物が出現していた。

各国は早速これら謎の現象の調査を開始。程なくしてそれが異なる世界へと繋がる一種のゲートであることが判明した。
その靄のようなものを通り抜けると大体同じような空間に出るのだ。海上のゲートならば海上に。陸地のゲートなら陸地に。宇宙のゲートなら宇宙にと。
そしてそのゲートの向こう側にも同じような文明を持つ人類が存在していることも確認された。

どうやら向こう側の世界においても突如として同じ靄が出現したようであり、こちらと同じく調査に乗り出していた途中であった。
調査の途中で両者は接触したわけであるが、多少のトラブルもあったが大まかに言って平和的なアプローチとコミュニケーションに成功した。
そこで次に行ったのは両者の世界の情報交換である。
どのような世界なのか。どのような歴史を辿ったのか。両者共に知らないことが多すぎた。

これから先は便宜上‟こちら側(CE)”と‟あちら側(西暦)”と呼称する。

まず繋がった先の世界はこちら側と同じような地球に根を下ろしている文明であり、時代的には西暦の2000年代初頭。しかし歴史は大きく違った。
大まかに言えば米ソが冷戦の途中1972年に月で未知の古代遺跡を発見。
ハイパーゲートと呼称される空間接続装置を発見し、作動後は火星近辺へと繋がったという話だ。
その後国連主導で火星開拓・調査のための条約が発表され、米ソ冷戦も事実上終結。
各国から募った人材で火星調査団を組織し、火星の調査を行った結果火星事態にも月のと同じ文明のものと思われる遺跡が発見された。

その後は調査と開拓を続けていたが突如として調査団の一員であったレイレガリア博士が開拓団を扇動し、蜂起。

その後反乱は加速し、1985年にレイレガリア博士を皇帝としたヴァース帝国を名乗り独立。火星は事実上の鎖国状態に。
地球側もこれに反発し、地球連合を結成。その後事実との冷戦状態となり両者の間に深い溝ができていった。

そんな中で1997年皇帝の息子であるギルゼリアが新皇帝として即位。1999年に地球連合へ宣戦布告。
火星古代文明遺跡から発見された超技術を使い軍事ロボットカタフラクトを開発。
この力を以てして月面の地球連合基地に進軍を開始した。
しかし、激しい戦いの最中月の遺跡にあるハイパーゲートが暴走。月が崩壊。
その余波でギルゼリアは戦死し、月の破片が地球に降り注いだ天変地異により両者は2000年に休戦を余儀なくされたという話であった。

何とも荒唐無稽な話だと思うが、実際に向こう側の地球連合大使からあちらの世界の地図を見せられて確信するしかなくなった。
北米と南米はその陸地の半数以上を失い、下手糞な落書きのような有様に。
極東シベリア、オーストラリア、インド、アフリカ、東南アジア、中国なども多数の陸地が隕石と津波の余波で消え去り、世界は未だ未曾有の大混乱の最中だという。

何とも恐ろしい話であった。月の崩壊による地球への重力的な影響はないのかと質問したところ、遺跡の影響なのかはたまた1/4程残った月による影響なのか特殊な重力場を形成されており、初期は荒れたが現状は人や他の生命が地球に住み続けられる程度には状況は安定しているそうだ。
月の周りや地球軌道上では月の破片が散らばり、サテライトベルトと呼ばれる岩石帯となっているらしい。
また火星側は遺跡の技術を使い一足早く火星-地球間を航行可能な航宙戦を実用化。
更に言えば休戦に不満を持った一部の火星騎士(彼らの軍勢を預かる指揮階級らしい)が月軌道から撤退せず居座っているらしい。
残った月の一部を大規模な基地として改修してそこを拠点にしているのだとか。

379: トゥ!ヘァ! :2017/05/03(水) 21:01:23
このような我々(CE側)と繋がってしまった世界はどうやら現在進行形で厄介なことが山積みとなっていることが判明した。

逆に彼等の方はというと

彼らが言うには現在世界中で復興の真っ最中であるが物資や資金が足りずに困っているのでそれらを提供してほしいとのことである。
無論ただではなく現状経済が混乱しているため安定した貨幣の類は用意できないが、鉱物や金塊などの現物で払うという条件であった。

ゲートに関しては調査に当たった学者集団が原理は不明だが空間は安定しているので当面は安全だろうとお墨付きをしていた。
しかし、未知の存在を介しての交易なぞやはり不安定極まりない。西暦世界側の地球連合としては余り色好い返事は期待していなかった。

だがCE側は数週間の協議の結果追加の保証はしてもらうが各企業による支援を決定したとの発表を行った。
これは別段西暦側へ同情したわけではない。現状プラントとの戦争の復興も一段落してきており、代わりの投資先として火星圏やその間の航路を選んではいるがやはり遠い場所のため真っ先に手を出せたのは大企業ばかり。
各国も相応の支援を行っているが地力の足りていない中小企業は中々火星関係への参加が出来なかったのである。
距離の壁というのは厄介なもので保険料などは割高になるし、社員も不安がるものなのである。
本来ならばこれに関しては数年かけて制度を整えて手厚い支援を行っていく予定であり、時間が経てば大企業や国が率先して航路を整備してくれるのでもっと簡単に火星へ進出できるようになっていくはずであったが、ここにきて復興途中の別世界というわかりやすい投資先が出てきたわけである。
CE側としては二の足を踏んでいた中小企業や保守的な大企業などには手っ取り早くこちらに投資を行ってもらおうと考えたわけだ。
無論ゲート越しになるため各国からの支援や保証も手厚い物がある。なんせ未知の現象を通して未知の世界に行くわけだからだ。
実質遠い火星圏や木星圏に行くことよりも危険ではあるが、一定の資本力がなければすぐには参加できない火星圏開発と違い、こちらはゲート越しとはいえ地続き海続きなため企業体力の少ない中小企業でも気軽に参加できた。

無論最初はどの企業も最初は様子見をして余り多くは参加してこなかったが、後がないのか向こう見ずなのか真っ先に参加を表明した一部の中小企業やベンチャー企業は西暦側の世界に到着したところ引っ切り無しに仕事が舞い込んだ。
それもそのはず向こう側では世界規模での復興の真っ最中であり、それに手を貸してくれるのならば猫の手でも借りたい状態だったからだ。
その結果好景気に沸いた企業の話を聞き、他の企業も挙って参加するようになった。
ここに大企業やその子会社中心の火星圏開発と中小企業やベンチャー企業中心の異世界再建という住みわけがなされるようになった。

CE側の各国としては食料や物資の支援の他に核融合炉の普及によりお役御免となった旧式の核分裂炉やその設備、装備などを適性価格で売りつけた。
とは言え西暦側からすればCE側の旧式核分裂炉も自分達から見れば未だ研究段階の代物ばかり。
それが格安(西暦側感覚で)で設備や装備ごと売ってくれるというのならまたとない機会であった。
更に設備運営のための指導員まで(格安で)派遣してくれると至れり尽くせりである。

また西暦側の地球連合は今後のヴァース帝国との衝突に備えて軍備の再建を行っていたが、地球全体の復興のため中々進まずいた。
どうにかカタフラクトのコピーは出来たが、古代文明の超技術もないため性能的には火星側にかなり劣るものであった。
そんな中でCE側の各国から型落ちした兵器を買わないかという申し出でが来た。彼ら基準からは型落ち品でも西暦側からすれば遥か未来の兵器なわけで、その性能は自分たちの作ったカタフラクトモドキとは比べ物にならない。
更に言えば彼等から購入した旧式MSの技術を基に自分たちのカタフラクト開発にも幾らか活かせる目論見も存在した。無論使用するに当たりライセンス料や特許料は払う必要があるが。
中にはダメ元で依頼していた兵器の共同開発依頼に対して一部の企業からオファーの承諾が来ており、西暦側の地球連合からすれば渡りに船であった。

380: トゥ!ヘァ! :2017/05/03(水) 21:01:56
逆にCE側からすれはこれらの在庫一斉処分セール自体が目的であり、余らせ気味であった核分裂炉施設や旧式兵器にMSなどを売り払う丁度いい機会であったのだ。
戦争もなくなり、更新のためだぶついた兵器は処分するにしても余計な金がかかるものである。
共同開発を申し出た企業にしても各国の大企業の陰に隠れがちな新興企業や中小企業が中心であった。
大洋のマオ・インダストリー、モルゲンレーテ。大西洋のアームズテック社、BUのブッホ・コンツェルン。新ソ連のドミートリ社、AEUのアルドラ社、シュネッケ社、東アジアの百龍公司、鉄武帝重工公社。
どれも確かな技術は持っているが企業体力の面から大企業には一歩及ばず後塵を拝している企業ばかりである。

彼らは既に兵器開発においてはシェアがほぼ分割されている既存の世界よりも新しいシェアを獲得する可能性に賭けて異世界からのオファーに承諾した。
無論様々な危険性もあるが、それを考えても飛躍したいという気持ちが競り勝った故である。

このようなゲート越しではあるが両者の歩み寄りは順調な滑り出しを見せていた。

そんな中で極東の大洋連合。その中核を成す転生者達の集まり。俗に夢幻会合と呼ばれる集会では多くの人々が喜怒哀楽様々な表情を見せていた。
彼らは知っていたのである。「これ…繋がった先アルドノア・ゼロの世界じゃね?」と。
詰まるところ彼らとしては知っている世界と繋がったわけであるが、今回繋がった先についてはそこまで不安視していない。
古代文明の力を使った火星ロボ軍団は確かに難敵だが結局のところ原作側の戦力でも追い出すことが出来る程度なのだ。
万能でも無敵でもない。それが火星ロボ。こちらとしては核融合炉を実現しており、それを使ったMSがある。
これらを使えば原作の地球カタフラクトよりもずっと有利に戦える。何より最悪はミノフスキー粒子という極悪粒子をばら撒けば相手の指揮系統がズタズタになる。
あとは敵が混乱している最中で火星まで直行して軌道上から核融合弾なり隕石なりを降り注げば勝つ見込みは十分ある。
しかし、それよりも今後似たような感じで別の世界と繋がる可能性の方に悩んでいたわけである。
これがCEの「原作」世界やどっかの火星起源種的な生体土木機器と戦っている世界ならば未だしも、スパロボ的な混線世界や「あなたはそこにいますか?」な金色生命体とドンパチしている世界、可変系ロボや歌の力で戦闘民族や宇宙生物とわかり合ったりする世界だった場合は難易度ハードやルナティック間違いなし。
詰まるところ太陽系の開発を進めながらもそういった不確定要素に対しても対策を講じていく必要が出てきたのだ。
彼らが安心して眠れるのはまだまだ先になるようだ。

このように不確定要素も多く、これからどうなるかはわからない。
しかし結局のところは 明日。そんな遠い先のことはわからない というのが世の中であれば。


続く…かも?

381: トゥ!ヘァ! :2017/05/03(水) 21:02:50
○設定説明

  • ゲート
本家がクロスゲートなどの実体式いう話だったので、こちらで非実体方式のゲートを。

現状では学者集団のいった通り安定しており、当分の間は問題なくゲートは繋がり続ける予定である。

出現場所はシベリア内陸レナ川西側近辺に出現したシベリアゲート。
グリーンランドとアイスランドの沖合中間あたりに出現した大西洋ゲート。
北マリアナ諸島とウェーク島の中間あたりに出現した太平洋ゲート。
元は世界樹が存在していた宙域と月の間に出現したL1ゲート。
計四つがアルドノア側(西暦側)の同じ位置に存在する。

シベリアゲートの西暦側ではギリギリ陸地が存在している部分である。




○CE側の対応

分かりやすく言うとだぶついていた中古品一斉処分セールである。
あとは企業体力的にすぐさま火星に飛び込むことのできなかった各企業の投資先としてアルドノア世界側が選ばれた。

地球の復興も一段落している時期なので新しい市場が必要となったわけである。
諸々の危険性については各国が手厚く支援しており、もしもの時の損害保険なども国の後押しの元で設立している。
異世界保険やらゲート保険やら珍妙な名前のものが次々と設立し、稼働している最中。

西暦側に流す兵器はまず旧式となった通常兵器やMSなどから。
無論核融合炉は渡しても扱えないので抜き取り、代わりに核分裂炉に載せ替えている。
兵器も出力を落とし原作CE基準とものであるが、これでも西暦側としては十二分に強力な武器となるであろう。



○西暦側(アルドノア世界)の反応

きっと中々面白い反応をしていることが想像できる。
まあ時代が違うとはいえ割とライトSF並みに発展しているので驚くことは確かである。

地球連合側は恥を忍んで復興のための支援をたかっている最中。そのうち気づけば新しい市場として再建されて、ウィンウィンな関係になっていることは想像に難くない。
日蘭式ODA染みた支援の始まりである。

火星側は謎の靄が出現したということまでは把握しているがそれ以上の詳しいことはまだ調査中である。

今後異世界と繋がったゲートだということは判明するだろうが、基本傲慢系引きこもりな彼らがそこまで派手なアクションを見せるかといえば、精々現地に潜り込ませた諜報員にテロを起こさせる程度だと予想される。
待たれよ卿は何か企みそうであるが、それは原作開始まで待ってもらう予定。



○今回の話の目論見

本家が原作とゲート繋げたので、こっちはどうするかと悩んで末でじゃあ別の世界でいいかと開き直った考えのもと書いてみたお話。

お話的にはアルドノア側で原作が始まるまでアルドノア地球連合を育て上げるかに焦点が当たる。
拾ってきた猫虐待コピペの如く支援漬けにされて、新しい経済市場として再建が成されると思われる。

ゲートが突然消える!とかの展開はないので安心してほしい。ここは書き手として保証する。
まあ作中の人々はそんなことわからないので一部では不安がると思うがそれは時間と慣れが解決してくれるであろう。

火星側は可哀想だが犠牲になったのだ…まあそれなりに意地は見せてもらう予定なのでアナザー世界のザフト程度には頑張ってもらう予定である。

382: トゥ!ヘァ! :2017/05/03(水) 21:04:47
投下終了

取りあえず前から予告していたifのゲートを一つ。

これは本来アナザー世界が歩むのとまた違った世界の話ですのであしからず。

  • 平和に開発を進めている本来の世界

  • ゲートが表れてあたふたしている世界

とこのように並行世界として分岐しております。

続けるかどうかは取れる時間次第なので…
取りあえず議論のネタの一つにでもなればなぁっと思い投下しました。

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最終更新:2017年05月04日 20:31