671: リラックス :2017/06/10(土) 05:21:16
以前に投稿したフューリアスのネタが何処にあったのか思い出せんし、せっかくなので若干手直しして投下
※このネタは弥次郎氏の日仏ゲートネタで話していた際に
航路防衛には巡洋艦だろやっぱ
あ、でも水上機は便利だから水上機母艦も
足の速さと火力もやはり役に立つっちゃ役に立つ、そういうのが通商破壊に乗り出して来た時にも……巡洋戦艦かな
全部を造るのは無理?ええい面倒だ!一つにまとめちまえ!
というデムパな発想をしちまったことが始まりでござる。
弥次郎氏の日仏ゲート支援ネタ『英国面とフューリアスの軌跡』
WW1の結果から大英帝国内部ではそれまで艦隊決戦思考ありきできた艦隊決戦派閥内部に波紋を生じさせることになる。
世界帝国として世界中に植民地と連邦構成国を持つ王立海軍にとって航路防衛は最重要課題と言って良い任務であった。
そこで彼らは巡洋艦の配備に力を入れていたのだが、これらはUボートのような特殊な戦力に対して対処することは想定していなかった。
技術の進歩は目覚ましく、従来型の巡洋艦のみでは通商護衛に対応しきれなくなることは最早疑いようもなく、新型艦の設計が行われることとなった。
ここまでは良い。しかし、問題はどのような艦を作るのか?ということであった。
第一次世界大戦において猛威を振るった潜水艦、そして発達著しい航空機、既存の脅威に加えてこれらから無力な輸送船を守らなければならず、それにはこれまでのように正面戦力だけ考慮していてはダメで、
また、ドイツが持つ装甲艦のように火力と足の速さを兼ね備えた艦が通商破壊に乗り出して来た場合にも備えなければならなかった。
かといってその手の戦力に対応した護衛戦力だけでは敵の主力が出てきた時に対処出来なくなることから、そもそも敵の主力の動きを掣肘する決戦戦力はどうしても必要であり、予算はどうしてもそちらにも割かねばならないという袋小路にはまり込んでしまったのだ。
それでも各派閥が意見を出し合い、候補は何とか3つまで絞られた。
1、巡洋艦
まず真っ先に唱えられたのは潜水艦や航空機にも対応可能な能力を追加した巡洋艦を建造するという、基本にして王道な案であった。
武装の追加なら既存の艦も改修によってある程度は戦力化が可能なことから、そういう意味でも魅力的な案だった。
2、水上機母艦
次に上がったのが航空機には航空機を用いて対抗してはどうかという案であった。
航空機を用いた偵察や索敵は艦隊が行動する上で必須と言えるほどになっており、輸送船を護衛する上でも危険をいち早く察知するため、索敵能力の強化は極めて有用と言えた。
また、水上機母艦を用いた船団護衛により日仏がドイツの潜水艦の行動を封殺した例から潜水艦対策としても有効であるとの分析結果があり、これも魅力的な案であった。
3、巡洋戦艦
ドイツの装甲艦のような足が速く火力のある艦に対応するには、やはり同じコンセプトの艦が無ければ厳しいという意見から巡洋戦艦の建造を主張する声も強かった。
実際、本気の殴り合いを行った場合の打たれ弱さはユトランド沖海戦で証明された訳だが、巡洋艦を圧倒する火力に戦艦を振り切る足の速さを持つ巡洋戦艦に通商破壊に乗り出された場合、これを阻止するのは簡単ではない。
また、戦艦相手の殴り合いはともかく、巡洋艦キラーとして使うなど運用を工夫すれば主力艦隊の補佐としても使えること、船体が大型のため水上機の運用能力も強化しやすいことなど、様々なメリットを強調して主張された。
が、これによって主張した当人たちすらも予想外の方向に突き進む。
迷走
これらの案には当然ながらどれも長所と短所があり、どれを選べば良いという問題ではないのだが、何れも十分な数を用意する、というのが不可能なことも明らかだった。
そこで辿り着いた結論が『全部を造るのが無理?なら一つにまとめちまえ!』となったのは財務担当との折衝と新たな国防計画と政治家からの無茶振りといった問題に参って色々とハイ()になっていた海軍上層部がトチ狂った、としか言いようがなかったが。
此処で何事も挑戦という悪い意味でのチャレンジャー精神というか英国面を暴走させた建造部門が乗ってしまった辺りが英国マジ英国(転生者)なのだが、幾ら何でも全く前例の無いコンセプトの艦艇であり、流石にいきなり一から造るのは無理があると思った一部の良識(?)ある人々の奔走により一からの新造でなく既存の艦の改装でお茶を濁すことになった。
そして、彼らが目をつけたのが大型軽巡洋艦フューリアスであった。
672: リラックス :2017/06/10(土) 05:26:24
建造
大型軽巡洋艦フューリアス、軽巡洋艦並の装甲に18インチ砲単装砲を二基搭載した悪く言えばトチ狂った、良く言えば意欲的なモニター艦の流れを組む英国面の代表の一つに数えられる艦艇である。
これがマトモに使い物になるとは関係者も思えなかったようで史実でも就役後一年と立たない内に改装工事を行われている。
全通甲板を持つ航空母艦に行き着くまでに船体の『前』半分のみに飛行甲板を備えた航空巡洋艦とでも呼ぶべき時期が史実でも存在した艦が対象となったのは因果というべきか皮肉というべきか、悩ましいところである。
ともあれ、要求された項目は
- 主砲15インチ砲2門以上
- 副砲6インチ砲8門以上
- 速力30ノット前後
- 航空機の運用能力10機以上
主砲は装甲艦を撃破するのに最低限必要な火力として、更に副砲として軽巡洋艦と同等以上の6インチ砲と10機以上の航空機の運用能力が求められた。
航空戦艦と言えば史実では「伊勢」型という例が存在する。
搭載機22機とそれなりの搭載機数を持つが、搭載出来るのは水上機のみ、艦上機は発艦は出来ても着艦は出来なかった。
というのも戦艦として主砲や艦橋を残したままでは、航空機の離発着に必要な飛行甲板を搭載出来ないという問題が存在するためだが。
そこで、この問題を解決する手段として造船部門が取ったのは艦の後部にV字型に飛行甲板を設けるという方法であり、必要に応じて二本の滑走路から倍の速さで艦載機を放ったり、発艦と着艦を同時に出来るというコンセプトだった……らしい(一説によると単に艦のバランスを取る為だったとも)。
ただ、後部の主砲と艦橋は撤去しなければならなかったため前部の主砲をクイーンエリザベス級のMark.1 15インチ連装砲に交換して主砲二門以上の条件をクリアしている。
ともあれ、こうしてよく言えば旺盛なチャレンジ精神によって、悪く言えば英国面の暴走によって出来上がったのが重航空巡洋艦『フューリアス』である。
重航空巡洋艦フューリアス
水線幅 :27.8m
全長 :240m
喫水 :7.6m
基準排水量:25,870t
主機関 :パーソンズ式オール・ギヤードタービン4基
出力 :90,000shp
最大速力 :30.5ノット
兵装:Mark I 15インチ連装砲1基
Mark I 6インチ単装速射砲8基8門
7.6cm(40口径)単装高角砲5基5門
53.3cm水中魚雷発射管単装2基2門
搭載機:固定脚機14機
余談
この航空甲板の方式により水上機でなく艦上機の発艦と着艦を行える艦となった訳だが、これを見た日本のとある転生者が『虎狼もどきを造るって正気か……』と呟いたとされる。
後の軍縮条約で、この艦や発展・改良版であるインコンパラブルの分類についてちょっとした争論になったのは、また別の話である。
673: リラックス :2017/06/10(土) 05:29:53
以上、過渡期には異様な物が誕生することがあるのはちかたないのです。
最終更新:2017年06月17日 16:27