727 :2号:2012/01/05(木) 17:44:08
「海軍技術者の飯の種」
原爆公開実験の少し前のお話。
「無人護衛艦、ですか」
今日も今日とて執務室で栄養剤を飲みながら嶋田は書類を見る。
そんな嶋田を気の毒そうに見ながら南雲は話しかける。
「ええ、海軍技研の若いのが持ってきたモノなんですが。海保にも賛同して欲しいと」
南雲が持ってきた書類は艦艇研究部門の逆行者が持ち込んだ計画書であった、
日米戦争がほぼ日本の勝利で終わる事が衆目の一致する所となり、
提灯行列を見ながら悲惨な敗北を避けられた事に安堵しつつも戦後の事を考えてこの人物はむ?と気付いた。
「平和・・軍事費・・縮小・・研究費が削られる!?」と。
慌てたこの人物は仕事場に戻り大まかな基本案をメモにまとめ、仕事仲間に戦後の予想を話し、
不安を煽ってあーでもない、こーでもないとこの計画を皆で練り上げた。
このまま上に提出しても採用されるかわからないと自信がなかったのか海軍内の各派閥に賛同を求め、
海保にまで共同開発の話を持ち込んだのである。
728 :2号:2012/01/05(木) 17:45:03
(2)
「ふむ、この書類を見る限り、大蔵省としては賛成してもいいと思いますが」
書類をのぞきこみながら辻は頭の中のそろばんをフル稼働させる。
飲みすぎたのか痛い頭を振りながら空瓶で一杯になったゴミ箱に飲み終えた栄養剤の瓶を捨てつつ、
嶋田はいくつかの条件付で了承の返事をする。
「・・・条件は以上です。
最後に一つ、基準達成後に性能を維持したまま出来るだけ安くしてくれと念を押してください」
イージスシステムの基礎研究も兼ねたこの計画の承認で、
海軍技研の技術者たちは戦後の飯の種ゲットの功績でこの人物を胴上げしたと言う。
実験型無人護衛艦
基準排水量=1500t
全長=105m 全幅=10,1m
主機出力=30000馬力
最大速力=36kn
武装
兵装ブロック換装システム
<本級の特徴>
海軍の人件費の削減と艦艇の省力化の研究、
数的戦力の補完を目指して開発された、有人艦とのペアで運用されるのが前提の無人艦。
3式艦載固定型電探(憂鬱版フェイズドアレイレーダー)を搭載し、
自動展開できる曳航ソナーやアクティブソナーを使って有人艦の対空対潜索敵範囲と迎撃範囲の向上に使われる。
艦体が各機能ごとにブロック化され、
生産性を最優先にされているために戦時になれば週刊護衛艦といえるレベルで生産できると期待されている。
有人巡洋艦の情報端末兼いざとなれば使い捨てのような運用も出来る艦艇随伴型兵器庫艦のようになれば、
と電波障害下や有人艦が撃破された際の対応システムなどの更なる開発、研究が行われている。
(武装)
兵装ブロック換装システムが大きな特徴である。
127mm自動速射砲、76.2mm自動速射砲、初期型CIWS、対潜ロケット発射機、対潜魚雷発射機など、
状況に応じて換装し、対空特化型や対潜特化型など柔軟な運用が出来るシステムとして開発されており、
将来的にはVLSなどを搭載する事も
夢幻会は視野に入れている。
最終更新:2012年01月11日 21:50