441: 影響を受ける人 :2017/04/05(水) 22:22:34
この作品にはTS要素が含まれています。
オリキャラ化が含まれています。と言うかオリキャラが出てきます。
最低系である最強要素があります。
オリジナル設定、個人的解釈が入っています。
それでも良い、という方のお読みください。
―― 第一打撃艦隊旗艦:戦艦【紀伊】 ――
古賀峯一はこの世界に来れたことを感謝と共に、怒りをもって神に祈りをささげている。
まずはもう一度戦艦に乗れること、しかも架空戦記のともいえるアニメの戦艦だ。
映像にはなっていないが、それでも史実世界に生まれなかった船に乗れるというのは転生者ならではだと思っている。
一応前世でも伊吹型戦艦がったが・・・ちょっと違う気がする。あっちはある意味妥協の産物だし。
だから、 一 応 は満足している。
怒りは「また転生か。」と言う事。
前世で戦艦ノリとして、大砲屋として満足する人生を送った。
気が合う友人や、趣向の合う同志に会えたのも大きい。
【古賀峯一】になった時はどうした物かと思ったが、家族も出来て悠々自適の生活が送れた。
自分達の干渉のせいで激変した世界に苦労したが、それでも大往生とげてあの世に旅立った・・・はずだった。
しかし暗い闇の落ちたかと思えば、前世よりも遥かな前に再転生。
「なんでだよ。」と思ったのも無理はない。子供らに看取られて、大満足だったのだから。
その後は、不純な思い(主に女性の下半身の隠蔽率)を抱きつつ、再び海軍に道を定めた。
半ば確信めいた考えもあったがそれは正しく、生活をして行く中で同じような転生者達に巡り合い、前世の有名人たちも転生していると驚き、
夢幻会の重鎮に収まった。
「順風満帆・・・とは言えんな。」
「は?」
すぐ後ろにいた副官が反応して此方を向いた。
「あ、ああ・・・ 本来なら、紀伊型四隻で向かう予定だったのだがな。」
「ああ、なるほど。確かに順調とは言えませんね。」
「予定はしょせん未定だ。」
「しかし予定通りに行かせるのも、仕事を持つ者役目です。」
「そうだな。」
取りあえず誤魔化せたようだ。
しかし頭の痛い問題ではある。予定では脱落しても一隻だろうと思われていた。
夢幻会の介入により主砲の換装は早く済ませてあり、対空装備も上げてある。
しかし予想以上の敵圧力、原作にはいなかった種類の出現。これらの結果、甚大な被害をこうむった。
「第二打撃艦隊は上手く捌いたというのに。」
「新参者には負けない。でしょうかね?」
戦艦【長門】を中心としていた第二打撃艦隊の“オニグモ”撃破は遅れると思われいた。
無論最初は警戒して詰め寄らない敵に業を燃やしたが、後背から忍び寄る様に接近していた戦艦【陸奥】の砲撃により、特徴的な足を破壊する事に成功する。
結果的に奇襲となった事で敵の足並みが乱れ、速力を上げた【長門】【伊勢】【日向】が【陸奥】との間に挟むように移動して攻撃を開始。
機動力を破壊された“オニグモ”は、なんとかその場で旋回して【陸奥】に攻撃を仕掛けたが時すでに遅く。
【陸奥】の護衛としてついてきていた重巡【田代】【焼石】が、猛烈な対空砲火でもって攻撃能力を減殺し。
交戦から30分もしない内に沈めてしまった。
【陸奥】が合流を急いだことと、挟撃できると踏んだからこそ短時間で仕留める事ができたのだ。
その際、恐慌状態に陥ったネウロイが逃げ出す者達と、果敢に反撃に出る者達に分裂してしまった事だけが、唯一の計算外だった。
逃げ出した一部のネウロイが第二機動艦隊に向かい、偶発的な戦闘を引き起こして、空母【飛龍】が被弾して発艦不能になった事も含めて。
「後は時間との勝負だ。」
「ええ。敵の交代する為の戦力が来る前に仕留めなければ・・・」
「作戦は失敗する確率が大きくなる。」
本当に嫌になると思う。しかし前世でも、よくあったのである意味慣れた。
艦隊は駆逐艦と軽巡を置いて既に台風に突入している。
戦隊が猛烈な風と波の影響を受けて、右へ左へと傾く。今更ながら本当に無茶な作戦だと思う。
船乗りとなって、航海は危険が付き物だと経験している。要因は大小さまざまだが、一つ間違えれば死に直結するのだ。
敵戦力を可能な限り集中した航空戦力で漸減させ、決戦戦力でありながら囮となった打撃艦隊でエネルギー消費を狙う。
442: 影響を受ける人 :2017/04/05(水) 22:23:47
交戦した敵戦力は交代時間半ばであったから、あっと言う間に息切れを起こして大陸に戻らなければならない。
補給地点となるブラウシュテルマーの建設をしていないが為に、侵攻を急いだ敵は長距離を戻らないと息継ぎが出来ない。
まさに餓島にきた零戦のような状況に追い込まれるわけだ。
そして交代する予定の次戦力は、交戦した時間が短いほど時間の間が空く。
その間に“ヤマ”を仕留めなければならない。
「時間制限つきプレイは前前世でも、苦手だったなぁ・・・」
「今この時代に無いゲーム機など、喋らんでください。」
振り返って副官をじろりと睨む。副官はキリッ!とした表情で言い放った。
「やりたくなっちゃうじゃないですか。」
「すみません。」
素直に謝る偉い人。
その茶番をしっかり見ていた艦長は、もう突っ込みを入れるのやめている。
一々付き合っていたらメンタルが持たない。っと。急に視界が明けた。
台風を抜けたのだ。
「おぉ・・・」
艦長は思わず感嘆の声を上げる。
暗い防風の中を突き抜け、解放さるかのように飛び込んできた陽光は、気持ちを僅かでも向上させてくれた。
しかしすぐに気を引き締める。報告によれば、大量の“コバエ”が存在するという。
小生意気にレーザーを発射してくるる為、艦艇には驚異的な敵と見られている。
“オニグモ”は大型だけあって主砲も使える。しかし“コバエ”は小さいうえにすばしっこいので当てにくい。
群れで動く分まだ殲滅しやすい、が小集団になると面倒になるというのが共通認識になっている。
しかしその心配はしなくてもよい状況となっていた。
“コバエ”の群れは、すでに到着していた第二打撃艦隊に向かっていたから。
―― 第二打撃艦隊旗艦:戦艦【長門】 ――
少し時間は巻戻る。
堀川吉郎は台風から出ると、すぐさま上空に双眼鏡を向けた。
視線の先ではウィッチの部隊が応戦しているのが見える。報告の通り苦戦しているようだ。
「ふむ・・・」
状況をすぐに認識し、後ろを振り向かずに言った。
「一発ぶちかませ。」
「了解しました。主砲、射撃開始! 相手はデカブツだ。全弾命中させよ!」
砲術長が答え、すぐさま指示がとんだ。
すでに【長門】と【陸奥】の主砲は仰角がつけられており、いつでも発射可能になっていた。
だから間をおかずに主砲は轟音と共に鉄塊を吐き出す。そして、あっさり全弾命中した。
台風の目に突入して、ほぼ間を開かずに攻撃したおかげで迎撃されずにダメージを与えたことに、幾人かの船員が握り拳を作る。
「まだまだ【長門】と【陸奥】は働けるな。」
「なに。まだ後輩に道を譲るには早いですからな。」
嬉しげに呟く堀川に対して副官もにやりと笑う。
士気が向上した第二打撃艦隊に対し、攻撃を喰らった側は混乱するとともに怒りを向けた。
“ヤマ”の主砲が戦艦【長門】に向けられて発射される。だが、巨大なシールドであっさり防がれる。
その事実に対して“ヤマ”は憤激にかられ、全ての護衛に排除を命令した。
指揮官型も脅威の出現に対して狼狽していたが、さすがに激戦を潜り抜けた個体だけあって立ち直りは早かった。
すぐに細かい命令を下し、“コバエ”を包囲するように突撃させる。
もっとも脅威が高いモノが来た以上、空を飛ぶ小さなモノに対しては時間稼ぎでいい。
だが、同じように突撃しようとしていた“アホウドリ”二体は押しとどめた。
敵は狡猾だ。自分たちをここに閉じ込めて、現れた敵戦力が た っ た こ れ だ け のはずが無い。
指揮官型の考えはあっている。
この戦場に現れた戦艦四隻の他に、あと十隻やってくるのだから。
だから戦力の温存は当たっていた。ただし、
「【伊勢】【日向】、出ます。」
「うむ。」
戦艦と言う、
「“コバエ”か・・・」
戦力価値をよく知らないが故に、
「対空戦艦になった、二隻の敵ではないな。」
その考えは間違いになってしまう。
【伊勢】【日向】に対空射程範囲に入った“コバエ”達は二隻が放ち始めた対空砲火に飲まれて砕け散っていく。
退避する輸送船団を守り、時折少数で前線を無視してやってくる敵相手にしていた二隻は、連合艦隊内でもっともネウロイ相手の対空戦闘が得意な戦艦となっていた。
無論【山代】【若狭】も同じように対空戦闘が出来る。四隻そろっていれば、その対空砲火はさらに苛烈になっていただろう。
それでも、戦艦と言う地上戦力とは比べ物にならない密度の火力は、彼等にとって未知の事だった。
443: 影響を受ける人 :2017/04/05(水) 22:24:21
もし襲撃していた生き残りがいればよかったのだが、最悪なことに誰も帰ってこなかった。
夢幻会としても、海軍としても、情報を持ち帰るような行為だけは避けたかったが為に、襲撃者はすべて殲滅していたのがここに来て役に立った。
先程まで襲撃を担当していた構成部隊が、燃料切れになって大急ぎで戻ってしまい。報告がされなかったことも、要因となった。
“コバエ”とともに突撃した“スズメバチ”があっと言う間に粉砕され、指揮官型はしばし呆然となる。
すぐに正気に戻ると、なけなしの戦力である“アホウドリ”二体に挟撃を命じた。
遅れて正気に戻った“ヤマ”が猛烈に抗議するが右から左に受け流す。
いま指揮官型がする事は可能な限りの時間稼ぎ。とにかく味方が到着すれば何とかなる。
だが、そんな考えをあざ笑うかのように反対側に別の戦力が出現した。
第一打撃艦隊が到着し他のはこの時。
双眼鏡で艦隊を確認した堀川は、ニヤリと笑いつつ伝令を呼んだ。
「第一打撃艦隊に電文。
『我、第一撃を与えたり。共に奮闘せん』とな。」
言い終わると同時に、【長門】と【陸奥】は第二射撃を放った。
―― 北郷隊:学徒兵 ――
「す、すげぇ・・・」
「うわぁ。」
「・・・・・・」
初めて目にする戦艦の火力に、学徒兵も見とれるように見つめていた。
しかし、すぐさま御叱りの言葉が通信機から飛んできて鼓膜を揺らす。
慌てて周囲を警戒するが、足止めの少数戦力だけとなったので先程よりは対処しやすくなっている。
二回三回攻撃を加えると、竹井醇子は通信機に手を添えた。
「こちら観測班。応答をお願いします。」
『こちら北郷だ。どうした。トラブルか? それとも下か?』
「ちがいます。」
『ア、ハイ。スミマセン。』
なんとなく和ませようとした北郷章香は、精神的成長をとげた冷徹かつきっぱりとした低い声の否定に、思わず謝ってしまった。
それに気が付いき、慌てて軽く咳をして調子を整える。それを見計らって、醇子は伝えるべきことを通信機越しに告げた。
「これより観測班は任務を遂行します。」
『ふむ・・・』
一時沈黙した。恐らく周囲の戦況を確認しているのだろう。
しかし割と早めに答えが返ってきた。
『承知した。任務を遂行せよ。』
「はい!」
醇子が元気よく返答して振り返ると、幼馴染の二人が背を向けつつ迎撃しているのにも拘らず、こちらがわかる様に親指を上げていた。
「それじゃ。美緒ちゃん、行こう!」
「わかってる。徹子?!」
「もう切り上げた。いけるぞ!」
三人は、そのまま飛翔して観測が安全に出来そうなポイントを探しにいく。
同時に第二打撃艦隊の艦砲射撃が放たれるのであった。
いじょうです。
視点移動が大変やねんなぁ・・・
でもそうしないと、ネタと戦場風景が・・・
最終更新:2017年06月19日 09:09