564: 影響を受ける人 :2017/04/16(日) 22:35:41
この作品にはTS要素が含まれています。
オリキャラ化が含まれています。と言うかオリキャラが出てきます。
最低系である最強要素があります。
オリジナル設定、個人的解釈が入っています。
それでも良い、という方のお読みください。
―― 北郷隊:観測班 ――
三人のウィッチが、良い観測地点を見つけるために部隊から離れた。
「気が付いてないかな?」
坂本美緒は先程まで交戦していた“コバエ”の挙動が気になるのか、しきりに背後を確認する。
それに対して若本徹子は呆れたような表情になった。
「大丈夫さ。隊長達が引きつけているしな。」
「そうだね。それに、敵は戦艦の相手に夢中みたいだし。」
傍目から見れば、“コバエ” の群れは第二打撃艦隊に集中して向かっている。
しかしながら対空戦艦二隻の火力に翻弄され、まごついているのが事実。
更に挟撃するはずだった“アホウドリ”二体も大急ぎで“ヤマ”のそばに戻っていた。
つまり、邪魔物はいない。理想的な状況だ。
「なら。さっさと済まそうぜ。」
「そんなに離れられないし。行くよ!」
気合を入れて美緒は“ヤマ”に対して魔眼を行使する。
魔眼の性能を見れば、導術士学校歴代最高峰の眼。某運命世界の様なものではないが、古代の神々と称される人物たちが持つ魔眼に最も近いとまで言われている。
原作よりも性能が向上している分、制御も難しいが、魔眼制御用の眼鏡がそれを全力で補助する。
遠視と透視の同時運用でくまなく観察していく。
(核はどこだ?)
セオリーから言えば中心部。しかし弱点をランダムにした“アホウドリ”という例外がいる。
同じ様な個体でも、攻略方法が違う事を強く認識し直す。
(どこだ。どこにある?)
少なくとも表面上には無い事を確認し、更に内部を透視する。
っと。
「・・・最悪だ。」
「美緒ちゃん。・・・報告を。」
振るえた声に、醇子は努めて冷静に促す。
「敵の核は、中心部。ど真ん中にある。」
―― 指揮官型“スズメバチ” ――
“スズメバチ”は焦りを抑えつつも考える。今、この状況は不味過ぎる。最悪な状況だ。
敵の戦力を見誤ったの有るが、そろそろ帰ってくるはずの味方が帰ってこない。
殲滅されたのは考えにくい。あれだけの戦力だ、大損害を受けたといても少なからず生き残りがいるはず。
にも拘らず帰ってこないという事は・・・
―エネルギー切れ・・・―
護衛のネウロイ達は“ヤマ”からの供給を受けていない。正確には 受ける事ができない のだ。
“ヤマ”は補給拠点型要塞。敵陣に強襲し、その図体でもって居座る事が前提。
その図体を維持する為、移動のエネルギーを無駄に消費しない為には、別の補給が必要だ。
それこそ“ヒラクモ”の役割。しかし・・・“ヒラクモ”には戦闘力が無い。飽く迄も補給できる味方でしかない。
もはや打つ手は殆ど無くなった。
拘束していた小さな脅威達も、足止めを殆ど殲滅してしまっている。
もう、温存などという考えは捨てるべきだろう。
指揮官型はイラついている“ヤマ”に話かけた。
―仕方がない・・・ おい。―
―ウザイウザイウz・・・ なに?―
―あれを使え。―
―いいの? あれって切り札にするんじゃなかったの?―
使用許可を出したら、うざい口調で聞いてくる。正直攻撃をブチ当ててやりたいが、無駄なエネルギー消費になるので耐える。
565: 影響を受ける人 :2017/04/16(日) 22:36:36
―さっさとやれ。―
―おーし! ぶっ飛ばしてやる!!―
人類側が“オカ”と呼ぶ、今ままで周回飛行していた円錐状のネウロイが円周飛翔を止めた。
そして 外 装 を外して透明な本体をさらけ出す。
核は存在せず、ガラスの様に、水晶の様な体を太陽の元に晒した。
外装が全て剥げ落ちると同時に、円錐から緩い楕円形…レンズ型…に変形する。
準備は整った。
―よし。全員よく聞け。―
砲弾が降り注ぐ中、指揮官型は指示を下し、全てのネウロイが一斉に“オカ”に向けてレーザーを発射した。
レンズに命中したレーザーは、“オカ”の絶妙な調整により、全て次の“オカ”に向けて突き進む。
“ヤマ”“アホウドリ”“スズメバチ”“コバエ”四種多数の火力を受けてなお、“オカ”は解ける様子も無くレーザーを受け止めた。
充分レーザーを蓄えたと判断した指揮官型は、適当に発射命令を下した。
―― 狐狸部隊 ――
敵がいきなり外装を捨てたと思ったいたら味方に攻撃して、攻撃した奴は平然と受け止めて攻撃を一つに纏めてはなってきた。
幸い射線上にはでもいなかったが、下から吸い上げるように放たれた攻撃により巨大な水柱が発生。
戦艦が揺れる様子を上空から見てしまった。
さらに、結界の端まで到達した攻撃は、展開されたシールドとわずかに拮抗した後、耐え切れなくなったシールドが崩壊してしまう。
そのまま攻撃は台風に突入し、雲海を二つに切り裂くまでレーザーの照射は止まらなかった。
幸いな事に攻撃は戦艦にあたらず、二つのウィッチ部隊にも被害は無かった。
しかし、先程まで自分達を守っていた強固なシールドが破られた事が、大きすぎるショックとなって行動を止めてしまう。
ネウロイ側も凄まじい攻撃力に、歓喜の感情により停止していた。
この場にいるネウロイ達も詳細は知らないが、このレンズ型ネウロイは“採掘された”古代の怪異。
その現存していた一部を改良して使っているのだ。
と言っても、このネウロイの一部には意思が無い。それ故、“ヤマ”の一部として運用している。
もう一つ採掘された怪異もあるのだが・・・この場では関係ないので説明は不要とする。
採掘された“オカ”には攻撃力が無い。実弾攻撃も出来なければ、レーザー攻撃も出来ない。高速飛翔も出来ない。
欠陥だらけのような印象が受けられるが、先程の様に味方の攻撃を吸収して反射させる事ができた。
自身の内部に溜め込むことは出来ないので、同じ媒体をリレー方式で保存するしかない。
「冗談でしょ・・・」
穴吹智子が呆然とした表情で、切り裂かれた雲海を顔だけ振り返って見ていた。
作戦の胆である〔戦艦群を、台風のエネルギーを利用して、強力なシールドで守る〕が、あの攻撃により崩壊してしまったのだ。
「た、隊長・・・」
部下の一人が青ざめた表情で問いかける。
強固なあのシールドを貫くというなら、自分達のシールドなど紙以下の耐久力しかない。
そんなモノを受ければ・・・遺体など残らず消滅するだろう。
「・・・このまま攻撃は続行よ。」
「し、しかし!?」
カラカラに渇いた喉を潤すようにつばを飲み込み、答えようとすると、
「どうする?」「どうする?」
今度は双子が背後から寄ってきた。
あの攻撃を見ても何時も通りに振舞っているのは豪胆なのか、それとも計算してか。
取りあえず、部下の前で無様な姿は出来ない。年長の加東圭子に推薦され、それなりに隊長職を全うしてきたからこそ啖呵を切る。
「決まってんでしょうが。狐火隊は攻撃あるのみ!」
「勇ましい。」「男らしい。」
「ああ・・・ 隊長に難しい事は無理でしたね。」
「なんだとぉぉぉ!!??」
部下に言われ放題の智子だが、内心ではホッとしている。
すぐに意識を切り替え、部下全員に武装のチェックをするよう通達。
自分も機関銃を取り出して残弾を確認。やはり少ない。後三回突撃すれば尽きるだろう。
弾薬係は大忙しで交代で補給に戻っている。あの台風の中を突っ切るのだから、体力消耗は自分達の比ではないだろう。
それでも頼らざる負えない。そう思いていると、その弾薬係が寄ってきていた。
「補充頼むわ。」
「了解です。でも、優しくとは言いませんけど、乱暴におかないでくださいね。整備が大変なんですから。」
「ごめんごめん。」
そう言いつつ空の弾倉を取り換える。扶桑刀はまだ使えるから換えない。おっと、擲弾筒の球が無かった。
補充補充。
566: 影響を受ける人 :2017/04/16(日) 22:37:36
「弾が無い。」「お腹すいた。」
「はい、弾倉六つです。一口塩羊羹でよければ。」
「銃身が焼け付いている。代わりを。」
「右のを取って下さい。あっと、弾倉四つ持って行ってください。無いでしょ。」
半数ずつとは言え、群がって補充する姿は何とも言えない。
何というか、飢えた豚の群れと言うか・・・
『全員傾注。悪い報せだ。』
補充が終わり、敵の睨むように銃を構え直すと、総隊長の加藤武子から通信が入った。
敵は攻勢を止めて“ヤマ”の周りに集まっている。
訝しんだ智子であったが、先程の攻撃が敵火力の集中だったので、その為に集まっていると考えていた。
『敵の核の所在が判明した。』
「悪い報せ・・・」「最悪なパターン・・・」
双子が嫌そうに呟く。自分だって聞きたくないと智子は思ったが、努めて冷静に取り繕う。
『敵弱点は中心部。数回再確認し、位置を変えても同じ結果だそうだ。』
『・・・確度は?』
振るえた声の通信が入る。それは援護し続けてくれている犬化隊隊長加東圭子だろう。
否定してほしいのだろうが、答えは無常だった。
『十割。より正確に言えば中心より若干下寄りと・・・言う事だ。』
この報告は下の打撃艦隊にも届いているだろう。先程から砲声が途絶えている。
シールドを破壊した攻撃に驚いているのもあるだろうが、絶望的な状況に悲嘆しているのかもしれない。
智子が作戦続行かどうか問おうとした時、再び砲声が聞こえた。
砲声の主は【紀伊】。
何の意図を持って攻撃したの解らないが、諦めるつもりはないという意思が感じられた。
続いて【駿河】も射撃を再開した。遅れて【長門】【陸奥】【伊勢】【日向】も砲撃を開始する。
【伊勢】【日向】は“ヤマ”に群がるネウロイに対して攻撃していた。
あのバカげた火力の源が奴らならば、それを潰してしまえばいい。
その考えを見抜いた智子は、自分達も更なる接近戦を仕掛けるべく進言しようとし。
しかし相手はそれをも潰す行為をしてのけた。
戦艦六隻、放った砲弾の数52発。
それら高速飛翔する砲弾を、再充填した“オカ”の射撃により全て撃ち落とされてしまう。
再び絶句する一同。
凍りついた敵に対して“オカ”は無慈悲に、全ての戦艦に対してレーザーを放つ。
流石に六隻に分割しての攻撃は、火力が大きく減殺されてしまうらしくシールドを貫くには至らなかった。
だが・・・着弾地点をよくみれば、全て戦艦の中心部を正確に狙って放たれたものだとわかる。
“オカ”のもう一つの能力。精密射撃であった。
以上です。
大雑把な火力に、精密射撃が加わったよ!
やったね指揮官型!!
567: 影響を受ける人 :2017/04/16(日) 22:38:56
書き忘れ。
次回は若本徹子を活躍させたいねん。
最終更新:2017年06月19日 09:12