902: 影響を受ける人 :2017/05/05(金) 22:45:20
この作品にはTS要素が含まれています。
オリキャラ化が含まれています。と言うかオリキャラが出てきます。
最低系である最強要素があります。
オリジナル設定、個人的解釈が入っています。
それでも良い、という方のお読みください。



提督憂鬱×ストパン+零
第百八話 ―扶桑海事変-12―

「■■ッ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ァァァァァァァァァァ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」

咆哮が戦場に響き渡る。
心に、体の芯に響き渡る原始的な声。その正体を見るために数人の視線が若本徹子だった獣を見て絶句する。

「なによ、あれ。」

誰かの声が若干震えていた。人型の、異常な姿に誰しもが声を失っている。
半獣化した徹子はそんな視線など気にせず、血涙を流しながらシールドに押し付けて変形し、使い物にならなくなった機関銃を握り潰しながら全身に力を込めた。
ゆっくり息を吸い、ゆっくり吐きだし。シールドを砕き、自身を前に飛ばした。
もはやストライカーが使えない上での移動方法は、シールドを足場にした跳躍以外ない。
導術士学校で行う水上訓練の応用だ。

片手で次の足場を作り、握り潰しながら強化された腕力でもって自信を放り投げる。
体勢が崩れたので一回転し、今度は足の方に作って蹴り砕きながら前方へ。
愚直に、目的のみを見据えて行動する。自信の能力、【覚醒】は強大な力が得られる。
それこそマジックブーストと呼ばれる人為的なリミッターカットなど、比ではない。制御できれば、一騎当千となる事だろう。
制御できれば、だが。

徹子は制御できない。あまりにも出力が高く、能力向上率が高過ぎた。
無意識に体のリミットカットすら行っており、暴走機関車のごとく・・・寿命を、削っていく。
能力発動後10分ならば普通の生活が送れる。20分ならば不自由な生活ながらも生きていける。
30分立ったならば・・・死ぬ。運が良ければ廃人状態で、ベッドの上で残りの少なくなった人生を終える事ができるだろう。
そんな彼女に与えられた首飾りは飽く迄も制御補助能力のみを考えて作られており、これによって思考の欠如だけは免れていた。

(ウグがぁ・・・ こりゃ、ハヤくしないとイケネぇな。)

強力な力で自身の体を破壊しながら、向上した再生能力でもって再生させる。その際の痛みと気持ち悪さを耐えて、徹子は敵に向かって突き進む。
だがその進路上に赤い光が照射された。致死量のレーザー攻撃を放ったのは無論“オカ”。
古代の遺跡より採掘され、自意識と言うモノを損失したそれだが、奥底に眠る脅威だけは良く覚えていた。
故に同じ様な波長を放つ存在が出現し、すぐさま目標を切り替えて攻撃を放った。

シールドを足場とした移動方法は、瞬発力は有れど、融通は利かない。
強化された視力により攻撃を放つ瞬間はわかるので、進路をずらして避けることは出来た。
だが狙うのは“オカ”16体中7体。7本の精密な砲撃が襲い掛かかる。

(こナクソがァっ!!)

前に進みながらも回避するのは大幅な時間のロスにつながる。だから最小限の回避で済ませるしかない。
それでも時間のロスは発生する。悪態をつきながらも跳躍による回避前進を続けていたが、頭上を飛び越した砲弾が“オカ”の一体粉砕した。

903: 影響を受ける人 :2017/05/05(金) 22:46:07

―― 突撃直後:大隊直属補給係 ――

徹子が咆哮をした直ぐ後、振り返った飯島凛が変貌した友人を見て察した。

「あの、おバカァァァ!!」

大声で罵倒し、すぐさま北郷章香に通信を繋げる。

「北郷隊長。聞こえますか?」
『え、ああ。聞こえている。・・・“あれ”はなんだ?』

呆然としていたようだが、すぐに問いかけてきた事である程度察してはくれたようだ。
だが全てをわかっているわけではない。すぐに飛び出した大馬鹿野郎について説明をした。
あれの正体が若本徹子である事。一生に一度しか使えない能力である事。一度使えば・・・ウィッチとしての活動は一切出来なくなる事等を。

「・・・以上ですわ。」
『なるほど・・・ わかった。こちらから艦隊に説明する。事態が動k『ちょ、ちょっと待ってください!』なんだ、坂本。』

全てを聞き終えた章香はそこで会話を打ち切り、新たな指示を出そうとして通信に割り込んできた人物に冷たい声で問う。

『今援護に行かないと徹子が!『あの弾幕をどうやって避ける気だ?』そ、それは・・・』
『現状あの精密射撃を避けられるのは彼女しかいない。不用意に突撃して、矛先が我々に向いた時、どうすればいい?』

至極真っ当な回答だ。確かに今、彼等の狙いは戦艦よりも徹子に向いている。
だからと言ってこちらを無視している訳ではないはずだ。“コバエ”の群れは相変わらずこちらに向かって攻勢をかけており、無視して突き進むわけにもいかない。
章香とて救援に向かいたいし、危険で分の悪い賭けに出た部下を止めたい。
しかし、彼女以外の命も預かっている。不用意な行動は慎まねばならないのだ。

何も反論出来ず、友達の為に何も成せ無い事に悔しさがあるのか、小さなうめき声を残して美緒からの通信は途切れる。
そのやり取りを聞いていた凛は、苛立ち気味に通信をきると相談も無しに突撃して行った馬鹿をの方向を見る。
その先は赤い光が乱れ瞬き、自分の技量では介入できない事を見せつけていた。
親友二人には黙っていた秘密を打ち明けられ、その能力を使用させないように奮闘してきた。

「本当に・・・お馬鹿さん。」

凛は戸惑っている大久保小毬を連れ、補給が必要なタイミングを計るためにその場を後にしようとした時だった。インカムに第一打撃艦隊の突撃の報が入ったのは。

―― 突撃直後:打撃第一艦隊 戦艦【紀伊】 ――

古賀峯一自身は、咆哮はまったく聞こえなかった。
しかし、砲弾を撃ち落とすはずの矛先が変化したのはすぐに察する事ができた。

「砲術長、交互射撃止め! 全力射撃に切り替えだ!」
「了解しました!!」
「艦長、機関全速。全門が砲撃出来る状態で接近!!」
「機関全速!!」
「通信長、全部隊に『我これより突撃す。道を切り開く』とな!」
「はっ! 一字一句間違えずに伝えます!!」

艦橋が一気に騒がしくなった。
何がどうなったのかはわからない。しかしこれは、硬直した戦況を動かす一手になっていると判断。突撃を選んだ。
無論危険はある。しかしリスクを恐れ続けては何も進まない。
だてに前世でも軍人(半強制)をやっていたわけではない。

「誰だかわからんが、これは好機だ。」
「好機にする、のではなくてですか?」

副官がチャチを入れるが、古賀の顔は笑顔のまま振り返る。

「それもあっている。しかし、良い様にやられるのは趣味じゃない。」

そう言うと、身体が引っ張られる感覚と共に外の景色が勢いよく進みだした。
更に交互射撃していた砲身が全て下がり、弾込めに入っているようだ。
距離が先ほどよりも急激に縮まり始め、緒元を調整していく。
その間、“オカ”の砲撃はウィッチのみに注がれている。まったくこちらに来ない。
それ所か“オカ”はリング状の陣形をそのままに、徹子に対して全ての“オカ”が射撃に加わろうと高低差を変えつつある。

904: 影響を受ける人 :2017/05/05(金) 22:47:28

「ほぅ。相手はどうもこちらを無視してでも、突撃したウィッチを排除したいようだな。」
「よほど、脅威に見えるのでしょうか? ウィッチは。」
「わからん。」

転生前の年齢を含めても長く生きているとはいえ、さすがに生体そのものが違い過ぎる相手の心はわからない。
この世界は宇宙鯨や、宇宙昆虫が存在していたらわかるかもだが、現状ではなんの意味も無い。
まさか、古代にも及ぶ過去のトラウマだとは思わないだろう。
古賀は只視線を敵に向けていた。その背後に砲術長が立ち、報告する。

「司令、全砲門に砲弾装填終了しました!」
「よし。撃ち方始め!」
「うちぃかぁたぁ、始めぇ!!」

【紀伊】が射撃を開始、続いて【駿河】も射撃を開始。
砲弾は先程までと打って変わって全く迎撃されずに飛翔、そして放物線を描いて調整通りに着弾した。
【紀伊】が放った砲弾は徹子が突撃していた面に命中し、“オカ”一体を見事粉砕。
続いて放った【駿河】の砲弾は更に奥の方を狙った為に“ヤマ”を飛越し、浮上してきていた“オカ”二体に命中した。
一体はすぐに粉砕されたが、もう一体は即死しなかったものの身体に罅と亀裂が入り、リレーしていたレーザーのエネルギーが暴走を開始し。

10秒後には溶け落ち始めた体と、レーザーの光熱により爆散。
それを見た一同が歓声を上げた。ようやく敵に対して有効打を与える事ができたのだ。無理もない。

「砲術長! 急斉射だ!!」

古賀の指示が飛ぶ。

―――――

なんだかよくわからないが、敵が爆散してくれた。これは有り難い。
回避の回数が少なくなるし、負担も減る。
そう言えばと、持ったままの部隊が有ったのを思い出した。握り潰された機関銃の後ろ半分は脱落しており、銃身部分だけが奇跡的に残っている。
それを、砲撃が緩んだ瞬間に思いっきり分投げた。

この判断は好を奏した。一見完璧に見える“オカ”であったが、実はいろいろ弱点がある。
まず彼等は攻撃手段を持っていないという事。つぎに衝撃には脆い事だ。
最初に殻に収まっていたのは保護する為。最初から“ヤマ”の内部に補完しておけばいい話なのだが、最大限物資を積み込んだ影響でこのような運搬方法になってしまった。
ダメージを受けると修復が出来ず、その時にレーザーをリレーしていると溶融してしまう。
かなりシビアな計算の元、リレーを行っているのだ。損傷する前に排除しなければならない。

最後にリレーを行う際、エネルギーロスを抑える為、等間隔に並ぶ必要がある。
これは数が多ければ多いほどよく、より多角形で間隔が狭いほどよい。
だから大急ぎで間隔を修正し始めた“オカ”の一体に機関銃が突き刺さると、10秒後に爆散し、更に彼等は慌て始める。
この好機を逃がすわけにはいかない。第二打撃艦隊は第一打撃艦隊に遅れる形となったが突撃を開始。
同時に金剛型四隻と妙高型四隻も突撃して行く。

そんな状況の変化を、相手側の事情を知らない徹子は砲撃が止んだのを良い事に距離を一気に詰める。
視界に写る巨大な敵がどんどん大きくなっていき、同時に黒い小粒の敵もこちらに向かってきた。

(まっ。そんなにウマくいかねェヨナ。)

口橋から吐いた息が白い煙となって後方に流れる。
四肢を使っての移動を止め、足での蹴り駆けに切り替えて両腕に対して魔力刃を発生させた。
同時に異常に長くなった尻尾全体にも魔力刃を展開する。

「■ッ■■■■■■■■■■■■■ォォォォ!!!」

気合を入れる咆哮と共に、相手の赤い雨が殺到した。



以上です。
名、中々戦闘シーンに入れん・・・(汗

タグ:

+ タグ編集
  • タグ:
最終更新:2017年06月19日 09:25