959: 影響を受ける人 :2017/05/08(月) 21:41:29
この作品にはTS要素が含まれています。
オリキャラ化が含まれています。と言うかオリキャラが出てきます。
最低系である最強要素があります。
オリジナル設定、個人的解釈が入っています。
それでも良い、という方のお読みください。



提督憂鬱×ストパン+零
第百九話 ―扶桑海事変-13―

―撃て!―

指揮官型“スズメバチ”の必死の叫びが同胞たちを動かす。

―墜とせ!―

習性の為に反撃できない“オカ”が粉砕され、当たらない砲弾が“ヤマ” の表面を削る。

―撃ちまくれぇェェ!!―

ようやく落ち着けられると思ったらこれだ。一体相手は何枚の手札を用意しているのか、まったく見当もつかない。
しかも突撃してくる奴のせいで、護衛戦力を総動員しないといけなくなった。
目の前での戦闘は今までの戦闘とは違い、もっとも原始的な戦闘。手足を用い、莫大な魔力に任せて相手を蹂躙する。
まるで採掘した“アレ”の様ではないか。最も、改造によってだいぶ変化しているらしいが、詳細は知らない。

―撃てぇぇぇぇ!!―

決死の弾幕。しかし相手はそんなモノを意に介さずに、強引に突き進んでくる。
こちらは一撃離脱の為に前方から接近し、後方に抜けるわけだが、敵の長い、何かに絡められては落とされて逝く。
下手に接近しようものなら物理攻撃で粉砕されてしまう。
二体の“アホウドリ” が左右にから攻撃を加えるべく飛翔したが、一体が最も接近した時に高速跳躍で張り付かれた。
慌てて体を揺らして振り落とそうとするも。

「■■■ッ■■■■ォォ! ■ゥ■■■■■■ゥゥ!!」

まるで削岩機のごとく前方から斬り飛ばされ、殴り潰され、叩き潰されて核を破壊されてしまった。
砕け散る同僚に動揺した“アホウドリ”が、なりふり構わずにレーザーをブチ込む。
それに続いて“スズメバチ”達も、とにかく大量に打ち込み始めた。
既に恐慌一歩手前までに統率が乱れ始めており、指揮官型は細かい指示を諦めつつも、何とか統率しようとする。
流石の相手もこの密度の攻撃は嫌がったのか、直上に跳躍して避けた。

―おっしゃ! 狙い撃ったる!―
―あ、おぃ・・・―

空気が読めない“ヤマ”が主砲で狙い撃とうとしたが、

―オボアァ!―
―・・・・・・(やっぱりな)―

戦艦と(良くやく届く様になった)重巡の砲撃が降り注ぐ中で、呑気にチャージなど許して貰えるわけが無い。
重巡はチョット小さめの砲弾とは言え、対ネウロイ用砲弾を用いている。
脆いレーザー発射口を粉砕されて“ヤマ”が憤激するが、無視する。自業自得だし。
それはともかく、こちらも仕切り直しをするしかない。
“オカ” に命令して一時的に飛来する全ての砲弾を撃ち落とす様に言い、エネルギーを残さず使用してから位置変換をするように命令する。

計算しながらの移動はどうしても鈍る。だったら思い切って使い切ってからの方が良いだろう。
“オカ”も危機感が有ったのだろう。“ヤマ”の ―アイツぶっ飛ばせー!― 暴言を無視して残った個体で、短照射の連射で砲弾を撃ち落とす。
そしてすぐさま最大出力で発射する。狙われた一隻の前に光の壁が展開されたが、先程よりも高出力で放ったおかげか、曲げられる確度が浅い。
薙ぎ払われるように真ん中より後ろ寄りで切断し爆発、両端が持ち上がり急速に沈んでいく。
その戦果を確認せずに現状迫っている敵に意識を戻すと、ソイツは“スズメバチ”の一体を捕まえて武器のように振るって同胞を潰し回っていた。

慌てて後退を指示したが、ボロボロになった“スズメバチ”を“オカ”に投げつけて突き刺してしまう。
ああなってしまっては容易に復帰などできない。回復役の“ヒラクモ” を呼び寄せようにもアイツらの行動速度は遅い。
再び猛攻撃に打って出た相手に対し、友好的な手段が思いつかない。
速度を取り戻した“オカ”が配置につくのはもう少し時間がいる。再チャージにかける時間はもっといる。
一度止んだ砲撃も再開して始めた。天から砲弾が降り注ぎ、自分も危なくなってきている。

―不味いですよ!―
―わかってる!! 今、打開策を・・・―
―そうじゃなくて、小さい脅威が迫ってきています!?―
―っな!!??―

960: 影響を受ける人 :2017/05/08(月) 21:42:30

意識を向けてみると、差し向けた “コバエ”の群れが・・・減り過ぎていた。
どうやって減らしたのか皆目見当もつかない。わかるのは危機的状況が更に跳ね上がったという事。
真相は狙撃の危険が無くなったので、単純に戦艦の対空射撃の範囲に誘い込んだだけ。
基本的に“コバエ”はアホだから、あっさり引っ掛った。此方の対処に追われていたせいで、指示を出していなかったのもあるだろう。
だからと言って好転するわけではないが。
取りあえず“ヤマ”にたいして“オカ”にチャージして置く様に指示した。
だが、彼は何も答えない。あれ?

―何をしているんだ?―
―・・・ぃ―
―何だ? 聞こえないが・・・―
―ぅ・・・・・・ぁぃ―
―だから、小さくて聞こえn―うるぅさぁぁぁぁぁぁぁいいいぃぃぃぃ!!!!―うぉ!?―

―― 狐狸部隊 ――

「クソ、比叡が!」

視線を轟沈していく戦艦に向け、疲労が滲み出ている顔の表情を歪めた。しかし、加藤武子は救援に向かう事無く突撃を続ける
若本徹子が作ったこの機会、けして逃せるものではない。
だから【金剛】【妙高】【羽黒】の三隻も、そのまま突撃を継続している。
誰しもが、硬直を破ったこの機会を逃がさぬまいと動いているのだ。

「あのバカ。あの馬鹿。あの大馬鹿がぁ!!」
「うっさい。」「元気だね。」

先程若本徹子の話を聞いた穴吹智子が、罵りながら立ち塞がろうとする“コバエ”を纏めて切り裂いて進路を抉じ開ける。
不和姉妹も後方から追従して、智子が残した左右の敵を切り裂いていく。
そんな突撃脳筋三人と狐火隊のメンバーが粉砕しなかった敵を、狸釜隊がフォローして殲滅していた

「ああ、もう! もうちょっと、後で援護している人たちの事を考えて欲しい!」
「それは無理なのでは?」

忙しさに涙を流す暇もない黒江綾香の嘆き、を古参のウィッチがあっさり否定する。
あんまりな会話をする上の人達を見て井沢十華は、

(陸軍に入っても、この人たちの下にはいきたくないわ・・・)

と賢明な判断をしていた。それが叶うかは別として。
更に後方から大きく迂回してきた敵の狙撃している加東圭子は、目立つ三人を視界の端にとらえつつ苦笑する。

「まったく、智子は変わらないわね。」
「ですね~ ああいうのは、死んでも変わらないかと~」

能天気に江草貴子は酷い事を言い、圭子の顔を引き攣らせる。
そんな中でも銃身は敵を常に補足し続け、能力も全開で稼働し続ける。代償にさっきから頭痛が酷い。
魔力回復薬に栄養補給ドリンクも飲んでいるから、胃の中がさながら毒沼の様にゴボゴボいっている感じがする。
顔色も悪いだろうけど、取りあえずゴーグルで目の周りを見せない様にしているから問題ないだろう。

「サッサとケリを付けないと・・・なに?」

急に“ヤマ”が雄たけびを上げた。同時に、ラミッド型の体に筋が入り始める。
その筋は中央以下に発生し、縦横に二筋走った。そして【ガコン】という音共に、筋を境目としてそれぞれの方角に展開していく。
中央と端、上中下段。それぞれに別れて棚が形成されていく。
更に筋が入らなかった上部が一時的に上昇すると、迫り出した棚の中心部に収まるように降下していく。
八方向に広がった棚の舞台上をよく見ると・・・ワシャワシャと陸戦ネウロイの群れがいた。

「うげぇ・・・」
「まるでゴ○の団子風呂状態ですね~ 戦力が少なくなったので、格納していたのを、出したんですかね~」

圭子が嫌そうにするのと同時に、給弾していた貴子が考察を述べた。こいつはこんなものを見ても平然としている変態か?
内心は冷や汗を流していたが、圭子は取りあえず平静を装う。貴子の考察は半ば当たりで、違っている。
良い様にやれている状況に怒りを燃え上がらせた“ヤマ”が、再び勝手な判断で戦力を展開したのだ。
はっきり言えば愚策。確かに格納戦力は魅力的に見えるかもしれないが、しょせん地上戦力。今必要な航空戦力ではない。
さらに広く展開したという事は、目標が大きくなったという事だ。

相手は、何処でも撃てば敵に命中するわけだから。良い事と言えば一番高い位置にあった自身の弱点を底部に移せたことだけ。
何時までも上空から狙い撃たれるというのは、良い気分では無かったし。
高度がさがりつつあるが、問題はない。はずである。
いきなり引き出された陸戦戦力は戸惑っていたが、こちらにも指揮官型が配置されていたのですぐさま対空攻撃を開始する。罵声と悪態をばら撒きながらだが。
命中し辛い実体弾ではあるが、それでも数でカバーできる。

急造の対空陣地の出現に、反対側から迫っているはずの北郷隊も戸惑いを見せたが、さらに高度を取る事で危険から遠ざかる。
そんな退避している最中、先頭を斬り進んでいる智子はとんでもないモノ発見した。

961: 影響を受ける人 :2017/05/08(月) 21:43:37

「え、あれって・・・」
「列車砲だ。」「でっかい。」

大陸で、実験で使用された列車砲を取り込みネウロイとした巨大な多脚型が、迫りくる戦艦に向けて砲身を向けている。
すぐさま警告をしようとインカムに叫ぼうとし、その前に巨砲が吠えた。
轟音が響き渡り、放物線を描いて戦艦の横に着弾する。

「冗談でしょ! あのデカブツまで相手に出来ないわよ!」

叫びつつも横目で中森彩子を見ると、彼女はニヤリと笑って墳進砲を三つ取り出して見せた。

「こんな事もあろうかと。」
「・・・あんた。誰に似たのよ」
「隊長です。」

ぐうの音も出ない。
取りあえず突っ込む前に通信を繋げる。相手は総隊長の武子。

「あいつは放っておけない。こちらで対処しても?」
『ああ、頼む。反対側にも出たらしくてな、そっちは突撃娘が向かったらしい。』
「了解。・・・回収できるの?」
『してみせると、さ。やる気に満ち溢れすぎて、怒りに肩が震えているそうだが。』
「じゃ、あとで自分も殴らせて言っておいて。」
『自分で言え。それと、一撃離脱で仕留めろ。・・・頼むぞ。』

通信を斬り、眼下の敵陣を睨み付ける。
戦艦と重巡の砲弾が降り注ぐ中、異常な装填速度で巨砲の反撃を放つ異形を見やり、ついで部隊全員の顔が見えるように体勢を変える。

「狐火隊はアイツを潰す! 一発薙ぎ払うから、不和姉妹は雷球で追撃!
 それで進路が開けしだい突撃する! 後ろから突撃してくる奴は無視しなさい!!
 全部私が切り捨てる!!!」
「「「「「了解!!!」」」」」

全員が肯定すると一つ頷いて、最近ではやらなくなった手振り信号で圭子に後を託し、部下共々急降下していく。
圭子自身は徹子に負けず劣らずの突撃馬鹿に、別の意味で頭が痛くなる。
取りあえず見取った手振りは見知ったモノだったので、見ていないのだとしても軽くやっておく。
こういうのは気持ちの問題だ。

「突撃馬鹿が行っちゃったから、こちらの負担が増えるけど後もう少しだからね。」
「まあ、ここまできて失敗なんて言えませんよ。」
「やったります。」
「隊長も無理しないでくださいね。」
「補給はまだ大丈夫です。お任せを。」

頼もしくて涙が出る。
後ろから迫ってきた二手に分かれた“コバエ”の群れだが、もはや脅威と言えるほど残っていない。
それでも後ろから追いすがれるのは御免こうむる。

「後方の敵を迎撃しつつ、前方の敵を攻撃!」
「「「「「無茶難題、了解です!」」」」」

副隊長と隊員一人が後ろ向きで銃を構え、圭子ともう一人が前を見る。
残った二人は再度を守るポジションを維持し、給弾のタイミングをはかる。
短い期間で完成させた陣形。他の陣形もやりたかったが結成が短い犬化隊ではこれしか出来ない。
それでも最善を尽くす。



以上です
戦艦【比叡】が沈没しました。う、運が悪かったんや(ダイスをジャラジャラ

5/8 誤字脱字修正。

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最終更新:2017年06月19日 09:31