341: 影響を受ける人 :2017/05/21(日) 22:46:24
この作品にはTS要素が含まれています。
オリキャラ化が含まれています。と言うかオリキャラが出てきます。
最低系である最強要素があります。
オリジナル設定、個人的解釈が入っています。
流血表現が有ります。グロイ表現が入っています。
それでも良い、という方のお読みください。



提督憂鬱×ストパン+零
第百十話 ―扶桑海事変-14―

“スズメバチ”相手に暴れていた若本徹子と言う野獣は、時間経過により当初の目標を忘れかけていた。

「■■■■■ッァァァ!! ■■■■ォォゥゥゥ・・・!」
(・・・ス・・・・・・・・・ブス・・・・・・ツブス・・・・・・・・・ )

忘れかけていても、それを破壊すべきと言う優先目標だけは変わらなかった。

「■■ゥ■■■■■■■ヵァァァ!!」
(ツブスツブスツブスツブスツブスツブスツブスツブスツブスツブスツブス!)

思考はもう本能に支配されかけており、

「■■■■■ッッ!■■■ゥァァ!!」
(ツブスツブスツブスツブスツブスツブスツブスツブスツブスツブスゥゥゥ!!)

振るわれる力の矛先が味方に振るわれていない事が奇跡になりつつある。
シールドの足場を蹴り砕きながら、手当たり次第に“スズメバチ”をガラスの様に砕いていく。
彼等が守っていた“オカ”に取り付くや否や、腕を振りかぶり拳を叩きつける。
二度、三度。罅が入るがまだ気に入らない。四度、五度。六度目にしてようやく腕がめり込んだ。
そこを起点に力任せにこじ開け破壊していく。

“オカ”が異物を排除せんと暴れるが、四肢をしっかり固定した怪物は離れない。
怪物は大きく広げる作業に飽きたのか、傷口に足を思いっきり叩きつけて離れた。同時に耐久力が尽きた“オカ”がそのまま落下していく。
近場の“スズメバチ”を足場にして跳躍と同時に砕く。
腕を振るえば敵が面白いように砕け散るが、彼女の中に歓喜などは浮かばず、絶えない破壊衝動に突き動く。
っと、下の方で動きがあった。

異音と共に何かがせり出してきた。いくつかの棚に別れているそれの内の一つ。
見た目からも脅威とわかるナニカが、砲身を振りかざして攻撃を開始し始める。
此方に意識を向けていないのか、まったく見向きもしない。
それが何か気にくわない。

「■■■■■■ゥゥゥゥ・・・」

一旦シールドを展開して着地し、目標を睨むと一気に下に向かって飛び出した。
重力も味方にした降下速度に、“スズメバチ”は追いつけない。
最短距離で接近していく。
身に渦巻く怒り、気に入らないという気持ち、様々な負の感情をもって突撃する。
その頭上から“オカ”が一体、急降下で突っ込んできた。

慌てて回避するために制動をかける。
突然現れたように出現した“オカ”だが、太陽光の入射角を変更し、影が当たらない様にしていただけ。
更にそいつは最初の壊れた銃を突き刺した相手。
今まで砲弾の雨に晒されながらも、生き延びていたが回復も出来ずに漂っていた。
思考能力を殆ど欠如してしまっている“オカ”であっても、目の前の脅威を排除する事に何ら躊躇いは無い。

寸での所で衝突を免れた怪物であったが、“オカ”は一手先を打っていた。
すぐ目の前まで接近した“オカ”に対し、他のネウロイが一斉に攻撃をする。
そのレーザー攻撃はすぐさま体内に仕舞い込まれ、ひび割れた影響で演算が狂う。
そして予定通りに大爆発が起きた。

「■■■■■■■■■■■ァァァァァッッッ!!??」

“オカ”は元から自爆するつもりだった。癒す余裕がない以上、こうする方が手っ取り早い。
爆発に巻き込まれた徹子は絶叫を上げ、大きく離れる様に吹き飛ばされた。
咄嗟にシールドを張り、無意識下のシールドも合わさって何とか四肢は大丈夫。
しかし、爆発の衝撃を完璧に防ぐことは出来なかった。
砕け散った大き目の破片がシールドを貫通し、左腕を半ばからへし折った。

骨が飛び出て、血液が噴水のように吹き出す。
右下の肋骨近くに破片が突き刺さり、流血が止まらない。
両足にも細かな破片が突き刺さって、白い毛並みを真っ赤に染め上げている。
咄嗟に庇った頭部は無事だが、耳が少し切り裂かれてしまった。
何とか空中で体勢を立て直すと、今度は下から攻撃が吹き上がってくる。

「■■■■■■■ゥゥゥッッ!?」

先程まで視界に入っていなかった、雑多な怪異共が蠢き、敵に向かって盛んに攻撃を放っているのだ。
今までにない負傷を負ってしまったせいで慎重になり、それでも下を目指して降下する。
取りあえず対空砲撃を放つ四脚型陸戦ネウロイが一番近く、最も目立っていたので尻尾の魔力刀で貫く。
更に無事な右腕で、掌底を放って叩き潰して置く。
一撃で死亡した味方に、全ての陸戦ネウロイが止まった。

342: 影響を受ける人 :2017/05/21(日) 22:47:05

「■■■■■ッッ!■■■ゥァァ!!」
(ジャマヲスルナ! ゼンブツブスゥ!!)

静寂を引き裂く咆哮を上げ、目標を前に見据えて怪異の大地を駆ける。
右腕、両足の三本足で突進する敵に、我に帰ったネウロイ達は小口径砲でもって対処しようとする。
しかしどの方向にも味方がおり、思うように射撃ができない。
っと、徹子の前の道が突然開けた。もちろん彼女に対して恐れを抱いたわけではない。
開けた先から突撃してくる一団がいるからだ。

防御力をひたすら追求した突撃兵。
前面装甲が恐ろしいほど硬く仕上がった彼等の突進は、まるで某部隊の大型兵装の様でもある。
代わりに何も放てなくなったが、この突進能力を生かせるかどうかのテストとして持ち込まれた。
両者は恐ろしいほどのスピードで接近し、僅かな時間で接触する。

「■■■■■ヵヵァッッ!!」

徹子は右腕に魔力を集中させ、体全体で思いっきり突進を受け止める。
しっかり踏ん張った両足は数メートルほど引きずられたが、その勢いを止めることに成功する。
後方から同じように突撃してきた同種が衝突して轟音が響き渡るが、徹子は勢いを利用して貫通させた右腕と両足、全身の筋力、魔力を総動員した。
そしてその場で足を駆ける様にバタつかせる。
ふざけている様にも見える光景であったが、次第に前に進み始め・・・

どんどん速度を上げていき、敵を押し分けて進み始めた。
突き刺さっている相手も抵抗するのだが、強引にあげた力に対抗できずになすがまま後退していく。
敵を引き潰す筈が、味方を跳ね飛ばしている。だから必死に足を動かして抵抗を試みる。
だが、相手はそんな心情などお構いなしに突き進む。
後方に形状がクモの様なネウロイが数体現れた。六脚で、両腕がまるでツルハシのようにも見える。

両腕を振り上げ、衝突すると同時に振り落とす。
衝突した際に二体ほど後方に吹き飛ばされたが、柱のような四肢のお蔭で他の数体は持ちこたえた。
接近戦能力を付与されたテスト個体であったが、用途は違うと言えどその能力をいかんなく発揮できたと言える。
対して徹子は怒り狂い、無理にでも進もうと強引に前に足を動かす。
しかし動かない。相手もこれ以上進ませたくないのだ。

「■■■■■■ゥッ!■■■■■■ゥゥッ!!■■■■ゥァァァッッ!!!」

ココで意固地にならない方が良かった。
もし、まだ徹子の理性が少しでも残っていたら、飛び越えて進んでいただろう。
しかしその機会はもうない。
影が差したことに驚いて顔を上げた先に、“アホウドリ”が落ちてきていた。
回避は出来ない。右腕を深くめり込ませ過ぎた。

時間も無い。あまりにもこだわり過ぎた。
徹子はあまりにも驚異的過ぎた。だから最優先で、自爆紛いの攻撃をしてでも止めようと、ネウロイ達は考えてしまった。

「■■■■■■■■ァァァァッッ??!!」

衝撃が、圧力が、痛みが襲ってくる。
思わず絶叫し、開いた口から血反吐が吐き出された。
背中にのしかかるように降下してきた“アホウドリ”は、まだ核が無事なのか砕け散らない。
遠めに見て、まるで十字架の墓標のようにも見える。

「■■■■■■■ゥゥゥゥッッ・・・・・・」

さすがにこれは堪えた
黒い大地との間に挟まれ、まったく身動きが取れず、突き刺した右腕の感覚が無い。
腹部に刺さっていた破片が更に深くえぐり込み、骨が何本か逝かれた。
大きすぎるダメージに、先程までの活力が無くなる。
口から血を流し、身体のいたるところから血が流れ出る。

先程使用した魔力の消費がここにきて響いており、まだ回復していないので再生が遅い。
最も悠長に再生させてはもらえないようだ。
陸戦ネウロイの群れが徹子を取り囲み、砲身を向ける。
それをカスミかかった目で、ぼんやりと見上げた。

(シヌノカ?)

無意識のシールドも今は張っていない。どの口径でも命中すれば死にいたるだろう。

(ツカレタ・・・)

息が苦しい、体中が悲鳴を上げて痛い。

(クルシイ・・・)

もう、いいじゃないか。
目標は達したのだから。
戻ってきた理性が、あきらめる心が、徹子に優しく語りかける。

(ソウダ・・・ モウ・・・・・・)

だからゆっくりと目を閉じようとして、近くから響いた重い砲撃音に気が付いてしまった。

343: 影響を受ける人 :2017/05/21(日) 22:47:36

(マダダ!)
「■■■ゥゥッッ・・・!」

カット目を見開き、魔力刃を展開している尻尾を全力で振り回す。
主の意思に応じて動き出した尻尾が、黒い大地に触れては火花を散らし、進路上の敵を斬り砕いていく。
突然の意味不明な攻撃に驚き、一同の攻撃が遅れた。
その一瞬の間。その隙を生かしていまだ背中にいる敵を、尻尾で切り刻み軽くする。

(マダ、ホウムラナイトイケナイテキガイル!!)
「■■■■■■■■■■■■■ァァァァァッッ!!」

切り刻み終えると、尻尾は最後の命令をこなした。
衝突時に砕けた右肩。その先から右腕を斬り飛ばし、自分を自由にする。
そして両足だけで気絶した壁を駆けあがった。
登りきれば味方の艦隊に攻撃を放つ目標がいる。

(アイツヲ、ツブスマデハァァァ!)
「■■ィ■■■■■■ィァァァッ!」

自分は死ぬ事ができない。もう目標を見失わない。
再び駆け出した徹子。先程までの勢いはない。
しかし戻ってきた理性が、今まで培った経験が、敵の攻撃を受けるのではなく避けるように。
射線を先取りして避け、当たる物は斜めのシールドで受け流す。
接近戦を仕掛けてくる相手は適当にあしらい、小型ネウロイは尻尾で邪魔になる奴だけ相手にする。

(アトモウスコシ・・・)

前に近接型が出てきた。足払いを敢行し、体勢を崩す。
体勢が崩れたの同時に跳躍、一度足場にして更に。

(アトモウスコシ・・・!)

また近接型が出てきたうえに、もう腕を振りかぶっている。
シールドを展開し、蹴って軌道変更。やり過ごしたら前へ。

(アトモウスコシ!)

突撃型が突っ込んできた。もう此奴等の相手など出来ない。無視する。
敵が撃ち込んできた。もう味方の被害など気にしなくなったのだろう。ジグザグに、素早く移動。

(ノチ、モウスコシ・・・ィ!?)

急に力が抜け始めた。最大制限時間、20分がやってきたのだ。
能力を制限する魔道具が、強制的に能力を中断させようとしている。
殆どの流血は既に止っている。しかし、まだ目標までが距離があった。
今ここで倒れるわけにはいかない。

(もうスコしナンダ! タのム!)

涙を浮かべて必死に頼み込む。これが最後のチャンス。
両足に思いっきり魔力を注ぎ込み、最後の跳躍をした。その力に耐えきれず、両足から血が噴き出て骨が砕ける。
その跳躍速度は今までで最高の速度。敵の頭上を飛び越え・・・それでもなお距離が少し足りない。

(アト・・・)

尻尾を前方に伸ばし、先っぽに円柱シールドを展開。尻尾を巻きつけて強引に引っ張る。

(すこシィィぃぃっっ!!)

酷使され続けた尻尾が千切れとんだが一瞥しない。けど、お礼は言った。ここまで役に立ってくれた体の一部だから。
今度は左腕に残された魔力を注ぎ込み、自身の守りは最低限に。
左腕が固まった血液で、魔力で無理やり固定化され十分な硬さとなり。
艦隊に夢中になっていた攻撃していた、無防備な列車砲ネウロイの側面を穿つ。
そして、属性が違う魔力を腕の先で生成し、

(やっ・・・タ・・・・・・)

列車砲ネウロイの中で大爆発をこした。



以上です。

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最終更新:2017年06月19日 09:35