660: ナイ神父Mk-2 :2017/06/18(日) 23:51:54
大陸SEED ゲート編 その8

その頃の夢幻会とその頃のオーブ

原作側のオーブがカーペンタリアを攻略した日の東京某所にある大型ホテルには現在夢幻会のメンバーが集まり、定期集会を開いていた。議題は勿論、ゲートの先に存在する原作と同じ歴史を辿ったと思われる世界に対してである。会場に備え付けられた壇上の上では外交員の一人として向かったメンバーの一人が大型のテロップを端末で操作しながら向こうの現状や資料の説明を行って居る。

「・・・ですから、向こうとしては戦力・国力共に健在な此方から必要以上に干渉される事を警戒している様子です。現状で向こうに支援を行ったとしても第二のザフトと見做される可能性も有るかと・・・」

「下手な人員の派遣は危険か・・・では被災地支援等は如何だ?其れならば人道的な支援と言う事で通りそうだが」

会合の参加者からそう説明を行っている外交員に対してそう質問が飛ぶが外交員は其方を向いて首を振って否定する。

「この場合、今だ国交もまともに無く更に向こうはテロリストが蔓延っている上に交戦中です。今回の使節の派遣ならば兎も角被災地支援と成るとそうしたテロリストとの最前線に赴く事になり必然的に戦闘が発生します。」

「ダメか・・・」

質問をしたメンバーはそう呟いて沈黙すると外交官は質問がない事を確認して壇上より降り続いて海軍を統括している山本が登壇した。

「次は海軍から説明させて貰う。今回の戦闘で確認・鹵獲したMSに関する詳細は145pを参照してくれ、向こうに向かった連中の話では遭遇したザフト艦隊の戦力は原作通りと言う奴か?兎に角、当初予定されていた戦力通りの物が出現した。と言っても遭遇したのはこの一度きりだから余り信用できるデータでは無いがな。其れとオーブ軍に関してだが、如何にも妙な報告が入っている。
どうもオーブ軍はフリーダムとアークエンジェルが逃走した際、まともに動いて居なかったらしい、此れは他国の艦隊やそれが出した偵察機の方からも確認しているから間違い無いだろう。」

山本のこの言葉に会合に集まったメンバーの反応は大きく二つに割れた。一つは困惑、情報を見る限り神輿の類とは言え最重要の警備対象が誘拐された上、自国の国威に泥を塗った様な連中を易々と逃がすのか?と言う物ともう一つは所謂原作を詳しく調べた、又はガンダム好きで有った転生者から漏れ出た諦めにも似た納得である。会合参加者の中からは「やっぱりか」や「これが補正か」と言った言葉が漏れ聞えてくるが山本は気にした素振りはなく壇上より降り次の報告者へと交代、山本に代わって今度は林が登壇、陸軍の兵器開発の進行状況へと話は移っていく。

「陸軍からは現状の兵器開発状況から伝えさせて貰う。現在の所進められている海軍と共同のZI計画、空軍と共同の天女計画は既に初期プランで想定したレッドホーンとアプサラスⅡのロールアウトに成功し、次の段階へと移っている。此れに平行して行われていた新型の重MS開発計画は少し低調気味だな・・・」

「其れは仕方が無いのでは?現状はエース用の少数量産の機体より先ずは戦中に一足飛びに進んだMSの世代交代の方が先ですし、それに対応できる主力MAの開発が先でしょうから、それに流石に戦時中程軍備に予算は裂けませんよ。唯でさえ戦時中にペースダウンした火星開発計画と移民計画の実行速度を元に戻している途中なんですから」

「それはそうなんだが、向こうの事を考えると如何にもな・・・」

「やはり向こうの動きの問題ですか?」

「現状は向こうの連合有利とは言え、史実・・・この場合は原作と言うべきか?その事を考えると不安が残ることは事実だ。幾ら現実だと解っていても目の前でその歴史通りに動いた世界を見てしまうとな・・・辻君は違うのか?」

「やることはやっています。既にZi計画、UC計画とCB計画もスタートしていますし、現状打てる手は全て打ちました。これ以上どうにかするなら其れこそスーパーロボットでも作ることに成りますよ?」

辻本の言葉にそう歯切れの悪い言葉で返した林に辻本はそう返すと椅子へと座りなおし、辻本の言葉に納得して追加の情報を2,3付け加えた後壇上から降りた。その後壇上へと上がった神埼が会合内での情報を纏め、締めの言葉を述べる形で今回の会合は終了し大洋軍ではゲート向こうの連合の状況やザフトの行動を警戒して本格的なゲート監視の為の行動を実行に移す事と成る。

661: ナイ神父Mk-2 :2017/06/18(日) 23:52:31
大洋が何時も通り何時か来るであろう強大な仮想敵に頭を悩ませている頃、原作側のオーブではユウナがある問題で頭を悩ませていた。
原因は新たに統治する事に成った大洋州連合の領土である。経済力や戦力と言う意味ではオーブが優越している現状であるとは言え国土や領海の広さは此方を大きく上回る。つまりは現在より遥かに広範囲に戦力を振り分ける必要があり、必然的に目の届かない地域が増えるという事である。その為、新しく組み込まれる領土と現在の戦力の状況を踏まえ数少ない戦力をどう布陣するかで責任者のユウナを初めとした現在オーブの舵取りを行う下級氏族達は頭を悩ませていたのである。

「やっぱり水中機配備を連合に委託したのが不味かったかなあ・・・。せめてディープフォビドゥンだけでも買えれば良かったんだけど」

「ユニウスによる大被害は流石に予想外でしたからね・・・。現在はジャンク屋経由でワプスやグーンを購入していますがコーディネイターの数が限られる以上はそう大きな戦力を用意することは・・・」

会議に参加していた氏族の一人がそう言ったように現状オーブ海軍が有する水中用MSはその大半が前大戦に置いてザフトが運用した水中用MS、しかも比較的初期型のジンワプスを初めとした戦力が中心と成っていた。その理由は単純に言ってしまえば技術の流失である。
前大戦に置いて自国内でも最大大手の企業であったモルゲンレーテを自爆させた事によって多くのオーブを支えていた多くの技術者達が失職した事によって国外へと逃亡した事が原因となり、戦前のような開発力を大幅に低下させていたのである。

その為、其れを補う為の連合への水中機開発乃至購入の交渉を行って居たのであるが、その代価として連合はオーブに地球連合への加盟を提示。其れを拒否する代価として空母タケミカズチを初めとした外征用の戦力を用意したが、不幸は重なるもので交渉が纏まりかけた所でユニウス落としから始まる一連の戦闘が始まったのである。

「無いものねだりをしてもしょうがないよ。取り合えず今は用意できる戦力で対応しよう、取り敢えず大洋州連合に関しては元大洋州連合の兵士も登用する形でオーブ軍へ編入。戦力に関してはジャンク屋との交渉でもう少しワプスやグーンを購入と護衛艦の新規建造で行こうと思うけど、異論は有るかな?」

ユウナはそう言って会議に参加している下級氏族達を見回すと、参加者の一人から手が挙がる。

「此方から派遣する戦力は如何されますか?オーブが積極的に他国へと駐留する事を余りアスハ派の軍人達は良く思っては居ません。
余り目が届かない所に派遣するのは・・・」

「・・・流石にこちらの人員だけでは如何にも成らない。アスハの連中もある程度は入れるべきでは?」

「しかし、それで余計な事すれば連合から睨まれるのは此方だぞ?」

「それに付いてはアスハ派も派遣するしか無いかな?ちゃんと命令を聞く兵士を選ぶ必要があるけど、流石にオーブ近海の島位なら任せても問題は無いだろ?カーペンタリアを初めとしたオーストラリア大陸には此方の派閥の兵士を派遣する事に成るけど此ればっかりは仕方がないか・・・」

ユウナのその説明に先に手を挙げた氏族も納得したのか手を下ろし、これ以上の異論は無いと判断したユウナは今回のカーペンタリア占領プランの会議を終了させた。その後、地球連合より正式に制圧した大洋州連合の領土の占領を任されたオーブは本格的な占領軍を派遣し大洋州連合全土を制圧している。しかし、この行動は小国であるオーブにとっては軽い負担ではなく、更に理念を破って他国へと攻め入った事が原因でアスハ派からの反発は強まりセイランは益々自派閥以外は信用できないと言う悪循環へと陥っていく。

662: ナイ神父Mk-2 :2017/06/18(日) 23:53:06
議長の苦悩と連合の次なる動き

カーペンアリアと言えば前大戦でも最後まで連合の攻撃を耐え抜いたザフト地上拠点でも屈指の大規模拠点である。それが前大戦でも起きなかった陥落と言う事態はプラント国民に対して大きな波紋を呼んでいた。勿論ザフトも唯で負けた訳では無く、脱出させた地上軍の主力艦隊とミネルバの活躍によってガルハナン基地を陥落させた事によってきたアフリカと中東を繋ぐ陸路によるラインこそつなげる事が出来て居たが西ユーラシア・インド洋から掛けられる圧力は相当な物であり余談は許されない状況でになって居たのである。

「戦況は中東・欧州で拮抗状態か・・・」

「はい、現在はミネルバ隊の活躍により中東・アフリカ間を結ぶ陸上交通網も安定して使用可能に成った事で補給線や戦力の移動に関しては安定して行うことが出来ていますが、連合との根本的な戦力差までは・・・」

「こうなっては止むを得ないか・・・。合流を希望している旧ザラ派残党への復員許可を与える。」

「しかし、其れをすれば末端兵士の制御が難しくなります。」

報告に来ていた秘書官がそうデュランダルへと答えるがデュランダルは首を横に振る。

「現状の数では統制以前の問題だ。ミネルバが居ても他の戦線が持たない。数が足りないんだ・・・」

「そうであるなら欧州や北アフリカから義勇軍を募ると言うのはいかがですか。それであれば」

「既にそうした部隊もジャンク屋から購入したMSを振り分けている。連合の部隊換算で3個師団の数を確保しているが
此れでも向こうが動員し得る数には戦力不足だ。例の計画を実行に移すにしても先ずは勝たなければ成らない。」

「解りました。合流の意思を見せているザラ派残党合流を進めるよう各部署に伝達します。」

秘書官はそうデュランダルへと向けて応えると執務室より退室していく。その後、間もなくザフトでは残党化して各地へ離散していたザラ派ザフト兵や現地の武装組織を戦力として吸収する事を推し進め戦力を増強する。しかし、其れは同時に過激思想を持つ兵士達を多く加えるという事であり、各地の戦線でのモラルの悪化等が見られ後の大きな事件へと繋がって行く。
そして、プラントでデュランダルが欧州での決戦を意識している頃、大西洋連邦にあるホワイトハウス内の大統領の執務室ではコープランド大統領がジブリールからの通信を受けていた。

『それで、欧州奪還の手筈は何処まで進んでいるのですかな?大統領』

「そう慌てないでくれ、ジブリール君の部隊も含め現在太平洋方面へと向けていた戦力を抽出している途中なのだ。最も大半の部隊はあの災害への対応で動けない以上直ぐに送れるのはMS6個師団程だ、それ以上はまだ数ヶ月は掛かる。」

『随分と悠長な事を・・・その間にもあの化け物共はどんな恐るべき兵器を開発してるか・・・』

「だが、我等とて手一杯なのだ!あのユニウス落としによる大災害の復興を遅らせてでも戦力を抽出し、戦闘を続けているが既に国内からは復興に集中する様に各地から連日要請が来ているのだぞ!?」

コープランド大統領はそう強い口調で画面へと写るジブリールへと現在の窮状を訴えるが、ジブリールは気にした様子も無く言葉を返す。

『そんな物は力で抑えれば良いでしょう?ザフトさえ倒してしまえばこれ以上余計な危機は感じずに済む。民衆にも物資を提供できるのですから。兎に角、今はコーディネイター共を滅ぼす事が先決です!でなければ奴等はきっと又この様な恐るべき事態を引き起こすに決まっているのですから。では大統領、戦力の件は頼みましたよ』

ジブリールはそう大統領へと一方的に言葉を発すると通信を切った。映像の消えた事を確認した大統領は椅子へと深く腰掛ける。その顔には連日の交渉で疲れを浮かべているが、それでもこの非常時には手を止めることは出来ず執務を続けている。そして、暫く執務を続けていた大統領は途中で手を止めて有る書類に注視する。それは、反ブルーコスモス派や一部の大企業、そして東アジアやユーラシアの外交官から提示された有る計画の資料だった。コープランド大統領は数分書類を見つめた後、意を決した様に書類へと自身の署名を行う。この数ヵ月後、陸海空共に十分な戦力を東欧と大西洋側へと集結させた連合軍はMAや新型の大型MSを組み込んだ大部隊を欧州へと派遣。今大戦でも屈指の大規模戦闘になる欧州奪還作戦を開始する事になる。

663: ナイ神父Mk-2 :2017/06/18(日) 23:54:26
以上ですWIKIへの転載は自由です。取り敢えずは原作側の連合とザフトの次の手とオーブの占領地に於ける動きについて描写してみました。

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最終更新:2017年06月19日 10:20