973: ナイ神父MK-2 :2016/07/04(月) 00:56:31
憂鬱
日本大陸化ネタ
1942年編 其の6
アジア艦隊の壊滅以降、アメリカ太平洋艦隊の重要拠点にして、日本の西海岸上陸を防ぐ最後の砦であるハワイ、パールハーバー
には現在大西洋艦隊からも艦隊を回航して決戦に備えた準備が行われていた。中には
アメリカの最新鋭艦であるアイオワ級やエセックス級の
姿も見られ、其の上に載る艦載機にも多数のF6Fの姿が確認でき正に総力戦といった様相を呈していた。この威容には艦隊の指揮を行う
ハルゼーも驚きを隠せず、隣に居るパイ大将へと話しかけていた。
「良くこれだけの戦力を集められましたね。」
「東海岸からも戦力を引く抜いてきたのだ、お陰で大西洋の守りは薄くなっている。」
「大丈夫なのですか?最近は枢軸が日本寄りになって日本から海軍戦力を購入していると聞き及んでいますが。」
「現状アメリカと枢軸が戦う要素はない、政府はそう考えている。」
「随分と楽観的ですが、何か理由が有るのですか?」
「現在支援しているイギリスは、腐っても元は7つの海を支配した海上帝国だ
東洋艦隊が壊滅しても未だ同数の戦艦と空母を所有している。多少戦力が増えた所で海上での防衛はイギリス単独で可能
そう考えたのだろう」
「だと良いですが、最近のジャップ共の戦力は異常です。」
「其れは私としても解かっている。しかし、ホワイトハウスは其れを余りに軽視しているのだ、確かに日本が10倍近く巨大化したなどと言う話しは
馬鹿げている。だが、実際に日本の戦力は上昇しているのだもう、唯の黄色い猿などと呼んで侮っている場合ではないのだ・・・」
パイ大将の懸念を示した懸念の通り、現在日本ではアメリカ太平洋艦隊の撃滅とハワイ諸島制圧を目指して多数の艦隊が出航準備を終え
命令を待つばかりと成っていた。作戦を待つ将兵の中には第二艦隊の指揮を務める伊藤整一海軍中将の姿もあった彼自身は
夢幻会に所属していなかった
物の、大陸化の混在を大きく受けた人物であった。
「いよいよ作戦開始か、あの時は再び率いれるとは考えもしなかったのだがな・・・」
「以前と言いますと?」
「ああ、艦長はこの世界の記憶のみだったな。」
「はい、他の同期にはフランスやオランダ、はたまたソ連と同盟を結んでいた世界の記憶があると言う話も聞きますが、
自分にはさっぱりです。ですが実際に証拠があり、此の艦もオランダと同盟していた世界から流れてきた大和である以上、信じない訳には
行きません。指令はどちらからですか?」
「私は巨大化する前の日本に比較的近しい世界からだ。其の世界では我々日本はアメリカに追い詰められて、沖縄防衛の為の特攻作戦に
今と同じ立場で臨んでいた・・・しかし、敵の航空機に制空権も護衛も居ない中攻撃にあってな意識途切れたと思ったら自宅の布団の中だ、
あの時は妻を驚かせてしまったぞ。」
「それは・・・」
「あの時は我が国に力が足りなかったのだ、しかし、今回は違う米国と対等に渡り合うに相応しい戦力が用意されている。今度は特攻作戦など
起こさせん。」
「今回はそんな結末に成りませよ、大和に加えて伊吹に相模、大鳳型や瑞穂、信濃まで投入した大艦隊です航空戦だろうが砲撃戦だろうが負けはしませんよ」
「そうだな、今度こそ英霊としてではなく生きた人間として陸に帰れる様に努力しよう」
様々な人間の思いを乗せながら日米の両艦隊はお互いの母港から艦隊を出航させ、彼等はハワイ沖で激突する事となる。
艦隊の発見はやはり電探の性能に勝る、日本艦隊の先制から始った。対する太平洋艦隊も数分遅れで敵を発見、激しい制空権争いが繰り広げられるが
時間を置く毎に不利に成っていくのはアメリカ海軍であった。
974: ナイ神父MK-2 :2016/07/04(月) 00:57:06
「最新型のF6Fだぞ、何で、何で追いつけないんだ!」
「味方は何処だ、援軍をはや・・・」
「敵は全機ジェット機だ、何時の間に烈風から変わったんだよ!」
「あれは本当に日本製なのか!?ナチの奴等が流したんじゃ・・・」
「デカイくせしてなんてスピードだ!」
制空権を維持する為の戦闘機部隊が質による蹂躙を受けているのと同時に艦隊にも多数の駆逐艦や攻撃機ら対艦ミサイルが飛来、米艦隊に飽和攻撃を行っていた
戦艦や正規空母こそ艦橋損害が軽微で航行などに支障は無かったが、駆逐艦を初めとした小型艦や護衛空母などの防御の薄い艦は装甲や飛行甲板を食い破られ
機関や弾薬庫を誘爆させて撃沈する艦も出始めていた。
「ダメージレポート!」
「主砲や機関は無事です!しかし、今の攻撃で機銃や高射角砲に多数の被害が出ています!」
「一部の艦と連絡が取れません!通信用の装備か艦橋にダメージを受けたと思われます!」
「今の攻撃で各空母の飛行甲板が破損!離着陸不可能です!」
「畜生!これじゃ敵艦に砲撃する以前の問題だ!」
ハルゼーは思わずそう叫ぶも、叫んだからといって現状が代わるはずも無く、状況は更に悪化していた。
「敵主力艦を確認!周囲の艦と比べる限り、長門型以上の大型艦が多数!」
「馬鹿な、長門以上の艦が複数?4隻だけではなかったのか・・・」
「敵艦隊砲撃を開始しかしました!」
「撃ち返せ!性能だけが勝敗を決しないことを奴等に見せ付けろ!」
しかし、その命令も空しく砲撃戦開始から2時間後に旗艦となっていたニュージャージーが大和型の砲撃の直撃を受けて撃沈
新鋭空母であるエセックス級もレキシントンやエセックス等を攻撃隊の雷撃で失っている。また、この戦いでパイ大将が
ニュージャージーと運命共にして死亡、生き延びたハルゼーと乗艦であるアラバハマは生き残った残存艦を率いてハワイへ離脱している。
太平洋艦隊の脅威が取り払われたと考えた日本軍は此処で、待機させていた神州丸型及びあきつ丸型を含む多数の揚陸艦部隊を
展開しハワイへの上陸作戦を開始する。此れに対してアメリカ陸軍も用意していた新型のM4中戦車やM12駆逐戦車ジャンクソンなどを
用意し、日本軍に備えるが日本があざ笑うように投入した回転翼機桜花によって追い詰められていく。桜花のロケット弾攻撃や
機銃掃射に対して有効な手立てを持たない戦車や歩兵は追い回された上30mm連装機関砲や対戦車用のロケット弾で吹き飛ばされ
一部の歩兵が対戦車砲を上空に向けて撃つも悠々回避されひき肉にされている。そして陸上が混乱した所を狙い発動艇によって
上陸した日蘭世界のチハや上陸部隊により上陸地点が確保されて日本製の戦車揚陸艦からも重戦車や発動艇に乗らない中戦車部隊が
上陸を開始して、アメリカ陸軍と激しい上陸戦を始める。
975: ナイ神父MK-2 :2016/07/04(月) 00:57:39
「畜生!何がM4なら数で勝てるだ!そもそも効果ないじゃないか!」
「M12の部隊は何をしてるんだ!さっさとあの重戦車を排除してくれ!」
「無理だ!さっきの光景を見ただろ、今出て行けば空中を旋回してる奴に見つかっちまう!」
「P47はどうした!?支援は!?」
「だめだ!こっちの航空機連中まるで七面鳥かなにかみたいに日本軍落とされてる!」
アメリカ軍の悲鳴他所に、とある九七式中戦車の中では一人の兵士が愚痴を零していた
「くそ、此れがあの時、いやこの世界で作った九七式でも開発できてればポルシェビキ共の好きにはさせなかったのに」
「今更愚痴っても仕方ないだろ?それに、この世界ではあの事件自体起きてないんだ、お前もアイツが生きていたのを確認したはずだ。」
「それは解かってるんだが、どうしても考えてちまうんだよ、あの時技師の連中の話をもう少し聞いてあの九七式が量産されてりゃなって」
「・・・今の敵はアメリカだ、露助じゃない。其処は間違えるなよ」
「解かってるよ」
この1月後、日本陸軍はハワイ諸島全島を占領アメリカへの本土攻撃の足を確保している。また、パールハーバー占領時に自沈処理が間に合わず
残されていたアイオワやアラバハマ等一部のアメリカ軍艦の接収に成功、性能調査の為に本土へと回航されている。更にハワイの陥落によって
アメリカ西海岸の州で不安が高まるも、東海岸や中央州では未だに戦意が高く、徐々に州間で意識の乖離が目立ち始める事となる。
976: ナイ神父MK-2 :2016/07/04(月) 00:58:10
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最終更新:2017年08月07日 21:23