109: ナイ神父MK-2 :2016/07/07(木) 00:55:54
憂鬱日本大陸化ネタ 

1942年編 其の7

1942年4月以降、ドイツとの壮絶な陸上戦を行っているソ連であったが、目下の問題はドイツではなく国力・戦力共に劇的に
向上した日本であった。海を挟んで隣国と言っていい仮想敵国の強大化だけでも頭が痛い問題なのだが、更に問題と成ったのが
最近の日独の接近であった。未だ日ソ中立条約は有効であるもの疑心暗鬼の強いスターリンは、常に日本に襲われるもしもを
考えながら対独戦を進めていた。

「ベリヤ、対日工作の進行状況はどうなっている?」

「その事なのですが・・・」

「話せ、日本の状況が混沌としているのは以前の報告からも解かっている」

珍しく言葉を濁すべリヤに違和感を覚えながらもスターリンは答えを促した

「はい、如何にも信じられない事なのですが、日本に共産系の政党が出来ています。」

「なに?一体如何言う事だ、あの帝国主義者達は共産主義を嫌っていたのではないのか?」

「これは、同士尾崎からの情報なのですが、念を入れて他の同士複数からも情報収集を行いましたので
確かだと思われます。」

「其れならば話しは早いではないか?増えた同志たちを使い、我々を支援する様世論を誘導すれば良い」

「其の増えた人間達が問題なのです。現在、日本の多数派と成っている共産主義者達の思想は我々の物から
歪曲された物であり、大きく食い違いが見られます。また、彼等は武力による革命を好んで居ません。ですから
一概に同士が増えたとは言わず、寧ろ寄り日本国内で我々の思想を流布する事が難しく成ったと思われます。」

「・・・あの島国の人間は文化や思想を自分好みに変えると言われているが、我々の思想を斯くも歪める事ができるとは」

流石に予想外であったのか、スターリンは思わずそう漏らして言葉を失ったが、其の後にベリヤが続けた言葉を聞いて持ち直す
事となる。

「これは、スパイ網ではなく外交筋からの話しですが、日本はドイツに対して海上戦力を売った様に此方にも兵器を融通する意思が有るようです。」

「詳しく聞かせてくれ。」

「はい、正式な報告や資料の方は後に担当官が持っ来ると思われますが、日本は鹵獲戦車と航空機を此方に向けて販売するとの事です。」

「鹵獲したと言うことはイギリスやアメリカの物か?」

「はい、資料を見る限りでは其れが中心となり、航空戦力に関しては型落ち機も一部はいります。烈風等には劣りますがそれでも
スピットファイアクラスの機体とならば互角に戦えると思われます。」

「戦力に関しては主力には成らない物の補助にはなると言う事か・・・解かった考えておこう。引き続き対日工作は任せたぞ」

「はい、同士スターリン」

退室したベリヤは内心でガッツポーズをしながら廊下を歩いていた

(よし、此れで道筋はできた、情報自体も有益だが本命は此方だな。)

110: ナイ神父MK-2 :2016/07/07(木) 00:56:27
そう考えたベリヤの手には先ほどスターリンに見せた資料の予備が存在していた。そして其処には備考として、ロシア語翻訳した日本製の
兵器の教導書が同時に贈られるという趣旨の発言が記載されていたのである。その後、購入された兵器はソ連領域の各部隊に渡ったが特に
人気であったのはイギリスのガヴェナンターであり、極寒のシベリアでの運用で重宝され続けたと言う。

ソ連が日本からの援助に色めき経っている頃、ドイツでは第二弾の輸出戦力見た総統が思わず資料を手落としそうに成っていた。

「日本は何処まで力を得たと言うのだ、あの海上戦力も相当なものであったが今度は戦艦に正規空母、それに此れだけの補助艦艇とは・・・」

「スペックが事実であれば、日本の長門やイギリスのネルソンとも対等に渡り合える艦で、正規空母もかなりの物に成ります」

「しかし、空母となると艦載機の開発が必要に成るのかそうなれば予算掛かりすぎるな、唯でさえソ連との戦いで新型の開発を余儀なくされているのだ
流石に此処に来て艦載機まで製造する余裕は無いぞ・・・」

「それは問題ないかと思われます。今回日本は航空機の販売も艦載機を中心に行う様です、我が国の機体には劣るでしょうが其れなりの
性能は有るかと思われます。又値段も相当に良心的です。」

「此処まで来ると呆れて物が言えんな・・・だが、後方の憂いを絶ちソ連に集中するのには好都合か、他には何かあるか?」

「はい、日本からは他に戦車を売りたいとの話がありました。」

「戦車を?」

「戦車に関しては一部資料用としての機体と中国において鹵獲したイギリスの主力巡航戦車だそうです。」

「ふむ、イギリスの戦車は兎も角、この資料用と明記されている戦車は気に成るな・・・資料は有るのか?」

「資料を読む限りでは九七式戦車のモンキーモデルとでも言うべき物の様です。解析すればそれなりの情報は得られるかと・・・」

「ソ連のT-39は確か日本の九七式戦車を撃破する為に開発されたのだったな、研究用途ならば問題はない購入するように
指示を出しておこう。」

「有難うございます。」

この後、ドイツのキール軍港には日本から輸入された戦艦が堂々と並び始め、イギリスに悲鳴を上げさせアメリカではサウスダコタ
の設計図が流出したのでは無いかと騒ぎに成っている。

太平洋に続き、インド、エジプトをそれぞれ日本と枢軸に奪われ、完全にお通夜状態となったイギリスではあったが、此処に来て枢軸の日本からの
水上戦力の購入や判明したインド共和国軍の戦力を見て唯でさえ低い士気を更に下げると言う自体と成っていた。

「・・・この資料は事実なのか?・・・」

「残念ながら・・・」

戦争開始時から既に10年分は老けたハリファックスは僅かな希望を込めて、報告を持ってきた部下に情報の信憑性を確かめたが、返って来たのは
絶望的な応えであった。

111: ナイ神父MK-2 :2016/07/07(木) 00:56:59

「現在、枢軸国は日本より購入した海上戦力で増強されています。得られた情報だけでも主要3国を合わせて戦艦5隻、正規空母6隻が配備内
戦艦3隻はネルソン級と同じ41cm砲艦です。・・・」

「日本は正気なのか、長門や我が国のネルソンに比肩する戦力なのだぞ・・・なぜ、それをこうも容易く他国へ売り渡せると言うのだ、既に枢軸に
渡った数の船舶だけで東洋艦隊を容易くあしらえる戦力になると言うのに・・・、インドヤエジプトについてはどうなっている?」

「インド・エジプトについても同様です。日本や枢軸からの教官の派遣に加え、旧式と思われる兵器ながら既に数と形は軍隊としての形を
十分に形成しています。」

「兵器の性能は?」

「陸軍に関してはインド防衛の際のように数で押してこない限りは問題は無いかと、しかし、航空に関しては我が国の一線級の機体に匹敵します。
また、海軍に関しても大型の正規空母2隻と伊勢級戦艦、及び水雷戦隊が整備されている為非常に強固かと・・・」

「仮に日本と枢軸を突破したとして現状の我が国の国力でインドの再征服は可能か?」

「それは・・・」

応えに窮する様子を見たハリファックスは、此処にきて完全に大英帝国は崩壊が目の前に迫っているという事を嫌が応にも理解せざるを得なかった。

イギリスが帝国としての黄昏を迎えている頃、フィンランドには増大するソ連の脅威から防衛を目的として日本から送られた多数の戦力が鎮座していた。
送られてきた戦力の中には九七式戦車の他にも和製SU-100とでも呼べる戦力が追加され、フィンランドに対する日本の本気度が見える支援と成り、
此れには思わずマンネルヘイム元帥も驚いた様子を見せている。

「・・・確かに支援を要請しはしたが、まさか此処までの戦力を融通してくれるとは・・・」

「日本としては我が国の対ソ連への楔として期待しているのでしょう、追加の支援も約束してきています。」

「確かに支援は魅力的だが、我が軍で維持できるのか?」

「流石に日本も其処は考慮しているようで、我が国の内情に合わせて販売する数を決めているので問題ないかと・・・」

「まあ、もらえる物を貰っておくことに問題は無いだろう。ソ連の動きについてはどうなっている?」

「現状は相変わらずドイツとの戦線に戦力を集中させて、此方には余り戦力を割いて居ないようです。」

「引き続き独ソの情報を集めろ、赤い皇帝にしろ伍長にしろ、厄介な事には変わりはないからな」

その後もフィンランドは日本の援助を受けながら戦力を拡大、ソ連としては目の上のたんこぶになる物の、対独戦に戦力を集中している
ソ連は手を出すことはできず、戦後も日本との友好を崩したくないソ連の頭の痛い問題と成っていく事となる。

112: ナイ神父MK-2 :2016/07/07(木) 00:58:30
以上ですWIKIへの転載は自由です。尚、作中書いていませんでしたが、フランス送られた戦力は金剛型と雲竜型となっております。

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最終更新:2019年06月17日 05:01