542: ナイ神父MK-2 :2016/07/14(木) 01:35:52
憂鬱
日本大陸化ネタ
1942年編 其の9
1943年11月、ドイツ及び枢軸同盟各国は敵対しているソ連へとイギリスが支援を行っているとして連合国へと
宣戦を布告、英国への攻撃を開始しした。戦いが開始されるとドイツは日本から齎された戦略爆撃機B-29を戦線へと投入し更に、
独仏の海軍を中心とした艦隊によってイギリス本土の各港は砲撃と雷撃、機雷によって其の機能を完全に麻痺する事と成る。
勿論、ドイツがソ連より先に連合を狙ってきたことにこそ驚いたイギリスであったが、日本との戦争中と言う事もあり、直ぐに
対空防衛網を用意し、ドイツの爆撃機に備えた。しかし、枢軸国の猛攻はイギリスの予想を遥かに超える苛烈さとなり
イギリス軍を苦戦させる。
「不味い!テンペストだとあの爆撃機に追いつけない!」
「スピットファイヤはどうした!?」
「的の戦闘機の足止めで精一杯だ!」
「きゅ、九六式、九六式は如何したんだ!有れさえあればあんな爆撃機に・・・」
「政府のバカ共が
アメリカに渡して数が無いんだ!!」
「ああ、ロンドンが・・・」
「くそ、政府が日本を裏切る様な真似をしなければクラウツ共の航空機なんぞ」
空軍が必死の防空戦追われている頃、北アイルランドに対してドイツとの同盟を表明したアイルランド共和国軍が攻撃を開始していた。
主力は対ソ連戦では既に威力不足と成っていたⅢ号戦車が主力であったが、Ⅲ号突撃砲や長砲身のⅣ号戦車等も少数ながら投入され
イギリスの戦車の大きな脅威となっている。
そして第一陣の攻勢を凌ぎ切ったイギリスに広がっているのは見るも無残な光景であった、被害状況を聞くハリファックスの顔も
避難している地下壕が暗い事も助長して、幽霊のように青白く見える。
「被害はどうなっている?」
「・・・ロンドンでは多数の建物が倒壊、道路や橋も爆撃機で通行不可能な物が多く一部では火災が今も続いています。市民に関しては避難こそ間に合いましたが少なくない人数
が犠牲なっています。」
「空軍から報告させて頂きます。前日まで続いた爆撃からの防衛によって既に主力であるテンペストやスピットファイヤは既に戦闘開始前の3割にまで数を減らしています。
現状は複葉機や試作機も動員して部隊の編成に当っていますが、次にドイツが攻勢に出れば航空隊の壊滅は必死かと・・・」
「・・・海軍は先の艦隊襲撃で殆どの艦が港湾内で雷撃を受けて出航は不可能、空軍は主力が壊滅か・・・陸軍は?」
「陸軍は対空兵器や北アイルランドの守備隊こそ失いましたが本土分の兵力に関しては問題はありません。民兵も含め
現在戦力を拡充中です。」
「仮に潜水艦を使用したとして陛下の脱出は可能か?」
「不可能です・・・アメリカ海軍は現在イタリア海軍に牽制され身動きが取れません、また、ドイツとフランスが大西洋へ出る為の港湾へ駆逐艦を派遣して対潜警戒を
行って居います。」
「此処まで、か・・・此れが裏切り者の末路と言う事か・・・」
1944年2月、大英帝国は日本及び枢軸へと降伏を宣言、降伏後は暫定的に枢軸の占領軍によって統治される事となる。
543: ナイ神父MK-2 :2016/07/14(木) 01:36:30
イギリスが脱落する一方で、アメリカでは先の海軍の機密情報が漏れた疑いに加えて、今度は陸航空隊から機密が漏れたとして
騒ぎが更に多きくなっていた。そして、其の混乱は造船所に加えてボーイングが有する工場の工員等から話が広まり市民にも広まっていく。
此処まで来て何が起きたかと言えば、簡単に言ってしまえば魔女狩りである。
「黒人や黄色人種共が情報を売ったんだ!」
「いや、ユダヤ人に決まってる!きっと金の為に受け入れた俺達を裏切ったんだ!」
「ロシア人だって怪しい!きっと国を取り戻してやるとか言われて騙されたに決まっている。」
「外国人を追い出せ!」
「俺達のアメリカを守るんだ!」
一旦火が付いてしまえば後は熱病の様に運動が広まっていった、被害に有ったのは日系人や日本人を含む黄色人種や元々差別的に見られていた
黒人、此れ加えてユダヤ人系の移民や難民達も標的となり各地で弾圧や破壊が起っていた。ワシントンでは日本から
送られた桜の木が軒並み切り倒され、ニューヨークではユダヤ人の経営していた店がユダヤ人ごと焼かれると言う自体まで発生し流石に看過しきれなくなった
政府が鎮圧に乗り出したのだが、運動は更に加速し遂には現状を気にしていられない西海岸を除いたアメリカ全土へと波及した。
この民衆の動きから政府は最終的に差別されている人種の人間を収容所へと送る事を決定した。
そんな混沌としたニューヨークの街中でとある白人の男達が公園の片隅で立ち話をしていた。片方はドイツ系、片方はロシア人と思わしき白人である。
「久しぶりじゃないか、元気にしてたか?」
「ああ、何処も彼処も猿共を追い出せと大騒ぎだよ・・・」
「まあ、何処も大変なのは一緒だろうが聞いたか?『大学の学長』は『ダンスパーティー』の準備をしているそうだぞ」
其の言葉を聴いたドイツ系の男の顔が一瞬強張ったが、すぐさま平静へと戻り会話を続けた。
「へえ、で、誰を誘うんだ?其の『ダンスパーティー』は・・・」
「さあな?『例の金持ち』や『床屋のチャーリー』辺りじゃないか?」
「それは又豪華だな、で何時やるんだよ?」
「まだ準備中だって話しだなやるならきっと『サプライズ』だぞ此れがその『招待券』だ。まあ、そっちの『金髪の上司』によろしく伝えておいてくれ」
「そうか、解かったよそっちの『コート好きの上司』よろしく言ってくれ」
ロシア系の男から渡されたメモを男はしっかりと受け取ると其のまま内ポケットに入れて歩き出し、それを見ていたもう一人の男も街頭人ごみへと消えていった。
この後、枢軸・日本両勢力でアメリカがペストの兵器転用を行っている重要な証拠を入手し、其の対策に負われていく事に成るがそれは又少し時間が経ってからの
話しである。
そんな、大勢の人間の命運を決める重要な話が成されている頃、西海岸では反戦でもが活性化していた。ハワイでの敗戦以降、西海岸周辺は陸軍の増強こそ行っている
物の、海軍戦力は申し訳程度に戦艦1隻と空母2隻が居るだけであった。最初は日本軍が来れば家をトーチカ改造して迎え撃ってやると意気込んでいた住民も時が経つに
連れて徐々に冷静になり海軍の更なる増援や航空戦力の派遣を求める様になっていた。民衆の信任を受けた州知事も日本軍が来る可能性を説いて増援を願うも
政府や軍の反応は芳しくなく民衆の不安は募る一方であったが、そんな中での強制収容騒ぎである。此処に来て西海岸住民は政府は東や中央の連中の意見ばかりを
重視していると批判が殺到、中央や東の都合で家を焼かれては敵わないとしてデモの規模は拡大していった。
「何が、本土は戦争に巻き込まれないだ!適当なこと抜かしやがって!」
「今の政府は私達西海岸側の住民をまるで捨て駒の様に扱っている!」
「政府はさっさと本土が無事な内に和平を行えー!」
「中央と東だけがアメリカじゃない!俺達だってアメリカ国民なんだ!」
「俺達はおとなしく日本の戦艦に吹き飛ばされれば良いのか!」
相した声は西海岸地域全体へと広がり、此処に来て巨人国家たるアメリカは節々から悲鳴を上げて徐々に崩れ始めていた。そして、日枢によるアメリカへの攻撃が本格化することで
其の動きは拡大し、アメリカ崩壊へとつながって行く事となる。
544: ナイ神父MK-2 :2016/07/14(木) 01:37:28
以上ですWIKIへの転載は自由です。次回から何とかアメリカ本土への攻撃の話しへ移って行きたいと思います。
最終更新:2017年08月07日 21:26