88: ナイ神父MK-2 :2016/07/19(火) 00:42:26
憂鬱日本大陸化ネタ 

1942年編 其の10

1944年2月のイギリス降伏以降、国内の混乱も増加していたがアメリカでは未だ戦争を続けようとする声が戦前
よりも強くなっていた、理由は勿論日本が他国へ譲渡したアメリカ製と思われる兵器のせいである。そんな中で
日本は同年4月より遂にアメリカ本土への大規模爆撃を開始する、そこでアメリカ空軍が見たのは自分達が作る
筈だったB-29をも越える巨大な怪鳥達だった。

「速度が違いすぎる!P-51じゃ追いつけない!」

「下手に護衛に背を向けるな!誘導兵器の餌食になる!」

「誰だ!ジャップはしょせん猿真似しかできないなんて言った奴は!」

「くそ、B-29がドイツに売られる訳だ!」

「敵機を振り切れない!P-51でもダメなのか!」

「落ちて行くのは味方ばかりだ!」

この場爆撃の結果、西側の多数の造船所やインフラ、食糧生産地に被害が出るもアメリカの苦難はまだ始ったばかりに過ぎなかった。

大規模爆撃の1月後、枢軸同盟は米国への本格的な侵攻を開始し、其の前段階としてアメリカの大西洋艦隊の撃滅と中継地点の
確保の為、枢軸は元イギリス領バミューダ諸島へと向けて進軍を開始する。対するアメリカも既に東海岸への爆撃の可能性を摘む為に
最新鋭艦であるミズーリとエセックス級空母2隻に加えニューメキシコ級を含む艦隊を派遣、バミューダ沖海戦が勃発する事と成る。
抜錨したミズーリの中で大西洋艦隊指令であるインガソル中将はこれから相対する枢軸艦隊に対して自嘲気味に愚痴を零していた。

「まさか我々合衆国海軍が日本やイギリスどころか、枢軸にすら劣る艦隊しか用意できなかったとはな・・・」

「主力は全て太平洋で漁礁になっています。あの戦いが無ければ・・・」

「今更言っても仕方が無い、それより今はドイツ海軍だ流石に陸軍国家の海軍に負けたとあっては、我々は今度こそ
市民から無能者呼ばわりされ兼ねん。」

アメリカ海軍が黄昏る一方でドイツ海軍は迫る艦隊決戦に気炎を上げていた。

「良いか、何としてもアメリカ大西洋艦隊を撃破して我々国防海軍が金食い虫の無駄飯喰らいでは無いことを証明するのだ!」

レーダー元帥の其の言葉はある意味では切実な物であった、第二次世界大戦では結局海軍の出番は無くせっかく建造したビスマルクは
総統の横槍で欠陥戦艦となり、独ソ戦が始れば陸軍や空軍から皮肉交じりに揶揄される日々、そんな中で手に入れた大部隊と戦力が
現在の国防海軍なのである。もし、此処で負ければ、総統の機嫌を損ねあの鬱屈した日々に戻るかも知れない。これは国防海軍全体が
抱いた恐怖であった。
米独両方の思惑を巻き込みながら起ったこの海戦は最終的には枢軸同盟の勝利で幕を閉じることと成る。この戦いでアメリカ軍は
ミズーリを含む戦艦3隻と空母2隻を失い、制海権を枢軸に奪われる事となる。此れに対して枢軸はフランス海軍の比叡失い、
更に独軍所属のサウスダコタ級1隻が大破するという被害を受けている。

1944年5月占領した飛行場の修復を終えた枢軸軍は日本から購入したあきつ丸を初めとした揚陸艦を用いてフロリダ半島へ、向けての
上陸作戦を開始、更にメキシコ軍がテキサスへ向けて進軍を開始した。
又時を同じくしてイタリアに影響を受けたファシズム国家であったブラジルが枢軸への加盟を正式に表明、テキサス沿岸へと海軍を派遣して
枢軸の上陸の援護を開始したのである。此れによって意図せず2つの戦線を持ったアメリカ軍は徐々に苦境に追い遣られて行く。

「畜生!南米の奴等、俺達が苦境に成った途端に掌を返しやがって!」

「言ってる暇が有るなら撃ち返せ!此の侭だと国境を突破されるぞ!」

「奴等、一体何処からM4やM12なんてぬすんできやがった!」

「大方ジャップ辺りが渡したんだろ!」

「汚いさ・・・」

89: ナイ神父MK-2 :2016/07/19(火) 00:43:36

防衛陣地を守っていた兵士達は最後まで言葉を紡ぐ事無く、吹き飛ばされる事となった防衛陣地が吹き飛んだ
様子を見て先ほど152mm砲を打ち込んだメキシコ兵は思わず歓喜の声を上げながら車両内の同僚に声を掛けていた。

「見たかこの威力、全く日本様々だぜ」

「ああ、此れならアメリカからテキサスを居り戻せるかもな」

「油断せず行くぞ。次の攻撃目標は・・・」

日本の支援でテキサスが取り戻せる、そうした考えは日本の親墨姿勢とメキシコ有利な戦況を根拠にやがてメキシコ全体へと
広がり、メキシコ軍の士気を上げて行く事となる。1944年6月、メキシコ軍はテキサスのオースティン以南と沿岸部を制圧
アメリカ軍を撤退させる事に成功していまた、時を同じくして枢軸軍がフロリダ半島を中心にジョージア州とアラバマ州の
一部を制圧している。
枢軸国やメキシコが祝杯を挙げている頃、ホワイトハウスではロング大統領が額に血管が浮き出るほどに怒りながら
報告に来たマーシャル参謀長に対して怒鳴り散らしていた。

「一体陸軍は何をやっていたのだ!相手は黄色人種が中心のメキシコだぞ!」

その怒鳴り声に若干気圧されながらもマーシャル参謀長は反論を始めた。

「前回の隔離政策で軍の中からも多数の隔離者が出た事によって、軍内に少なからず混乱が出ています。また、隔離の際に州軍から
人材を出したこの状況の虚を突かれる戦況であった為、戦力建て直しの必要性があり撤退せざるを得ませんでした。」

「言い訳は良い、兎に角結果を出してくれ此の侭では私は議会から弾劾されかねない、唯でさえ最近は西海岸の
各州の動きが怪しくなっているのだ」

「・・・善処します」

その後、アメリカ再編成を終えたアメリカ陸軍は南東部へと戦線を集中する事と成るが、この動きがアメリカのその後を決定付ける
事となる。後世では議論されることも多いが現在の西海岸は中央や東海岸に大きな不満を持っている層が大多数である。其の不満を
押さえ、西側住民を安心させる為の陸軍であったのだが、今回のメキシコや枢軸の侵攻によって陸軍は戦力を東南地域に割かざるを得なくなった、
戦況的には仕方ない面も有るのだが、感情的に成り始めている西側からすれば又も東側が優先されたそうした感情が更に高まったのである。
勿論政府等からも声明は出ており、州内にも冷静に成る様勤める人間も居た。そんな中でとある話が住民の間で広がった、曰く

「連邦政府は西海岸を戦場にして日本と戦う積りだ」

「連邦政府は最悪西海岸を割譲して日本と講和するらしい」

「陸軍の主力が撤退したのは日本を内陸まで引き込んで叩く為らしい」

平時であれば取るに足らない噂や与太話の類ではあるが、実際に陸軍の主力が西からはなれ本来西海岸を守る筈の海軍は何時まで経っても
戦力を西へと遣さない更に住民が連邦政府を信用できなくなっている現状だと最悪と言って良い状況だった西海岸では溜まっていた連邦政府への
不満が一気に噴出、暴徒と化した市民が連邦軍等へ詰め掛ける等言う自体が起こり始めていた。そんな中、民意から西海岸の各州も独自の行動を
取らざるを得なくなるが、連邦政府はそれ良しとせず連邦軍を用いて強制的に沈静化させようと動き始める。こうして合衆国は東に戦線を
持ちながら西側で半ば内戦に近い状態へと突入する事となる。

90: ナイ神父MK-2 :2016/07/19(火) 00:44:07
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最終更新:2017年08月07日 21:28