368: ナイ神父MK-2 :2016/07/23(土) 00:26:43
憂鬱
日本大陸化ネタ
1942年編 其の11
1943年9月アメリカ合衆国は東西別れ、本格的な内乱状態に陥った。当時、カリフォルニアでは連邦政府に対する過激なデモが
行われ暴徒と化した民衆に対して連邦軍が治安維持の為に出張っていた。しかし、主力やベテラン兵を多く有する部隊は既に
主戦場である南部へ移送済みであり、対応に出たのは比較的新人が多い部隊が中心と成って行われていた為、手際が悪く鎮圧が
難しい状況で居た。そんな中、一部の部隊が暴徒の集団に包囲されて脱出の為に民衆へと向けて発砲多数の死傷者を出している。
勿論、各西海岸沿岸州は此れに対して抗議を行うも、連邦政府からの回答は・・・
「現状の各西側州の動きは連邦内の結束を乱す物であり、各州はすぐさま反連邦的活動止め州内の治安回復に努めろ」
と言う余りにも現状を理解していない回答であった。この件をを経て、西海岸州は連邦離脱を決意し予備役として残されている
僅かな州兵を使用して再建されたり比較的無事であった連邦軍基地を襲撃して制圧した。又、連邦軍に動員されていた部隊も
続々と離反を開始し、連邦軍を混乱させた。この影響でテキサス南部の都市ダラスを中心にして構築されていた南部戦線は
統制を失いメキシコ軍に隙を付かれて突破され後退、蜂起したカリフォルニアを中心とした西海岸とメキシコによって
連邦軍は長大な戦線に戦力を分させざるを得なくなる。
其の頃、日本では嶋田が臨時の会合を要請し、予定がタイミングの有った辻、東条が集まり此れからの
アメリカへの対応について
話し有っていた
「確かに亡命ロシア人の工作員を利用した反連邦機運を煽ったが正直、此処までとは・・・」
「それだけ連邦に対して反感が有ったんでしょう?」
「しかし、嶋田君此れからの西海岸については如何対応する?現状、西海岸に内乱の気配があると言う情報局の報告を聞いて工作の為に
一時的に爆撃は中断しているが・・・」
「其の事については白洲さん経由で此方に報告があったのですが、カリフォルニアを中心とした西海岸勢力は現在日本との講和と
メキシコへの講和の仲介を求めています。」
「それは有色人種の国に下ると言う事ですが、向こうの国民は納得しているのですか?」
其の言葉に辻は意外そうな顔をしながら嶋田に詳しい状況を尋ねた。それに対して嶋田も向こうの状況に
付いて話し始める
「向こうは人種差別の強いナチスが日本を特別扱いしている事を理由に国民を納得させているみたいです。それに、
この内戦自体が元々予定された物では有りませんから準備も余りできず戦力不足に悩まされている様ですから、インドや
ドイツに兵器をばら撒いていた日本に近づいて戦力を手に入れたいんだと思います。」
「戦力を提供するのは構わないが、送る戦力は如何する?流石に史実のチハはインドに売っているしレーンも
各国に販売済みだぞ、九七式突撃砲の方はまだ残っているがそれも数が足りん。」
「・・・所で各地の九七式はもう生産が始って居るのですか?」
「ん?ああ、九七式なら幾つかの地域で確かに生産を開始しているが・・・まさか其処から購入しろと?流石にM4が主力だったアメリカに
57mm主砲の九七式を持っていっても売れないと思うが・・・」
「あくまで3式の生産がスタートするまでなら十分だと思いますが?それに対戦車戦では威力不足でも、歩兵への火力支援や陣地防衛程度になら使えませんか?
対戦車戦は残っているT-34-75を売れば良い訳です。」
「解かった辻君のいう方向でやってみよう。それとこれはまだ正式に向こうから要請があった訳では無いから此処だけで伝えるが、
インドが北米へ派兵できないかと言う話が向こうの陸軍から打診されている。」
「陸軍からですか?」
「ああ、どうにも単純に海外領土が必要な訳ではなく、これから明確に日本陣営として動くに当っての誠意みたいな者で、人数自体も其処まで
膨大な物では無い様だが・・・」
「忠誠の証みたいな物を立てたいと・・・現場で教導に当っている兵士の意見は如何なんですか?流石に規律の低い部隊を連れて行って各地で騒動
と言うのは勘弁してほしいんですが・・・」
369: ナイ神父MK-2 :2016/07/23(土) 00:27:16
「それについては問題は無い、先に現地の教導隊とも協議を行ったが、規律技量共に送る分には問題な部隊も育って来ているとの事だ、6個師団ほどなら
使い物になる。」
「どちらにせよ次の会合の際に
夢幻会全体での調整を経てからでしょうね・・・」
その後、日本より正式に遣米インド軍及び西海岸政府の国家としての認証及び兵器の供与等の約定が西海岸、インド、日本の間で制定され日本は
西海岸を足掛かりとして本格的にアメリカ侵攻を行っていく事となる。一方で今回の決定については西海岸政府でも意見が分かれたが最終的には
受け入れられることと成る。そして、現在は日本から提供される兵器についての報告が政府首班である。ウォーレン元州知事が受け取っていた。
「この供与される戦力だが、突撃砲やタイプ97に酷似した戦車は兎も角、主力となる戦車が少し小さくは無いか?
此れでは連邦軍の戦車に対しては力不足だ」
「現状提供されている戦車はあくまで繋ぎであり、纏まった数の戦車を生産し次第、2陣目として送るとの事です。」
「それでも性能自体はタイプ97には劣るか・・・」
「恐らく向こうもまだ此方を完全に信用した訳では無いのでしょう、袂を分かったとは言え我々も元はアメリカでしたから」
「それを払拭できない限りは本格的な支援は怪しい、か・・・」
「恐らくは・・・」
アメリカ西海岸の首脳部が黄昏ている頃、ドイツのアメリカ派遣部隊では指揮官を務めるロンメルがルイジアナ、アラバマ、ミシシッピの沿岸部を制圧
当初の予定であったメキシコ湾岸油田の一部確保に成功していた。
「此れで我が軍の当初の予定は果たしたか・・・本土からの指示はどうなっている?」
「此の侭南進し、アメリカ軍を内陸部に閉じ込めながら東海岸を安定化させろとの事です。」
「メキシコ軍や西海岸政府については何と言っている?」
「現状は此方からの積極的な敵対は避ける様にとの事です。」
「解かった、しかし、次が北進となると狙いは5大湖付近の工業地帯か?」
「恐らくは・・・事前の会談ではイタリアが欲しがっていましたし、戦後の交渉で獲得するにせよ交渉材料に
ある程度東海岸側を制圧しておきたいのだと思われます。」
その後、枢軸軍は北部へ向けて進軍を開始し、各地でアメリカ軍と戦闘を行っていく事となるが、戦闘は陸軍国であるドイツを中心とした
枢軸軍優勢で進み、特にT-39に対抗するべく作られたパンター中戦車や88mm砲を搭載したティーガー重戦車はやっとM4が主力となったアメリカ軍では
対抗が難しくM12と漸くながら生産の始ったM26重戦車を頼みの綱として戦って行く事となる。そして、1943年10月三つの戦線は遂にバージニア、
ウェストバージニア、オハイオ周辺まで追い込まれアメリカ本土での戦闘も最終局面を迎える事となる。
370: ナイ神父MK-2 :2016/07/23(土) 00:27:48
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最終更新:2017年08月07日 21:29