607: ナイ神父MK-2 :2016/07/29(金) 00:36:30
憂鬱
日本大陸化ネタ
1942年編 其の12
本土決戦開始後に各地で敗退を繰り返し、
アメリカであったが撤退時に一部の国民が追い立てられるように
安全な後方へと避難していく事もアメリカの大きな負担となっていた。特に中央部の穀物生産地帯を制圧された事は
致命的であり、残った地域が大人口を抱えるニューヨークや其の周辺地域である事もそれを助長していた。平時の供給
能力を持ってすれば養えたであろう人数も食糧難が起きている現在ではアメリカに大きな負担を掛けていた。その食糧不足は
比較的優先的に食料が供給されていた兵士にも及び、軍で提供される食事でさえ後ろが見えるほど薄いベーコンの数枚入った
塩味のスープや敵艦の入って来ない湾内で取れた少量の魚などが殆どであったしかし、三食食べられるだけでも軍人はまだ幸福だと
言っても良かった。市街地では市民が庭や公園の木々を伐採して地面を堀起こして畑を作り飢えを凌いでいたがそれでも量が
少なく日に一食と言う所が少なくなかった。
それでもアメリカが降伏しなかった理由、それは国民の多くが日本人や隔離した有色人種からの復讐やナチスドイツからの迫害
を恐れた為であった。原因は戦中、戦前に新聞社が煽った日本脅威論や悪評が原因である、噂が不利な戦況と重なり更に話が出回るうちに
膨らんでエスカレートしていき、酷い物になると
「日本軍は占領地の住民を崖まで追い詰め、其のまま崖下へ突き落とした」
「ドイツ軍は占領した地域の反抗的な住民を捕まえて毒ガスで処刑している」
「開放された西海岸側の有色人種の兵士が捕虜の死体でペンを作っている」
「メキシコ軍は、森に隠れていた避難民を火炎放射機で焼き殺した」
「インド兵は白人を見つけると狩りと称して人間を射殺するらしい」
「日本が占領した町からは白人が追い出されて何千kmにも渡ってまともに食事も与えられずに歩かされ続ける」
等、等、史実の人間からすればどこかで聞いたようなと思われる噂話が市民たちの間でひっきり無しに飛び交っていたのである。
また、それに対する新聞社の流布した風説の中に、正義や独立を守る等のアメリカ国民の心に強く訴えかける言葉と共に徹底抗戦や
レジスタンス化を推奨するような言葉が書き連ねられていた事も有り、追い詰められたこの状況でも高い士気を維持していた。
そこで連邦軍は避難民や予備役の州兵、市民に呼びかけて更なる徴兵を行い戦力の増強を図った。祖国や家族を守ると言う大儀名分の下
携行火器だけでは有る物の武器弾薬を補給、更にパイプに銃剣を刺して溶接しただけの簡易な武器を市民に配布する。この方法によって
アメリカ軍は戦力を増強、残存戦力を60万から約85万人までに戦力を拡大する事に成功している。
しかし、単純な数の不利が多少覆っただけであり、質と言う面では最早史実日本軍陸軍の兵器を主力に置いているインド軍や西海岸政府軍
以下のレベルにまで下がり始めていた。燃料や新しい工作機械が手に入らない現状では部品消耗の激しい機体や少数の機体は直ぐに共食い整備
が始まり、燃料もまともに動く機体へ優先的に回され始めた為後方支援は戦前までの機械化された部隊から馬力、酷い特には人力にまで下がり
また、比較的量産され兵器でも43年5月以降に生産された機体は工作精度が下がり、カタログスペック通りの機能を発揮する事が難しい状態となっていた
そんな連邦軍の窮状を、見ながら視察に来ていたマーシャル参謀長官は現状を嘆いていた。
「アレだけの威容を誇った連邦軍も此処まで落ちぶれたか・・・」
「しかし、兵士の士気は上がっています!勝って見せます!」
「精神論はいい、幾ら気合を込めた所で砲弾の威力は変わらんのだからな。それより戦力の
配意状況はどうなっている?」
「はい、既に貴重となったP-51、P-47やM28、M12は現在日本軍が展開するオレゴン方面へと展開してます。又、枢軸軍側へはも少量、それと両方面へ
主力としてM4を集中して振り分けました。メキシコ軍方面にはM3、M2を主力に引っ張り出したP-26も配備する予定です。」
「民兵については?」
「そちらも既に書く戦線に歩兵部隊の補充として動員してます。しかし、全部隊に銃器を配る事はできず弾薬とホームガードパイクを
持っただけの兵士もいます。又銃器を配備している部隊に関しても何割かの兵士は猟銃や拳銃で武装していますが・・・」
「居ないよりはまし、か・・・解かった。ん?あれは・・・」
現場指揮官からの説明を受けていた時マーシャルの目に飛び込んできたのは徴収された若年層より更に幼い13~10歳程の少年であった。
608: ナイ神父MK-2 :2016/07/29(金) 00:37:06
「ああ、あれは民兵に志願した兵士ですよ。」
「あんな年若い子供にまで頼らなければ成らないとは・・・」
「アメリカの自由と正義を守るための戦いです。幼い民兵でも覚悟は決まっています。」
「そうか・・・」
それだけ呟くとマーシャルは再び現場視察に移る事となる。一方で枢軸同盟の陣地にはドイツからある届け物が成され、ロンメルは確認のために
その追加物資の元まで訪れていた。
「ほう、此れが本土から送られたパンターをベースにした新型駆逐戦車か?」
「はい、Ⅴ号駆逐戦車ヤークトパンターです。」
「使えるのか?」
「想定では120mm程度の装甲までは食い破りますし、防御にしても正面は日本のタイプ97-55やM12でもない限りは防ぎ切れます。
正し側面からの攻撃には弱く包囲には注意しなければ成りませんが・・・」
「此れを今回の作戦に投入しろと?」
「本土からはそう命令を受けています。」
「既に戦力が枯渇しているアメリカ軍には過剰なのだがな・・・寧ろ本命は日本に見せる事か・・・」
この後、補給を終えた各軍は進軍を開始し、アメリカ軍との最後の決戦が始った。
最初に戦闘が始ったのは、枢軸軍が侵攻したリッチモンドでの戦闘だった。ドイツ軍を中核とした枢軸軍は精強な戦車を筆頭に攻撃を開始、空でも
ドイツ・イタリア空軍とアメリカ空軍による制空権争いが繰り広げられていた。しかし、日本との戦線に主力を割いた分、北部戦線に残された戦力はP-38や
P-40が中心戦力として据えられ、両軍の物量に押され始めていた。そんな中、ドイツの誇るエースパイロットの一人ヴォルフ・ディートリッヒ・ヴィルケ少佐は
向かい来る敵機を次々に撃墜しながら、戦闘を行っていた。
「想定されていた物より敵の錬度が低いな、それに連携も悪い新兵が中心なのか?だとしたら舐められたものだ」
そう言うと近くに来たP-38を撃墜して次の目標を探そうとした時、彼はこの戦場では珍しいP-51が飛んでいるの発見した。
「次はアレをねら・・・なに?」
次の目標をP-51絞り接近しようとした次の瞬間、P-51は突如としてエンジンが有ると思われる機体の前部が爆発して炎上、其のまま火の玉となって地面へと落ちていった
「あれは整備不足・・・か?まあ、いい目標はまだ残ってる次を探すか・・・」
609: ナイ神父MK-2 :2016/07/29(金) 00:37:37
そう思い直して周辺を見ると既に敵機の大半は味方に打ち落とされ、最早敵を探す事が難しい状況と成っていた。一方でメキシコ軍が相対するウェストバージニアの防衛戦線では
一見するとアメリカ軍対アメリカ軍と言うよな構図の戦闘と成っていた。しかし、戦況はM4を主力とするメキシコ軍に偏り始めておりM2を主力とするアメリカ陸軍は非常に不利な戦闘
を強いられていた。
「くそ、向こうにM4があって何で俺達にはこんなポンコツしかないんだよ!」
「仕方なだろ、M4は皆枢軸や日本と戦う連中が持っていっちまたんだから・・・」
「だからって納得できるかよ!あいつ等が使ってる戦車は俺達が本来は使う筈だったんだぞ!」
「だが無い物は無いんだよ・・・」
「畜生、何で神に選ばれた俺達がこんな目に有って、黄色い猿共があんなに強くなってるんだよ・・・」
その言葉を最後に男達が乗っていたM2はメキシコ軍のM4からの攻撃によって貫かれ破壊された、この1時間後防衛線の敷かれていた州都チャールストンは陥落し戦線は崩壊する事となる。
同じ頃、最も戦力が配置されていた西部戦線でも大勢が決し始めていた。元より万全の時でさえ良い様にやられていた日本軍に対して追い詰められた状況で勝てる筈も無く戦いは消化試合にも
似た様相を呈していた。
「くそ、M26の90mmでもダメなのかよ・・・」
「エンジンが動かないたすけ・・・」
「畜生、肝心な時にシャフトが折れ・・・」
少数量産が始ったばかりのM26は、戦力が圧倒的に落ち込んでいたアメリカ軍にとっては正に救世主と言える存在では有ったが、一方で落ちた工業力と部品精度の景況を諸に受けて運用していた
西部戦線では問題が多発していた。また、搭載していた90mm砲も中戦車であれば余程の機体でない限り装甲を破る事ができていたが、重戦車になるとそうも行かず打ち込んでもその正面装甲に
弾かれて返り討ちに遭うと言う状況であった。それでも日本と共に西部戦線攻略に参加していたインド軍や西海岸政府軍に対しては一定の戦果を挙げている。一方でインド軍も負けては居らず
九七式突撃砲を上手く活用しながら敵と戦っていた。
「敵の戦車は此方の物よりデカイ、突撃砲連携して戦え!」
「敵の重戦車隊には自走砲部隊に当らせろ!」
「側面を狙え!三式なら75mmだM4の装甲でも抜ける!」
「近づいてくる敵の歩兵に注意しろ!奴等爆弾を抱えて突っ込んで来るぞ!」
アメリカ軍は半ば特効に近い戦法も交えて戦線維持を続けるも、最終的には戦線は崩壊し日本軍が州都コロンバスを制圧した時点でアメリカの引いた各戦線は全て崩壊
アメリカを守る最後の砦は完全に失われる事と成った。また、この戦いで最終的に50万人近いアメリカ兵が死亡又は捕虜として降伏し継戦能力も同時に失われる事と成る。
この戦いより2月後各軍は残りのアメリカ東部を占領し戦争はアメリカの完全な敗北と言う形で幕を閉じる事となる。
610: ナイ神父MK-2 :2016/07/29(金) 00:38:11
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最終更新:2017年08月07日 21:30