956: ナイ神父MK-2 :2016/08/04(木) 00:50:40
憂鬱日本大陸化ネタ 

1942年編 其の13

戦線が陥落し枢軸軍が目前まで迫ってきている中、ホワイトハウスの執務室では一人の男が現在のアメリカでは非常に貴重となった
酒を瓶から直接煽っていた。周辺を見れば既に空瓶が3・4本転がっており男が既に相当量のアルコールを摂取している事が
解かる。更に窓際には何に使うのか灯油の入って居たであろう瓶が転がっている。酒を飲んでいるのはヒューイ・ロング
現在の大統領であり、もうじき元大統領に成る筈の男である、そしてロングは最後の酒を飲み終わるりゆっくりと椅子に
腰掛けると誰に話しかけるでもなく独り言を呟き始めた。

「これが、これが、神に愛されたアメリカの最後だというのか?・・・」

そう呟く顔には既に死人といわれても信じてしまう程に生気が感じられず、瞳も濁っていた。最早以前に有った
アメリカ人らしい自信と野望に燃えていた面影は何処にも見られない。

「スポンサー達は私を見捨ててねずみの如く逃げ出した・・・残ったのは看板だった私一人か・・・」

其処まで言って酒瓶に酒が入っていない事を確認すると、瓶を投げ捨て拳銃とライターを取り出し油の撒かれた床へと火の付いたライターを投げ落とした。
執務室内から火が出る中、米神に銃を突きつけたロングは更に言葉を続けた。

「此の侭猿やクラウツ共に良い様に裁かれる位なら!」

其の子言葉と同時にホワイトハウスに一発の銃声が鳴り響き、火事に気が付いて近くまで来ていた護衛が燃え盛る執務室の中で死亡しているのが
確認されたが、火の手が強く死体は最終的に火に巻かれている。
1943年12月進軍してきた枢軸軍はワシントンD・Cを占領、臨時大統領のトルーマン大統領が正式に枢軸、日本、インド、西海岸政府へと降伏宣言を
行いアメリカは正式に降伏する事となる。

一方で日印の部隊は未だ降伏を善しとせず、頑迷に抵抗するアメリカ軍の残存戦力を駆逐しながら遂にニューヨークへと到達したが、彼等の目に飛び込んできたのは
痩せ衰え疲れ切った表情を浮かべる市民達であった。そこで日印軍は人道的観点から市民に対する食糧支援を開始、本来は爆撃に使用するはずだった
芙蓉や富嶽、更に海軍の給糧艦でパナマ運河を使用できる物を護衛を付けて東海岸側へと回して支援を行っている。
又、ニューヨーク占領の過程で枢軸軍高官を含む監視の下ロックフェラー系列の研究所を調査、保管してあった強化型肺ペスト菌を厳重に処分し其の情報を受けていた
枢軸同盟首脳部と夢幻会は一先ず胸を撫で下ろしている。

1944年2月敗戦後各国の処遇を決める為、各国首脳はアメリカ合衆国のニューヨークへと集まり始めていた。其の中でも一際目を引いたのは嶋田総理が乗ってきた敷島型戦艦である。
其の威容を始めて肉眼で見たドイツの総統ヒトラーは其の姿に感心しながら近くに居たビスマルクの艦長に話しかけていた。

「仮に現在の我が国と日本が海上で戦ったとして君達は勝てるか?」

「・・・難しいかと考えます。現在の海軍はアメリカ海軍を打ち破ったとは言え、まだ経験不足です。又、アレだけの巨大船舶を
整備できる港湾もないことから日本に対抗する事は・・・」

「では、イギリスやアメリカの船舶技術を手に入れてからならば如何だ?」

「其れならば或いは・・・しかし、時間は掛かります。」

「海軍の増強については追々考えよう、其れより今はソ連への対策と資源の確保だな・・・」

始った講和会議では、終始日本が進行を勤める形で米英の保有する領土の配分等を主な議題として進めていた。

957: ナイ神父MK-2 :2016/08/04(木) 00:51:12
「・・・では、アメリカは完全に解体する形で行くと?」

「其の方が良いでしょう、旧合衆国内のでの内部対立はもう相当な物に成っています。下手に纏めて置くと余計な火種になりますからね。」

「しかし、西海岸いや、独立してカリフォルニア共和国になったのだったなそちらはアメリカの後継を名乗らないのか?」

「我々も民意を考えると再び連邦に戻る事は不可能です、もしやろうとすれば其の時点でもう一度血が流れるでしょう。其処まで今回の戦争で
人心は連邦から離れました」

「合衆国の後継を名乗る事はないと・・・そうであるならば問題はないでしょう。彼の国は好き勝手をしすぎました、ここいらでその報いを受けてもらいましょう」

その後も、各国を交えた利益の調整は続き、最終的にには以下の通りとなった。

日本

旧アメリカ領土のハワイ州、アラスカ州、ワシントン州、オレゴン州、アイダホ州、モンタナ州と英国の東南アジア地域の
植民地及びセイロン島含むインド洋の諸島を獲得、構成国であるオーストラリアをイギリス国民を退去させた後に自国領土として
編入、香港に関しては中立地域として各国の共同管理化へ

ドイツ

アフリカの旧米英植民地の獲得及びメキシコ湾岸油田を含むフロリダ州、ジョージア州、ルイジアナ州、アラバハマ州等のアメリカ東南州の獲得

イタリア

5大湖を含むミシガン州、ウィスコンシン州、イリノイ州、インディアナ州、オハイオ州、ペンシルベニア州を含むアメリカ北東地域の獲得

フランス

バージニア州、ウェストバージニア州、ノースカロライナ州、シャーロット州を含むアメリカ東部地域の獲得

メキシコ

テキサス州、オクラホマ州、アンカーソー州、ニューメキシコ州の獲得

カリフォルニア共和国

カリフォルニア州、アリゾナ州、ネバダ州、ユタ州を領土として独立

コロラド共和国

ワオミング州、ネブラスカ州、コロラド州、カンザス州を領土として独立(正しカンザスシティはフランスが確保)

この他イギリス本土が各王国へと分断されて北アイルランドがアイルランドに編入される等の細かい配分が行われ、この決定は正式にニューヨーク条約
として世界に発信される事となる。
アメリカでの条約締結後、各国は新たな戦後と新たな戦争へと向けて準備を進めていく。ドイツではソ連との決戦へ向けて更なる動員とジェット機含む
新型航空機の開発をイタリアは海軍の本各的な外洋での運用を、フランスでは枢軸内での発言力の向上を目指す事と成る。そして、日本では夢幻会が
今後の展望を話していた。

958: ナイ神父MK-2 :2016/08/04(木) 00:51:44
「しかし、予想以上に支配地域が広がりましたね。戦時中の会合ではオーストラリアとセイロンは想定していましたが
アメリカの大陸部にまで拡大するとは・・・」

そう話す辻に嶋田は疲れた様に首を振って話し始めた

「交渉では新たに独立させる予定も有りましたが、カリフォルニアやコロラドと違い明確な臨時政府や代表者も決まらない侭の反乱でしたし其の二つの政府のどちらが
管理しようとしても管理できるほど人的資源がないのが現状でした。それに、枢軸は日本と海を面して相対するの嫌いましたしインドでは遠すぎます。」

「それで日本が管理する事になったと・・・まあ、開発費用は追々捻出していきましょう。其れより先ずは東南アジア各国の独立でしたね、そこら辺
はどうなっているのですか?」

「其処は南雲さんや陸軍の派遣員が独立予定の国の軍を教導していますから、もう少しすれば形になると思いますよ」

其処まで話した所で伏見宮が嶋田へと有る計画の進行具合を尋ねてきた。

「所で嶋田君、大陸化後から進めている例の計画群はどうなっている?」

「根号計画は現在調査中に実弾が見つかり皇帝の開発まで進んでいます。最も使うのは勘弁願いたいですが・・・
鴉計画については孤立の原子力戦艦がサンプルになって50年代前半中には何とか、最後の天照計画についても50年始めごろには第一号が成功しそうです。」

「計画は順調なのは良いが見つかった水爆、たしか黄泉国型原水爆だったか?あれは危険すぎるな・・・」

「それは解析が終わり次第、処分した方が良いと思います。現在の所は維持費だけ掛かる金食い虫に成りますし、万が一必要に成っても設計図は残っているので
再生産は可能です。」

嶋田と伏見宮の話が終わったの見計らい、今度は倉崎が新型の艦載機に付いての報告を始めていた。

「やっと各工場でも整理が終わって本格的な陣風見たいな孤立世界の兵器のラインが軌道に乗りそうだ。このまま行けば2・3年中に纏まった数を両軍に提供できそうだな。
それと、別に此方でも制空権維持のための戦闘機を作ろうと思っている。」

其の言葉に先に反応したのは元は航空技師であった嶋田だった。

「制空権に主眼を置くと言うと米軍のF-15みたいな機体ですか?」

「現状計画しているのはSU-27に近い機体だな、レーダーや電子機器は陣風等で使われているものをベースに使うからガワだけと言う話しだがな」

「何にせよ、内外に対してやる事は山ほどある。嶋田君にはもう少しがんばってもらおうか」

「・・・やらせて頂きます・・・」

この後、日本は元々過剰だった兵器の整理や処分を含めもう暫く各国に武器を販売しながら資金を捻出、新しい領土の開発に力を注いでいく事となり、
枢軸やソ連では暫く日本が放出する兵器の数々にを解析する事になり諜報部や開発局の負担が凄まじい事になるがこれは又別の話である。

960: ナイ神父MK-2 :2016/08/04(木) 00:52:21
以上ですWIKIへの転載は自由です。

タグ:

+ タグ編集
  • タグ:
最終更新:2017年08月07日 21:31