590 :earth:2011/12/18(日) 20:31:05
平成ネタで一発。


 昭和世界と繋がった平成日本では、昭和世界での日本製兵器が信じられないほどの進化を遂げていることに
驚きの声が挙がっていた。

「帝国海軍の戦闘艦艇はステルス艦でイージス装備……どんな火葬戦記だ」
「いやレーザー砲のほうが驚きだろう」
「宇宙兵器も凄いな……米国が成しえなかったスターウォーズ計画を完成させたのか」

 向こうの世界では世界最強と称される帝国軍の姿は、右を自称する人間からすれば羨望の的だった。
 勿論、左を自称する方々は日本帝国軍など過去の悪夢でしかなく、真っ向から帝国軍を否定することに精を出した。

「あれらの装備は、多くの国々から搾取して作られたものだ!」
「他国民の生き血を吸って世界に君臨するような、悪辣な侵略国家を追い出せ!」

 しかしそれらのトーンは前に比べると些か低下していた。
 パトロンであった某国からの支援が消滅したことは彼らの活動を低下させていた。加えてアメリカも必要以上に
日本帝国を怒らせることを嫌っていた。おまけに厄介ごとを解決してきたのは帝国であったことから、彼らの主張に
共感する国民も減っていた。
 そしてそれが一部の狂信者をさらに追い詰めた。

「○×◎△※?!」

 自分達の望んだ現実と、今の現実のギャップに発狂する者さえ出る始末。
 だが右寄りの方々でも極少数であるが、帝国軍を受け入れられない者がいた。

「あんなに強いチハはチハじゃない!」

 史実の九七式中戦車をこよなく愛する一部の方々は、そう言って向こうの九七式中戦車を嫌った。 

「……全くオタクって奴は」
「ははは。良いじゃないですか。好みは人それぞれですよ」
「やっぱり、この世界の日本は色々と終ってる気がするよ」

 左の方々の反応や、これらの特殊な反応を見た嶋田茉莉は平成世界とのギャップに改めてため息をついた。
 だが、そこですかさず辻がつっこんだ。 

「でも我が国にも平成世界のチハを再現しようとする動きが……」
夢幻会以外で?」
「ええ」
「……やはり日本人は日本人ということか」

 日本人の業の深さに嶋田は肩を落す。彼女の苦悩はまだ続きそうだった。

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最終更新:2012年01月16日 19:22