14: 影響を受ける人 :2017/06/18(日) 22:31:48
この作品にはTS要素が含まれています。
オリキャラ化が含まれています。と言うかオリキャラが出てきます。
最低系である最強要素があります。
オリジナル設定、個人的解釈が入っています。
それでも良い、という方のお読みください。



提督憂鬱×ストパン+零
第百十二話 ―扶桑海事変-16―

――第一打撃艦隊:戦艦【紀伊】対空機銃座――

船体が激しく揺れ動く。

「うぉわ!」

佐宗縄斗【さむね なはと】は揺れる足場に翻弄されて転びそうになったが、記者魂を発揮させて耐える。
両足で踏ん張り、両腕は片時もカメラを離さない。
“ヤマ”の迎撃を掻い潜るナニカを撮影した後、フィルムを急いで交換した。
その直後、今まで“ヤマ”の周囲を飛行していた“オカ”が、いきなり散らばった。
離れた距離も、高さもバラバラ。

「な、なん・・・なんだぁぁぁぁ!!??」

疑問を口にしたら、今度は“ヤマ”が変形を開始し始めたではないか。
大急ぎでカメラを向けて激写する。
要塞としての機能を発揮した“ヤマ”は、輸送していた陸戦戦力をも投入してウザい空の敵を撃ち破らんとしていた。
もっとも縄斗にはわからなかったが、それでも確実に敵を追い込み始めていると確信し、“ヤマ”から大きな爆炎が上がると共に顔を蒼褪めさせた。

「ぉぃ・・・おいぃ!!」

言葉にならない。疑問を口に出来ない。だが体は動いた。
“ヤマ”から放たれた大重量質量弾が、加熱して真っ赤になった金属塊が、戦艦【紀伊】の真横に落着前に艦内に避難を終える。
そして、海面に敵弾が衝突。今までにない衝撃が船体を襲った。

「うぐぅぅ!」

歯をくいしばって耐えるが、今度は立っていられないほどの衝撃の為、床にたたきつけられた。
咄嗟にカメラを庇った為、仰向けになっており、背中に激痛に呻きつつも壁に手をついてよろよろと起上る。
ふと、先程避難してきた扉を見る。締めきれていなかったのか、半開きになって海水が流れ込んでいた。
痛みを訴える身体を叱咤し、扉から覗き込めば再び発砲炎が上がっているのが見えた。

――第一打撃艦隊:戦艦【紀伊】艦橋――

光線という避けられない攻撃を如何にかしたと思ったら。

「今度は実弾攻撃と、ぉわな!?」
「そうですね・・・」

古賀峯一が愚痴を苦労して言うと、副官も頷いて同意する。

「この衝撃と水柱からして、本艦と同口径かな?」
「恐らく、っと!」

今度は右舷から衝撃が襲ってきた。
たった一門の敵だ恐れる必要性はないと言いたかったが、連射速度が戦艦の装填よりも圧倒的に早い。
相手が人ではないという事がよくわかる。
さらに厄介な事にもう一つ、問題が発生していた。
艦橋の左横側の窓に赤い光が後ろから差し込んで、前に一気に通過していく。

「ええい、鬱陶しぃ!」

古賀は忌々しげに首だけ振り返り、見えない後ろの空に浮かぶ敵を睨む。

「反射衛生砲は反則だ! 今は2199年じゃないぞ!!」
「本艦はヤマトでも無いですしね!」
(いや。そいう問題じゃないだろう!?)

艦長は心で叫びつつ、部下に適切な指示を出す。
しかしそう思うのも無理はない。何しろ散らばった“オカ”は、もうエネルギーをお互いに回すことはせず、中継して直接狙いを付けてきたからだ。
初撃は只一直線の攻撃で躱せたが、二撃目からは薙ぎ払い攻撃による角度調整が入った。
四撃目には、シールドが展開されるとさっさと経由先を変え、別方向から襲い掛かってくるように。

多彩になった攻撃方法だが、絶えず“ヤマ”の主砲を攻撃して妨害する事により頻度は少なめだ。
ただし、

15: 影響を受ける人 :2017/06/18(日) 22:33:27

「弱点は移動していますよね?」
「予想が正しければ、あの形態は陸上で行うはずだったはず。
 となれば、弱点はもっとも攻撃されない部分に移動する事になるだろう。」

二人の視線は、僅かに下に突き出した角を見ている。
変形稼働する事には驚いたが、報告と変形により弱点は最も安全な場所に移動させるはずと予測した。

「・・・やはり下に潜り込まないと話になりませんか。」
「それも急いでだ。どうだ、奴の高度はそのままか?」

参謀の一人に聞くと、予想通りで嬉しくない報告が入った。

「高度は徐々に下がっています。降下速度も上昇中です。
 潜り込むならば・・・一回が限度かと。それも全速航行で、です。」
「一回だけ、二度目は無しか。」

きつい条件だ。まだ原作の方が条件が緩いと思う。ハードモードすぎではありませんか神様?
いかに嘆いても現実は改善しない、原稿の締め切りを長くしてくれない編集長の様に。
長く溜息を吐きつつ覚悟を決め直し、“ヤマ” を睨む。

「先程挺身隊から報告があったな?」
「はい。列車砲モドキを発見し撃破すると。」
「ならば、それを合図とし、最大船速で突撃する。」

――第二打撃艦隊:戦艦【長門】艦橋――

回避中心の蛇行を行っているせいで中々敵に近づく事ができない。
前部の主砲が吠え砲弾が“ヤマ”に向かって行く。命中するのだが、もう怯んだりせずに修復が完了した面からレーザー砲撃を敢行、避けがたい一撃を放ってくる。

「ぬぉ!」

堀川吉郎はよろめいたが、普段から鍛えておいた足腰は期待に応えて耐える。

『左舷に落着! 浸水の被害なし!』

すぐに被害報告が上がってきたが、顔は優れない。【長門】の被害は拡大しているのだから。
実体弾の直撃も、レーザー砲撃の直撃も無いが、確実に船体は痛めつけられていた。
さらに後方を航行する【陸奥】は実体弾の直撃を喰らっている。
航行には問題はないが、第三砲塔に命中した砲弾は上手い具合に弾かれたものの、砲身を歪め、旋回が上手くいかなくなってしまった。
【比叡】の様に爆沈しなかっただけましと言うべきか。

【金剛】【霧島】【榛名】も無事ではない。
反射レーザー砲撃はランダムで照射相手を変えてくる。
屈折シールドがある程度威力を軽減してくれているとはいえ、直撃を喰らえば装甲の薄い三隻は【比叡】同様の運命をたどるだろう。

『報告! 榛名に直撃弾。榛名に実体弾が直撃した模様!』

最悪な事を考えていたら、本当に起きてしまった。
悔いる様に歯を食いしばり、うめき声を上げる。
暫らくすると被害状況が分かったのか詳しい報告が上がってきた。

「榛名の被害は左舷に実体弾が命中、大穴があいたようです。
 浸水が止まらず、速度も低下。傾斜の回復も巧く行っていないようであります。」
「そうか・・・ 退避はどうなっている?」
「すでに台風の外に艦首を向け、航行を開始しているようです。」

その報告にようやく安堵を得た。同時に戦力の低下を危惧する。
戦闘開始から紀伊型戦艦二隻がこの場に来れなくなり、金剛型戦艦が一隻轟沈、一隻大破。
愚かな判断で山代型戦艦が二隻居ない。
六隻もの戦艦が戦力外となっている。もはや、突撃すべきではないか?
そんな思いが胸中を駆け巡る。

懐に飛び込めば、あの実体弾を無視する事ができる。
問題はレーザー砲撃だ。屈折シールドが何時まで持つかわからない。
視線を台風の壁に向けると激しい雨で見えない黒い空間、雲海の白い壁が見える。
台風を無理やり拘束し、そのエネルギーを用いてこちらを守ってもらっている。
しかし台風の維持には熱が必要で、その熱量は補給できない。

拘束にエネルギーを使い、結界に使い、台風の維持にも使う。
消費しかない現状、台風は徐々に小さくなり、最終的にただの低気圧になる。
その速度は自然界の比ではないくらいに早いはずだ。
急がなければならない。っと、視界に光が瞬いた。その光源は列車砲ネウロイが盛んに砲撃していた場所であった。
自分達で破壊すれば早いとは思っていたが、レーザー攻撃を封じなければならない関係上できない。

その為、ウィッチに任せていたが・・・
成功したのだろうか?

『報告! 狐狸部隊が敵列車砲怪異の殲滅に成功したとの事です!』

艦橋が歓声に包まれた。同時に堀川は指示を下す。

16: 影響を受ける人 :2017/06/18(日) 22:35:32

「全速前進! ここが勝負の決め時だ。急げ!」
「「「「「了解!」」」」」

――雲仙型重巡洋艦三番艦【田代】――

全艦突撃。
この命令を受けた時、古田高雄はようやくかと思と同時に気持ちを引き締めた。
なかなか近づけず、近づいたと思ったら実体弾が飛んできて、変幻自在の光線の悩まされ続けた。
それがようやく終わる。
まだレーザーが残っているが、攻撃が一つ減ったのは幸いだ。

「時間が無い。」

だからこそ急がなければならない。
すでに打撃艦隊の各司令部は、敵の高度が下がっていることなどわかっているはずだ。
たとえ戦艦よりも背丈が低い重巡と言えど、一度の攻撃しかできないはず。
粘ることは出来るだろうが、重巡の砲撃で倒せるとは思っていない。

「後ろの敵はどうなっている?」
「“オカ”は相変わらず大物狙いの様です。こちらには見向きもしません。」
「敵航空戦力は?」
「大幅に減殺されていると思われます。特に“コバエ”はもう無視しても構わないかと。」
「“ウシアブ”の姿も確認できません。“アホウドリ”も、です。」

残された懸念材料も、どうやら問題の程度が低くなったようだ。
まさに千載一遇のチャンス。

「まさに今しかない。と、言う事か。」

眼光鋭いままに眼前を見る。視界に入るのは大きく体を広げた“ヤマ”。
最初は変形に驚いたものだが、よくよく見れば大きな隙が出来上がっているのに気が付く。
あの下にさえ潜り込めば、上からの攻撃は無視していい。
何しろ“ヤマ”の張り出した足場が邪魔になるからだ。
そうすれば横方向にのみ気を付ければいい。

「対空警戒は続けるんだ。」
「了解です。」

部下の返答に頷き双眼鏡でウィッチ達を探す。
“ヤマ”の上では盛んに対空砲火が上がっている。その先を見れば彼女達が戦っているはずだ。
ワザと囮になり、敵の目を引き付ける役目を持っているとはいえ、何時までもあの対空砲火の中にはいないだろう。

「【日向】【伊勢】に通信をつなげよ。対空攻撃について妙案をだすと。
 彼女等の負担を軽減する事ができるとな。」



以上です。
今回はオヤジーズ

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最終更新:2017年08月12日 08:58