471: 影響を受ける人 :2017/07/10(月) 22:36:28
この作品にはTS要素が含まれています。
オリキャラ化が含まれています。と言うかオリキャラが出てきます。
最低系である最強要素があります。
オリジナル設定、個人的解釈が入っています。
それでも良い、という方のお読みください。
列車砲ネウロイを殲滅し、勢いを止められていた突撃を再び行えるようになった打撃艦隊は、機関をフル回転させて“ヤマ”の下に潜り込もうとしていた。
無論それをただ見つめているネウロイではない。
もはや数頼みの“コバエ”はもういない。数少ない“スズメバチ”で抑えるほかない。
相手の攻撃力は想像を絶するモノ。出来れば撃退が望ましいが・・・何度やられても彼等は諦めない。
もう、お互いを殲滅するしかもう方法が無い。小さな脅威達は陸戦戦力を無視して下に潜り込んでいった。
大きな脅威に合流する為だろう。合流させる気は全くないが、泊めることは出来ないと感じている。
それでも身を挺して守らなければならない。
―おい。最小出力で攻撃し続けろ!―
―もう指示するなぁぁァァァ!! 自分は自分で何とかしてやるぅ!!―
もうやだ。帰りたい。遠くの地に飛ばされた先代の後を追って行きたい。
護衛はもうこちらの言う事を聞いてくれない。
確かに下した指示は悉く裏目に出てしまっている。だからって自分勝手に動かれては困るのだ。
―自分達は下にもぐる。当てるなよ?―
―しるか! 自分で避けろよぉ!!―
取り付く島も無い。もう、どうにでもなれ~・・・っと投げ出したい。
人間なら大きなため息を吐き出したいだろうが自分はネウロイ。飛行速度がちょっと遅くなる程度だった。
とにかく、敵を押しとどめないといけない。部下を率いて降下していった。
―――――
「・・・♪」
ああ、もう。
「ぃ・・・ひひ・・・・・・♫」
帰ってきてから録に愛でる行為が出来ない。
「き・・・ひぃぃ・・・♬」
さっきから敵は好き勝手に暴れていて、それもストレス。
「きっひひ・・・ぃぃ♩」
でも・・・
「良い事思いついたぁぁぁ♯」
(なんか、邪悪な気配が・・・)
にったり笑う風間ランの表情は誰にわかっていないが、周りの空気が歪んできているので皆恐れおののいていた。
それを秋月璃子はあえて見ないようにしつつ、念話で木更津千早に指示を送る。
(了解。春香、もう少しオクターブを低くして。)
(は、はい! でも、限界は近いですよ?)
(そんなのわかってる! 速攻戦だったのに、時間をかけ過ぎたわね。)
(すみません・・・ って、あれ?)
(どうs・・・ なにこれ、魔力の流れが?!)
何時ものように謝った天宮春香は、何かに引っ張られる感覚を感じ取る。
同時に木更津も感じ取り、困惑すると周りにも動揺が広がり始めた。
すぐに原因を探ると、強引に魔力を引っ掻き集めて練り始めていた犯人は、周りの空気を漆黒に染めて・・・
「ぃひっ!」
顔が黒く染まって、口が三日月形に歪み、目を極限まで広げて“ヤマ”を睨む。
風間ランは可愛い物を愛でる人物でもあり、同性でも構わないという変態っぷり。
同時に・・・どうしようもない弩Sでもあった。味方に優しく、敵には無慈悲に無感動になる。
正常な人間から見れば異常者にしか見えない。
いままで北郷章香の前で暴走した事などなかった彼女であったが、さすがに今回はブチ切れた。
「ギャハハハハハハハハハハァッ!!!!!!!」
呪歌をいったん止め、狂笑をあげたかと思うと複雑な声を出し始めた。
それはホーミーの様な、それで違う声を同時に三つ、発している。
急に唱和を止めて独自に呪歌を紡ぎ出し、その歌が強引に魔力を分捕り始めて呪歌隊全員が驚いて制しようとし、
472: 影響を受ける人 :2017/07/10(月) 22:37:24
(な、なにこれ!?)
(歌が、歌がとまらないよ!!)
未知の強制力に困惑が広がった。
驚き慌てふためく隊員をなだめようと、副隊長の木更津は必死に呼びかける。
たいして秋月はこの歌の正体を知っていた。
(禁呪歌まで習得していたの!? しかも三つ!)
風間が歌う三つの歌。三つ歌う技術はシールド技術が必須だが、別に特別な事ではない。
大抵は歌一つだが歌二つ歌えるもの方が多く、三つは習得しても持続時間が短くなるわ、効果が薄くなるわ、で意味があまりない。
だから【強制唱和】を歌っていた。効果は強引に呪歌を歌い続けさせることと、強制的に魔力を分捕れること。
次に【強制演算】。効果は・・・
(あぎ・・・ぃ・・・!)
(あだまがいだいぃぃ?!)
味方の頭脳を自分が使用して計算するようにしてしまう。異なる思考を強制にやられるために頭痛が酷くなり、最悪な場合だとロボトミー手術を施された人間の様になってしまう。
最後は敵味方無差別禁呪歌【狂乱乱舞】。効果は、防御を考えない暴走。
(な、なんて馬鹿げた事を!)
秋月は隊長として、人として風間を止めようとした。が、いつの間にか帯刀していた刀を突きつけられて止った。
流石に戦闘しながら歌う事は彼女にはできない。ベテランで、才能が有った風間だからこそ刀を振り回しながらも歌える。
頭痛が酷いが、仕方なしに念話による通信を試みる。
(この歌を止めて! まだ若い子や、精神力に余裕が無い子が参ってしまう!)
(・・・♩)
(打撃艦隊や、挺身隊はもう敵に十分近付いたわ! ここまでくれば無理をする必要なんてない!!)
(ダカラナンダ♬)
(え・・・)
此方を顔だけ向けた。風間は笑っていた。
その顔に張り付いた昏い暗い黒笑を見て、秋月は少し下がった。正気を失いかけた狂人が目の前にいる。
(コウスレバヨカッタ♪ アハァ♩ コウスレバヨカッタンダ♫)
狂人の視線が前に向く、彼女の熱い視線が“ヤマ”の主砲を見ると同時に、朱いレーザーが発射された。
溜めなどない即時発射。だから細く、しかし持続して出し続けられる。
その光はまっすぐ伸びて、その先に“オカ”に命中・・・することなくはるか前でへし曲げられて、展開した足場に命中した。
)
秋月璃子・木更津千早・天宮春香ほか、正気を何とか保っていた数名が同じように呆然とした。
そりゃそうだ。敵の射撃が、敵の体に命中したのだから。
へし曲げるシールドは今までと変わらない。ただ、今までは戦艦に命中するのを防ぐために直前で曲げていた。
しかし今度は発射してすぐに曲げている。つまり・・・
(当たる前じゃなくて、根元から曲げることにした・・・のね。)
なるほど、理屈としては正しい。しかし同時にこれは負担が大き過ぎる。
シールドを常時展開し続けるのは負担が大きいし、消耗も早い。
よくよく観察してみれば、禁呪歌を使用しているのに味方は正気を保ったままだ。
魔力も台風のエネルギーを変換した魔力を、自分達と言うフィルターを通して得ているのに過ぎない。
頭痛は酷いけど。対して敵は・・・
(うわぁ・・・)
陸戦ネウロイ達が同士討ちを開始し始め、“ヤマ”が自己防衛を捨てた乱射砲撃をしている。
自分の身を攻撃しているのにも拘らず、ひたすら砲撃し続けていた。
秋月の頬を冷や汗が垂れる。同時に暴走しつつも高度な制御を行っている風間の実力を思いしった。
自分などまだまだ。自分以上の実力者はまだいるのだと。
(ギャハハハハハハハハハハ♯ タイチョウノ○πヨリモヤワイナァァァァ♪)
だからと言って、こんな変態に師事したくはないが。
―――――
「っぅ・・・!」
「どうかしましたかぁ?」
北郷章香がいきなりブルリと震えたので、後ろを飛行していた旭川梨奈が隣に並んだ。
「あ、いや・・・ なんか悪寒が・・・」
「風間さんが何か言ったのでわぁ? 帰ってきてからそんなに接触していませんしぃ。」
「そうかもな・・・」
小さく溜息を吐く。北郷はなんで気に入られているのかわからない。最初あった時からああだった。
今はそんな思考は置いて置こう。そう思って小さく頭を振るい、視線を別の方向に向ける。
視線の先には、こちらを阻まんとする“スズメバチ”が接近してきていた。
473: 影響を受ける人 :2017/07/10(月) 22:38:43
「くるか。」
そう言って、銃器を構える。同時に坂本美緒等に指示を出す。
「観測班は先行せよ。敵の弱点をもう一度探れ。
弱点がどのくらい奥底にあるか、その計測もするように。」
『『了解!』』
前方に戦艦【紀伊】以下が見えてきたので護衛の布陣を取る。
「下田隊は左翼、佐伯隊は右翼を頼む。」
『『了解。』』
「後方は旗本隊と共に私達が付く。」
『ギッギッ! 殿か!! こりゃぁ、踏ん張りどころだz『・・・黙れ。』ア、ハイ。』
『あ、アチキは帰って『・・・弾薬はまだあるだろう。』いや、ごずなとこオラいたにぃずらぁ!!』
『ちょっと! 貴方この呪歌使いが暴走しているんだけど!?』
「済みません。風間さんについてはノータッチでお願いします。」
- 元北郷隊メンバーはずいぶんハッチャケているようだ。
頭が痛い。とりあえず暴走している風間の様子を聞いてみるが、禁呪歌を歌っている割にはこちらに影響はない。
相変わらず技術力と、制御が凄い。
一回溜息を吐き、気を取り直す。
「ここが正念場だ! 目標までもう少し、気を抜かずに引き締めて行け!!」
『『『『『了解!!』』』』』
全員が一斉に答えた。
敵は我武者羅に突っ込んできており、とにかく手当たり次第に攻撃をしのぐしかないだろう。
取りあえずは、
「両舷に敵を分断する!」
【氷刻刀(ひょうこくとう)】を振り上げ、一気に振り下ろす。
しかし切っ先からは何も生まれない。そのかわりに、海面に異常が発生し始めていた。
巨大な氷が、海面を割って出現し始めたのだ。
北郷は細く、長い魔力撃による海中干渉を行っており。
海中に氷を生成し、鋭く高い氷山を作り出した。
魔力消費も高いが、敵は見事に左右に割れていく。
天井が有るという特殊な戦場。遥かな高さから奇襲をかけられないこの状況では、左右からの挟撃しかない。
此方はそれに気を付けるだけでいい。
驀進していく戦艦を後方に置き、北郷大隊は気力を振り絞って攻撃に移った。
以上です。
最終更新:2017年08月12日 09:19