648: 影響を受ける人 :2017/07/17(月) 22:16:25
この作品にはTS要素が含まれています。
オリキャラ化が含まれています。と言うかオリキャラが出てきます。
最低系である最強要素があります。
オリジナル設定、個人的解釈が入っています。
それでも良い、という方のお読みください。



提督憂鬱×ストパン+零
第百十四話 ―扶桑海事変-18―

【長門】を先頭にし、後方に【陸奥】。更に後方に【伊勢】【日向】【田代】【焼石】が、ハ乃字に並んで航行していた。
上から見ると逆さまのY乃字にも見える。
これは【田代】艦長 古田高雄の具申を受け入れた形なのだ。
今まで輪形陣による対空防御を取っていたが、今現在はその形をとる必要が無いと判断。
護衛の狐狸部隊は首を捻ったが、無線で指示を受けると納得した。

足場を広げた“ヤマ”の下部に突入した第二打撃艦隊に、すぐさま護衛のネウロイ達が襲い掛かってきた。
数少ない彼等は、あまり広がり過ぎて味方の援護が出来なくなることを恐れ、ある程度纏まって行動している。
それを目にした古田高雄はにやりと笑う。

「敵の戦力も残り僅か。もう、余裕などない。」

確かに襲来してくる敵は脅威ではあるが、思ったほどの数ではなかった。
それは迎撃戦を切り抜けた戦艦四隻も同様。この程度の数ならば捌き切れると判断している。
その敵に向かってウィッチが攻撃を仕掛けた。
無論迎撃に移るネウロイではあるが、まったく攻撃に出る事は無く、回避行動をメインにして攻撃も牽制程度。
ネルギー問題を抱え始めており、余計な消費が出来なくなっていた。

「敵接近中。」
「うむ。」

それでも敵は進撃を止めない。
流石に護衛を務めるだけは有り、ウィッチが群がって攻撃しているのにも拘らず、まだ撃墜されるネウロイはいない。
しかし・・・目的は達成できそうだ。

「敵、密度上昇。」

見張りの声が艦橋に響き渡る。
まだ、まだ遠い。自分が考えた妙策は、この特別な状況下だからこそ機能しうるもの。
通常の戦闘では、下策ともいえる策だ。
予定通りに多方向に散らばる事を抑制した彼女等は、対空砲の有効射程内に入った事を悟ると距離を取り始めた。
一名・・・いや、三名ほど首根っこ掴まれている様に見えるが気のせいだろう。

「ウィッチ・・・離れます!」
「撃ち方・・・」

すぐさま報告がとび、

「始めえ!!」
「うちぃかたぁはじめぇ!!!」

号令が下された。
真後ろから迫っていた敵群は、何時もより濃密な対空砲火に見舞われた。
【長門】【陸奥】を覗いた対空砲火は、目論見通りにクロスファイヤ地点を作り出し、一気に敵を葬る。
対してネウロイ達は攻撃しようとした矢先の攻撃に、出鼻をくじかれて右往左往してしまった。
もし、ここに指揮官型が居れば違ったのだろうが、こちらには一体もいない。

更にベテランの、戦場を生き残り続けたネウロイもいない。だから、無様に叩き落されていく。
一体のネウロイが機首を上げるが、すぐにある物を見て中断してしまう。
そこに高角砲の砲弾が命中し、胴体を粉砕されて墜落。海中に没した。
その光景をみつつ古田は呟く。

「もし・・・」

視線をゆっくりと上に向け、

「天井が無かったならば、お前達が優位だったろうな。」

黒い足場を見て敵に同情した。
徐々に低くなる天井。この戦闘でしか発生しないであろう特別な条件。
三次元に動ける敵が、二次元的な動きを強要される空間。
まだ高さはあるが、頭上に何かがあるという圧迫感はどんな対象であれ、心に重くのしかかる。
だからこそ逆Y乃字という陣形がいきた。

「敵の進路さえ強制してしまえば、こちらの火力を存分に叩きつけられる。」

視線を戻せば大慌てで退避するネウロイがおり、有効射程外に居座ったウィッチが戻る様に追い立てていた。
それでも強引に突破し、逃げ帰るネウロイもいる。
だが、その数は襲撃してきた時よりも少なく。8体ほどしかいない。
彼等は大きく旋回し、第一打撃艦隊を襲撃している味方に合流しようと急いだ。
狐狸部隊は追い駆けようとしたが、主任務は飽く迄も障害の排除と護衛。

649: 影響を受ける人 :2017/07/17(月) 22:17:55

なんだか刀をブンブン振り回しているのが見えたような気がする。
気のせいだろう。

「以外に骨が無いな。」
「あれだけ火力を叩きこまれ、味方が少ないですからね。
 自分でも退避を選びます。」

それもそうかと思い、視線を敵方前に向ける。
陽の差さない視界だが、薄ぼんやりと下向きに長く突き出した何かが見える。
恐らく、目標である核がその中に入っているはずだ。
後もう少しと逸る気持ちを抑え、トラブルに備える。
その少し後に、考えた通りに敵の弱点が視線の先にある報告を受け取った。

――北郷隊:観測班――

親友の若本徹子の惨状に嘆く事もできず、不満をさらけ出す前に気迫負けを期した。
流れ出る涙をぬぐい、坂本美緒はエンジンを吹かして速度を上げる。
その後方から竹井醇子が追いかけているが、何を言えばいいのかわからない。
自分も泣きたかった。だけど、そんな事をしてもなにも良い事はない。

(美緒ちゃん・・・)

皮肉なものだと思う。前向きに志願したのは徹子、自分たち二人は心配だから着いてきた。
それが・・・徹子はもう、ウィッチとしての活動は出来ないだろう。
人一倍努力し、負けず嫌いな彼女がどうなるのか、それはわからない。
無線越しで聞いた能力の詳細は衝撃的であり、親友の覚悟の強さを思い知った。
自分には何ができる? 何をすればいい?

(とにかく、今は話しかけよう!)

意を決し、無線を起動させた。

「美緒ちゃん。」
『・・・・・・』

坂本美緒は答えない。

「さっきはキツイこと言ったけど、私も徹子ちゃんが心配。これは本当だよ?」
『・・・・・・』
「私は・・・」

何も答えない親友の態度に、心が締め付けられる。
だが、ここで逃げてはいけない。気持ちを奮い立たせて言葉を紡ぐ。

「美緒ちゃんにも死んでほしくない!」
『・・・・・・』

無視をされているのかもしれない。だが、それでも耳には届いていると信じる。

「もう、誰にも死んでほしくはないよ。」
『・・・・・・っ。』
「だから、私は信じるよ。徹子ちゃんは絶対生還するって。
 だって死んでほしくないと思うなら、絶対に生きて帰れるって信じなきゃ。
 死んじゃうなんて思う事が、一番駄目なんだ。
 徹子ちゃんは決死の思いで飛び出したんだと思う。だから、私達は・・・」
『・・・』

言葉が上手く出ない。

「私達は・・・怒ろう。」
『・・・ぇ?』
「だってそうじゃない。ずっと黙っていたんだよ? 知らされていなかったんだよ?
 親友だと思っていたのに、そんなに付き合いが長くない委員長には教えておいて。
 そんなに私達が信用できなかったの?!」
『ちょっ、醇子。落ち着いt「落ち着いていられないよ!!」ア、ハイ。』

なんだかいきなり起こり始めた親友にビビる。
美緒の怒りはどこかに飛んで行き、代わりに困惑がやってきて頭が痛い。

「頼りにしてほしかった・・・」
『そうだね・・・』
「だから、怒りに行こうよ。なんで黙っていたのって。」
『わかった。』

ぴしゃりと何かを打つ音が聞こえる。
おそらく顔を叩いて気合を入れなおしたのだろう。

『ごめん。心配かけた。』
「いいよ。」

650: 影響を受ける人 :2017/07/17(月) 22:18:55

短い謝罪であるが、これだけで十分。
若本徹子には取りあえず反省文として100枚くらい書いてもらおうと、二人は話し合いで決めた。
そんなこんな話をしていたら、観測地点に到着していた。
早速魔眼を起動させる。本当なら接近して観測した方が良いが、すぐに戻る事を考慮してちょっと遠目にしている。

「さて・・・どう?」
『う~ん。下にあるのは間違いない。』

言い淀む回答に眉をひそめる。
聞きたくはないが、あまり良い予想ではない考えを脳裏に浮かべつつ問うた。

「もしかして・・・装甲が厚いの?」
『うん。少なく見積もっても10m以上はある。』

10mと聞いてどのくらい分厚いかわからないだろう。
設計にもよるが、マンションの3階の天井から4階の床くらいまでの高さを、そのまま装甲にすればいい。
史実の戦艦【大和】の舷側上部が410mmのVH(ヴィッカース非滲炭)甲鉄であったことを考えれば、とてつもない厚さだ。
しかもネウロイの体は金属のように硬い。
一体何発命中させればいいのか見当もつかない。

「『はぁ・・・ あ。』」

思わず二人とも同時に溜息を吐いてしまった。
それが何だか恥ずかしくて、とても可笑しく思える。
笑いたいのを大きく深呼吸する事で整え、醇子は北郷章香に通信を繋げた。
三点観測から導き出された敵の弱点、その装甲厚の問題も添えて。

「以上です。」
『そうか。まったく、厄介な問題が次から次に出てくるな。
 しかし、当初の想定よりは希望がある。
 一キロ四方の四角錐の中心だったなら、どこまで掘削すればいいのかわからなかったからな。』

確かに。
内心で同意し続いて戻る旨を伝え、大きく銃を振るって美緒に帰還を促した。
此方をチラチラ見ていのですぐに気が付き、そばを通過するコースで飛んでくる。
それに追従する形で自分も飛翔。美緒の右後方に着いた。

「これで、残敵を捌けば。」
「そうだね。これでケリがつく。でも、油断はできないよ?」
「わかっているよ。でも、そうそう悪い事なんて」

起きない。と続けようとした時。緊急通信が入った。
それは平文で、全ての回線を用いて伝えられる緊急事態。

『ネウロイ出現! 繰り返す! ネウロイ出現!
 敵の構成は“スズメバチ”“アホウドリ”“オニグモ”の高速部隊!
 作戦海域に向かっている!! 方位は・・・!!!』

緊急通信に耳を傾けつつ、いらぬフラグを立てた元凶を睨み付ける。
目の前の犯人は気まずいのか、顔をそむけていた。

「美緒ちゃん・・・」
「わ、私のせいじゃないぞ!?」



以上です。
敵が減り過ぎたから、増やしましょうね~

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最終更新:2017年08月12日 09:26