964: 影響を受ける人 :2017/08/06(日) 22:15:16
この作品にはTS要素が含まれています。
オリキャラ化が含まれています。と言うかオリキャラが出てきます。
最低系である最強要素があります。
オリジナル設定、個人的解釈が入っています。
それでも良い、という方のお読みください。
――戦艦【紀伊】:艦橋――
敵の増援。それは考慮に入れてはいた。
しかしながらそれは敵の護衛交代ルートと、ちょっかいをかけてきた少数の襲撃範囲を考慮しての事。
今襲い掛かってきた増援は、まったく考慮に入れていなかった方角からやってきた。
一応索敵腺に入れていたが、本命を調べるために投入された偵察機の機数と比べると圧倒的に少なく。
見つからなかったのは仕方がない事でもある。
しかし寝耳に水の為一同は騒然となり、すぐさま対応しなければならない。
報告によれば偵察機を撃墜する事無く素通りし、敵が出せる最大速力でもって一直線に進撃しているという。
「おいおい・・・ハードモードすぎるだろう。」
「到着予想時刻まで、そんなにありません。」
呆れて真顔になった古賀に、「FXで有り金全部溶した人の顔」の副官が応じる。
「しかしもうすぐ射程に到着する。それでけりを付ければ!」
「装甲の厚さと強度を考えると、難しいですが?」
「FXで有り金全部溶した人の顔」になった古賀に、呆れて真顔の副官が応じる。
「戦艦全ての火力を注ぎ込む以外に無いわけだが・・・」
苦悩するが時間が無い。刻一刻と天井は下がり続けている。
真下に潜り込んでいる今でさえ圧迫感が凄いのだ。抜け出るタイミングを間違えば全滅もあり得る。
ならば、確実に敵の装甲を抉り取る策を講じなければならない。
「やはり、切れ込みを作ってもらうほかないな。
彼女等に連絡をしてくれ。作戦〔下 ノ 甲〕だとな。」
――北郷隊――
連絡を受けた北郷章香は溜息と共に【氷刻刀(ひょうこくとう)】を握りしめる。
やはりそうなったかと内心で思いつつ、隊の全てに通信を繋げた。
「第一打撃艦隊旗艦より要請が来た。作戦〔下 ノ 甲〕を行う。
当初予想されたとは状況違うが、早さが勝負の作戦であることは変わりがない。
まず、ネウロイに対して特効を持つ我々ウィッチが装甲に亀裂を入れる。
亀裂が入り次第すぐに離脱する。できれば亀裂の拡大をしたいが、よくばりは厳禁だ。
間髪入れずに戦艦が砲撃し、装甲を剥がし、剥き出しとなった核を撃破する。
以上だ。質問は?」
作戦内容を再度確認する。
大本営の参謀たちは、様々な状況を考え。なるべく簡易的に伝わる作戦を考えた。
当初予想された核の位置により上中下段に振り分けられ、甲乙丙と三段階の内容と組み合わせることで対処。
更にイレギュラーが発生する事も考えられ、その時は自由裁量で作戦を決められるようになっている。
回答を待つ章香に、下田なかがさっそく質問してきた。
『敵増援に対してはどう対処しますか?』
「弱点攻撃にあたるのは直率と旗本隊・観測班のみとする。
下田隊・佐伯隊は・・・、囮として反転する金剛型戦艦の援護だ。」
『・・・どちらを守るべき?』
「出来れば二隻とも、と言いたいところですが。」
周囲を見渡し、現在生き残っている二隻の金剛型戦艦を見る。
距離的に言えば、自分達に最も近いのは【金剛】だ。ならば守るべきは決まっている。
『わかったわ。【霧島】は狐狸部隊が守るのね?』
田中の問いに同意し、指示を実行しようとして轟音が聞こえた。
何だと確認する前に緊急連絡が入り、急いで繋げる。
通信先の相手は加藤武子。彼女らしくないくらいに大慌てで用件を伝えてきた。
「まってくれ。今通信が・・・
狐狸部隊より通信が入った。【霧島】は重巡を連れて【金剛】と合流する気のようだ。
悪いが予定変更だ。二隻とも守ってくれ。」
『・・・狐狸部隊と共同か?』
今度は旗本サエが聞いてきた。
しかし回答する北郷の言葉は困惑が浮かんでおり、彼女もよくわかっていないようだ。
965: 影響を受ける人 :2017/08/06(日) 22:16:28
「いいえ。あちらは【伊勢】【日向】が艦隊から分離し、その護衛にはいるようです。
そして亀裂を入れるメンバーに狐火隊をあてると。」
『・・・ふむ。あまり良い手とは思えんが。』
確かにそれは言えている。
【伊勢】【日向】は【山代】【若狭】同様に対空戦闘能力を強化された戦艦だ。
その対空迎撃能力は存分に発揮されているし、長門型二隻を守っていればいいと思うのだが?
「急いでいた様なので詳細は不明ですが、敵が残存戦力を集めて攻撃を仕掛けてきたようです。」
『・・・そうか。・・・仕方があるまい。』
詳細不明。一番嫌な言葉だと旗本は思う。
更に言えば。戦力分散はなるべくしない方が良いと思うが、この状況では具体的な対策は打てない。
何よりも時間が足りない。
内心で溜息を吐き、北郷がいまだに自分に対して敬語を言うのを止めない事に何とも言えない思いを抱く。
(・・・扱き過ぎたか?)
割と優しく扱ったつもりなのだがと本人は思ったが、周りから見れば十分鬼軍曹だったと指摘を受けるだろう。
チョットだけ余裕を持ちつつ、【蜂乃火砲(はちのひづつ)】に弾を装填するのだった。
――狐狸部隊:狸釜隊――
「まったく、やってくれるわね!」
加東圭子の悪態が、戦闘機動の気流にもまれて誰にも届かず消えた。
少し前まで健在だった【伊勢】の後部砲塔。そこから黒煙が上がり、必死に回避行動をとっていた。
最初に気が付いたのは加藤武子。自分能力で再集結した敵が、後方から迫ってきたのを察知し、迎撃すべく伝達。
すぐに砲塔がその方角に指向し、迎撃準備を整えた矢先のことだ。
先制したのは相手の攻撃。
気が付いたら赤い光が【伊勢】の後部砲塔二つを薙ぎ払っていた。
「え?」と思う前に砲塔が爆発し、一瞬だが艦首が浮き上がったように思う。
慌てて回避行動に入った【伊勢】を守る様に前に出たが、相手はとんでもない物を持ち込んできていたのだ。
「まさか“オカ”を引っ張ってくるなんて!」
薄暗く、透明な体をしている“オカ”を盾代わりにして突っ込んできたのだ。
“スズメバチ”の攻撃を収束し、攻撃力を高めて発射。狙いは上手くいったと言えるだろう。
彼等としても【伊勢】【日向】を含む第二打撃艦隊が最も驚異的な敵として、最優先で殲滅すべき敵として認識している。
驚異的だった対空砲火は、最も味方の損害を強いるもの。増援が来るとわかった以上、戦闘力をそぎにかかってくるのも無理はない。
姉妹艦を守るべく、【日向】が転舵した。
精密射撃が得意分野の“オカ”の砲撃。先程とは違って脅威が無い以上、ウィッチはシールドに意識を向けなければならない。
むやみに前に出れば、餌食になってしまう。
しかし転舵した【日向】の全主砲を用いた怒りの砲撃に対応できたのは、五発だけだった。
残りの砲弾はむなしく海面を叩いて、水柱を発生させる。
「なぜ・・・ 迎撃しない?」
加藤武子は、目を見開いて疑問を呟やく。今まで完璧な迎撃をしてきた敵が、迎撃をしなかった。
砲弾は確かに命中しなかった。それでも“オカ”の至近距離に落着。水柱を避ける様にして敵は一時的に散開もした。
先程までの違いと言えば・・・ “ヤマ”の砲撃を用いていない事?
「そうか。小型程度の攻撃力を纏めて、迎撃できるほどの威力維持するためには、あれ以上に分散し過ぎると照射できないのか!」
ハッとして、すぐに不敵に笑う。
そういえば、迎撃まで時間がかかっていたように思う。
「全員傾注! 敵はもう後が無い!!
迎撃も巧く行っていないし、威力を溜めるのに時間がかかっているようだ!
増援が来る前に敵を殲滅するぞ!!」
『『『『『了解!』』』』』
通信を繋げると全員からいい返事が返ってきて、同じことを察したのかのように【日向】が主砲を放った。
無論相手も迎撃するが、前方の主砲を向けられるように何とか転舵した【伊勢】が、時間差で砲撃を放ち一つの“オカ”を爆散させる。
後方にいた“スズメバチ”二体が砕け散り、カスリ当たりでも衝撃に耐えられなかった一体が海面に激突し、凄まじい音共に海面を転げて海中に没した。
だが、相手も止まらない。もう時間が無い事など知っているから。
増援が来る時間を、なんとしてでも稼がないといけない。その為なら命をかける覚悟を持って突撃してきている。
何とはなしに敵の覚悟を肌で感じ取り、銃を握る手に力がこもる。
再び【日向】が先の砲撃し、【伊勢】が時間差で攻撃。今度も“オカ”に命中したが、端に当たったらしく激しくスピンしただけに終わる。
しかしそれでも身体に罅が入った以上、もう精密射撃は出来ないだろう。
「迎え撃て!」
966: 影響を受ける人 :2017/08/06(日) 22:17:49
号令を下し、左右から包み込む様に襲いかかった。狙いは後方の“スズメバチ”。攻撃の供給源を絶てば、こちらも楽になる。
戦艦の主砲が怖いが、怖いのはいつもの事だ。とりあえず射線に入らない様にして、誘導すれば良い。
突撃している間に砲撃が来たが、チャージが間に合わなわかったのか迎撃は無い。
今度は“オカ”が二体粉砕された。一体は先程攻撃を喰らって罅がはいっているのにも可関わらず、二度目の砲撃の際に前に出て犠牲となった。
だが【伊勢】の砲撃は全て撃ち落とされ、あまりのエネルギーで数条の攻撃が襲い掛かってきたが、シールドで防げる程度。
戦艦の攻撃を優先している様であり、こちらとしては有りがたい。
狸釜隊と犬化隊が回り込むと、迎撃の為に“スズメバチ”が六体だけ向かってきた。残りの十数体はそのまま突撃して行く。
「そんな数で抑えられると・・・!?」
誰かの呟きが驚きとともに途絶えた。
突撃してきたのは“スズメバチ”だけではなかった。“オカ”も突撃してきたのだ。ウィッチに向かって。
中型サイズよりも少し大きい程度だが、巨大な物体が突撃してい来るのは恐ろしい。
だが、碌な攻撃手段を持たない“オカ”が突撃してくるというのは混乱を生み出す。
なにしろ一体ではない“すべて”の“オカ”が突撃してきたのだ。
「なんだとぉぉぉぉ!!??」
リーダーのネウロイ、“スズメバチ”はウィッチの相手などするつもりはない。もうそんな余裕などない。
速力をあげて、目の前の敵に向かって行く。
相手の対空砲火を掻い潜るべく、超低空で向かって行った。
【伊勢】【日向】は慌てて対空砲火を上げたが時すでに遅し、バラバラに散開した相手に命中弾は無い。
まさか“オカ”がこちらに向かわず、ウィッチを相手取るとは考えていなかったのが完全に裏目に出ていた。
慌てる射撃では命中など望めない。
代わりに冷静沈着なネウロイ側の攻撃が艦体を揺さぶった。
照射時間が短い連射モードと言えど、戦艦の薄い部分の装甲を貫くには十分。
爆発の衝撃により射撃を停止したい手に遠慮などない。機首を上げて短時間に、効率的に、徹底的に蹂躙する。
兵士達の悲鳴をBGMに、“スズメバチ”は二隻をフライングパスして突撃して行く。
狸釜隊と犬化隊が慌てて追撃しようとするが、“オカ”と残った“スズメバチ”がしつこく追い回しているため動けない。
更に、対空砲座を壊滅させられた二隻の救援もしなければならない。
完全にしてやれた形となった事に、武子はほぞを噛みつつも射撃を“オカ”に叩き込む。
「こちら加藤武子だ! すまない、“スズメバチ”が十体以上抜けられた!
こちらは敵に翻弄され、救援もしなければならない。そちらで何とかしてくれ!!」
味方全体に通信機に怒鳴り、心の中で悪態をつく。
そして一度だけ視線を先行していった【長門】【陸奥】に向けた。
戦艦の速力をいかに上げても、飛行している相手に対しては鈍足も良い所。
狐火隊に任せるしかない。
以上です。
【伊勢】主砲二基大破 対空砲座壊滅【日向】対空砲座壊滅 艦橋小破。
最終更新:2017年08月12日 09:29