3: ham ◆sneo5SWWRw :2017/08/07(月) 19:10:38
この作品には、
オリキャラが出てきます。
最強要素があります。
オリジナル設定があります。
個人的解釈が入っています。
個人的趣味が入っています(オイ)。
それでも良い、という方のお読みください。

注意
このお話は漫画「ワールドウィッチーズ 魔女たちの航跡雲 Contrail of Witches」の「Episode.10 アドルフィーネ・ガランド」を参考にしており、ネタバレを含みます。
ネタバレが嫌な方は見ない方がいいかもしれません。
また、若干のキャラ崩壊があります。
以上を理解し、同意した上でお読みください。



ジェットストライカーの開発 ~扶桑との交流~



1945年 ブリタニア 旧501基地


ロマーニャ方面でのネウロイの巣出現により、501が再編成した後、大陸との中継基地化している旧501基地。
その一室で、私こと、カールスラント空軍ウィッチ隊総監のアドルフィーネ・ガランドは、501隊長のミーナ・ディートリンデ・ヴィルケ中佐と会していた。
現在、開発を進めているジェットストライカーについて、試験協力の礼を兼ねた協議をするためであった。

「上のお堅いジジィどもは『金がかかる新型にメリットはあるのか?』『安定性のある旧式を揃えろ』の一点張り。
 少しは皇帝と扶桑の柔軟性を見習ってほしいものだ」
「扶桑・・・と言いますと、扶桑でもジェットを?」
「ああ。だが、あそこはジジィとは別の意味でボロクソにされたよ・・・」

4: ham ◆sneo5SWWRw :2017/08/07(月) 19:11:11
試作ジェットストライカーについては、どこから聞きつけたのか、扶桑も早くから視察などで交流があった。
私は、ある時、先のバルクホルンの試験飛行などの映像資料を交えて、扶桑の技術将校らに解説をしていた。
ジェットのすばらしさを強調し、一通り説明を終えた後、一木という技術将校が話した内容に、私は頭を殴られたかのような衝撃を受けることとなった。

『お話はよく分かりましたが・・・"現時点"でのジェットの導入は時期尚早ではないでしょうか?』
『"現時点"と言いますと、さらにストライカーの改良が必要、ということですか?』

彼らが現時点をわざとらしく強調した点からして、そうなのだろう。
たしかにジェットは試行錯誤だ。
だからと言って、長々と研究開発をしている暇はない。

『いえ、改善すべきはウィッチのほうです』
『ウィッチが?』

どういうことだ?
テストパイロットのウィッチの問題はないはずだが?
そう思った私であったが、返ってきた回答は違った。

『映像や写真を見る限り、ウィッチの服装及び武装は旧来のレシプロストライカーのままです。
 これではジェットの能力を引き出すことは到底不可能です』

そういって、一木はいくつかの資料を出してきた。

『ジェットは、どうしても高速機動による運動になりがち。
 となれば、パイロットの負担は大きいのです。
 急加速・急旋回によるによる脳内血流量低下によるブラックアウト、つまり意識を喪失する危険が高い。
 これは時として、ウィッチに死の危険をもたらします
 もし戦闘中にブラックアウトになったら、どうなりますか?
 そうでなくても飛行中にブラックアウトになってそのまま墜落したらどうなりますか?』

そう言われて、言葉を詰まらせる。
たしかに、501で試験をしたときにテストパイロットをしたバルクホルンが意識を喪失している。
あの時は、加速系の固有魔法もちが居たから助かったが、同じ奇跡が起きるわけではない。
開発担当は、リミッターをかけると言っているが、万全とは言いにくい。

『さらに、ジェットの特性からして、高速の一撃離脱先方が中心となりやすいでしょう。
 ですが、今の武装は旧来のレシプロストライカーと同じく銃を手にもってあらゆる方向に打ちかけるやり方。
 これでは、ジェットの特性を殺しています。
 模擬戦の資料を見るに、背後を取った目標に対して、体を捻って銃を向けていますが、高速機動中にこのようなことをしては、身体の負担が大きすぎます』

言われてみれば、たしかにそうだ。
あんな高速機動で身体を捻って痛みや無理を感じないわけがない。

『今後の課題はストライカーより、使用するウィッチの服装と武装の改良が必要でしょう。
 ブラックアウトを防ぐ耐Gスーツ。
 手持ちと違い、向きが固定されますが、身体を無理に捻る必要がなく、空気抵抗も減る乗り込み型ストライカーへの転換。
 これを行わなければ、ジェットに乗るウィッチたちを安全に送り出せません』

5: ham ◆sneo5SWWRw :2017/08/07(月) 19:11:57

「そんなことが・・・」

私の話を聞いたミーナは、そう言ってコーヒーに口を付けた。
私も、話をしたために、コーヒーで喉を潤す。

「年は取りたくないものだよ・・・
 あれだけジェットを推進しておきながら、戦闘スタイルは昔のまんまで考えていた。
 これでは、あのジジィどもに文句を言える立場ではないと思ったよ」

若者たちが走っていく道の余計な小石拾いくらいしてやるのが大人の仕事。
そう言った私ではあったが、自身の経験が仇となって、見落としが生じてしまっていた。
だが、私は挫けるつもりはない。
彼女らウィッチを導いていくのが、私の使命なのだから。


      • Fin

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最終更新:2017年08月12日 09:32