662: ナイ神父Mk-2 :2016/08/30(火) 20:17:11
憂鬱大陸化 入れ替わりネタ その2


アメリカの動きと武器輸出

入れ替わりによって国力と勢力圏を大きく落したアメリカであったが、連邦軍や各州の住民達はある程度残存した州に
都市ごと転移しており、失った領土を考えれば比較的被害は軽減されていた。しかし、それでも被害は甚大な物であり
4陣営間での会談でも領土を取り戻す事が出来なかったその情報は大統領の下へも齎されており、報告を聞いた大統領は
苦い顔で報告してきたモーゲンソウに詳細を聞いていた。

「つまり、現在の財務状況では厳しいと?」

「はい、現在の所は緊急事態と言うことで凌いでいますが、やはり東海岸と5大湖の半分を失った事は大きなダメージです。」

「失った物は大きいか・・・しかし、ソ連だけでなく日本と枢軸が復活した以上、下手に軍縮は出来んぞ時期を見て行わなければ
支持者を失い兼ねん。」

「しかし、此の侭行きますと遠くない内に破綻します。」

「解かっている。しかし今は方法が無いんだ仕方が無いだろう?軍備については余剰分を各国に売り払う準備は進んでいる。それに国債もな・・・
君の方でも対策案の作成を頼む」

トルーマンはモーゲンソウのそう伝えると退室を促し、この話しを断ち切った。そして、其れと入れ替わるように入って来たのは、国防長官
であるジョンソンであった。手には何やら多数の資料を持っている様子が見て取れる。

「失礼します、大統領。」

「今度は君か、忙しいな・・・」

「緊急事態ですから仕方が無いかと・・・。今回もそれに関する事なのですが、周辺諸国の兵力に関する報告が纏まりました。此れが第一次報告書です。」

そう言って手渡してきた資料には、枢軸の電波や暗号を解析した得た情報やTVを傍受した結果だと思われる少し画像の荒い写真が添付された報告書であった
トルーマンはざっと目を通すと目に付いた部分から指摘していく。

「・・・日本に付いての記載が妙に薄いが?これは調査が遅れているのか?」

「はい、現在も調査を続行しているのですが、何分元の暗号とまるで違う物を使用しているらしく、残念ながら枢軸や共産国と違い
解析が進んでいない状況です。現在は此方の世界の日本の兵器を参考にして、タイなどを通じて東南アジアから情報を収集していますが、
此方でも確認されたタイプ97やタイプ1、タイプ3等が確認されている事を考えると此方とそう変わらない兵器体系であったと推測されています。」

「此方と同じなら少なくとも日本の陸は其処まで脅威では無いのだな?」

「いえ、諜報部の推測では日本は本土占領後、此方の兵器を接収しているのではないかと言う話しも有ります。また、その証拠として
イタリアやメキシコでは我が国の軍の航空機や戦車が確認されており、状況の裏づけと成っています。」

「少なくとも戦時中の兵器は出てくる可能性が高いと?」

「少なくとも現時点で諜報部はそう判断しています。」

「ならば、下手に増えた国と事を起こすのは早計か・・・やはり、現在の友好国に戦力を提供することが優先されるな準備を急いでくれ、其れとサウスダコタ級の
再就役計画はどうなっている?」

「現在は3番艦マサチューセッツと4番艦のアラバハマでの作業がそれぞれ8月後半までサウスダコタとインディアナはその後からの開始になるので年をまたぐ
事になるかと・・・」

「こちら側の施設ではそれが限界か・・・」

その後、アメリカは余剰と成った連邦陸軍の一部を安全保障の名目の元、欧州各国やソ連、日本との前線の一つになると思われる東南アジア、新興国である
イスラエルなどに派遣、各地に有力な陸軍拠点や港湾を整備している。更に、唯一日本本土に圧力を掛けられる拠点である韓国にもM26や新型のM46を含む
有力な戦車部隊を派遣、それだけではなく北朝鮮を警戒して現地の韓国軍にも400輌近いM4中戦車が提供されて戦力を強化している。

663: ナイ神父Mk-2 :2016/08/30(火) 20:17:44
イギリスへの不審と欧州の動き

現在欧州側の西陣営最大戦力であるイギリスであるが、その内情は悲惨であった。本来、赤軍を押さえるべき壁となる筈だった欧州各国は入れ替わりによって
枢軸陣営の勢力圏になっており、数少ないベネルクス3国やポルトガルはお世辞にも強国とはいえない立ち居地であった。しかし、そんな中でもイギリスは
持ち前の交渉力を生かして北欧を西側へと引き込もうと粘り強い交渉を行っていた。しかし、その返事は芳しくなく、手に入れたのは入れ替わった欧州全体がイギリスに
対して拭い切れない不信感を持っているという情報だけであった。
そして、その情報は直ぐにダウニング10番街にいるアトリーの耳にも届いていた。

「北欧各国は此方を信用できないと?」

「少なくとも接触したフィンランドとスウェーデンではそうした返答を返されました。」

「原因はやはり向こうでの裏切りか?」

「恐らくは・・・」

「向こう政権も余計な置き土産を・・・フランスの反ナチ勢力は如何だ?」

「其方も芳しくはありません、何せ亡命政権を受け入れていた我が国もアメリカあの状況です。戦後は徹底的なレジスタンスの
洗い出しも行われましたからまともな勢力は既に・・・」

「其方もダメか・・・日本の方は如何だ?現状かなり冷静な動きをしている様だが可能性は有るか?」

「少なくともww2で敵同士だったドイツに戦略爆撃機と超弩級戦艦を渡すして此方を極めて冷静に潰しに掛かって来ている為
余程の事が無いと関係改善は難しいかと・・・」

「八方塞がりか・・・最悪の状況だがやはり此処は我が国のみで戦力を用意するしかないか・・・」

その後、アメリー内閣は対枢軸、対東側陣営を目的とした新型空母開発計画と、中止されていたライオン級戦艦の開発再開を発表、
戦力の増強を目指していく。しかし、その前に受けた外交的失敗の引きずる影響は大きく、1951年にて選挙に敗北、より対立姿勢を
強く打ち出すチャーチルが開発計画を受け継ぐ形で続け、戦力を完成させている。

イギリスが血を吐くマラソンに強制参加させられている頃、ドイツではパンターⅡ新型の開発が終わり国防軍の将校の視察が
行われている真っ最中であった。

「ほう、此れでやっと我が軍も日本の五五型に追いついたと言う事か・・・」

「はい、今回開発した105mm砲は以前採用したM26に使われていた主砲からも比較的簡素に換装可能で、現在暫定的にこの砲を搭載した機体を
パンターⅡB型と呼称しています。少なくとも試験では五五式の装甲を容易く破るだけの性能は発揮しています。」

「此れならば総統にも見せられるか・・・重戦車については?」

「現在ティーガーⅢの122mm型と128mm型を試験中です。完成するには今しばらく掛かるかと・・・」

「頼むぞ。しかし、総統も無茶を仰るあの戦時中に軍縮を行う様な出鱈目な国家と張り合うとは・・・まあ、どの道仮想敵の一つである以上
対抗できる戦力は必要なのだがな・・・それでも厄介だ、あの極東のリヴァイアサンは・・・」

ドイツ将校はそう言って空軍の試験機を視察するべく、別の工廠へと移動していった。その後、ドイツでは次回の戦勝パレードにてこの
新型戦車がベルリンで堂々と行進し、東西の陣営へとその威容を見せ付けている。

664: ナイ神父Mk-2 :2016/08/30(火) 20:18:14
朝鮮の不穏と戦闘への足音

アメリカからの各国への武器供給の開始後、韓国では李承晩が急速な軍拡へと取り組んでいた。一説に寄れば、韓国は2月からのアメリカの
武器提供から僅か、5月戦車兵を含む兵力を8万人近く増員し、数で言えば北と同等までの戦力へと拡大している。しかし、内実を見るとはっきり
言ってしまえば烏合の集もいい所であった、先ず急速に拡大した弊害として、兵士の訓練不足や弾薬の供給不足が発生しており、更に
一部の新任の部隊長が物資の横流しを行うなどが多数見られ、更に兵士達の素行の悪さも見られ、各地で問題が多発している。この状況に
一部の高級将校が軍内の綱紀粛正や軍拡の見直しを求めるも、そうした訴えを行った将校は親日派として見られ多数が予備役などに送られる
事となり、最終的には意見を言う人間は皆無となっている。

この様子は、首都から離れた所に拠点を置く在韓米軍の耳にも入っており、マッカーサーは報告を聞くたびに眉を顰めていた。

「また粛清か?今度は何処だ」

「今度は陸軍だそうです。」

「罪状は?」

「また親日罪です。」

「全く、本土の方は何を考えているのか、こんな連中にM4を与えるとは・・・」

「此処まで来るとまるで、末期のドイツか噂に聞くソ連ですね・・・」

「ふん、それだけやって引き締められるならば兎も角こっちは腐敗する一方だ、始末に終えん
それと流石に友好国をナチや赤熊に例えるのは不味いぞ、後で問題になる」

「申し訳ありませんでした。以後、気を付けます。」

「ところで、だ。聞いているか?韓国が国境付近へと戦力を集結させていると言う情報は」

「はい、しかし開戦と見るのは聊か早計では?流石にあの錬度では話しになりませんよ」

「如何だかな・・・この国の国民は毎度毎度此方の想像の斜め上を行く、やるかも知れんぞ?」

兵士の錬度等を理由に戦争は無いと言う副官の回答を聞いてもマッカーサーの持つ嫌予感は
収まる事を知らなかった。そして、史実より遅れた1950年8月、韓国陸軍は突如として
北朝鮮への進軍を開始し、此処に朝鮮戦争は開戦する事となる。

665: ナイ神父Mk-2 :2016/08/30(火) 20:19:04
以上ですWIKIへの転載は自由です。ミスした部分は削除申請をだしておきます。度々ミスをしてスイマセンでした・・・

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最終更新:2017年08月12日 10:05