617: パトラッシュ :2014/04/19(土) 09:15:10

earth様作『嗚呼、我ら地球防衛軍』と某作品のクロスオーバーのネタSSの勝手な続編PART52

シャルロット・デュノアSIDE(5)

「敵機<銀の鐘>稼動開始」
 一夏の指揮による『銀の福音』捕獲作戦は順調に推移していた。一対八のイジメに近い飽和攻撃が成功するかと思っていたところへ、オープン・チャネルから抑揚のない機械音声が響く。明らかな敵意を感じて僕はビクッとした。次の瞬間、一回転した福音は白式の零落白夜を数ミリ差で避けると大量の光の弾丸を八方に撃ち出した。
<きゃあぁ!>
<ぐっ!>
<ひゃう!>
 高密度に圧縮されたエネルギー弾丸をまともに喰らった山田先生とケイシー、サファイア両先輩が吹き飛ばされる。羽のような形のエネルギーは、僕たちがかわせたのは奇蹟的なほどの連射速度だ。これが最新鋭ISの実力か。

<先生たちは後退して! シュヴァルツェア・レーゲンは距離をとってレールカノンの準備! ブルー・ティアーズとリヴァイヴ・カスタムⅡはステルスモード攻撃に移行。甲龍はその支援だ>
<<<<了解!>>>>
 一夏の的確な指示で、まずセシリアが六機のビットを操って射撃をかける。回避した福音へ鈴の≪龍咆≫が連続砲撃を食らわし、僕がショットガンを叩き込んだ。即座に姿勢を立て直した福音は僕に襲うが、専用防御パッケージのガーデン・カーテンで光の弾丸の雨を防ぐ。
<<<そこだ(ですわ)(よ)!>>>
 ラウラの八十口径レールカノン≪ブリッツ≫とセシリアのレーザーライフル≪スターダスト・シューター≫、それに僕の≪レイン・オブ・サタディ≫と龍咆が容赦なく殴りかかる。再び福音はじわじわと消耗していった。
<今だ、『崩山』発動!>
<りょーかいっと!>
 龍咆に増設された二つの砲口が姿を現す。計四門の強力な衝撃砲をまともに浴びた福音は、爆発して海上に落下していった。

<やりましたの?>
<――まだだ!>
 先生たちを回収して近くの島へ移動させた一夏が睨んだ先で、海面が強烈な光の珠となって吹き飛んだ。球状にへこんだ海に、傷ひとつない福音が青い雷をまとってうずくまっている。
<まずい、セカンド・シフトだぞ!>
 ラウラが叫ぶと同時に、獣のように咆哮した福音は例のエネルギー弾を四方へ高密度で発射する。かろうじて一夏は避けたが、まともに浴びた僕たちは操縦機能を失った。
「わああぁ!」
 気が遠くなるほどの衝撃と同時に落ちていく僕の機体は、突然空中でキャッチされた。

<大丈夫か、シャルロット>
「え、ほ、箒なの」
 助けてくれたのは紅椿だった。なぜ彼女がここに? 僕を抱えたまま右手で刀を抜くや、追尾してきた福音のエネルギー弾を叩き落とすと速力を上げ、錐もみ状態で落下していたセシリアも救出した。ラウラと鈴を助けていた一夏が通信してくる。
<箒なのか、どうして出撃した!>
<戦うつもりはない。私でも仲間を助けるくらいはできる>
<そうか――話は後だ。シャルたちを退避させろ>
 言い捨てるや一夏は福音の前へ躍り出た。なお紅椿を攻撃しようとしていた福音は、白式を認知すると攻撃目標を切り替えた。福音が放つ大量のエネルギー弾丸が一夏に集中する。
「一夏、無茶だよ!」

 大爆発した瞬間――白式が消えた。目をこする間もなく、白式は福音の目前へワープしたかのように迫った。ラウラと戦ったときと同じく、零落白夜のエネルギー刃を大きく膨れ上がらせて。回避できない福音は、ほとんど光速で突っ込むように激突してアーマーを貫かれていた。
「うわあ……」
 空中で串刺しにされたような福音の無残な姿に思わずうめく。福音は白式に腕を伸ばして一夏の喉笛を狙うが、やがて動きが止まった。銀色の機体が消失しスーツだけになったパイロットを、白式が素早く抱きとめた。
<終わったな>
<ああ……やっとな>
「よかったけれどね……」
<どうした、シャルロット?>
 気絶したまま一夏にお姫様抱っこされている福音のパイロットが物凄くうらやましくて、僕は思わず歯ぎしりした――他に四人分も聞こえてきたが。

※戦闘指揮官としての一夏を目指しましたが、うまく書けたでしょうか。wiki掲載は自由です。

タグ:

+ タグ編集
  • タグ:
最終更新:2017年08月22日 12:42