693: パトラッシュ :2014/05/10(土) 08:13:28
織斑千冬SIDE(4)
山田君が文字通り山積みの手紙を詰めた段ボール箱を抱えてきた。
「織斑先生。各国から一夏君に、夏休みにはぜひ自国へ来てくれとの招待が殺到していますが」
「わかっている。全IS保有国があいつを招きたいと言ってきているのはな。しかし山田先生、すべて断っておいてくれ」
「いいんですか? 国際IS委員会でも一夏君をめぐって殴り合い寸前の議論が続いていると聞きますけど」
「かまわん。あいつは夏休みには向こうの世界へ帰る。いくら一夏と白式がどこの国にも所属していないとはいえ、あいつの身柄について地球連邦と戦争するわけにもいかんさ」
「はぁ、でも本当に収まるんでしょうか。一夏君が来て以来、ISを取り巻く環境は大きく変わったように感じますが」
ほう、山田君はおかしな小説ばかり読んでいると思っていたが、意外に鋭いな。ラウラのシュヴァルツェア・レーゲンとの戦いや『銀の福音』制圧戦で示した白式の強大化ぶりは、各国のIS関係者や軍事企業に衝撃を与えた。おかげで国際IS委員会には各国から一夏の関わった技術の全面開示要求が殺到しているが、ここで困ったのが一夏の立場だ。
あいつのバックについている地球防衛軍は、そもそもアラスカ条約に調印していない。一夏は何も話さないが、向こうの世界でもISに関する研究開発が進んでいるはずだ。そんな相手に対して、こちらの政治的都合を一方的に押し付けられるわけがなかった。いくら国際IS委員会で強硬意見が続出しても、実際は地球連邦政府の代表部に「ご協力を」お願いする程度しかできないのだが、すべて聞き置くだけの態度という。おかげで各国のIS委員会や政府、軍関係者は相当フラストレーションを溜め込んでいるらしい。
「まあ大丈夫だろう。一夏によればガルマン帝国やボラー連邦でさえ、地球連邦と防衛軍には一目置いているそうだ。いくら各国がわめこうがワガママは通らないさ」
「あの、そのガルマンとかボラーって何ですか?」
「どちらも銀河系の大きな部分を支配下に置く異星人の星間国家だそうだ。地球連邦政府は太陽系とその周辺を領有するだけだが、そんな大国と対等に付き合える軍事力を備えているわけだな」
「ほへー、ぎ、銀河系を支配する星間国家が実在するなんて! しかも異星人の……本当に一夏君て、ハリウッド映画もびっくりの世界にいるんですね。ちっぽけなISの問題でごちゃごちゃ言うのが馬鹿らしくなってしまいます」
同感だが、あいにく政治家や軍人はそう思わないから困るのだ。向こう側との交流が進み、その進んだ(進みすぎた)科学技術が知られるにつれて、各国は地球連邦に軍事支配されかねないとの危機感を強めている。また、女尊男卑思想が広まることで特権を享受してきた女性優先主義を唱える政党や政治団体も、その根本であるISを圧倒する軍事技術が導入されたら自分たちの既得権益を奪われるのではと恐怖している。そのため一部の狂信的女性至上主義過激派は、しばしば地球連邦の使節や公館をテロ攻撃しようとして警察が必死に取り締まっていた。
実際、すでに学園や代表部に侵入を図った奴らが何組も逮捕され、極秘に処分されてきた。連中の存在を暴露するのは政治的にまずいからな。さすがに情報機関や軍部隊はいないが、先日摘発された最新兵器を揃えたテロ集団の背後にどこぞの国がいても不思議ではない。事実、かつてISコアの入手に失敗した韓国は、束を拉致しようと軍の特殊部隊を日本へ送り込んで戦争になりかけたしな。その韓国は今になって前科を忘れたように、「植民地支配への謝罪と賠償のため、篠ノ之博士の身柄を引き渡せ」と要求してきて日本政府を呆れさせている。奴らの思考回路は理解できん。
ん、誰かの携帯電話が鳴っている――と思ったら私のか。日本のIS委員会からだと。まったく、今度は私に圧力をかけるつもりか……。
※韓国人の思考回路は「日本を永遠に侮辱し、貶め、ぼったくるためなら妄想でも捏造でも泥棒でも正義であり絶対に批判を許さず、その結果として世界から尊敬され崇め奉られたい」というところでしょう。ひと言でいえば「メンヘラ民族」ですか。Wiki掲載は自由です。
最終更新:2017年08月22日 13:26