315: パトラッシュ :2015/02/14(土) 10:45:29

earth様作『嗚呼、我ら地球防衛軍』と某作品のクロスオーバーのネタSSの勝手な続編PART64

ロシア連邦安全保障会議書記SIDE

「日本政府からフクシマ原発の放射能が完全に消えたとの正式発表がありました」
 外相が報告すると、クレムリンの会議室は静まり返った。突然現われて空中に飛ぶ巨大戦艦に続き、放射能を完全に除去する恐るべき技術力まで見せつけられ、椅子から転げ落ちていた参謀総長がようやく立ち上がる。私も呆然としていたかったが、立場上そうもいかない。

「大統領、議員の皆さん。我々は地球連邦軍の恐るべき力を確認しました。この先ロシアがいかに彼らと対していくか、忌憚ないご意見を――」
「ご意見も何も、お手上げではないか。ISを全機積み上げようと、あのヤマトとかいう宇宙戦艦一隻に対抗する手段にはならんぞ!」遠慮という言葉を知らない連邦下院議長が怒号した。「国防相、わしの言い分が間違っておるかね?」
「……遺憾ながら。今回の一件は自分たちに逆らうなという、地球連邦側の強烈な砲艦外交です」
「つまり我々は事実上、彼らの支配下に入ったと言われるのですか?」
 内相の悲痛な問いに、全員が再び絶句した。かつての米ソ冷戦時代、旧ソビエト連邦も一方の雄たり得たが、今回はわずかな優位性すらない現実を突きつけられたのだから。ざわつく室内でCBP(対外情報庁)長官が手を挙げた。
「彼らに何も言えないという意味ではその通りです。ただ地球連邦側は、おそらくロシアはじめ各国の内政に干渉するつもりはないでしょう」
「長官、そう断言する根拠は?」
「はい、国防相。地球連邦は異星人との戦争で人口の過半を失っており、こちらを自国領とする余裕はありません。しかも向こう側の世界は銀河を始め宇宙各地に異星人国家を抱え、常に戦争状態にあるのは間違いない状況です。従って彼らが私たちに求めるのは、問題を起こさず必要な物資を入手する拠点でいろというところでしょう」
「こちらの面倒など見られないから静かにしていろと? 舐められたものだな」
「その通りです、非常事態相。世界のどの国にも先進技術を供与せず、本物の戦争にもならず平和に発展していく世界こそ彼らにとって望ましいのでは。下院議長の申された通り、我々には何ら対抗手段がないのですから」

 参加者たちは無言で考え込んだ。やがて大統領が頷いた。
「諸君、私もCBP長官の分析に同意する。残念だが我々と彼らでは軍事力に差がありすぎる。世界は核の傘ならぬ地球連邦の傘に覆われてしまったのだ。ならばロシアとしては、いっそうの科学力と軍事力の発展を促す一方で、自分たちは地球連邦に対抗できると信じた韓国のような愚かな国家やテロリストを黙らせる役割が必要になると思う。テロや戦争の予防は彼らにも望ましいだろうからな」
「……なるほど大統領、新たな世界秩序下でロシアが世界の警察官として振る舞うわけですか」
「その通りだよ首相。責任は彼らに、果実はわれらにだ」
「おそらくアメリカや中国、欧州各国も同じ結論に達しているでしょう。最初から低姿勢外交で一貫した日本が、原発災害からの脱出という大きな果実を得たのです。まずはロシアが先頭に立って、コスモリバースシステムを奪おうとしたウクライナを叱ってやらねば」
「うむ。ISを持たぬかの国は、わがロシアにクリミアを奪回されたことに焦って、韓国と同じく地球連邦に対し居丈高に振る舞う愚を犯した。そうした態度はよくないと〝忠告〟しよう」「同時にIS以上の軍事技術の存在を宣伝し、力をつけてきた女性至上主義派の暴走を押さえる必要もあります。また、地球連邦との交易を強化し、わが国と貿易協定を締結できればよろしいかと」
「そうだな。他に考えがあれば聞こう――」
 ようやく議論が建設的に進みだし、ひと息ついて大型テレビ画面を見た私は目を疑った。太平洋方面から数機の影が巨大戦艦へ急速接近しつつある。あれは……。
「だ、大統領、複数の所属不明のISが、ヤマトを攻撃しようと突進しています!」

※お久しぶりです。半年以上も休んでしまってすみません。プライベートで天国と地獄を味わってしまい、しばらくは仕事にも支障をきたす有様だったので。リハビリかたがた再開しましたが、以前のように週一ペースは無理かもしれませんが、終わりまでの構想はできているので何とか完結させたいと思います。お見限りないようお願いします。

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最終更新:2017年08月27日 09:43