582: パトラッシュ :2015/05/31(日) 15:13:19
earth様作『
嗚呼、我ら地球防衛軍』と某作品のクロスオーバーのネタSSの勝手な続編PART66
亡国機業スコールSIDE
<目標はヤマトだ! あいつを占拠して地球連邦の軍事技術を奪えば、もう怖いものはない。我々女性の支配する世界をつくるぞ!>
米軍特殊部隊「アンネイムド」の隊長が叫ぶと、他のISパイロットも「男どもを叩き潰せ!」と一斉に怒号を返す。熱狂して突き進む連中を慌てて追う私のもとへ、オータムから通信が入った。
<おいスコール、あの連中まともな軍人なのか? せっかく第七艦隊のミサイル攻撃艦をジャックしてヤマトに不意打ちをかけようとしたのに先走りやがって>
「筋金入りの女性至上主義者ばかりだからな。ISの力だけでヤマトを倒せば、自分たちが世界の頂点に立てると意気込んでやがる。まあ、そうでなければウチの勧誘に応じないが」
これまでも地球防衛軍が保有する科学技術を奪おうと、一部の女性至上主義者やイスラム原理主義過激派がしばしば連邦代表部や織斑一夏を筆頭とする関係者を襲撃していたが、われわれ亡国機業はずっと静観してきた。日本政府がメンツにかけて取り締まっていたし、暴走する連中への対応を見て情報を得る狙いもあった。しかし今回ばかりは、文字通り地球連邦側の最新技術の塊とあって見逃せるわけがない。女性至上主義に洗脳されたISパイロットに「ここで地球連邦軍を倒さなければ、再び男が威張りくさる時代に逆戻りだ」と呼びかけた「地球防衛軍艦強奪作戦」に、ほとんどが二つ返事で承諾し、ラファール・リヴァイヴ・カスタムⅢ、ファング・クエイクⅡ、シュバルツェア・ツヴァイク、グストーイ・トゥマン・モスクヴェ改、新甲龍、ヘル・ハウンドver3などの最新鋭機を駆って軍から脱走してきたのだ。
自分たちを含めて総勢二十五機のISに攻撃されたらひとたまりもなかろうと、作戦すら無視して突撃する。図体がデカいだけの戦艦なんぞ、これだけの数のISの敵ではないと思い込んでいるのだ。まあ確かに空母ならともかく、時代遅れの大艦巨砲主義なんてと私たちも侮っていたのだが――。
突然、ヤマトの艦体が薄い金色の光に包まれる。攻撃側ISの放った砲弾や光線すべてがあっさり弾かれて消え去った。
<な、なんだありゃ?>
<バリアーだぜ! 戦艦防衛用まで持っているとは!>
<くそ、態勢を立て直せ! 組織的攻撃に移るぞ!>
慌てて距離をとろうとするところへ、両舷の対空砲から大量のレーザービームが襲いかかった。絶対防御で防げる程度だが、目も開けていられない分厚い弾幕だ。ようやく全機後退してヤマトを見たとき、思いがけない光景に絶句してしまった。
<お、おい、ありゃあ……>
<くそ、ヤマトのISかよ!>
いつの間にか、ヤマトを守るようにグリーンに塗装された全身装甲型のISが展開している。ざっと数えただけで百機以上はあった。さすがに青くなって急ぎオータムを呼び出す。
「おい、地球防衛軍にISが中隊規模もあるなんて聞いてないぞ!」
<篠ノ之博士がコアを提供した情報もない。とすれば連中がコアを解析して作り出せたのか?>
「撤退だ! 五倍近い数に対抗できるかよ」
オータムも同意したので全員に連絡しようとしたところへ、信じられない通信が割り込んできた。
<オラオラ嬢ちゃんたちよ、尻尾巻いて逃げるのかよ!>
<女が男より優れているだなんて、よくほざけるな>
<所詮、女なんてその程度か>
お、男の声? しかも前方に展開するISからだ。織斑一夏以外にISに乗れる男がこんなにいるのか? 驚くより先に、ドイツ国家代表が<何だと!>と吠える叫びが通信系に満ちた。
<男の分際で神聖なISを汚すとは!>
<ここで逃げたら男に支配されてしまうぞ! 何としても叩きのめせ!>
しまった、あっさり挑発に乗った馬鹿が、狂乱して男たちのISに突進していく。自分だけでも脱出しようとしたが、すでに敵ISが包囲を狭めていた。く、こいつらの網から逃げ出せるのか……。
※また遅れてすみません。最近ストレスがひどくて、パソコンの前に座っても文章が書けない有様です。先日は気分転換を兼ねて、美輪明宏さん主演の舞台『黒蜥蜴』を観てきましたが、あの妖しい美しさと怖いほどの迫力には圧倒されてしまいました。高倉健よりも美輪さんに文化勲章をと叫びたいです。Wiki掲載は自由です。
最終更新:2017年08月27日 09:46