343: ナイ神父Mk-2 :2017/08/30(水) 23:01:06
大陸SEED ゲート編 その13
連合の動きとザフトの予定外
ザフト、一部連合国のロゴスの暴露は当のロゴスからの妨害も無く予定通りの結果を進んだ。しかし、国民の制御まで出来たわけでは無く、不満の捌け口を求めていた民衆にロゴスと言う敵を与えることに成った事で民衆の反ロゴス感情は一気に爆発した。特に大統領がロゴスの存在を肯定した大西洋連邦では暴徒化した市民がロゴスと目される資産家や企業家を襲撃、中には復興用に州政府が購入していた非武装のダガーや作業用の改修が成されていたレイスタを持ち出した人間も居り、企業の重役などの其れなりに警備が成されていた人間にも屋敷ごと崩される等によって多数の死者が出ている。
この民衆の制御出来ない暴走に対して各州は政府に救援を求め、陸軍が各州へと派遣される事に成る。しかし、先の戦闘で数万人規模の兵力を失った損害も大きく、大西洋連邦陸軍は活動鈍化させざるを得なく成っていく。其れと同時に、此処までの事態を引き起こした大統領含む現政権に対しては与野党共に猛反発を起こして大統領を追及、更にそうした与党の動きに際してパナマを初めとした親ロゴス系の将官が司令を勤める基地の司令官が大統領からの指令を黙殺した事によって国内の混乱は加速していく。そして、その煽りを受けて想定外の状況と成って居るのがザフトであった。
「つまり、部隊は出せないと?」
『正確には空母含む1個艦隊が限界だ、パナマが親ロゴスで有る以上下手に艦隊は動かせない・・・』
ロゴスの立て込もるヘブンズベース攻略の為の連合軍派遣の要請を送ったデュランダルに対してコープランド大統領はそう渋い顔で返答する。その返答を予想していなかったのか?デュランダルは一瞬言葉を詰らせた。
「東アジアに関しては如何なのですか?あちらでも一定の海軍は有している筈ですが・・・」
『其方に関しても自国を空にする訳には行かない以上2個艦隊が限界だ』
「計3個艦隊・・・判断できる範囲でヘブンズベースに逃げ込んだ戦力を考えれば此方が不利ですか・・・」
デュランダルのその言葉に大統領は首を振ると、通信しているモニターに対してある資料を表示する。其れはデュランダルにとってはある意味凶報に近い物だった。
「?此れは・・・連合軍の戦力配備の資料ですか?」
『その通りだ戦力特に海上・空中戦力に関しては欧州が間近に有ると言うことで増強されていた。MAや艦艇に関しても相当量が増強されている。其れを含めれば海上に展開される部隊だけで5個艦隊に相当する戦力が待ち構えている。』
「しかし、我々の戦力だけでは・・・」
『・・・』
デュランダルのその言葉に大統領は少しの間沈黙するが、やがて意を決した様にデュランダルの対してある情報を告げる。
『・・・此処だけの情報では有るが、東アジアでは現書記長の責任を追及する動きがある。同じく我が国でもな・・・此の侭行けばそう遠くない内に私含めた政権も弾劾される可能性もあり得る。そうすれば次に来るのはブルーコスモスに忠実な大統領だ・・・
そうなれば君達も困るのでは無いかね?』
「それは・・・」
コープランドからのその言葉に、今度はデュランダルが沈黙する番だった、欧州では形式上は勝利したとは言え太平洋一帯からたたき出され、欧州義勇軍が中心だったとは言え、地上軍にも無視できない被害が出た事は事実で有った。此れまでの打撃によって現状ではザフト最早連合の再度の攻撃を凌げるかはわからない状態だったので有る。その為、事実上デュランダルに選択の余地は無く、コープランド大統領へたザフト地上軍の大幅な戦力派遣を約束する事となる。
344: ナイ神父Mk-2 :2017/08/30(水) 23:01:42
ミハシラの選択とオーブ
連合とザフトのTOP達が己のせいとは言え悲壮な覚悟を持たざるを得なくなっている頃、何とか本国まで帰還できたユウナの元にも有る報告がサハクから届けられていた。
『単刀直入に言う、我々はこの衛星軌道上から退避する。』
「又急だねえ・・・理由はやっぱり地球連合の混乱かい?」
『其れも有るが・・・今回の混乱、前大戦同様にオーブも無関係では有るまい?』
「まあ、そうだねえ・・・」
サハクの言葉にユウナは言葉を濁らせるが、サハクは気にせず話を続ける。
『オーブの復興面での支援や今後の交易事を出されて保護を求められれば拒否はできんだろ?』
「この国の財政は結局交易での利益だからね・・・其処を出された断り切れないなあ・・・」
『その為の対策だ、此方の国家が何処も混乱して対応出来ない以上は我々で遣るしか有るまい?』
「けど、肝心の場所は如何するんだい?」
そうしたユウナの疑問に対してサハクは既に予想していたのか、顔色一つ変えずに其れに対して言葉を返す。
『それに付いては既に連合やザフト交渉済みだ、ゲートの有るL1に比較的近いラグランジュポイントであるL2にコロニーの建設や輸送の準備を進めている。』
「輸送と言う事は放棄されたコロニーを使うのかい?」
『それだけでなく、向うの連合へと依頼する。』
サハクのその言葉は流石に予想外で有ったのか、ユウナは画面へと向けて目を丸くして驚いている。
「それ、大丈夫なのかい?」
『問題は無い、国際条約でも規制は受けて居ない以上は咎められる謂れはない、それに難民の保護も行うからな』
「気をつけてくれよ、僕等より先に君等が責められたら意味が無いんだからな・・・」
『解っているさ・・・』
サハクは画面の向うでそう軽く微笑むと通信を通信は切れ画面も消えた、ユウナは通信が切れたことを確認するとゆっくりと椅子へと身体を預けて窓の外に見えるオーブの町並みを、そしてその上に浮かぶアメノミハシラを考えながら此れからの事に思いを馳せていた。
その後、サハクの依頼したコロニー建設は無事に成功し、オーブの避難民を大型のコロニーへ多数避難させる事へ成功している。
345: ナイ神父Mk-2 :2017/08/30(水) 23:02:13
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最終更新:2017年09月02日 09:09