535: ナハト :2017/08/27(日) 15:57:17
私は今日とある喫茶店を訪れた。
ここの喫茶店は海軍御用達でコーヒーが美味しいという評判であるが
もう一つの目的があった。
それは・・・
「いらっしゃいませー」
「こんにちは、以前お電話をしていただいた、記者の者ですがマスターにお話をお伺いに来ました」
「あ、はい、話は伺っております。てんちょー!来ましたよー!!」
「はいはい」
店の奥から一人の老人の方が出てきた。この人こそ
「あなたが、最も多くの人を救助したウィッチですね?」
「よしてくれ、私はやれることをやっただけだ。そんなのは結果でしかない。
その結果が欲しくて頑張ったんじゃない。それに特別なことはしてない」
とおっしゃった。
それから詳しいお話を聞くことになった。
私は元々導術士学校出身で、航空ウィッチにはなれたものの
端的に言えば落ちこぼれと言っても良かった
固有魔法無し、射撃も戦闘術も平凡以下、指揮も駄目とダメダメ尽くしで唯一他人よりも良かったのは毎日走り込みしたお蔭で体力が人一倍あった事だけだった。
そのため、卒業したら第一線の前線部隊じゃなくて、長距離偵察ウィッチとして後方任務に就いた。
私はウラル方面で配置となり、二、三日に一回の割合で哨戒任務に出撃していましたが
いつも見える光景は寒々しい砂の大地砂漠ばっかりでした。
同期の者達が欧州の怪異で大戦果を上げてるのを羨ましく思いながら、哨戒をしていたのですが
ある日の事でした。
私が何時もの通りに砂漠へと出撃をして、監視任務を就いていたのですが、いつもと違う事に気が付きました。
よく見れば、大地に黒い塊がうごめいていました。
私は直感的に
「怪異を発見!!」
と司令部に報告を入れました。
これが、扶桑海事変において始めて怪異を目撃した扶桑人となったのです
その後も詳しい報告を続けたのですが、まさしく大地が3、黒が7、という異様な光景で
「まるで・・・・祭りみたい・・・・」
と呟いてしまったのです。
この言葉は無線には行ってたみたいで恥ずかしながら、名言として残ってしまいました。
本当は削除してほしいのですがねえ
ですが、この知らせをしたことで奇襲とならず、多くの兵士が準備を済ませることが出来
その被害を最小限に食い止めることが出来ました。
それから私達の偵察ウィッチは毎日出撃し
怪異を観測、もしくは砲兵の弾着観測任務などと多くの任務に従軍しました。
私がある日、偵察任務に出た帰りの事でした。
怪異と激しく戦い合っている部隊の上空に出ました
ウィッチや戦車、男性達が激しく撃って、怪異達からもお返しの砲弾・ビームと飛んできて
恥ずかしながら、綺麗な光景でしたね。例え、その光の中に人の命が消えて行くモノであっても・・・・
と、見れば少し離れたところに負傷したウィッチがいましたね。
重傷で治療を急がなければいけない状態でしたが
周りの部隊は目の前の怪異の迎撃に夢中になっているのか気づいていませんでしたね
私達の偵察ウィッチは何があっても帰って来いと命令されてましたが、私はその命令を無視して、負傷したウィッチまで行って
布で止血して、そのウィッチを背負って治療所まで運んで帰りました。
それから、任務違反したことを咎めこそしたものの、ウィッチを救助したことについてはなにも咎めはされませんでしたね
なにせ、この当時は遣欧帰還部隊・学徒出陣などがまだ無かったので、ウィッチは宝石よりも貴重だったのです
それから、偵察任務に行ってはちょくちょく負傷したウィッチを連れて帰ってきたことが続いたのでとうとう偵察任務から外されて
ウィッチ回収班に回されました。この部隊は陸戦ウィッチが主体でしたが、私が唯一の航空ウィッチとして入ったことで
その機動力を生かして馬車馬のごとく働かされ、多くの負傷したウィッチを運びました。
556: ナハト :2017/08/27(日) 23:03:12
私は体力が沢山あったことが幸いして、二人ないし三人運んでも問題なかったのが大きかったですねえ。
たまに怪異が襲われたこともありましたが、偵察任務で培った回避術によって逃げ切ることが出来ました。
そういった意味で哨戒任務に長期間任務に就いていたのは幸いでしたねえ。就いていなかったら
恐らく戦死してたんではなかろうか
印象的だったのは飯井オトメ少佐の事ですね。
飯井オトメ少佐は学生ウィッチを率いてながら多くの戦果を上げていました。
その彼女の最後に遭遇しました。
それは、たまたま飛行していた時でした。
遠くから黒煙が上がり、救援信号を拾ったので急いで向かったら
ボロボロとなった二人の航空ウィッチと遭遇しました
二人ともボロボロで壊れかけの機関銃と刀を持っていました。
思わず、私が二人の側にいて、回収をしようとしたんですが
「お前、回収班か?」
「は・・・はい!そうです!お二人ともケガが酷いです!今すぐ回復を!!」
「そうか・・・・頼みがある!私は今学徒兵を逃している。そして、ここで奴らを食い止めている!
頼む!ミチルをしっかりと連れて帰ってくれ!」
「しかし!あなたは酷い怪我をしてます!どうか!今すぐ帰還を!」
「ムリだ。見ろ。奴らが別の応援を呼んできたぞ。この数では回収班と言えども無傷はいかんだろ
行け!!私はここを食い止める!学徒兵たちを連れて早く逃げろ!!」
「う・・・・うわああああーーーーー!!」
私はそこから逃げるように引き返しましたね。
学徒兵の所に急ぐと別のウィッチが回収したそうで、飯井オトメ少佐の所へ戻ろうと応援を呼んで向かったのですが
二人の姿はありませんでした。遺体もビームなどで消滅してしまったのか見つかることはありませんでした。
私はその時は丸腰だったんでどうすることも出来なかったんですが、なにかしら出来たんでは・・・と今でも思います。
飯井オトメ少佐が命を懸けて守った、学徒兵も二人だけ生存し、一人は重傷で退役し、もう一人は回復した後にオニグモ戦で戦死したと聞きました。
それから、地獄の一週間、オニグモ戦、第二次扶桑海海戦と激戦を潜り
多くのウィッチを救助してきて、扶桑海事変終結後に多くのウィッチを救った功績から
勲章授与と陛下拝謁をいたしました。
それから欧州で本格的な怪異の攻勢によって、第二次ネウロイ大戦が開戦し
私も遣欧部隊の一員となってリバウに配属されてそこでもいつもと同じようにウィッチを回収をしましたが
ネウロイ大戦終結前に上がりを迎え、軍を退役し、幼馴染と結婚し、喫茶店を立ち上げて今に至ります。
ね。特別な事をしてないでしょ?
537: ナハト :2017/08/27(日) 15:58:31
終わり
こういうウィッチもいたのではと思いました。
後、一年くらい放置して申し訳ありません。(ほかのssも書いてますので)
最終更新:2017年09月16日 12:56