926: ひゅうが :2017/09/18(月) 05:54:28
神崎島ネタが進まない…
そのかわり、HDDを漁っていたら出てきた、10年くらい前に書いたネタをば投下。
おそらく某関白モノを読んで妙な影響を受けた結果生まれたやつ…だと思います。

927: ひゅうが :2017/09/18(月) 05:55:35

――「どっかの架空戦記ネタ(未完)」



やべえ。
やべえよ。

目の前じゃなんだかちじれた髪の毛をしたでっかい人(金色に光ってる)が「あとは頼みましたよ。」とか言っているし、正直こんな面倒はごめんだ。

だいたいいきなり四川のミサイル基地にパラシュート降下させといて技官の俺だけ残って自爆させられるし、米軍のやつらも「サムライに敬礼!」とか煽っておいて逃げ場ないもんなぁ。
失敗したら東京なくなるし。

そんでボタン押したらこんなとこに来てたし。

周囲は猿っぽい毛むくじゃらが骨もってぽかぽか殴っているのからなんだか塩まいている半裸の皆さんとローマっぽい連中やら、塹壕に黄色い煙が流れていったり、ドームの上でピカっとなにかが光っているような光景がた~くさん。

何だか展開が読めてきたので現実逃避中です。
その上から金色のでっかい顔が出てきたところで確定みたいなもんですが。

くそう。
荒巻先生、居村先生のあれはフィクションじゃなかったのですね。




「聞いているのですか?」

ああ、はいはい。聞いてますよ。ええ~と。かみさま?

「仏様です!まったく。あなたみたいな信徒が増えるから私も残業が増えるんです。」

仕事ってそういうものだろ?
俺も上司にはよく泣かされたよ。
キャリアの連中こっちの苦労なんかお構いなしだもんなぁ。

「・・・ええ。公務員はつらい・・・って、何言わせるんですか!」

ははは。怒るな怒るな。
禿げるぞ。
で。何やれって?

「やっぱり聞いてないじゃないですか!もう・・自分で確かめてください!」

え?ちょ。おま・・・待てまてマテこの

「いってらっさーい。」

このひとごろし~!

俺は、いきなり真下に空いた穴におっことされながら、自称阿弥陀如来だとかいうオカマ「地獄へ送りますよ」すみません、ナイスミドルに叫びながらそう叫んでいた。


「とりあえず100年ばかりよろしくお願いしますね~。寿命の心配はしなくていいですから~。」


ふざけんな!
あんなリアル火葬な世界に送られるのは勘弁!

かの「紺碧」世界に飽きたから歴史を変えろって?
知るか!
歴史が、神様連中が見る連ドラだって以上にたちが悪い冗談だ!


「あ。送り先の時間間違えた。ま、いっか。」

コラコラコラ!

928: ひゅうが :2017/09/18(月) 05:56:24


――西暦1881(明冶14)年12月2日 新潟県 長岡市


おぎゃああああっ!

あ~。
転生もののテンプレは知ってるさ。

米中のどつき合いに巻き込まれて死んだ防衛研究所出身の自衛官がこんなところに、ま、文句はないけどな。

戦争なんぞマジ勘弁だ。

気がついたら赤ん坊でした。
なんてのは四川のミサイル基地で自爆ボタン押すよりも幾分マシだね。



「でかした!峯子!ともかくでかした!」

「元気な女子じゃあよ。貞吉。でかした!」

目の前で髷を結った若い男が何度も頷いている。
その後ろではいかにも隠居の老人らしい人物が涙ぐんでいる。
まるっきり江戸時代だ。

意外にいい両親のようだし、そこそこいいとこの武士の家か?これはのんびり――

「本当によかった。」

「高野の家は子沢山じゃが、なあに、まだまだ先はある。縁談はこの七左衛門に任せい!」

ん?
貞吉?
峯子?

高野?

まさか――


「おぎゃあああああっ!」

「おお。覇気が強いの。これは越後、いや帝国一の女傑になるやもしれん。」

「父上。早すぎますよ。」


じょ、冗談じゃない!
越後長岡、高野。それに貞吉だって?
なんでそんなややこしいところに!

てか、なんでTSしてんの!?




ひょっとしてあれか?

ここってあのGF長官の実家!?

生き残ってもわが弟の実家だからってことで空襲でやばい!




かくして、俺は・・・いや、私は越後長岡藩士 高野貞吉の長女 八千代として生を受けた。
      • 「明冶(めいや)」の日本に。

弟、高野五十六、後の山本五十六が生まれるまであと3年。
本当、勘弁してくれ・・・。

929: ひゅうが :2017/09/18(月) 05:56:56

第1話 高野八千代の憂鬱


――西暦1894(明冶26)年1月 帝都 東京


「主任~。そこ配管から漏れてますよ~。」

「なら早く塞げ!圧力容器がパーになる!」

俺、いや私は、のんびりと大型圧力容器の耐圧試験を見守っている弟子を怒鳴りつけた。
レンガ造りの室内に、野次馬(というか軍医ども)の笑い声が響いてきた。

「鈴木く~ん。もうやめたらどうだね?」

「そうだぞ。オリザニンなど空想の産物。まして空気から窒素を固定するなど、できるわけがないじゃないか!これだから賊軍は。」

文学者がたいていは性格破綻者だってことを忘れていたぜ。
この、野次馬の中心になってはやしたてているのは、陸軍の軍医を代表してこの実験を見にやってきている森林太郎。

腐れ縁のような弟子――鈴木梅太郎はポリポリと頭を掻いている。


おのれ・・・森歐外!
神仏分離を主導した総長といっしょに予算を削るだけでは飽き足らず賊軍ときたか!
もう「舞姫」なんて読んでやらん!
エリスさん呼ぶぞ!

いくら一等軍医正(大佐)だからってこれはないんじゃないか!?


せっかく原子モデルといっしょにハーバー・ボッシュ法と農学革新に手を貸しているのに。


ここは、代々木にある東京帝国大学 特別別館。
お隣が陸軍の代々木練兵場(後の代々木公園)というしごく物騒な場所。
その隅の方にあるレンガ造りの建物の中で白衣の男性たちに混じって少女が動き回っているのはかなり異様な光景だろう。

      • しかも薩摩っぽい人たちには睨まれているし。

ああそうか。
あの人たち男尊女卑の権化みたいな風土がすぐ北にあるしなぁ。

930: ひゅうが :2017/09/18(月) 05:57:28
現実逃避をしかけながら私は今までのよく分かんない道のりを思い返していた。




(少女時代)

いやあ・・・苦労した。
よくよく考えてみれば米軍の長岡空襲で親兄弟を逃がせばいいし、ここが「紺碧」世界だったら本土空襲なんて第2巻あたり以外はヨルムンガンドっていうドイツ爆撃機以外にはないしなぁ。
そんなわけでマタ~リ過ごしていようと思っていたわけ。

でもね。
忘れてた。

越後長岡は北越戦争の賊軍。
柏崎県だったり新潟県だったりよくわからんけどぶっちゃけ予算が足りません!
士族恩給も切れた後だしぶっちゃけわが高野家は予算不足なわけです。

とりあえず家業の手伝いをしようとしたけど・・・・うん。無理。
ちゃっかり県庁につとめているし。

早く嫁行けという雰囲気ありありですよ。
でもねぇ。私は(心は)男だ!


どっかに巫女にでもいこうかと思ったけど、無理でした。
官幣社制って分かる?
伊勢神宮を頂点に神社も中央集権体制に入っちゃったから賊軍の家では肩身が狭いわけ。
仕方ないからおとなしく尋常小学校行きました。

でもさぁ。
教師がムカつく!
ことあるごとに「賊軍」だもの。
お前ら何様?ああ教師様ね?

しかも体罰上等よ。

武士に何か恨みがある人だったようだけど裸足のゲ○なみのこと(そろばんの上に座らされるって・・・世代が分かるか?)をやられたら本気で頭くる。
だから英語でやりこめてやった。

教師がキレて殺されそうになったけど。


ま、校長がとりなしてくれて何とかなったけど・・・家ではもう腫れもの扱いになるし、仲の良かった級友も遠巻きに見つめてくれちゃって。
その後はお決まりのコース。いじめ上等! 教師公認だぜ!

投げられた石をよけながらどーしたもんか。
と思ってたら・・・ウホッ!いい男!


「高野くん。どうかしたのかね?」

ああ・・いえ。何でもないです。勝閣下。

      • 体に引っ張られているのかなぁ。腐のつく女子じゃないはずなんだけど。

931: ひゅうが :2017/09/18(月) 05:57:59


Side 勝海舟


青焼き図面を手に一回り以上大きい白衣の集団に指示を出し続けている少女――高野八千代を勝は頼もしげな目で見つめていた。

彼女を東京へ呼ぶことができたのは望外の収穫だった。

枢密顧問官だ伯爵だなどといわれてはいるが、旧幕臣の自分たちの風当たりは強い。
せいぜいが新政府の犬として諸国をめぐることぐらいしかできない・・・と思いながらも日本海岸を北へ。北へ。

窮屈な馬車に乗りつかれた勝は長岡のあたりで休息していた。

「このあたりはあのころと変わらぬな。」

思い出すかつての日々。
今の時代を動かす原動力になったあの情熱に憑かれて走り続けた。

あの頃の仲間はほとんど絶えた。
坂本くんも京都で死んだ。

もう自分は退場すべきなのだろう。

だが、まだやらねば。
そうでなければ新政府は本当に薩長の傀儡になってしまう。
そんなときだった。

『イキがってんじゃねえよ。ふにゃマラ野郎ども。貴様らのしょぼいイチモツなんぞ皮はいでちょん切ってやる。それが嫌なら家でジジババ相手にファックしてろ。』

「なに言ってんのか分かんねぇって言っているだろ!」

耳を疑った。
すぐそばで聞こえてきたのはまごうことなき英語。
それもかなりうまく、そしてこの上もなく下品なものだった。

『だいたい四民平等なんて言葉に騙されて自分が偉くなったような気でいるな。マルクスじゃあるまいに。』

間違いなく急所を狙って打ち出される一撃や投石をひょいひょいよけ続け、
キングスイングリッシュで相手を罵倒し続ける幼女に、勝は出会った。




「ああ~。すいません。みっともないところを。」

「かまわんよ。ええ――」

「あ。八千代です。高野八千代。ま、しがない武家の三女です。」

なるほど。と勝は思った。
北越の戦で敗れた長岡藩はお取りつぶしになった。
大かたそれに加えて四民平等の掛け声があわさって勘違いした人間を生んだのだろう。憲法発布を絹布の半被と間違える人間が多かったように。

「そうか。それがし――いや私は勝というものだ。ま。しがない元幕臣だよ。」

「へ!? 勝安房守海舟?あの元軍艦奉行で坂本竜馬の師匠の?」

「く・・・詳しいな。」
勝は苦笑した。

目の前の幼女はまだ6つか7つだろうに。
その年でこの内容とは・・・もしや警察の密偵か?

と警戒していると、幼女はブツブツと何かをつぶやいているようだ。
「死亡フラグ」だの「このままだと」だの。
全く何なのだ?


『勝枢密院顧問官殿。失礼いたしました。』

また、英語だ。
唐突にこちらに向けて直立不動になった彼女はイヤミなくらいに正確なキングスイングリッシュでこちらに向けて話し始めた。

『日本の未来について少しお話があります。』

932: ひゅうが :2017/09/18(月) 05:58:36


Side 八千代


ふふ。
あの時勝海舟が長岡にいたとは驚きだったけど、ま、一か八かの賭けに勝ってよかった。
とはいっても私の素性をそのまま言っただけだけど!
戦史研の職員にかけひきを求められても困るけど、あの時は必死だったんだろうなぁ。
いいかげんあのイジメはうざったかったし。

おかげで勝先生の後援で東大予備門入学!
この時代じゃ女性の入学禁止とかまだ成文化されてないもんね!

ふふふ。
日本の義務教育を舐めるなよ?
防大出の俺――私には英語数学どんと来い!チート万歳!

自衛隊じゃ日米安保の立場上、英語できないと話にならんのよね。


これで少し「使える」人材であることを示せばお嫁に行かずになんとかなるはず!
ついでに日本の発展にも貢献。
うん。これも形を変えた国際貢献だネ!


そんなことを考えながらのんびりすごしていたら

「お主のいたころには上下水道も完備していたのだろう?」

そうですね~。普及率80パーセントを超えていましたよ?

「ほう。ならばどうやって作物に使う肥料を作っていたのだ?堆肥はほとんどないのだろう?」

ええと・・・空中の窒素を固定してアンモニアあたりから化学肥料を作っていました。
これだと火薬も作れますから――

「空気から火薬を、だと!?」

え。ええ。
ハーバー・ボッシュ法って言いまして――

933: ひゅうが :2017/09/18(月) 06:01:50
【あとがき】――恥さらしもの。日付は10年ばかり前なんで、まだ先生の言葉を江戸ことばのべらんめぇ調にできてなかったり、日本の工作技術精度を高める工夫をせずに王道に走っていたりします。
もうこの頃の勢いのまんまに話を展開させる力はないなぁ…と。
ご笑納くだされば幸いです。

続き?あるわけない(爆)
ほかには田沼時代に転生させて日本をチートにするネタのメモとかありましたけど、某ヒャッハー世界というその道の完成系が生まれた今は書く気が起きないという…

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最終更新:2017年09月21日 15:43