316: 陣龍 :2017/10/10(火) 00:08:38
注意☆今回の投稿は完全なる別世界の話になります。結末等は一切変化が有りませんが、艦魂によるものと
なります。駄目な方は視聴をおやめくださると幸いです


『駆逐艦吹雪 日誌』

×月〇日

駆逐艦の吹雪です。今日から個人的に日誌をつける事にしました。…初めて日誌を付けようとすると、出だしを如何すれば良いか分からなくなっちゃいますね。

先日のブナ沖海戦で私は敵艦に近付き過ぎて大破してしまいましたが、航行能力は生きていたので何とか脱出する事に成功しました。…古鷹さんが、敵艦隊を
食い止めてくれていたから、なのですが。帰投した後、青葉さんが嗚咽を噛み殺して私や海戦で生き残った娘達に謝って来ましたが…冷たい物良いになって
しまいますけど、青葉さんが気に病んでも仕方が有りません。私達は、意志があっても乗員や誰かに伝える術は何一つ無いんですから……


▼月□日

明石さんに簡易修理して貰いましたが、やっぱり本土に戻って入渠しないとどうしようもない損傷見たいです。航行能力だけでも何とか無傷で生きていたのは
不幸中の幸いでしたけど。白雪ちゃんが心配していたけど、心配しない様に空元気で大丈夫!って言ったら怒られちゃった…

「怪我人は無理しちゃ駄目」。まあ、そうなんだけど…艦内の雰囲気が、敗戦と上層部からの叱責で暗いから、私だけでも元気でいないと。私の事が乗員の皆には
見えないのだから、意味が無いって言えばそうなんだけどね…


★月〇日

最低限の修理が完了して、本土に帰投する輸送船団の護衛任務に入る事になりました。つまりは数合わせと言ってしまえば、それまで何ですけど。白雪ちゃんたちも
心配してくれていたけど、今の所アメリカの潜水艦も余り確認されていないし、何とかなると思うよと楽観的に言ってみたら「気を付けてね」って言ってくれた。

完全な状態じゃない私が言える話じゃ無いけど、白雪ちゃんの方も気を付けてね。


▲月◆日

心配していた潜水艦の襲撃も無く、全艦無事に本土へと帰投出来ました。私は他の娘とは別に、殆ど間を置かずに入渠しちゃったけど…。乗員の一部は入れ替えに
なるそうで、艦長も新しい人に変わるそうです。どんな人なんだろう…?

そういえば、輸送船団の中にアメリカの駆逐艦が居たっけ。フレッチャー級駆逐艦のド・ヘイヴンって名前の。私達とは何も話そうとはしてくれなかったけど、たった一隻で
敵軍の中に囚われるのって、一体どんな気持ちなんだろうな……


△月◎日

……白雪ちゃんが沈んだ。その知らせを聞いたのは、横須賀で修理するついでに、新しい探信儀や電探、それと酸素魚雷を私をテストベッドとして改修搭載している
最中だった。原因は、無理な強行輸送と対空戦力不足のまま航空攻撃を受けたから。白雪ちゃんだけでなく、村雨ちゃんや朝潮ちゃんたちも沈められた。

戦争だから、沈め沈められと言う事は分かっています。だけど……今日は、泣いても良いよね?白雪ちゃん……皆……


×月□日

私の新しい艦長が着任しました。着任したんですが……何だか、とんでもない人でした。着任して直ぐに艦内の綱紀粛正に乗り出したり、乗員との関係性構築に心を
砕いていたりと好ましい人なのは確かですけど、時々ブツブツと呟いていたり、良く分からないカタカナ言葉を口走ったりと、何だか心配になる人です。

それと……どうして私の事を『ぶっきー』って呼ぶんですか?それに……し、芝生芋?渾名を付けてくれるのは、嬉しいと言えば嬉しいですけど……そんな渾名じゃ、
駄目だと思いますよ?


☆月◇日


今日から輸送船団の護衛をして、トラック諸島へと向かいます。修理完了して、本当は新人さんも居るから習熟訓練をするのが普通なんですが……試製と言っても、
性能の良い電探や探信儀を装備した駆逐艦は、今の帝国海軍には貴重な存在な様子です。この前本土に連れて行ったド・ヘイヴンには装備されていたそうだけど…
まさか、アメリカ海軍の駆逐艦全部に装備されて居たりは……するんだろうね、多分

後は、阿部大佐が作成したと聞いた対潜哨戒プログラムを読んでみましたが……昔から艦隊決戦の訓練ばかりしていたから、何となくピンと来ないです。あ、でも敵を
近寄らせないと言うのはとても大事だと思います!本当に思います!ブナ島沖海戦見たいな事は流石にもう嫌です!

317: 陣龍 :2017/10/10(火) 00:10:59
◆月▼日


トラック諸島への輸送船団の護衛任務完了しました!戦果は潜水艦を二隻撃沈して、輸送船団の被害は有りませんでした!この探信儀、とっても凄いです!今までの
聴音機とは比べ物にならない位敵潜水艦を見つけやすいです!早く制式化されて、駆逐艦の皆に装備して貰いたいです!だってもう壊れちゃったんですから!

……試作品だから、仕方が無いですよね…?艦長、凄い引き攣った顔をしていましたけど……だ、大丈夫ですよね……?


◇月○日

電探も探信儀も、トラック諸島に停泊している間の修理にて如何にか復活出来ました。そうしていたら、ソロモン方面から友軍を撤退させる為の支援活動をする様に命令が
下りました。既に第三次ソロモン海戦で大和さん達の活躍で一時壊滅状態に追いやられた筈のアメリカ海軍が続々と戦力を再度増強しているから、今の内に撤退するとの事、
らしいです。……白雪ちゃん達の仇を討てないのは残念だけど、今はそういった感情は脇に置いておかないと。

電探や探信儀が有ると言っても、それだけじゃ絶対に勝てない。頑張らないと……私が、皆を守るんだから!


▼月▽日


神通さんたちとコロンバンガラ島への輸送作戦に参加する事になりました。貴重な電探装備の駆逐艦と言う事で皆から凄い期待をされています!……と言っても、その電探も
探信儀も、試作段階の物なんで最近は時々故障を起こし始めているんですよね……前までは余り整備しなくても何とか持ちこたえていたんですけど……

艦長もその事を危険視しているのか、凄い蒼い顔をして整備する様に指示出しした上で補給品を掻き集めてくれました。……何も無いと、良いんですけど


□月◆日


…以前の不安な気持ちは、予兆だったようです。調子の悪い筈の電探が出撃して直ぐに調子良く動き出したのも、今思えばそうだったのかも知れません。コロンバンガラ島の沖で、
アメリカ海軍の巡洋艦部隊と交戦しました。私が装備していた電探と、雪風ちゃんが搭載していた逆探で早期に敵艦隊を補足して攻撃する事に成功しましたが…探照灯照射で
私達を支援してくれた神通さんに敵艦隊の砲弾が集中して、救援する間もなく沈んでしまいました……。皆と共同で奮戦し、乙巡(巡洋艦)を4隻、駆逐艦も複数隻沈めるか、
大破させた事で仇は獲りましたが……。

そう言えば、私の搭載した大型の新型魚雷の威力には驚きました。酸素魚雷とは言え、まさかたった一発でブルックリン級巡洋艦が跡形も残らない位に大爆発するなんて、ちょっと
想像して居ませんでした。艦長も、皆が喜んでいる中で引き攣った笑みを浮かべていましたから、多分私と同じ気持ちだったんだろうなと思います。…えっと、これからも一緒に
頑張っていきましょう艦長!


☆月×日


何回にも渡って行われた撤退作戦も、何とか少ない被害で終える事が出来そうです。陸上部隊の人員も装備も、沢山撤退に成功しました。…大潮ちゃんや早潮ちゃん達が爆撃機の
攻撃で撃沈されたり、対空砲火をすり抜けた敵機の爆撃で陸軍の兵士や様々な物資を載せた輸送艦が轟沈したり、少ないと言っても、被害は無視出来ない物でしたけど……。

探信儀や電探のお陰で、索敵はとても効率的に行える様になりましたけど、帰投すると大体壊れちゃっている事が多いから、艦長達も溜息を良く吐いています。でもその…鬱憤晴らし?
で、私の事を『ぶっきー』『芝生芋が満ち足りた』とか言い出すのはちょっとどうかと思います……芋が満ち足りたって、何なんですか?


☆月▲日


とうとう電探も探信儀も、何度修理しても叩いても動かなくなっちゃいました……。明石さんに診て貰ってもどうしようもないと言う事なので、本土に帰投して装備の入れ替え等をすることに
なりました。その時に合わせて使用した時のレポートも提出するように命令されたので、艦長が凄い形相で沢山書き上げています。あの、無理しないで下さいね?

敵艦隊の攻撃は殆ど無くなりましたが、代わりに潜水艦や大型爆撃機による嫌がらせの様な攻撃や偵察は続いています。物理的な被害は殆ど無いと言っても、神経を消耗する事には
変わり有りません。如何にかしないと行けないんだけど、大本営はどうするつもりなんだろう……

318: 陣龍 :2017/10/10(火) 00:12:09
▽月◎日


私が輸送船団を護衛しながら本土に向けて離れて暫くして、トラック諸島にアメリカ海軍の機動部隊が襲撃してきたとの事です。反撃で敵正規空母を数隻撃沈する事に成功したと宣伝して
いますが……もう、アメリカ海軍はこれだけの水上部隊を動かせる様になったんですね。しかも、新しい空母の機動部隊を。

その事に気付いた乗員に対して、艦長は向こうの錬度不足等の考察で落ち着かせていましたが、裏を返せば錬度不足が解消されれば、アメリカ海軍は進撃を再開すると言う事ですよね?
……今までの海戦で、連合艦隊一個分は沈んでいる筈なのに、アメリカは一体どれだけの戦力を蓄えたんでしょうか……?


☆月◆日


本土に帰投して、新型の探信儀や電探を装備しましたが……漏れ伝えられた情報を聞く限り、駆逐艦や巡洋艦の皆に搭載するだけの量を生産するのは難しいらしいです。戦艦や空母の様な
主力艦、それと秋月型の様な新型艦は装備出来る様だけど、既存の艦艇全部に搭載するにはドッグも資材もラインも足りないそうです。取り敢えずは順繰りに交代で可能な限り装備する様に
していく、そうですけど……

それも心配ですけど、それ以上に艦長が本土に戻ってから更に変な事を口走っている様な気がします。乗員の誰も無い所での話ですから大丈夫ですけど……それに、御同輩の艦長さんが
この艦に来た時は、話している内容は良く聴こえませんでしたけど『ぶっきー』『イモ』『史実』、それに……ぱ、『パンツ』っとか、色々言い合っていたのが心配です。疲労でおかしくなっちゃった
のかな……?だけど、私は『ぶっきー』でも『イモ』でも有りません特Ⅰ型駆逐艦の吹雪です!!




(数ページ輸送船団の護衛任務や訓練で敵艦や敵潜を沈める日々を過ごす内容が記されている)




▽月◎日


決戦の時が来ました。マリアナ諸島を陥落させるべく進撃するアメリカ海軍の大規模機動部隊に対して、連合艦隊は新鋭空母の大鳳さんを新しく迎え入れ、更には今までの猶予時間の間で
鍛え上げた全ての航空部隊を一気呵成に突入させ、敵艦隊を殲滅します。私は駆逐艦なので護衛任務しか出来ませんが、仮に敵機が来ても絶対に空母には近寄らせたりはしません!私が
皆を、守るんだから!!

……でも、大鳳さんから聞いたんですけど、無線傍受した結果、私の事をアメリカ軍では『パシフィック・ブリザード』とか何とかと呼んでいるそうです。……太平洋の吹雪、ですか?本当に
そのままですね。艦長はその話を聞いて苦笑いしていましたね。でも、異名を付けられる程の事はしていないんだけどなぁ。巡洋艦を数隻、それと駆逐艦や潜水艦もそれなりに沈めたりしたけど、
それは戦場に居た味方艦、それに新型の探信儀や電探、酸素魚雷のお陰ですから。夕立ちゃん程なら話は別だけど、私が異名を付けられるなんてね。


◎月□日


大本営曰く、『マリアナ諸島沖海戦』が終結しました。航空部隊の奮戦のお陰で、私たちの方に敵機が来ることは有りませんでした。潜水艦による襲撃も、幸運にも起きませんでした。……ですが、
基地航空隊も、空母艦載機部隊も、その多くが帰還する事は有りませんでした。総数800機余りの内、生存が確認された機体は僅かに180機弱。投入した内80パーセント弱の戦力が、この一戦で
消滅しました。……今でも信じられないと言う声も有りますけど、瑞鶴さん達は薄々予想していたみたいで、茫然とする大鳳さん達に色々とお話をしていた見たいです。

……艦長は、暫くしたら確実にアメリカ海軍は再襲撃してくると一人で呟いていましたが、私は信じたくありません。でも……艦長が言うのなら、きっとそうなんですね。


◎月□日


トラックとマリアナ、そしてフィリピンに米軍が再度空母機動部隊で襲撃を実行しました。……本当に、来てしまいました。既にペリリュー島は陥落して、米軍がフィリピンに向けて再度攻撃を仕掛けて
くることは確実です。勿論この事を予期していた陸海軍は、特に陸軍は東条首相の命令で腹心の将軍を複数フィリピンに配置し、有力な部隊も配備しているそうです。

ただ、その東条首相肝いりで派遣された将軍達の名前を見た艦長が異様に表現し辛い表情になっていましたけど……どういう事なんだろう?まさかとんでもない大失敗をする様な将軍を派遣して
来る訳が無いですし、苦手な人たちなんでしょうか?

319: 陣龍 :2017/10/10(火) 00:14:58


◎月■日


……どうして私は、こう日記に予兆みたいな事を良く書いているんだろう……?先程連絡があって、フィリピンに駐留していた陸軍部隊は、
敵機動部隊の襲撃に対して中途半端な対応しかしなかった指揮官のせいで航空部隊は大打撃を受けた挙句、その指揮官は部下を置き
去りにして台湾へと敵前逃亡。その事に激怒した木何とか将軍は八つ当たり気味に現場部隊を解体して士気を大きく低下させた上に、
陸上部隊の指揮が中途半端だったせいで抗日ゲリラ対策が後手後手に回って戦力を分散させ、戦車部隊の指揮官は損害を恐れて
ずっと引き籠ってるそうです。……いや、その……何ですかコレ……?本当に何なんですか、これ……?

艦長は遠い目をして、恐らく自分達が出撃する事になるだろうと話して居ました。そして、確実に凄まじい死地に赴く事は間違いない、
とも……。でも、吹雪、頑張ります。艦長!一緒に頑張りましょう!!


◎月▼日


アメリカ軍の上陸部隊が多数存在するレイテ湾へと突入する、大和さんが率いる第一遊撃部隊へと選ばれました。艦歴は古いですが、
錬度の高さに加えて電探や探信儀の扱いに慣れている駆逐艦と言うのは、やっぱり貴重な扱いの様です。でも私の事よりこれからの事
です!レイテ湾へと突入する作戦の手順としては、第一遊撃部隊に配属された瑞鳳さんと龍鳳さんの戦闘機と、艦艇の多くに強化された
対空砲火を頼りに時間を稼いで、そして別動隊である空母部隊には如何にか錬成が継続している戦闘機部隊を多数搭載してアメリカ
機動部隊の戦力を減殺させる、と言う物です。

……受動的だとは思いますが、今の連合艦隊には自力で主導権を握るだけの戦力は残っていません。それに、私も栄光ある徳型駆逐艦の
ネームシップです!最後の最後まで、勝利を諦めたりはしません!そうですよね、艦長!


◎月●日


……とうとう、来ました。瑞鳳さんや阿賀野さんが敵機動部隊の航空攻撃で撃沈される大損害を受けましたが如何にか凌ぐことが出来て、
その敵機動部隊も現在小沢提督率いる機動部隊に向かっており、レイテ湾までの海路は開かれました。もう少しすれば、レイテ湾のアメリカ軍
上陸部隊を守る最後の壁である、敵艦隊と交戦します。今までの入って来た情報によると、敵艦隊の規模は第一遊撃部隊と大体同じか
少し大きい位だそうです。

ですが、私達は負ける気は一切しません。何故なら、世界最強の大和型戦艦が二隻、栄え有るビッグセブンの二隻、そして日本初の超弩級
戦艦の扶桑型戦艦二隻の皆さんが居られるんです!絶対に勝てます、艦長!!


◎月●日


サンベルナルジノ海峡に布陣する敵艦隊と交戦し、これを撃滅しました。敵艦隊は第一遊撃部隊の最上さんと三隈さんの航空隊の爆撃で
水雷艇部隊の存在が露呈し、大和さんたちの砲撃で大混乱に陥って、結局最後までうまく立て直せなかった様子です。私も妙高さんや
羽黒さん達と一緒に沢山砲撃して、駆逐艦や巡洋艦を複数轟沈させる大戦果を上げられました。

これで、レイテ湾への海路を妨げる壁は無くなりました。行きましょう艦長!もう少しで、辿り着けます!


◎月●日


この日、このレイテ島で起こった事は、私はずっと忘れる事は無いと思います。軽巡洋艦を旗艦とした水雷戦隊を皆で揉み潰した後、無防備と
しか言いようがない輸送船の群れや陸上の部隊に、私達はあらゆる砲弾と魚雷で一方的な攻撃を続けました。蹂躙、と言う言葉ですら生温い
です。あれは……まさに『煉獄』でした。陸地では木々に燃え移った炎が竜巻になったのが見えましたし、火達磨になったアメリカ人が海に
飛び込んで動かなくなったり、私達の誰かに曳かれる様子も、見えました。乗員の皆は余り見えていなかった様子ですけど、艦長はこの様子が
分かっていたようで『俺はきっと、地獄往き確定だな』と、一人で言っていました。

……一人では行かせたりしませんよ艦長。その時は、私が閻魔様を撃ち払ってでも天国に連れて行きますからね。絶対です!……地獄に
行くのは、私だけで十分です。


◎月●日


レイテ島での戦闘の後、積み重なる損傷で20ノット程度しか出せなくなった武蔵さんを、鈴谷さんや熊野さん、大井さん。それに四水戦の皆と
一緒に殿として残して、私達は撤退する事になりました。本当は私も残るべく志願しましたが、主砲弾や魚雷の残弾不足で本隊の護衛へと回されました。

……皆さん、絶対に生還して下さい。難しい事は分かっていますが、それでも……

320: 陣龍 :2017/10/10(火) 00:16:45
◎月☆日


……あの後で生還出来たのは、ボロボロになった夕立ちゃんと時雨ちゃんだけでした。武蔵さんたちは力戦奮闘しましたが、結局敵戦艦部隊と
刺し違えるのが限界だったようです。夕立ちゃんが私の所に来て、私の胸の中で泣いていましたが、私に何かを言うような真似は出来る訳も無くて、
ただただ夕立ちゃんを抱きかかえるだけで精一杯でした。

……まだ、終わらないのかな、この戦争。もう、これ以上沈めたくも、沈められたくも……殺したくも無いよ……夕立ちゃん……


△月◆日


レイテ島で数万人ものアメリカ人を死人へと追いやった日本ですが、未だに戦争を続けるしかない様です。フィリピン戦でのあれコレから、東条
首相から軍指揮権を奪い取った帝国軍ですが、既に不可能だと分かり切っている筈の『一撃講和論』に固執していると、艦長と艦長のご友人が
吐き捨てていました。それに、アメリカ軍は戦略爆撃をするのと同時に、日本各地に機雷を大量に散布しています。輸送しても、掃海が追い付かないと
物資を本土に運べません。そうなると、もう食べる事も出来なくなってしまいます……。

一体どうすれば……どうすれば日本は、助かるんだろう……このままだと……滅んじゃうよ……


×月●日


沖縄に、アメリカ軍が強襲上陸を仕掛けてきたとの、一報が入りました。普通はマリアナを陥落させるのが順当な進撃路だと思うのですが……多分、
アメリカ側も焦っているんだと思います。今までの戦闘で、アメリカ人は凄い人数が戦死していますから……きっと、早期に戦争を終わらせようとして、
いきなり沖縄へと進撃路を変更したんだと思います。でも、取り敢えずは台湾の第八航空師団が大敗した事に罵り声を上げたと言う参謀本部や
軍令部の人達は好い加減現実を見た方が良いと思います。アメリカ軍は、戦う度に強大になる、世界最強の怪物と言う事を。

これから確実に沖縄へと救援に向かう事になると艦長は言っていました。それに合わせて、所属部隊は大和さんが率いる第二艦隊となりました。
戦力差はどうしようもない程に歴然としていますが……どういう訳か、暗闇の中に一筋の光明が見える。そんな気がします。



×月◎日


……奇跡……いえ、本当に神風が起こりました。この時期には有り得ない筈の台風が、アメリカの機動艦隊に襲い掛かりました。この隙を逃す訳には
行きません。出撃途上で長門さんの機関が故障を起こして引き返してしまったのは色々な意味で辛いですが……その分、私達皆が、長門さんの分
まで頑張らないと。

レイテ島の時の様に、瑞鶴さんが率いる第三艦隊が敵艦隊の注意と戦力を引き付け、私達第二艦隊は兎に角沖縄に向けて突撃します。…どういう
結末に成ろうとも、きっとこれが最後の戦闘です。吹雪、頑張ります!


×月□日


空襲と一回目の夜戦で、三隈さんや浦風ちゃん達が沈没や大破撤退してしまいましたが、まだまだ戦えます。何より、陸海軍航空隊、囮になってくれた
皆が命を賭けて私達の行く道を切り開いてくれているんです。沖縄に辿り着くまで、絶対に退く事なんて出来ません!…それで、艦隊司令部からの
命令で、吹雪は雪風ちゃんと一緒に最前線の前衛として敵艦隊への把握に努める事になりました。引き攣った笑みを浮かべていますけど、大丈夫です
艦長!今までの積み重ねが、無駄になったりはしませんから!

…私としては『吹雪さん!頼りにさせて頂きます!』と雪風ちゃんに言われたのが、ちょっと釈然としませんけど。寧ろ、私の方が頼らせて貰う立場じゃ無いかな…?

321: 陣龍 :2017/10/10(火) 00:18:13


×月★日


……すべてが、終わりました。二度目の夜戦で、陸奥さんや最上さん、朝霜ちゃんや那智さん、摩耶さん達が撃沈され、大和さんも
アイオワ級戦艦との砲撃戦で傾斜も復旧せず、艦上構造物が崩壊していながらも宜野湾へと着底。生存艦も座礁しての対地砲撃や
敵艦への体当たり等で、多くが沈んでいきました。私は、残っていた数少ない魚雷で敵巡洋艦や駆逐艦を数隻撃沈した後、雪風ちゃんや
磯風ちゃんと一緒に乗員の救助を行った後、本土へと帰投しました。その帰りに、雪風ちゃんにまさか重爆撃機の爆弾が命中する
とは思いませんでしたけど。勿論、その爆撃機はキッチリ落としました。

艦長も、乗員の皆も、これで戦争が終わると思っているようですが、私も同じ思いです。もう日本には戦う力は残っていません。…もう、
これ以上、殺し合う意味は無いんです。


▲月▼日


……東京で、戦争継続を叫ぶ強硬派がクーデターを起こしました。無条件降伏から、条件付き降伏へとアメリカが条件を緩和した事を
見て、更にアメリカに出血を強いればもっと譲歩を迫れると、考えたそうです。……その事を聞いた私は、その後の事は良く覚えていません。
気付いたら、磯風ちゃんに抱かれて、笑いながら泣いていました。後で聞いたら、私は少し茫然とした後、その場に座り込んで大声で
笑いながら、大声で泣いていたそうです。

……どうして……?どうして……そんなに、戦争をしたいの……?もう、戦えないのに……何で……?


▲月■日


東京で放棄した強硬派は、長門さんの砲撃で籠っていた近衛師団司令部ごと消滅したそうです。臨時の指揮官になっていた栗田中将は
『地獄の鬼どもとでも戦争ごっこやっていろ』と言われたそうです。その事を言った長門さんの表情は、苦虫を?み潰したようで、でも、
何も感じていないような、そんな表情をしていました。

乗員の皆は大体激昂している人たちが殆どでしたが、艦長だけは違っていました。艦長だけは、珍しくタバコを吹かして海を眺めている
だけでした。一体どんな思いだったのか…私には分かりませんでした。


5月11日


日本は、ワシントン宣言を受諾しました。つまり……もう、戦争しなくても良いんです。もう、戦わなくても、良いんです……。……沢山の
人達が死にました。沢山の艦が沈みましたが……やっと、平和が訪れたんです……!


 月 日


(判別不能な文字が大量に羅列している)


▲月×日


……ソヴィエト連邦が、樺太の国境線を突破し、日本への侵略を開始しました。彼らの言い分はどうでも良いですが……日本は、樺太の
放棄と、樺太在住の住民を全員本土に撤退させる事を決定しました。私達の任務は樺太の住民を無事に撤退させる事で、アメリカ海軍の
艦艇も参加するとの事です。

一度本土に戻った乗員も、艦長も戻ってきました。これから出撃します。……私が、皆を、守るんだから……絶対に、絶対に!!

322: 陣龍 :2017/10/10(火) 00:18:58







「……懐かしいなぁ」

 誰もいない、作られたばかりの執務室。その中に一人、静かに少々古ぼけた日誌を捲る、セーラー服を身に纏った黒髪の少女がいた。

「あの後、インディアナポリスがソ連の潜水艦に撃沈されて、乗員の救助完了後に私も雷撃を受けたけど、如何にか本土に帰投出来たんだっけ。
キッチリお返しはしたけど」


彼女の名は、吹雪。特Ⅰ型駆逐艦として、そして太平洋戦争に置いて縦横無尽に各地を奔走し戦果を上げ続け、世界に名を残した駆逐艦であった。


「……私の司令官は、一体どんな人なんだろうなぁ」


軍艦としての生を終えて、何の因果か少女の身体と共に現世に蘇えった彼女は、艦娘として自身を指揮する事になる提督の着任を待ち続けていた。


「……!はい、空いています!」

そうしていた矢先に、執務室の扉をノックする音がする。彼女…吹雪の提督が来たのだ。


「……ぁ……あ……!!」


そして、執務室の扉を開けた人の姿を見て、吹雪は硬直し……誰に言われる事も無く、自然と敬礼の姿となる。



「初めまして……そして、お久しぶりです艦……司令官!吹雪です!これからも、よろしくお願いします!!」


苦笑いを浮かべる新米提督に対して、満面の笑みを浮かべる駆逐艦娘・吹雪。彼女達がこれから辿る道筋がどうなるのかは……きっと、神様にだって
分かる事は無いだろう。

323: 陣龍 :2017/10/10(火) 00:21:15
異常となります。真面目に伝説何処行ったって話になりますが、
書いている間に何だかこんな感じになってしまいました。なんでだろ
324: 陣龍 :2017/10/10(火) 00:22:48
それと相当長い物をツラツラ続けてすみませんでした…
日記形式しか浮かばんかったんや…

後、時系列とかで狂ってる部分有るかも知れませんがそこらへんご容赦願います、ハイ…
最終更新:2017年10月11日 13:24