471 :名無しさん:2011/12/25(日) 15:13:29
平成世界と憂鬱世界に開いたゲート。
そのゲートである意味一番迷惑を被った国はドイツであっただろう。
★ベルギー:ブリュッセル/EU本部
「こんな金は出せん!」
欧州もまた大西洋大津波の情報に震撼した地域であった。
実際、ポルトガルは国家消滅に至っているし、イギリス・フランス・スペインなどもその損害は多大なものがあった。
だから、この国々が津波対策を考えるのは当然だ。
だが、その事業をEU共同のプロジェクトとして、ドイツなど内陸の国にまで要求したとなれば話は別だ。
「おや、金の為に最悪幾千万もの人命を危機に晒すと?」
フランスなどは人命を盾に協力を要請する。
「そうは言っていない!だが、知ってるぞ!!この計画の内容を!!」
スーパー堤防計画。
それは長大な堤を海岸線に築こうという計画だ。
「金の割に効果が見込めんという事ぐらい知っている!そんな事に金を出せるか!!」
「……何を根拠に」
「地震や津波に多くの知識と経験がある(平成)日本に協力してもらった!先だっての日本の地震でも示されたが、大西洋大津波クラスの津波ではこの程度の堤など何の役にも立たんとな!!」
それは事実だった。
巨大な堤でも、大規模な津波相手では壊れ、突破されるのは他ならぬ地震大国日本の大地震が示した。
で、あるのにフランスが提示したのは規模も堤自体も高さ平均3mに土盛りが基本という日本のものに比べ遥かに小さなものであった。まあ、コンクリートでとなるとどんだけの量と金がいるか分からないというのは確かにあったのだが。
「……しょうがねえだろう!とにかく国民に何かしら国は対策取ってるって示す必要があんだよ!!」
「手前らの精神安定の為に金出せるかあああああ!!」
「落ち着け、てめらー!!!!」
わやくちゃな末に、すぐにケンブレビエハ火山爆発の兆候はないとして、実効性のある計画を立てる事をまずは決定した。
しかし、立ったら立ったで更に巨額の金がかかる事は必定。
イタリアなどは経済がギリギリ状態で金が出せる余裕どころか自分を支えてほしいぐらいという状態。必然、ドイツがたかられる事になる。
ドイツ国内ではEU離脱すら国民からの主張として、議会からの提案として出る有様だった。
更に騒動になったのは向こうのドイツとの接触であった。
当初は向こうもある程度情報を得ていたとはいえ、日本の謀略ではと半信半疑だったらしいのだが……。
接触して、平成ドイツも憂鬱ドイツも「これは無理だ」と判断せざるをえなかった。
平成ドイツは第二次世界大戦後、ナチス・ドイツを、アドルフ・ヒトラーを否定する事から始まったと言っても良い。
一方、憂鬱ドイツはナチス・ドイツは健在であり、アドルフ・ヒトラーは英雄であった。
これでせめて憂鬱ドイツが「きれいな」ヒトラーであり、「きれいな」ナチスであったなら、つまりユダヤ人の迫害などやっていなければ「名前だけ同じだけど別物」とする事も出来たかもしれないが、憂鬱世界でもまた強制収容所は、いや、ドイツがなまじ苦しかっただけに平成世界の史実以上の過酷さで行われていた。
そして、世の中当然だが、平成世界において数千万を死に追いやったとされるスターリンや毛沢東が責められなかったように、勝者であったドイツにおいてはそれは責める奴なぞいなかったのである。
「どーすんだよ、おい」
向こうの世界の情報が広がれば広がる程、再びナチス・ドイツの事を思い出して頑張ってきたドイツの思惑は大きく削がれるだろう。何しろ、向こうではナチス式の敬礼も健在なのだ。ネオナチですら問題になっているというのに……。
投やりになりそうな台詞がドイツ首脳部の間で上がったのは仕方のない事だっただろう……。
おまけ
さて、相変らず勘違い全開で突っ走ろうとしていた韓国は予想外の相手から苦情と請求をされる事になった。
「お前らの世界では日帝の統治下に入って、インフラ整備に法整備までしてもらって羨ましいニダ!文句言ってるぐらいならこっちに半分寄越すニダ!いや、あんだけもらったお前らには我々を支援する義務があるニダ!」
言うまでもなく、あちらでは完全無視され、近代文明を築いた列強に比べ未だ中世文明とまで呼ばれる憂鬱世界朝鮮半島からであった。
もちろん、平成韓国は日帝に要求すべきだ!と主張したが……。
はっきり言って、そんな怖いというか危険極まりない事をするより、韓国に要求した方が余程楽だ。
「俺らはお前らに要求してるニダ!話を逸らすニダ!!」
韓国は予定外の方面からの横槍により、日本に手出しする余裕を失っていく事になる……。
最終更新:2012年01月18日 22:17