530: ham ◆sneo5SWWRw :2017/10/31(火) 00:16:34
この作品には、
オリキャラが出てきます。
最強要素があります。
オリジナル設定があります。
個人的解釈が入っています。
個人的趣味が入っています(オイ)。
それでも良い、という方のお読みください。
注意 このお話は小説「アフリカの魔女 ケイズリポート」1巻を参考にしており、ネタバレを含みます。
ネタバレが嫌な方は見ない方がいいかもしれません。
また、若干のキャラ崩壊があります。
以上を理解し、同意した上でお読みください。
2017年 加東圭子誕生日記念SS
「ケイズリポート ファースト・コンタクト」
私、加東圭子は扶桑陸軍をやめてカメラマンをしている。
- なんかこのセリフを何度も言っている気がするが、気にしないことととする。
かつては扶桑海事変でトップエースとして活躍していたが、とある事情で予備役編入を余儀なくされてしまっていた。
まぁ、結果として、念願だったカメラマンになって世界を回るという夢が叶えられて良かったが。
しかし、だからと言ってかつての仲間たちは事情は理解していても納得はできないのか、予備役編入による引退の挨拶の時に竹刀片手に追い掛け回してきたのはヒドイと思う。
江藤さんや智子、綾香は周知の通り、剣術に心得があって格闘戦が得意なのは知られているが、
連携戦術や射撃戦を主としている武子も実は無双神殿流の使い手と、私以外の狐狸隊長陣は剣術の使い手ばかりなのだ。
私は固有魔法から射撃戦に重を置いているので一番不得意だったわけだが・・・
ともあれ自分だけ鬼のような書類仕事(デスクワーク)から開放されるのが余程羨ましいのか、祝ってやると言わんばかり追い掛け回してきたのは本当にヒドイと思う。
まぁ、ある程度は加減してくれた・・・よね?
なんか逃げている途中で避けた斬撃で木箱が割れたりしたけど、ちゃんと加減してくれた・・・よね?
なお、逃走劇の最後は田中大佐に私を含めて全員ふん捕まえられて、朝まで正座で説教コースだった。
あのまま田中大佐が止めてくれなかったらヤバかったかもしれないので感謝である。
でも私、被害者なのに・・・
これ以上考えると、こんな灼熱の場所でも寒気がしそうであるし。
531: ham ◆sneo5SWWRw :2017/10/31(火) 00:17:09
そう、灼熱である。
今、私はアフリカにいる。
その地で輝かしい戦果を挙げている、とある伝説の弟子のウィッチを訪ねるために。
「我がカールスラント空軍では極めて詳細な報告を出さなければならない。
撃墜の証人の有無とそれは誰かなのか、戦闘経過、それも敵機の種類から使用火器、消費弾数・・・一々覚えていられないようなことまで報告する必要があるんだ」
アフリカに来る途中、ブリタニアの病院で出会ったカールスラント空軍第52戦闘航空団のグンドュラ・ラル中尉にそのウィッチのことを訪ねた際、彼女はそう切り出した。
私自身も、戦闘詳細の報告書を書いたことはいくらでもあるが、ラル中尉が語る内容はそこまで拘るのか?と尋ねたくなるほど細かすぎた。
まぁ、戦闘の混乱で状況が分からなくなりやすいこともあれば必要なのだろうが、一ウィッチがそこまで覚えているかは疑問な箇所はある。
智子だったら、絶対私に丸投げして逃げただろうなぁ・・・
そう心の中で思いつつ、私はラル中尉の話を聞く。
「その報告書では、マルセイユはMG34機関銃でありながら、初陣で9機の小型ネウロイを落とした。
それはサドル式マガジンタイプだから、たったの75発しかない。
普通の初陣のウィッチならば一連射して全て使い切るようなものだ。
だがマルセイユは、8発か9発で1機を撃墜できたのだ。
しかも威力が比較的弱い7.92mm弾で、だ」
たしかにそれは凄い。
記憶の中の供与品のカールスラント製機関銃は毎分800~900発だから、75発を撃ち尽くすのに5~6秒かかることになる。
新人ウィッチの場合、歩兵の新兵のように興奮して引き金を引きっぱなしにしやすく、5~6秒しかない射撃時間なんてあっという間になくなる。
にも拘らず、それで9機も落とすなんて神業でしかない。
「そして、なんといっても凄いのが彼女の扶桑刀だ。
彼女が大型ネウロイの傍を通り過ぎるだけで、真っ二つになったのだ。
最初は上も、『嘘を書くな』と直接突き返しに来たらしいが、直後に基地上空の防空戦があって、それを見たらすぐに沈黙したよ。
私もその場にいて見たが、あれには驚いたよ。
一時、団内で扶桑刀の発注と訓練をしようかなんて話も出たほどさ」
たしかに扶桑刀は銃弾が切れた時の非常用武器として今も残されているが、今の扶桑ウィッチでは銃撃が主流となっている。
大型ネウロイ相手では、それこそ噴進砲や円盤手榴弾、機関銃取り付けの手榴弾滑空砲、果てはドリルまで用意されていた。
大型ネウロイを扶桑刀で切断するのは、江藤さんや北郷さんクラスの達人じゃないと正直難しいだろう。
となれば、マルセイユ中尉は相当な実力者ということになる。
「あいつの不運は上司に恵まれなかったことだろうな。
最後は上司と大喧嘩して左遷さ。
惜しい才能だよ。
私ならば、喜んで部下に迎えたのにな・・・」
マルセイユ中尉の才能を惜しんだからか、怪我をした背骨が痛むのか、はたまた早く戦場へ復帰したいのか、ラル中尉は顔をしかめていた。
532: ham ◆sneo5SWWRw :2017/10/31(火) 00:17:44
ラル中尉の一件を思い出しながら、私はガードナー上等兵の車の中で揺られていた。
運よく、物資の調達に来ていたマルセイユ中隊のライーサ・ペットゲン少尉と出会うことができた。
彼女からもマルセイユ中尉のことを聞き、早く彼女会いたいため、来たばかりの彼女と別れて基地へ徒歩で向かおうとした私だが、
ライーサ少尉の「日中の砂漠は、50度にもなる高温と雲一つなく照り付ける日差しによる灼熱地獄ですけど、それでも、数キロ先の基地まで歩きますか?」の言葉ですぐに思いとどまった。
後に知ることになるが、これはマルセイユ中尉からの差し金だったらしい。
現地の事情をよく知らない記者が問題を起こさないようにするために誘導するため、だとか。
たしかにこのまま歩いて行こうとして脱水症状で倒れたら問題であるため反論ができない。
ともあれ、ライーサ少尉はこれから物資の積み込みで忙しいため、ライーサの仲介で、これからマルセイユ中隊の基地と同じ方向に向かうというガードナー上等兵の車に乗せてもらうことになった。
途中にあるジョークの利いた看板を眺めつつ、マルセイユ中隊の基地に着くと、ガードナー上等兵が中央の一際大きいテントを指さした。
「あれがマルセイユ中尉のテントです」
私はガードナー上等兵に別れを告げ、テントに向かって歩き出した。
教えられたテントにつくと、身長が高いアフリカ系のウィッチに止められた。
陸戦ストライカーをつけていることから、どうも陸戦ウィッチのようだ。
私は取材許可証と通行許可証を渡し、そのアフリカウィッチがテントの中と話がつくのを待った。
待っている間、テントの中がガタガタと騒がしい気がしたが、大丈夫だろうか?
そうこうしている内に、例の陸戦ウィッチがテントから現れ、許可証を返され、許可が下りたことを伝えられた。
そして、私は天幕の中に入ると、そこにはバーが広がっていた。
「ようこそ、我が王宮へ」
目が外の殺人的な眩しさに慣れているために、テント内に入ると暗闇に襲われた。
そして、目が慣れてきて周囲を見渡すと、テント内は豪奢な様相を見せていた。
おそらく在り合わせで作ったのだろうが、それを感じさせないソファーとテーブル、カウンターバーetc...
並んでいる酒瓶からして、欧州の本場のパブか、バーを思わせる様相であった。
「取材の話は聞いているよ。わざわざ遠くから、こんな世界の果てへよく来てくれた。」
桜色がかった白く長い髪、私よりは10cm以上は優に高い身長、長い足。
彼女がマルセイユ中尉か。
その存在感の強さに、それも江藤隊長や北郷さんよりも強いそのオーラに、私は自然と息を飲む。
533: ham ◆sneo5SWWRw :2017/10/31(火) 00:18:16
私はマルセイユ中尉に椅子と、外にいた従卒、マティルダがバーテンダーとなって作ってくれるカクテルを薦められ、それを受けながら取材を行った。
彼女の修行を受けるに至った経緯、修行中、そして、修行後のエピソード。
訓練校や配属先での話。
所々、濁したところはあるが、それなりに話を聞くことが出来た。
だが、最初に盛られたモンティ、ジンが15で、ベルモットが1という、15:1じゃないと攻勢しないと謂われるブリタニア軍司令官の名前に由来した強いカクテルを呑んだ所為か、酔いが早く廻り、意識が危うくなってきた。
私はそれに耐えていたが、突如、酔いが一気に覚める衝撃が私を襲った。
「さて、もういいかな・・・」
マルセイユ中尉が立ち上がり、いつの間にか後ろに回っていたマティルダに両肩を掴まれて私を椅子に拘束する。
酔っている私は判断力が落ちており、ただ混乱するしかなかった。
そんな私に、マルセイユ中尉は突如として扶桑刀を抜き、その刃を私の喉元に向けた。
「え?は?なっ!?」
ようやく自分の危機に気づき、一気に酔いが覚める。
「今度はこちらが君にインタビュー(拷問)する番だ」
『そのインタビューは別の意味じゃありませんか!?』と心の中で叫ぶ私。
だが、そんな私にマルセイユ中尉は笑顔でほほ笑む。
しかし、目が笑っていない。
「扶桑海事変は知っているよな?」
知らないわけがない。
何せ私はあの戦いの最初から最後まで戦い続けたのだから。
「あの戦いで師匠が撃たれたと聞いたが・・・どういうことか、事情を説明してもらおうか?」
私は今更ながらに馬鹿をやってくれた堀井大将一派を呪った。
それはそうだ。
ライトニングフォックス。そして、今修行を受けているというバーニングフォックスのメンバーは九曜様を慕っている。
それこそ、信者レベルに心酔していると言って良いほどに。
そんな彼女たちが敬愛する人物に危害を加えられたと聞いて、黙っているはずが無い。
喉がヒリヒリと渇き、足が小刻みに震え、身体の一部が少し湿る。
「これでも私は怒りを抑えているほうだぞ。砂漠の夜は長い。じっくりインタビュー(拷問)させてもらうぞ」
私の脳内で、数年前に一部で流行った、牧場から市場に子牛が売られていく歌が流れた。
534: ham ◆sneo5SWWRw :2017/10/31(火) 00:18:48
「旭日が、旭日が拝める・・・」
一晩中、インタビュー(尋問)を受け、洗いざらい吐かされた私は、今、地平線から昇る太陽を見て、涙した。
人生の中で、昨夜ほど命の危機を感じたことは無かっただろう。
事変の戦闘での危機や智子たちに追い掛け回されたのなんて、比べ物にならない。
もっと恐ろしいものの片鱗を味わった気分だ。
最後は怒り狂ったマルセイユ中尉が暴れて、私の人生が終わると思ったが、陛下が堀井一派に苛烈な処断を下したことである程度溜飲を下げたのか、それは無かった。
とは言え、さすがに寝不足と二日酔いと恐怖で、私の精神はボロボロであった。
正直、トラウマが酷い。
昨夜の取材の内容の記憶が、あやふやになっている。
ともあれ、無事に朝を迎えられた私は、生きているという実感を改めて噛み締める。
すると、目の前に昨日は見なかった標識があった。
『回れ右』と書いてある。
私は、何気なく回れ右をすると、天幕の傍にも、昨日にはなかった標識があった。
『10000キロメートルの距離を超え、扶桑皇国から来た同胞、ここにおいて自然の摂理を起こす』
「(ちくしょう、いつか(精神的に)〇してやる・・・)」
私は心の中で、どこかの劇画漫画の
登場人物のように、呪詛を唱えた。
いろいろとボロボロになり、休ませてもらったその日の翌9月1日に私は取材を再開した。
この日はマルセイユ中尉がライーサ少尉を伴って出撃する日だった。
二人が履くストライカーはBf109-F4/Trop。
それまでの主力であったE型より最高速度・格闘性能が上がり、微妙な挙動も可能にしたもので、さらに砂漠戦に対応するためにサンドフィルタを加えたものだそうだ。
航続距離が短いのが悩みだが、運動性等においては、自分にはこれが合うらしい。
日課だと言う、牛乳を飲み干し、マルセイユ中尉はストライカーを履き、銃と弾倉を持ち、魔導エンジンのエンジンを始動させる。
そして、回転数が3000を超えたところで、エアホースと電源が外され、出撃準備が整う。
「帰ってきたら、私と遊ばないか?」
発進前にそう言うマルセイユ中尉。
私はその真意を測りかねる。
そうこうしている内に、発進の白旗が振られたため、マルセイユ中尉は私の返答を聞く前に行ってしまった。
535: ham ◆sneo5SWWRw :2017/10/31(火) 00:19:22
『高度3500、小型飛行型、ヒエラクラス12』
『フィンガー・フォーを組んでいやがるな。指揮官型がいるかもしれん。中央小隊一番機を狙う!
ライーサは右側の小隊一番機を狙え!』
『了解!』
私や基地に残っているカールスラント軍の面々は、通信所で、二人の通信と報告を聞いていた。
ヒエラクラスは小型の飛行型で、その空戦能力はウィッチに遠く及ばない。
しかし何分、数が多いのが厄介だ。
私たちが扶桑海事変で遭遇したスズメバチ型やヒラグモ型のようなものだろう。
しかし、マルセイユ中尉はフィンガー・フォーという陣形を組んでいることから、指揮官型が居ると判断した。
フィンガー・フォーは、人類側では、カールラント軍がヒスパニアで編み出した戦闘隊形で、左手の人差し指から小指までの爪の並び・前後位置で決め、それぞれ決められた高さに配置するものだ。
詳細な配置は省くが、この陣形は全周警戒に有利な事と、戦闘時に素早く2機一組のロッテ戦法に移行できることから、各国で広く採用されている。
昔ならば、我武者羅に進んでいくだけのネウロイであったが、指揮官型が出現し、戦法を使うようになってからは、このように人類側の陣形を真似た形で行動するようにもなった。
それでも、戦訓を共有しきれていないのか、はたまた指揮官型の数が極端に少ないのか、昔のような我武者羅の進撃をする編隊も、何を考えているのかわからないような謎の行動をする単独ネウロイも居たりした。
なので、今回のように人類側の陣形を真似た編隊は、大抵の場合、指揮官型が居ると判断したほうが良いとされている。
マルセイユ隊は、背後から太陽を背に突入し、マルセイユ中尉が二機、ライーサ少尉が一機の撃墜を報告した。
すぐに基地のみんなから、歓声が上がる。
私は初撃で2機も撃墜したことに驚き、思わず、マイクを奪って聞き直したが、どうやらマルセイユ中尉は一番機を当てた後、そのまま撃ちながら二番機まで銃撃を加えたそうだ。
この一連射で、2機とも撃墜されたらしい。
なお、基地のみんなが言うには、どうやらマルセイユ中尉は時々このような撃墜をすることがあるそうで、それほど驚くことではないらしい。
私は謝罪しながら、マイクを通信手に返すが、その間にも、マルセイユ中尉とライーサ少尉は着々と戦果を挙げる。
やはり指揮官型がいたのか、初撃を受けたネウロイは、統制を乱さず、二手に分かれて行動をし始めたが、マルセイユ中尉が左翼小隊の一番機を撃墜すると、すぐに統制は乱れ、各個撃破されるようになった。
だが、指揮官が救援を要請したのか、ケリドーン型高速小型ネウロイ8機が強襲してきた。
けれども、マルセイユ中尉らは、この強襲を難なく躱し、逆に3機を撃墜するという返り討ちを浴びせた。
さすがに指揮官型も救援もやられたネウロイは、士気崩壊となったのか、たまらず逃げ出した。
最終的に、マルセイユ中尉は、ヒエラクラス5機単独撃墜、ケリドーン型2機単独撃墜、ケリドーン型1機共同撃墜、
ライーサ少尉は、ヒエラクラス3機単独撃墜、ケリドーン型1機共同撃墜、
総じて、ヒエラクラス8機撃墜、ケリドーン型3機撃墜という、華々しい戦果を挙げて、帰還の途についた。
9時14分頃、マルセイユ中尉らが帰還した。
手を振る我々に、マルセイユ中尉は一人一人温かく声をかけ、整備士たちは次の出撃準備にかかる。
ストライカーを履いたまま整備を受けるマルセイユ中尉に、マティルダが日よけを持っていく。
私もタオルを持っていき、声をかける。
「さすがね」
「そんなことはないさ。私よりすごいのは居る」
そういうマルセイユ中尉は、どこか寂しそうな顔をしていた。
彼女よりすごいのというと、同じライトニングフォックスメンバーや九曜様のことだろうか。
私はそう頭の隅で思いながら、マルセイユ中尉に頼んでみた。
「ねぇ、次は私も一緒に行っていいかしら?」
536: ham ◆sneo5SWWRw :2017/10/31(火) 00:19:59
私の突然の発言を傍で聞いた整備士たちは驚いたのか、止めるように促す。
しかし、マルセイユ中尉は最初、鳩が豆鉄砲を食ったような顔をしたが、直ぐににやけて、整備士たちに命令した。
「私とライーサのE型がまだ部品取りで残っていただろう?
急いで整備して用意してやってくれ。
なに、大丈夫だ。
記者殿は『扶桑海の電光』の異名を持つエース様だぞ」
あらら。
私の経歴をご存じだったようね。
ならば、無様な姿は見せられないわね。
整備を終え、再び出撃するマルセイユとライーサの後方を、私はBf109-E7/Tropを履き、後に続く形で飛行する。
このユニットは、二人が使うユニットの前のタイプで、二人のユニットとの違いはエンジンが幾分か古いタイプだということだ。
胴体には、マルセイユ中尉のお古ということで、黄色で13と書かれている。
マルセイユ中尉が『黄色の14』なら、さながら私は『黄色の13』か。
そんな他愛もないことを考えながら、再び飛ぶ空を噛み締める。
魔法力が無くなったわけではないので、まだストライカーを履くことは出来るが、やはり自分で飛ぶ空というのは良い。
これがレース飛行やセレモニー飛行ならなお良かったが、自衛用に背負っている予備倉庫に有ったゾロターンS18-1000対戦車ライフルがここが戦場を飛んでいることを実感させてくれる。
射撃戦が得意な私だが、前線から離れたために、如何せん、勘が鈍っているのは否めない。
まぁ、今回は取材飛行だし、戦闘もあくまで自衛だから、それほど気にする必要はないと思うが。
『右10キロ、ヒエラクラス30!』
ライーサの報告を受け、その方向に視線を向けると、確かにいた。
編隊はバラバラで、陣形も何もない。
「15対1。ネウロイにもモンティが居るみたいね。」
15対1でないと攻勢しないというブリタニア軍司令官へに皮肉に因んで言ってみた私に対し、マルセイユ中尉はほくそ笑んだ。
「何を言っている。10対1だろう?」
「それって、私も数に入れているの?」
「違うのか?扶桑海の電光様?」
どうやら私は勝手に数に入れられたらしい。
不敵に笑うマルセイユ中尉に私は訂正を訴える。
「御生憎様。今の私は非戦闘員よ」
「向こうがそれを守ってくれるとは思わないがな。
電光様は眺めの良い上に位置してくれ。
いくぞ!」
そう言って、マルセイユはロールしながら敵に向かっていき、ライーサがそれに続いた。
私は言われた通りに、ネウロイの上に位置した。
するとネウロイは戦力の約1/3を残し、残りがマルセイユらに向かう。
537: ham ◆sneo5SWWRw :2017/10/31(火) 00:20:37
「(あぁ・・・なるほど)」
ネウロイたちの動きで、マルセイユ中尉が私にした指示の真意に気づいた。
連中は"わたし"を警戒しているのだ。
自分たちに突っ込んでくる敵とは別に、優位な高所にいる敵を見れば、対応の為に予備戦力は残す。
ならば相対的に、マルセイユらが対応する敵の数も減るわけだ。
なるほど。たしかに10対1だ。
そこまでの意味を含んで言ったのかは分からないが、マルセイユ中尉の慧眼に感服する。
私はネウロイの動きに注意しつつ、マルセイユらを見た。
マルセイユ中尉は先頭をひたすら進み、ネウロイを落としていく。
その後ろをライーサ少尉が続き、マルセイユ中尉の背後を取ろうとするネウロイに対し牽制弾を放ち、場合によっては撃墜していく。
見るとマルセイユ中尉が放つ銃弾があまり見られない。
創作物では銃弾の光跡が描かれるが、普通、発射された銃弾を目で追うのは不可能だ。
そのために、何発かに1発の割合で曳光弾が入れられ、これの光跡によって、弾道を確認する。
しかし、マルセイユ中尉の持つMG34からはそれがあまり見られず、銃口の火もわずかしか見られない。
前の出撃から帰還した際、銃の残弾を確認した整備兵が言うには、15発しか残ってなかった。
75発入り弾倉だから、60発しか使っていない。
撃墜数が7.5機だから、実質、1機に対し8発しか使っていない。
まさにラル中尉が言う通りの銃弾消費量であった。
「敵、防御円陣!」
マルセイユらに向かわせた味方が減っていくことに焦ったのか、ネウロイは集合をかけ、360度上下も含めた全周防御態勢を取り始める。
「ライーサは電光様の近くからカバー!突入する!」
「その電光様は止めてよ!」
私は恥ずかしくて叫んだが、マルセイユ中尉はそれを聞かずに突入していく。
ライーサ少尉が謝罪の言葉を入れるが、悪いのはマルセイユ中尉なので、謝る必要はないと伝える。
そうこうしている間に、マルセイユ中尉は背負っている扶桑刀を抜き、ネウロイに突入していく。
すると、マルセイユ中尉が通り過ぎていく端から、ネウロイが次々と切れていき、爆発四散していった。
私も、おそらくネウロイも何が起こったか分からないという感じに混乱しただろう。
ネウロイは一時、呆然としたように固まり、5機目が切られた途端、一斉にバラけて壊走し出した。
「(あれがマルセイユ中尉の剣術・・・)」
私はスパスパとネウロイが切れていった様を思い返し、半ば惚けた。
538: ham ◆sneo5SWWRw :2017/10/31(火) 00:21:09
ラル中尉が言っていたように、彼女が傍を通り過ぎるだけで、ネウロイが真っ二つになった。
あれほどの剣術は、北郷さんや江藤さん、いやそれ以上の達人じゃないとできないだろう。
私がそう考察している間に、ライーサ少尉は再びマルセイユ中尉と共に、壊走中のネウロイの小集団に攻撃を仕掛けていく。
今追っている小集団は6機いるが、二人の敵ではなく、忽ち全滅した。
すると、さらに下にまた少集団を確認し、二人は一航過攻撃をかけようとする。
それを見ていた私だが、ふと視界の端に何か光った。
「(っ!いけない、二人は気づいてない!)」
2機のネウロイが二人のさらに後方から襲いかかろうとしていた。
進路からして、狙いはマルセイユ中尉。
しかし、ライーサ少尉に無線で呼びかけても、位置的にカバーしにくいところにいる。
「(ならば・・・!)」
私は持っているゾロターンS18-1000対戦車ライフルを構えて狙いを定める。
気温、湿度、風速、距離、目標の未来位置・・・あらゆる必要なデータをすぐに頭の中で計測し、計算する。
そして、呼吸を整え、手の震えを抑え、しっかりと狙いを定めて・・・撃った。
放たれた20mm徹甲弾は、まっすぐにマルセイユ中尉を狙っていたネウロイの胴体部に当たり、爆発する。
さらに私が続けて撃った徹甲弾が、もう1機の翼付け根部に当たり、翼を失ったそれがクルクルと回転しながら墜ちていく。
突然の爆発と撃墜に、ライーサは慌てたが、マルセイユ中尉は目の前の小集団に対処するように叱咤し、二人は小集団に一航過攻撃を仕掛けた。
二機ほど撃墜し、それらが地上に落ちる様と周囲に敵がいないことを確認した二人は空中で静止し、マルセイユ中尉が無線を飛ばしてきた。
「非戦闘員じゃなかったのか?」
先ほどの動きからして、自分を助けたのは私であろうと察したマルセイユ中尉がそう問いかける。
しかし、私はとぼけて見せた。
「さあ?私は撃っていないわよ。あなた達が墜としたんじゃないの?」
「帰って弾倉を調べれば、分かるぞ」
「向かってきたネウロイに牽制射撃しただけよ。
当たりもしなかったわ。
なんだったら、銃弾を回収してみる?」
ここは砂漠。何もない場所だ。
ただでさえ探すのに一苦労な銃弾を、この無の大地から探し出すのは不可能であろう。
弾痕を調べようにも、ネウロイは基本的に撃破されれば白く砕け散り、後は何も残らない。
私が否定すれば、それまでだ。
「・・・そういうことにしてやる。帰ったら、詫びに扶桑酒で沈めてやるから覚悟しろ」
諦めたマルセイユ中尉は、そう言って帰還を開始した。
539: ham ◆sneo5SWWRw :2017/10/31(火) 00:21:43
私は最後に、撃墜した一部のネウロイが地上にそのまま落ちて激突して作られたクレーターを何枚か撮影してから、ライーサ少尉と共に帰還した。
ライーサ少尉も感謝を述べたが、私は終始恍け、話を先ほど撮影したクレーターに変えさせた。
先の激戦でもあれだけのクレーターが出来たが、行きも帰りも飛行中に空からは他のクレーターは見当たらない。
それに対し、マルセイユ中尉はこう言った。
『そのようなものは風が吹けばすぐに消えてしまう。
人がかつて作った文明の痕跡も、動植物が生きていた証も、ネウロイも、何もかも砂で埋めてしまう不毛の大地。
それが砂漠だ』
砂漠では蜃気楼が起きるが、今あった戦闘も蜃気楼なのか。
そんな神話の世界か、異世界か、はたまた創作物の中の世界か、その中で仲間と共に戦い続ける勇者。
そのような泡沫の夢のような戦いだった。
その後、私達は帰還中に単機の逸れのネウロイに二度遭遇し、それぞれをマルセイユ中尉とライーサ少尉が撃墜して基地に帰還した。
今回の出撃で、マルセイユ中尉は13.5機、ライーサ少尉は6.5機を撃墜し、撃墜者不明の2機を含めて22機を撃墜した。
先の編隊に限れば、30機中20機を撃墜するという華々しい戦果であった。
基地に戻ると、地上にカールスラント軍の公用車と思しき黒塗りの車が見えた。
別に追突する気はないが、気になって降りてみると、カールスラント軍の将官がマルセイユ中尉、ライーサ少尉、そして私を出迎えた。
マルセイユ中尉はストライカーを外し、ライーサ少尉を伴って、その将官の前に赴き、挙手の礼を行う。
「閣下、本日の我が中隊は2回出撃し、33機を撃墜しました。」
それを聞いて、将官は目を瞬かせ、少し呆けるが、すぐに顔を綻ばせる。
「そうか、それでその内、君は何機を撃墜したのかね?」
「21機です」
今度こそ、その将官は完全に思考停止した。
目を大きく開き、口をぽかんと開けるその将官は、失礼ながら大変面白かった。
つい写真を撮りそうになり、カメラを持つが、私の存在に気づいたのか、慌てて居住まいを正す。
そして、マルセイユ中尉、そして、ライーサ少尉と握手し、急ぎ公用車の車内に戻り、行ってしまった。
それを二人は敬礼で見送り、車が見えなくなると、ライーサ少尉がマルセイユ中尉に文句を言った。
「ティナ。報告の21機って、カトーさんの2機は私の記録ということ?」
「嫌か?」
そう言ってマルセイユ中尉は不敵に笑う。
540: ham ◆sneo5SWWRw :2017/10/31(火) 00:22:16
「自分のものにしちゃえば良いのに」
「他人の記録を奪ってまで私は腕を誇るつもりはないよ。
それに、たった2機くらい、その5倍を自力で墜とせば良いさ」
「はいはい。ライトニングフォックス様の仰せの通りに」
そう言って、ライーサ少尉はやれやれと手を広げて肩を竦め、頭を振った。
やはり長いこと列機をしているだけに、相棒のことをよく知っているのか、これ以上の追及をライーサは諦めたらしい。
どうやら私が墜とした2機は、ライーサ少尉の記録になるようだ。
そしてこの日、彼女ら二人はさらに2回出撃した。
マルセイユ中尉は宣言通り、5倍である10機を、ライーサ少尉は2機を追加で撃墜した。
一日でマルセイユ中尉は31機、ライーサ少尉は14機、合計で45機を撃墜した。
これが伝説の弟子、ライトニングフォックスNo.1の戦いの記録だ。
しかし彼女は言う、「自分は落ち零れだ」と。
それは自惚れないための戒めか、はたまた自覚がないのか。
こうやって作った記録も、彼女にはあまり意味を為さないのかもしれない。
取材を終わらせた私は、アフリカに別れを告げた。
今は再び船の上で、遠ざかるトブルクを眺める。
撮影した写真はトブルクに居る間に現像に出して、関係者全員に配ることができた。
私にカメラを教えた武子から現像の仕方を教えてもらってはいたために自分でも出来るが、
場所や道具の準備が必要なので、やはりその道のプロに頼んだほうが適切と判断してのことだった。
ただ、当の頼んだ写真屋が、値引きを条件に何枚かの焼き増しを求めたため認めたが、
後日、再度その写真屋に行ってみると、写真を引き伸ばして作ったマルセイユのポスターがデカデカと張られていたのには笑った。
さらに、配った関係者も同じようにして街中にポスターを張っていたので、腹を抱えてしまった。
記事についてもカールスラントやロマーニャ、さらにはブリタニアの新聞社が買ってくれて、写真屋の値引きも含めて懐が大いに潤った。
お礼として、マルセイユ中尉には、トブルクに偶然有った扶桑酒を、扶桑酒に溺れさせてくれたお礼に送ってあげた。
私は今回の取材で、もう一つ重要なことを学んだ。
やはり私はウィッチなのだ、と。
今回行った飛行で、空への欲求が沸々と蘇った。
ウィッチに成りたての頃から、ずっと憧れ続けていた空。
ネウロイも瘴気もない、澄み切った蒼くて、綺麗で、美しく、どこまでも果てしなく、全てのウィッチを魅了し、麻薬のように危険な空。
あの空に再び戻りたい。
私はふと気付けば、扶桑へ復帰願いを出していた。
もちろん、世界を見て回りたいという夢も忘れてはいないので、従軍記者、つまり軍属としてである。
私に出来ること、新しい私の翼を見つけたような気がした。
マルセイユ中尉、再び会いましょう。
そして、その時は今度こそ、一緒に空を飛べるように。
541: ham ◆sneo5SWWRw :2017/10/31(火) 00:22:50
「と、綺麗に終わればよかったのになぁ・・・」
そう言いながら、私は書類の山がいくつも出来た机の上で突っ伏す。
あの後、すぐに扶桑陸軍から『トブルクでの待機命令』を貰い、出航直後だというのに船から急いで降ろされた。
タグボートでトブルクの街に戻って、ホテル住まいでブラブラと街で兵士の写真を撮りながら待っていれば、いきなり独立飛行中隊の指揮官に収まっていた。
しかも、その飛行中隊の本来の指揮官は運営資金を持って逃げだすわ、
駐屯地その他諸々は全部私に丸投げになっているわ、
一緒に派遣されたウィッチは華族出身のお嬢様で、おまけに実戦経験無しの幼年卒配だわ、と散々な有様だった。
とにかくここで築き上げた人脈をフルに使って、なんとか部隊の体裁と駐屯地を確保してみると、
今度は同居することになったマルセイユ中尉が最近ブリタニア本土で話題の統合戦闘航空団構想を利用し、ここでそれを結成しようと話を持ち掛けてきた。
こちらとしても、基地を間借りしているし、物資を融通して貰う必要もあるから協力関係構築の面から応じたが、まさかこれがさらなる苦労を呼び寄せるとは思わなかった。
案の定、この部隊設立は第6課で貧乏くじを引かされた参謀が適当にやったことだと分かったが、新聞でこのことを知った参謀本部は大混乱に陥ったそうだ。
なんとその馬鹿参謀は、報告書の一枚も参謀総長に上げていなかったそうだ。
当然だが、組織の中で勝手に部隊を作るなんて、クーデター容疑、国家反逆罪を問われてもおかしくない行為だ。
これが許されるならば、組織の長に黙ってクーデター部隊を作っても、文句を言えなくなる、つまりクーデターの容認を意味するからだ。
当の参謀は憲兵隊に直ちに捕らえられ、すぐに参謀本部内の仮設法廷に引きずり出され、問答無用で銃殺刑が決まり、即日執行されたそうだ。
また、このことを知っていた他の6課や7課の参謀、逃げ出した指揮官たちも捕らえれて全員有罪が確定し、そのほとんどが極刑となった。
おかげで、6課と7課は人事一新がされたらしいが、その辺りは割愛する。
ただ、私が少々ナイーブになって、マルセイユと飲みながら愚痴を零したら、『その馬鹿共にはお仕置きが必要だな』と、
カールスラントやブリタニアの高官経由で扶桑に伝えたらしいのだが、どうやらこれが外交カードになってしまったようだ。
マルセイユ曰く、最初は私のためにやったのだが、後になって失敗したと気付いて、後悔しているらしい。
事実、彼女師匠である九曜様から御叱りと課題が来たのだが・・・。
ともあれ、外交カードに使われた扶桑陸軍は、3個連隊戦闘団を派遣することになってしまい、さらにウィッチ部隊も派遣されることとなった。
それに先立ち、海軍の九七式飛行艇6機が、わざわざ横須賀から遥々とトブルクまでやってきたのだが・・・
「ギャハハハハハ!ホントにいたぜぇ!」
「あだっ!ま、真嶋さん!?」
野獣こと真嶋さんに伸し掛かるように腕を首に掛けられ、副官に据えられたと聞いて、頭を悩ませた。
さらに・・・
「久しぶりねぇ~、ヒガシ」
「あ、あはははは・・・。ひ、久しぶりね。フジ」
一緒に来た武子が、仲間が出来たとばかりに黒い笑みを浮かべて、扶桑のウィッチ共通の悩みである御見合い写真を置いていき、それでも頭を悩ませた。
そして・・・
542: ham ◆sneo5SWWRw :2017/10/31(火) 00:23:23
「この書類の山、か・・・」
マルセイユ・・・ティナが『王宮』と称していたテントは、今や修羅場状態であった。
あちらこちらに積まれた書類をティナや真嶋さんのみならず、本土からわざわざ送られてきた金子中尉ら主計課の面々で処理していく。
またライーサも、真美ら下士官ウィッチに決済済みの書類を運んだり、軽食の差し入れを用意してくれたりと指示しつつ、私たちを補佐する。
最初に取材に来た日、ティナが私が入る前にテント内でガタガタと騒がしかったが、あれはこれらの書類を隠すためだったらしい。
『軍隊は戦う組織である前に巨大官僚組織』とは言うが、これほどの書類の山は確実に死ねる。
飛行計画書の提出と帰還後の報告、兵器・弾薬・需品の維持管理補給、上層部との折衝根回し、部下の掌握、人事管理から人生相談まで、書類仕事の量は膨大である。
おそらくきっと、江藤さんも北郷さんも、智子も武子も綾香も、そして、今第501統合戦闘航空団で頑張っている坂本少佐も、書類の山に埋もれているんだろうか・・・
この山を今まで一人で処理していたティナは本当にすごいと思う。
「ケイ。手が止まっているぞ。
ここのトップであるお前が処理しないと進まない書類があるんだぞ」
私がティナに羨望の眼差しをしていると、視線に気づいたティナはそう言って、注意をしてくる。
あまりの量で本気で死にそうになったから、これ幸いに隊長職を押し付けつつ、その下の中間管理職になって自分の書類数を減らそうと巻き込んだのはどこの誰なんだか・・・
私は心の中で文句を言いつつ、再び書類を手に取った。
再び私が世界を回ることは出来るのか。
それは未だ分からない・・・
あとがき
ケイさん、誕生日おめでとう。
というわけで、hamバージョンのティナとケイのファーストコンタクトを書いてみました。
長くなりましたが、なんとか間に合いました。
いかがでしたでしょうか?
冒頭は、まぁ、書類仕事から一抜けされたらそうなりますね(笑)。
ラルさんの回想は、原作とライトニングとの比較等を含めて加えました。
原作では平均15発のマルセイユは、この世界では半分以下で墜としています。
あと、報告書を受けたら、誰だって信じませんよね。
543: ham ◆sneo5SWWRw :2017/10/31(火) 00:23:55
基地までの道のりは、原作では無謀にも歩こうとしたので、ライトニング・ティナなら、その辺りは配慮すると考え、迎えを用意させました。
まぁ、本人もインタビュー(拷問)したがってますからねw
ちなみに、ドナドナは1938~40年頃に作られた歌ですので、時代の考証的には問題ありません。
そして、二日酔いと寝不足とインタビュー(拷問)で、せっかくの取材内容も完全に吹き飛びました(笑)。
まぁ、あれだけ色々あればね・・・
なお、原作では、エーリカの話もあったのですが、ケイはこの一連の出来事で見事に忘れてしまいました。
これなら、いつぞやのマルセイユ誕生日記念SSのエピソードでも矛盾は生じないはず。
戦闘については、原作のマルセイユ単独17機をそれ以上にしただけでなく、ライーサも戦果を挙げるようにしました。
まぁ、ライトニングの僚機って、倍率高いでしょうし、色々とありますから、それを跳ね返せるだけの実力は必要でしょうし。
戦闘シーンや取材飛行は、今回頑張って書いてみました。
特に、ケイの現役復帰願いを出させるための切っ掛けとなるように、彼女が再び空への希求を覚えるよう書いてみました。
そして、後日談的な第31統合戦闘飛行隊設立とその後の話。
まぁ、勝手に部隊を編成して、しかも報告しないのは普通に国家反逆やクーデター容疑で死刑になっても文句は言えませんからね。
シビリアンコントロールを完全に無視してますから。
マルセイユ経由での云々は・・・このお話を書いていて、少し無理あるかな?と思いましたが、ご容赦を。
よくよく考えれば、九曜さんから指導を受けているマルセイユがこういうことをするのは無いかな?
とはいえ、書いてしまったものは仕方がないので、これで押し通します。
真嶋及び部下の扶桑ウィッチ2人の派遣は、金子中尉と一緒に九七式飛行艇で派遣することにしました。
特に真嶋と武子によるケイとの絡みは、当初この御話を思い立った時からずっと考えていたもので、結構、気に入ってます。
6機は大盤振る舞いでしょうが、ウィッチとストライカーを同時に、且つ、主計課員等の人員を送ることを考えたら、これくらいでないと運べないでしょう。
そして、最後の書類の山。
まぁ、原作のアフリカや憂鬱の定番ですが、デスクワークはホント地獄です。
ワールドウィッチーズ図鑑だと、マルセイユはこのデスクワークも有って、本当に死にそうだったとか。
九曜さんの指導でデスクワークは鍛えられてますが、それでも一人で処理するのは地獄でしたので、仲間を増やした次第(大笑)。
野獣の真嶋は向いていないでしょうが、立っているなら野獣も使えです(笑)。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
最終更新:2017年11月25日 09:52