727: リラックス :2017/12/16(土) 07:07:15
さて、ちょいとネタを

とある転生者の日記

 ○月○日
 本日、俺は転生を経験したらしい。
 直前までの記憶は思い出せないが、日本のとある地方大学に通う学生だったことは覚えている。気づいたら自室ではなく謎の病室で眠っていたのだ。
 医者に話を聞いた所、訓練中に倒れていたらしい。更に意味が分からない。 


 ○月◎日
 1日ほど休みをもらって病室で寝ながら身体の方の記憶を漁っていると、大体の事情は分かったが、取り敢えず重要なことは以下の三つだ。
 この世界はガンダムSEEDの世界であること。
 現在はプラントとの戦争の最中であること。
 俺は大西洋連邦の軍人であること。


 ○月△日
 俺が目覚めて数日が経った。
 今、俺は仲間と一緒に訓練を受けて過ごしている。キツイのでもう寝る。


 ○月▽日
 なんと!モビルスーツに!!乗った!!!
 突然のハイテンションで申し訳ないが、とにかくモビルスーツに乗った!!
 とりあえずあれだ。今日、大西洋連邦製のモビルスーツが届いたのだ。それもストライクダガーでなくダガーLだ!
 俺たちの部隊はこの機体で基礎訓練を行った後にパナマ基地へと移動になるらしい。
 何だか大洋州が既にもっと強力な機体を投入して来たと同僚が話していたのが気になるから、暇が出来た時にでも詳しく調べるとして、テンション上がって来たぜ!


 ○月▼日
 死にかけた。
 何なんだよ。MSこえーよ、何で俺、あんなんに乗ってテンション上がってたんだよ。



(数日ほど解読不能のページが続く)



 ○月□日
 ようやく心の整理がついたので何が起きたのか書いていく。
 パナマ戦でダガーLに乗って出撃した俺はザフトのMSを相手に、取り敢えずそこそこ戦えていたと思う。
 そんなタイミングでザフトのEMP兵器が炸裂し、機体は機能停止。
 何とか脱出出来たが、生身でザフトのMSの恐怖に晒されることになった。
 あいつら容赦ない、前世で76mmの実弾とかwww貧弱すぎワロスwwwとか草生やしてた兵器だって人間に当たったら跡形もなく爆ぜて失くなるんだ。目の前で。
 俺が生き残れたのは運が良かった……としか言えない。左右や前を走ってた奴が突然弾けて無くなってるのを必死に見なかった振りをして訳もわからず足を動かしてたら気づいたら味方に取り押さえられていたんだ。
 後から聞いた話だとアークエンジェル隊や後期Gを装備した強化人間部隊のおかげで追撃が弱まった間に、ザフトが追撃を諦める所まで逃げて来れたのだろう。
 ザフトのEMPで動けなくなったこと、これは別に使用を予想が出来たことだし、機体に対策さえ行なっておけば機体停止まではいかなかったはず、それに敵が自分たちの兵器を使って優位に立とうとすることは当たり前。だからこれを不幸というのは傲慢だろう。
 でも、方角も何も考えずに足を動かして味方のいる方向へ進んでいたのは幸運だったし、偶々無事な味方の部隊が駆けつけてくれて追撃が弱まったのも、こうして今生きていることも全てが幸運だったと思う。
 そして俺は取り抑えられてるのに気づいて我に返ったつもりだったけど、まだまだパニック状態だったんだと思う。何しろ俺が暴れてるから押さえてるのに、押さえつけられてることに抵抗してまた暴れようとしたんだから。
 そんな状態で数日いたもんだからしばらくの療養が必要と見なされて後方に送られるらしい。
 これを聞いて感じるのは心の底からの安堵、二度とあんな場所に連れて行かれずに済むかもしれないという希望だ。


 ○月■日
 戦場でのPTSDというかシェルショックというか、とにかくそんな感じの症状と診断された後はカウンセリングを受けながら過ごしていたけど、今日、ザフトとの戦いが終わったことを聞いた。
 ちょくちょく新聞を読ませてもらったけどザフトは原作と違い独立を果たせなかったようだし、ジャンク屋とかオーブとかアークエンジェルとか、大洋という世界最大の勢力とか、色々と原作と違う。
 もっと細かく調べればキャラの生死とか、色々と異なってるんだと思うけど、わざわざ調べる気は起きなかった。
 戦後や二期を見据えてああしたらどうか、こうしたらどうか、と悩んでいたのが今では遠いことのように思える。

728: リラックス :2017/12/16(土) 07:07:50
 ○月☆日
 時折経過観察や投薬治療は続けないとダメみたいだけど、一応の回復が認められた。
 このまま退役するとばかり思っていたのだけど、どうも憑依前の自分は職を失くして軍に志願したらしいので戻る職場は無い。家族はいるがザフトのNJ投下の影響で体調を崩してめっきり弱った両親、年の離れた弟妹、妻と生まれたばかりの子供(双子)と養うべき存在は多い。再就職、というのも不可能ではないが、MS乗りは優先して軍に残れること、更に実戦経験者には下士官兵に限り一階級特進という話を聞いて軍に残ることにした。
 実戦に出ないなら何とかなるだろう。


 ○月★日
 家族には余り会えていないが、戦中に受けたショックということで以前との差異は納得してくれたようだ。
 現在は新型機や試験機のテストパイロットという立場を確保出来たが、教官としてやって行くのに必要な資格も取得しようか?
 いや、それも良いが種死進まないならモビルスーツがどういう扱いになるか考えると微妙に感じるし、モビルアーマーについても操縦技能を習得しておこうかな?

 ○月◇日
 子供は順調に育っているが、やはり子育てには金がいる。弟妹は進学について学費の面で主に悩んでいるようだ。保険があるとはいえ病気がちな両親の医療費もかかる。
 そんな時、追加手当が出るから宇宙部隊に転属しないかと上官に持ちかけられた。
 主に経済的な問題から受ける選択肢一択だった俺は、しばし転属に必要な諸々の為(手続きやら講習やら訓練やら)に地獄を見た……が、上官にはとても感謝している。


 ●月○日
 宇宙にも慣れて来たと思っていたら新型機のテストのため新たな部隊が設立されると聞いたのだが、この新型機、どうもモビルスーツとは違うらしい。どうせなら転属してみないかと勧められ、新型のモビルアーマーなのかと思って書類を見ていたら、重力質量と慣性質量分離機能を利用して推進剤を加速する高効率反動推進……テスラ・ドライブ搭載機の運用試験を行う部隊であることが判明した。
 原作と違うと思ったらスパロボ時空だったとは思わなかった。
 こうなってくると個人ではどうしようもなくなって来るので諦めが肝心ということにさせてもらおうと思う。ゲームだとバランスの為か種出身のバッテリー機や核動力機でも上位に食い込めることがあったりするが、設定だとバッテリー機とミノフスキー核融合炉搭載機が誤差になるレベルの敵だって沸くんだ。
 明日を嘆くくらいなら今日の家族を養う為に身を粉にして働こうじゃないか。
 細かな仕様などは引き受けてくれるなら教えるということだったが、給料の良さが決め手になって必要な書類を作成、担当者の所へ持って行った。

729: リラックス :2017/12/16(土) 07:08:24
 ●月●日
 随分投げやりなことを書いたが受領した新型機を見て、流石に驚いた。
 ラウンドキャノピーを持ち、オプションにビットとフォース、特殊武装に波動粒子を利用した波動兵装……。
 武装の幾つかは種作品の物を流用しているとはいえ、どう見てもR戦闘機です。
 ……スパロボに横シュー御三家って参戦してたっけ?。


 ●月◎日
 正式に例の部隊が稼動を開始した。
 なんでも大西洋では初となるテスラドライブ運用部隊とか……まあ、試験部隊だけど。
 ちなみにウチの部隊の旗艦は細かな部分には自信がないがヘイムダルにクリソツだった。
 バイドも相手にしたくない敵としては上位に入るんだよなぁ、と思うが、もしいたら波動兵装がないと詰むなぁ……
 それから流石にエンジェルパックにされるのはゴメンだから、一応、同意書にだけは気をつけておこう。


 ●月〒日
 それにしても波動砲って凄いね、ガンダムのビームライフルも戦艦の主砲並の威力!?って驚かれることがあるけど、本当にそんな感じの威力があるよ。
 俺が乗ってるのはレオという試作機の一つらしいけど、他にエキドナとかアローヘッドとかアルバトロス試作とかあるみたいだ。
 流石にR戦闘機を全部は知らないけど、確かRー99ってのに最終的にたどり着くんだっけ。


 ●月△日
 次々と改良型や新たな試験機が回されて来るのだが、研究者は元気だねぇ。
 いや、まあ、原作でも一年足らずでGATシリーズを出して来たから半年もあれば改良くらいは余裕ってことか。
 目標というか仮想敵国がいて腑抜けなければ大西洋も出来る子なんだな、うん。原作でも本編が全力で映さない自由を行使していただけじゃないのかって気もするけどさ。
 それはそれとして、パイロットの安全を保全するためのシステムを導入したということなのだが、その概要はパイロットの脳データをコピーしてバイオ脳に転写した物を機体に搭載するという……何処の遠隔人工知能通信機構(レインシステム)だって代物でした。
 パイロットの脳データを丸ごとコピーして戦闘機に搭載することで無人機ならではの高機動性能と有人機ならではの有機的な戦闘を両立させ、定期的に機体とパイロットを同期することで『戦闘中の経験がパイロットにフィードバックされる』という点も抑えている辺り、完全にレインシステムですやん……あ、名前もそうなの?

 ●月▲日
 レインシステムの評判は上々だ。
 たしかにこれがあれば撃墜されても死なずに済むし、バイオ脳さえ回収出来ればその時の経験のフィードバックも可能だ。
 記憶を同期するのは違和感があるが、変則軌道を取った場合のGに比べれば大したことはないと言えるレベル。
 一人で複数の機体を動かして、とかだとキツくはなるが、キツくなるのはフィードバックされる方だから暴走の心配よりもパイロットの体調の方が問題、と。
 元ネタのような暴走は問題なさそうだな。
 それは良いのだが、バイオ脳を納めた円筒状のデバイスにエンジェルパックという愛称が付いているのは何か嫌だな。



 ●月▲日
 『念のため通常の日記に見せかけた暗号で本当の日記を付けようかと思う。以前に書いた日記も手直ししようかと思ったが、転生とか書いてあるからPTSDとなる前から何処か可笑しくなっていた、くらいにしか思われないだろうし、そのままにしておく。機密に触れるような所も、どうせこの暗号自体、俺以外の誰かにメッセージを残すためではないし、処分させるためのカムフラージュとしては丁度良いだろう。
 わざわざ暗号にして残すのは一つ、日記くらいある程度は気楽に書きたいからだ。気にし過ぎとは思うが、自分がこの内容を日記に残す上で自分を安心させる方法が他になかったのだから仕方ない。
 先日、我々にとある命令が降った。
 どうも宇宙ゲリラ的な存在の討伐らしい。
 原作で言う所のジャンク屋残党か、それともスパロボ系列の敵なのか。
 今の俺に出来るのはこの実験部隊を投入する理由が単なる非MS派閥のポイント稼ぎであることを願うばかりだ。
 殺されるのはゴメンだ、何としても』

730: リラックス :2017/12/16(土) 07:09:34


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かじかむ手を擦り合わせながらこの世界に来てから軍を退役するまで毎日つけていた日記を読み返した俺は、色々と痛かった当時の自分を思い出して羞恥に悶えることになる。

若気の至りと言えばその通りなのだが、そう思える自分は成長した……いや、単純に歳をとっただけか。

まあ、痛さを別にしても色々と悩んだり先行きの見えない不安に怯えたりしていた当時の自分を今の自分の視点で見ると色々とくすぐったい物がある。

当時の自分にアドバイスを送れるなら、「五体満足で定年を迎えることが出来るから心配するな!」の一言だろうか。

本当に色々なことがあったが、今、こうして五体満足で過去を振り返ることが出来るのは間違いなく幸福と言えるだろう。

それにしても一時期は退役後に出版して売りに出すことを大真面目に検討していたこともあったが、何を血迷っていたのやら。

内容が売りに出したり他人に読ませられる物かという点についてはさておき、これでまだ全体の三分の一にも満たないのだから、我ながらよく続いたと呆れるばかりだ。

この日記を前編、中編、後編に分けるとこの辺りまでが前編といったところか。

ちなみに中編は宇宙に出たまま帰って来ない夫に愛想をつかした妻が離婚調停に乗り出し、しかも随分と要領の良いアドバイザーと優秀な弁護士を味方につけたらしく、子供の親権と多額の慰謝料、更にそれとは別に養育費をふんだくられる条件で離婚が成立してしまったことで尚更に身を粉にして働かねばならなくなった男の悲喜劇という内容だ。

後編はこの頃に色々やっていた任務が原因で干され、ファイル整備係として退役まで変わり映えのない毎日を過ごすという内容で、記憶の新しいこともあって一気に面白味がなくなるが。

まあ、空調設備も満足にない家で、訪ねて来る家族や知人もおらず寂しく一人で日々をただ過ごすという元軍人の老いぼれの暇つぶしにはちょうどいいだろう……

731: リラックス :2017/12/16(土) 07:10:32
以上。多分リアルメカウォーズ・ルナティックの世界に転生した転生者の日記と思われる。

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最終更新:2023年10月11日 19:44