15: 弥次郎 :2018/01/07(日) 17:47:48

大陸SEED支援ネタSS 短編集3





Part.7 暗夜密林に踊る



戦闘開始から、40分が経過していた。遭遇戦が始まって大混戦となりつつあった。
上空からおおよその位置を把握していたことでまとまっていたヴィルター隊とばらけて捜索をしていた大西洋連邦のMS隊では、その対応と状況の把握には明確な差があった。

ヴィルター隊はすぐさま敵MS隊への攻撃に乗り出した。
敵が散開状態で、局地的に見れば数の優位が確保されているうちに敵の数を減らせば、決定的にすることができる。
加えて、うかうかしていると相手は援軍を呼ぶだろう。そうすれば消耗した挙句に撃破されるのがオチである。
そして、一体となって大西洋連邦のMS隊へと襲い掛かった。

ヴィルターの判断ともくろみ通り、ヴィルター隊は序盤の攻撃で敵のMSを5機近く大破乃至擱座させることに成功した。
会敵した以上、残された時間は長くはない。あくまで物資を輸送する部隊が確保し、撤退するだけでいい。
しかし、序盤の奇襲効果は長く続かなかった。6機目のMSを撃破しようとしたところで敵の増援が到着。
やむなく敵の増援部隊の方向に戦力を振り分けて何とか時間を稼ぐ手に出た。
幸い、その時点で輸送部隊は物資の確保に成功しており、あとはその離脱までの時間を稼ぐのみである。
足止めを指示されたことで、ヴィルター隊はバディと共に必死の遅滞戦闘を開始した。

オーレリア・ウォーカーも、バディーであるジョン・マルティネスと共に敵MSと戦闘を行っていた。
こちらは2機。相手は最低でも倍の4機はいる。動き回って翻弄し、無駄弾を打たせて敵のバッテリー消費を誘う。
ビーム兵器は確かに強力だが、その分電力消費は激しい。相手がビーム兵器を使ってきた時点で、オーレリアの選択は決まっていた。

『ふっ…!』

そして、徐々に距離を詰めていく。
相手もそれを把握しているのだろう、こちらを誘うように動き回りつつ、ビームの発射を控え始めた。
好都合。フットペダルを踏みこみ、機体を前進させながら手に保持したカービンをセミオートで放って動きを牽制する。
76mmの弾丸は、本国の生産過程で改良が徐々に加えられており、対MS戦闘を意識して貫通力が高くなるようにと開戦時のそれから変化している。

そして、間合いはいよいよミドルレンジからショートレンジに、そして格闘戦が物を言うクロスレンジへと切り替わった。
オーレリアは相手の動きを見て取る。ビームライフルをリアスカートのラッチへと仕舞い、その手を腰に装備されたビームサーベルへと伸ばした。
その間が隙と言えなくもなかったが、こちらの動きを頭部に設けられた機銃で牽制して見事時間を稼いで見せた。
思い切った選択だ。格闘戦で勝負をつける、と腹をくくったのだろう。間断なくビームサーベルは抜かれる。
こちらもマウントラッチにカービンを預け、踏み込みつつ、重斬刀の代わりに装備している格闘兵装へと手を伸ばす。

ガキン!

陸戦型ダガーのビームサーベルを振りかぶった腕にシールドを強引に割り込ませることによってジン・アマゾネスはその動きを止めた。MSの装甲を容易く食い破るビーム兵器は確かに脅威だ。
しかし当たらなければ怖くはない。直線のビームサーベルは、それ故に軌道が読みやすい。

互いの力はほぼ拮抗。だが、こちらには右手に持たせた格闘兵装がある。
一瞬の動きで、ジン・アマゾネスはそれを繰り出す。上から振りかぶった一撃は頭部を狙うのは、バトルショーテルと呼ばれる格闘武器だ。湾曲した刃を持つ実体剣は、割り込んできたシールドを飛び越えて迫る。
だが、相手も素早く左腕を持ち上げ、ギリギリのところで回避した。感覚としては、あと少しで敵の胴体か頭部に刃が食い込むところだった。
そこに無理やり割り込み、力で何とか阻止したのだ。

『やりますね…!』

良い反応だと、コクピットのオーレリアは素直に称賛する。
ナチュラルの操るMSはコーディネーターの操るMSに比較すれば反応が遅い。
パイロットの技量と反応能力、OSのレスポンス能力。それらが上回っているザフトは、その優位を生かすべく、積極的な格闘戦を狙いに行くという戦闘方式をとりつつあった。勿論、弾幕の嵐を抜けられて、MS相手に格闘戦をこなせるパイロットに限られるが、視界が悪く射撃武器が上手く使いにくい状況とかみ合うと、単独でも複数の相手を翻弄し、撃退できる。

だが、目の前のパイロットはどうだろうか。
以前戦闘を行った同じMSよりも、反応がいいのだ。
少なくとも、シールドをしっかりと割り込ませた上で、ショーテルの刃を確認して咄嗟に防御するというのは出来ていなかった。
以前はこれで撃破が出来ていたのに、今は出来ていない。それだけあちらも研究を重ねたということだろう。

16: 弥次郎 :2018/01/07(日) 17:48:52

だが、研究をしているのはこちらも同じことである。
コーディネーターであっても、成長はできるし、研究して学ぶことができる。
操縦桿を押し込みながらも、組み合った姿勢を崩されないように踏ん張らせたオーレリアは、少し右腕を引かせる。
引くというよりも、少しずらしたという感覚だ。

(やった…!)

ギシリ、と独特の振動が腕を通してコクピットに伝わる。
噛んだのだ。カメラでも、返しのついたショーテルの刃が相手のシールドに引っかかっているのが確認できている。
ふぅ、と息を吐き出す。ここからは反応が大事になる。相手が行動に移る前に、なさなければならない。
そして、一気に操縦桿を操作した。

『ええい!』

拮抗するように押し込むのではなく、敢えて、自分の方へと引く。
相手がシールドで押し込んできていた力を、ショーテルで引っ張って誘導してやる。
すると、急なバランスの変化で相手のMSは大きくバランスを崩した。当然だろう。
まっすぐ引くのではなく、少し腰をひねるようにして、自分を軸にして相手を振り回して地面に叩きつける。
生身での格闘術と同じだ。相手の手首をつかんで引き倒すのをMSでやればいいだけのこと。

      • ドスン!

引き倒された陸戦型ダガーは動きが止まっている。
恐らく、何が起こったかよくわかっていないのだろう。
当然だ。自分だって、この技術を教えられたときは訳が分からなかったのだから。

『おっと』

咄嗟の反撃、頭部に見える銃口から機銃が放たれた。
だが、それはこの距離であっても有効な攻撃とはなりえない。
初弾が命中したのは、着弾の衝撃から判断すると、足の関節の周辺。
少しずらし、問題がない装甲で受け止める。良い狙いだし、最後まであがく姿勢は良い。
しかし武器が悪かった。そして、止めを刺さんと武器を迅速に振りかぶって---

『ウォーカー!』

『!?』

ロックオンアラート。そして、同僚の声。
その二つを受け、身体は反射的に機体をバックステップさせる。
一瞬の後に、ビームの弾丸がそれまで自分の機体があった場所を貫いていた。
回避してから、臍を噛む。これはロックオンされていると悟らせ、回避運動を強いる射撃だ。
恐らく当たらなくてもいいと撃ったのだろう。友軍誤射を恐れない、とても思い切った攻撃だ。
いや、自分が相手を引き倒したからこそ、誤射の危険性が減ったためだろう。

ともかく、と手持ちの武器を76mmカービンに持ち替えて牽制射撃をビームが飛んできた方向へ放ちつつ、後退する。
音響センサーと熱源センサーは最低でも2機のMSがオーレリアに迫っていることを告げていた。
こちらの射撃はどうやらシールドでしっかり受け止められたらしい。足止めにもなりはしない。
以前としてこちらに速いペースで迫ってきているようで、ビームがこちらの動きに合わせて的確に放たれてくる。

『仕方ないか…!』

左手でグレネードケースからスモークグレネードを抜いて投げ、引き倒した陸戦型ダガーの脚部を撃ち抜いておく。
これで時間は稼げるだろう。出来ることならコクピットを狙って撃破したいところだが、そうすればさらに2機を相手取ることになる。
だが、止めを刺さずに相手の移動力を奪い、視界を封じてやれば、相手はどうしても止まらざるを得ない。
まだMSの配備数が多くないためか、相手は生存を優先している節がある。
こちらが生存をするには、そこを利用するしかない。

果たして、追撃はビームが数発飛んでくる程度で止まった。
MSの移動と思われる音も途中で止まり、こちらを追撃して来るMSの姿は見えない。
油断こそできないが、ひとまず安全だろう。

『すまない、抑えきれなかった!無事か!?』

『ええ!さっきはありがとう、マルティネス。状況は!?』

『輸送部隊は間もなく危険領域(ホット・ゾーン)を抜ける!足止めと陽動は十分だ!』

『ありがたいことね、と!』

ほどなく、左側から僚機のマルティネスのジン・アマゾネスが飛び出してきた。
無傷にちかいオーレリア機と異なり、ビーム兵器を受けたのか装甲が一部融解している。

『無理させちゃったわね……大丈夫なの?』

『ギリギリ直撃は回避できたと思う。問題ない……3機を相手に立ちまわるなんて、金輪際やりたくないな』

マニュアルでのランダム回避を加えつつ、木々の合間にMSを進ませるオーレリアは、マルティネスの奮戦に驚愕するしかない。
驚きつつも、眼前の大きな木を横っ跳びに躱し、チャフとスモークグレネードを追加で後ろへと放り投げておく。
ランダムにばら撒いているのでこちらの退避をアシストしてくれるだろう。つくづく、この手のオプションはありがたい。
既に戦場から全力で退避しつつあり、間もなく自分達もホットゾーンを抜けられるだろう。

17: 弥次郎 :2018/01/07(日) 17:49:40
『小隊長は?』

『もうすぐ制圧射撃を終えて撤退するところらしい。あと少しで合流予定だ……ほら、砲撃があっちで行われている』

音響センサーを向けてみれば、ビーム砲が速射され、ついでミサイルの着弾と炸裂音が連続して発生しているのが分かる。
薙ぎ払うかのような射撃は、多少の遮蔽物を消し飛ばし、破壊をもたらす。あの威力では多少のシールドも効果がない。
どうしても相手の動きは制限されるか、回避に徹するしかなくなるだろう。

そして足が止まってしまうか、移動速度が落ちてしまうとそれはもはや的でしかない。
上空からは、独特の飛行音と炸裂音が続いているのが分かる。

『対地攻撃機としてのディン。遮蔽物が多く、上空の視界が遮られることがあるこの戦場。
 一時的でも上空を抑えれば鴨打(ダック・ハント)だ。地上は地獄だろうな…』

マルティネスの言葉通り、連続した炸裂の音が轟き、地面が揺れる。
火の手が上がり、明らかに自然ではない熱を持った空気が吹き抜けていく。
集団戦闘を仕掛けてくるが故に、広範囲に被害をもたらす兵器を正確に撃ち込めばその被害は大きくなる。

『文字通り、虎の子まで動員するなんてね……』

その風を装甲越しに感じつつも、オーレリアはそうつぶやく。
補給物資を確保するために人員と物資を消耗させるという矛盾。だが、自転車操業になろうとも必要なのが憎い。
対地ロケットは、文字通りヴィルター隊が基地で自前で製造している虎の子の武装だ。威力は高く、効果はかなり見込めるが、製造できる数に限りがある。他の武双から炸薬などを都合をつけているということもあって、なかなか使えるものではない。

思い切った運用だが、これで大西洋連邦のMS隊は完全に振り切られ、追撃を断念しただろうとオーレリアは判断する。
輸送されてきた物資を確保し、敵のMSによる襲撃を切り抜け、離脱する。一連の動きとしては上出来だ。
勿論、今回はうまくいったに過ぎない。変則的な編成で動くという新たな試みのおかげなのかどうかは、今後の戦闘詳報の分析と評価に任せるしかないだろう。
ところで、とオーレリアは僚機のパイロットを呼ぶ。

『あなたから見て、連合のMSの動きはどうだった?』

『厄介そのものだ。明らかに動きが改善してきている』

『本当?私が戦ったMSも動きが良かったわ』

『やはりか……』

ええ、といいつつ先程戦ったMSの動きを思い出す。

『反応が良くなってきているし、OSだけじゃない、マニュアルでの操作で対応してきている……』

『隊長たちの方では2機が撃墜されたらしい』

『そんな…!』

ヴィルター隊は歴戦の隊だ。南アフリカ戦線の経験者を引き入れて、この南米戦線で長く戦い続けている。戦闘技術の研究や検証にも余念がない、手前味噌だが練度は高いはず。
それが、撃墜された。

『脱出は出来たが、紛れもなく撃墜された。
 僚機のカバーと脱出を選んでいなければ間違いなく死んでいたかもしれないと』

『…いよいよ油断はできないわね』

『それに、相手はMSに違う兵装を持たせて役割分担を徹底しているようだ。
 前衛 中衛 後衛。複数が連携してこちらの動きに対応して来る。無駄は多いが、厄介だ。
 こちらの優位になる状況を作らせてくれない』

それはまさにザフトがやっていることと同じだ。
ザフトでは、一部で前衛と後衛に分かれたり、旧式機に支援装備を付けて戦闘の補助をさせるといった試みが行われている。
泥縄に近い形で進めているザフトとは対照的に、連合は最初からそれを設計に盛り込んだうえで開発し、配備しているということになる。
ザフトがようやくたどり着いた答えと技術に、連合は最初期のMSでたどり着いて、戦術として使ってきている。
それは、どうしようもなく、両者の差が埋まってきていることを表している。

『不味い状況になっている。そう思わないか?』

『同感よ……』

ほどなく、支援砲撃を行っていた小隊長のメリルと合流し、オクトーバー小隊は離脱した。
ますます敵は強くなっていると、その核心を抱きながら。

18: 弥次郎 :2018/01/07(日) 17:50:31

Part.8 Battle in City






状況としては悪いな、と言葉を口の中で漏らしてしまう。
幸い、一緒に歩いているオーブ軍の指揮官やその護衛には聞こえなかったようだ。

南米からオーブへと避難してきて暫くが経つ。
連合軍の侵攻に備えるべく、各地の防備体制について視察をしていたのだが、残念ながら状況は悪かった。
一応、水際での防御に関してはMSや砲台の設置などで補えないこともないだろう。
だが、それを行うためのインフラは乏しいのが実情だ。大軍を擁して攻めてくる連合を戦力でもって裁くことは愚か、持久戦を行うにしても限度があるだろう。MSの揚陸に適した地形はかなり広い範囲に広がっており、元々少ない物量を拡散させて配置せざるを得ない。勿論、上陸後の進軍のことも併せて考えれば候補は絞ることができる。
そこに重点的に配置し、罠を仕掛け、そこへの補給や補充を行えるようにすれば時間が稼げる。
だが、内陸部へいたずらに侵攻せず上陸地点を確保して堅守される、あるいはそこから他の防衛地点へとなだれ込まれ、防衛線を寸断されたら…そう考えるだけで、途端にこのオーブという立地が危うく感じる。

本来、敵地への上陸は危険そのものだ。
上陸の間は無防備になりやすく、物資の揚陸が出来なければ軍はそこで動けなくなり撃滅されるのみ。
その物量が多ければ多いほど時間を食うし、ビーチングの場所も限られてくるので打撃は与えやすくなる。
ただし戦力が拮抗しているならば、という但し書きを付けるべきだ、とザフト指揮官は自分を戒める。
持久戦になればこちらの戦力が先に枯渇する。宇宙へと逃がすための殿軍は決死隊として選抜されつつあるが、可能な限り宇宙に逃がさなければならないのもまた事実。だから、どう配分するかも極めて重要だ。

眼前、大型砲台が並べられているのをオーブ軍関係者がこちらに説明している。
MSを撃破するには、あるいはMSを満載にした上陸艇を撃沈するには十分だろう。
MSの開発には手間取っても、MS導入後の戦闘に合わせた兵器の開発は出来る。

「だが、数が問題だ」

「はい。いくらオーブがこれまで損耗が殆どなかったとは言え、絶対数は変わりません」

副官が、こちらの独り言を拾って小さく頷いた。
他人に聞かれないように歩きながら、特にオーブ軍には聞かれないようにしている。
そう、絶対数だ。砲台だけではない、砲弾の数や砲を操る人間、壊れたり破壊された場合にそれを補う人員。
それらすべてにおいて、連合はザフトの上を行っていた。アフリカ戦線、そして南アメリカ戦線。
いずれも決戦で敗北し、多量の出血を敷いた消耗戦の中で徐々にあらわになった、ザフトと連合の国力差。
高々オーブが加わった程度で、ひっくり返る筈などない。それを南アフリカの経験者たちはよく知っていた。
防御は攻撃に対して三倍有利、とはいうが、相手は三倍どころではない。よほどのことが無ければ押し切られるのが常だ。

「どこまで耐えられると思う?」

「最低限打ち上げる時間は稼げるかと思われます。勿論、離脱を考慮しなければ、です」

「そうだろうな……どこまで時間を稼げるか。最悪市街戦に持ち込んででも食い止めなくてはならんが…」

「迂遠な策を連合はすると思えません。また、オーブの市街地はオノゴロ島などの中心の島に集中しています。
 流石にそこまで踏み込まれれば、打ち上げ中の船舶などを狙うことも容易いかと」

「くっ……」

話している間に移動が終わった。砲台陣地の次は、沿岸部に設けられた地下格納庫だった。
リニアガンタンクなどをここに隠しておくことで、航空偵察などを躱すつもりらしい。
暫くの間、二人の会話は途切れた。再開されたのは、移動のために車両に乗り込んでからだった。

19: 弥次郎 :2018/01/07(日) 17:51:13

「厄介な事情は他にもある……」

「と言いますと?」

「環境が違い過ぎて、何処まで装備の最適化ができるかが問題だ」

言われて、副官はそれがあったかと愕然とした。
これまでのザフトの戦線はアフリカや南米など、厳しい自然環境のある土地だった。
そこに合わせてMSの装備は調整され、あるいはMSは改造されたり新規製造されたりしてきた。
だがここにきて、環境が優しい、特殊な装備などが不要な環境においてMSを動かすことが出来る。
これまで盛り込んできた機能は不要となり、場合によってはデッドウェイトとなる場合もあり得た。
現在のところ、モルゲンレーテとの取引の結果借り受けた工廠で急ピッチで装備換装がされているが、どこまで間に合うか。
ただでさえ彼我のMSの性能差は明らかだというのだから、余計なものなど排除して臨むべきだった。
それに、と付け加えた。

「連合は動かせる全力で叩きつぶしにかかって来るだろう。恐らく、アフリカ以上の戦力でな」

「隊長は、アフリカを経験なされたのでしたか…」

「ああ……今でも夢に出る。あの膨大な鉄火の嵐……多少の小細工を地形ごと吹き飛ばす砲撃。
 海上艦艇の動員もできると考えれば、多少沿岸での水際を固めたところで、ひねりつぶされる」

思わず、手に力がこもる。
あの時、自分の指揮下の部隊は砲撃の嵐の中に消えた。それを防げるわけもないが、あの時は無気力さが腹立たしかった。
一瞬だ。膨大な鉄の嵐に食い破られ、何もかもが消え、そこをMSの大軍が砲撃援護の元、制圧前進してきた。
それが上陸戦で、オーブへの被害を考慮せずに実行されれば、それこそ島を地図上から消す勢いでやるだろう。
立ちはだかる障害を容赦なく消し飛ばす連合が、この状況のオーブに斟酌するなどあり得ない。

「一応提案はしてみるが、跳ね除けられるだろうな…アフリカの経験者はそこまで多く残っているわけでもない。
 戦訓の共有や徹底に関しては十分とは言えない。おまけに、物資にも限界がある……ともすれば、捨て身で挑むしかない」

ここはオーブ。距離による防御など不可能。
海上で足止めするか、沿岸部で食い止めるか、市街地で時間を稼ぐか。
だが、いずれもアフリカや南米とはことなる。MSを動かすには障害が少ない環境で防御するなど、厳しい条件だ。

せめて、せめてこのオーブが防衛に適している地形や立地であるならば。
せめて時間的に余裕があれば。せめてもっと戦力があれば。
無いものをねだっている自覚はある。
ふと、海を見てみる。
平穏な海だ。だが、それは嵐の前の、ほんのわずかな間の静けさに思えてならない。

「嵐が来るぞ。何もかもを吹き飛ばす嵐が」

睨んだ先。鋼鉄の嵐はオーブへと迫って来るという予感がする。
一体、この頼りない島国とザフトの敗残兵たちでどこまで抵抗することができるだろうか。
言い知れぬ不安と恐怖、そしてアフリカで刻まれた傷の疼きが、まるで警告を発しているようだった。

20: 弥次郎 :2018/01/07(日) 17:51:59
【メカニック紹介】

〇ジン・アマゾネス(ヴィルター隊配備型)

全高 重量等:ジン・アマゾネスに準じる

基本武装:ジン・アマゾネスに準じる

概要:
ヴィルター隊において独自改修がなされたジン・アマゾネス。
おおよそのところは通常のジン・アマゾネスと同じであるが、駆動方式が整備性に難があるが性能は良いSeSM駆動方式に切り替えられており、またゲイツのパーツを組み込むことで限定的ではあるがビーム兵器の使用が可能となっているのが特徴である。
ビーム兵器自体の絶対数については多いとは言えない状況だったが、使用時間を限定するなどして何とかやりくりしている。


〇MMI-GAU2ピクウス 76mm近接防御機関砲ポッド

ザフトが既存のMS向けに開発した近接防御機関砲。ザフト系MSでは珍しい固定火器である。
元々ゲイツにおいて採用が予定されていたこの機関砲は、原作以上に連合の対抗兵器が開発・配備された地上戦線に、既存MSの性能及び戦闘力の向上のため急遽送られた。
ジンの頭部に内蔵することが難しかったために、発射機構と弾倉をセットにしたものを外付けでセットできるようにしてある。
総弾数はそこまで多くないが、通常兵器やPSなどへの対処が楽になり、ミサイルやロケットへの迎撃も効率的にできるようになった。
発想自体は戦後に南アフリカで開発されたS-ARM 40mmバルカンポッドシステムに似通っている。


〇バトルショーテル

ザフトが地上戦線において、主に技量のあるパイロット向けに配備した格闘兵装。
シールドを標準装備している連合のMSに対して格闘戦を挑む場合、高い確率で防がれ、反撃されることが確認されていた。
しかし、集団射撃戦に徹する大西洋連邦のMS隊に対しては、わざわざ同じ土俵で戦うよりも、OSやパイロットの技量差が大きく出る近接格闘戦に持ち込むことが有効ではないかとの意見があり、アフリカ戦線からの転身後には真剣に検討が行われていた。

この格闘兵装はその一環で開発されたものである。刃物というよりは打撃兵器という趣の兵装であり、シールド越しにマニュピレーターや四肢を破壊する、あるいはシールドに湾曲した刃の「返し」を引っ掛けてはぎ取ることで敵MSの防御兵装を奪うという使い方をする。これは非常に技量を必要とするものであったが、トリッキーさがあるために敵MSパイロットの混乱を誘いやすく、格闘戦においては重宝された。技量がそこまでないパイロットのことも考慮し、通常の打撃兵器や刃物として使うこともできるように設計してある。

地上戦線においては一定程度の効果を発揮したこの兵装だが、流石に宇宙戦では扱いにくかったのか姿を消した。


〇MA-XM21G 試作型ビームライフル

ザフトが地上戦線で配備したMS用のビーム兵器。
元々ゲイツで採用予定のビームライフルだが、地上戦線の苦境の打破を目的として先行して配備された。
コネクターの無いMSにおいては運用が難しかったのであるが、配備が間に合った南米戦線においては、ゲイツの先行生産パーツが送られており、これを組み込むことで限定的ではあるがジンなどでもビーム兵器運用がなされた。

Gと形式番号に振られている様に、このビームライフルは地上戦線での運用を前提としたモデルであり、燃費は悪くその絶対数は多くはなかったが、高出力化とビーム発生機構の改良によって確実な動作性と威力を実現している。

大西洋連邦のM703 57mmビームライフルと比較すると威力と射程は優れている。
一方で携行性は悪く、収束率を高めるために用意された長い銃身が祟って取り回しも良いとは言えない。


〇対地ロケットランチャー

主にディンで使用された対地ロケットを詰め込んだ手持ち式のランチャー。
正規装備というより、南米戦線の一部で製造された完全なるハンドメイド品とされる。
対地攻撃に特化したロケットを10発程度内蔵可能で、ディンの持つ対地攻撃力を大きく向上させる。
対地攻撃以外には転用が難しく、取り回しに優れているとは言えないが、それでも攻撃力は高い。

21: 弥次郎 :2018/01/07(日) 17:52:35

以上、wiki転載はご自由に。
戦闘って難しい(小並感

\ブッピガン/

\ブッピガン/

\ブッピガン/

ショーテルですよ、ショーテル!\ブッピガン/の代名詞!大体サンドロックさんのせいだよ!

大陸SEEDのネタって今更需要あるの?とか思いつつ日々書いております
でもSRWの知識がわずかだからね、仕方がないね…

なんだかんだいって私はガンダムSEED大好きですし、書いていて楽しいです
ついさっき数えましたが、設定を入れると60ほどのネタを投下しているんですよね

さて、次のネタはどうしよう…
キャスバル ガルマ シャア クワトロ フロンタルがTOKIOよろしく農業やるとかいう電波を受信しましたし、
プラント争乱の直前の光景を切り取ってみる、というのも面白いかもです
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最終更新:2024年03月07日 00:24