32: 影響を受ける人 :2017/11/26(日) 22:31:06
この作品にはTS要素が含まれています。
オリキャラ化が含まれています。と言うかオリキャラが出てきます。
最低系である最強要素があります。というか、ほぼメアリー・スー状態です。
オリジナル設定、個人的解釈が入っています。
それでも良い、という方のお読みください。



提督憂鬱×ストパン+零
第百二十一話 ―扶桑海事変:裏―04―

第二打撃艦隊であった戦艦【陸奥】がいなくなり、戦艦【山代】が旗艦となって部隊を率いている。
と言っても主要戦力は戦艦一隻と重巡二隻が抜けただけなので、打撃力としてみればソコソコ。
よほどの戦力で襲いかかれない限り、まったく問題は無いだろう。
対空戦艦として改装され、ついでに機関部も改装した【山代】【若狭】は快調に大海原を航行している。
司令官である【安田 道長(やすだ みちなが)】中将は、腕を組んで不機嫌であるという態度を隠さないでいた。

理由はいくつもあるが、戦艦【陸奥】が引き抜かれてからは、露骨に態度に出している。
お陰で艦橋の雰囲気は最悪だ。

「ちっ・・・」

また、小さな舌打ちが聞こえた。
流石に不味いと判断した副官が傍により、苦言を申し立てようとする。

「長官。」
「わかっている。」

最後まで言わせず、軽く手を上げて遮った。
指揮官たるもの、誠実に前を向いていなければならないというのはわかっている。
だからと言って、不満が消えるわけではないが。
ふと、気になっていた事が有ったので聞いてみる。

「そういえば。通信機の故障は直ったのか?」
「いえ。通信機に異常は無かったようです。どうもこの海域全域に対し、通信を妨害するような何かがあるとか・・・」

返答は芳しくなかったが、ある程度の状況判断が出来たようで少しだけ安心する。
何時からかわからないが、通信ができない状態となってしまっていた。
当初は通信機の故障だと判断し、すぐさま修理するように命じてあった。
原因はなんとなくわかったが、結局通信が出来ないとう状況は変わらない。

「はっきりせんのか?」
「このような状態自体初めてですので・・・」
「仕方があるまい。」

一応納得しておき、部下を安心させる。中身はイラつきで満たされているので、雰囲気は全く和らいでいないのであるが。
この海域にやってきたのは合流を遅らせるために何度も変針したり、機関が不調だと言って速度を落としたりしていた結果。
結局そう言った通信はほぼスルーされており、戦闘中の第一・第二打撃艦隊は完全に無視。存在しないモノとして扱っていた。
機動艦隊も最初は護衛を出していたが、進路がおかしくなってからは全く出していない。
ある意味、味方から見捨てられている状況下で彼等は放浪していた。

「・・・なんだ、あれは?」

そんな中。見張りが望遠鏡に移る景色を見て呟く。

「どうした?」
「いや。あれ・・・靄か?」

同僚が話しかけてきたので、見えた異常を指し示すと同僚も確認し、すぐさま報告が上がった。

「靄だと?」
「そのようです。」
「今日の天候で、海上に靄等発生するのか?」
「いえ。そんな話は聞いた事が有りませんが・・・」

そう言いつつ上空を見上げるが、そこにあるのは分厚いであろう雲。
薄暗く、小雨が降っている。条件が合えばこの天候でも靄が有るかもしれない。
海軍を目指し、入隊してからも海に出続けた。生粋の海の男。
だからそれなりに海の事は知っている。しかし今は天候操作を行っている為、そのあたりの知識と勘が効かない。

「台風を人為的に操作しているのだ。こういった不可思議な現象もありうるだろう。
 しかし靄に入るのは得策ではないな。距離を取り、警戒を強めておけ。」
「通信はいかがいたしましょうか?」
「ふむ・・・一応打電しておけ。記録には残せる。」
「承知しました。」

33: 影響を受ける人 :2017/11/26(日) 22:32:34

そうしている内に靄にある程度近付き、艦体の進路を右手に見える様に移動させる。
裸眼で見えるくらいの距離ではあるが、適切な距離を保って靄を観察する。
その靄は分厚いようでその先が全く見えない。
しげしげと観察していた安田であったが、副官が戻ってきたので顔を向けると、彼の顔が厳しくなっていた。

「長官。どうもこの靄が通信妨害の原因であると思われます。」
「なに?」

訝しげに顔を歪める。

「距離が縮まるにつれ、通信機の雑音が酷くなっています。」
「何だ、それは。女狐共の説明にはそんなのは無かったぞ?」

顔が更に歪む。現在行っている作戦の根幹を説明した女共は、こんな状況になるという説明をしていない。
まったく、これだから女に大事な戦いを任せるのは嫌だったのだ。
確かにウィッチは役には立つだろう。だがそれだけだ。
この国を導いてきたのは男達。戦場に出て血を流し続けたのも益荒男達。
安田はウィッチとしての価値を認めていても、男尊女卑を当然と考えている男だった。

「天候操作・・・ではなく、怪異共の策略ではないでしょうか?」
「ふん! 奴らがそんなことしてくるというのなら。もうとっくに人は負けておるわ!!」

そう怒鳴り散らし、忌々しい靄を睨み付ける。それで靄が張れるわけではないが、そうせずにはいられない。
此処で訂正をしておこう。電波妨害をしていたのはネウロイではない。九曜葛葉である。
怪異に立ち向かった九曜は夢幻会及び、扶桑皇国の軍人たちを巻き込まないようにする為。
現代のネウロイが何をもって外の世界を認識しているのか、まったくわからない。
その為、妨害の一環として電波妨害を行っているのだ。

何時もの人型ならばここまでの広域を妨害することは出来ない。神獣モードでなければできない荒業だ。
電波妨害するなど、夢幻会にしてみればネウロイ側がやってもおかしくない所業としてうつる。
確か原作でもあったように思えるので、登場が早まったと慌てるだろうし、警戒もするだろうと判断している。
だから九曜は人が近づかないと思っていた。
この、この世界で最も危険な海域に。

「やはりこれは女狐共の影響だろうな。まったく、これだから〔ゴッ!〕」

侮蔑の為、自分のストレス解消の為、同意と言う快感を得るために毒を吐いている途中で目の前が明るくなった。
それは一瞬であったものの、蒼白い光の柱に見えたように思える。
視線を靄の方に転じれば、あまりにも巨大な大穴が靄によって閉じていく光景が見えた。

「・・・・・・」

言葉が出てこない。

「・・・なん、だったのでしょうか?」

艦橋にいるもの、見張りをしていた者全てが沈黙している中、副官の呟きのみが木霊する。
しかし静かになった事で聞こえ始めた音があった。
実弾を撃つ砲撃音。空気を切り裂くレーザーの音。大量に何かが水面を抉る水音。
そして、

「■■■■■■■■■■■■■■■■■ァ■■■■ァァァァァァァァ!!!!!!!!!」
―GIiiiiiiiiAAAAAAaaaaaaaaaGYAaaaaaaaaaGIiiiiiiiii!!!!!!!!―

この世の物とも思えない、巨大なモノの咆哮が轟き始めていた。
これらの音を認識してもなお呆然としていた一同であったが、

〔キュガ!〕

巨大な実弾が駆逐艦を捕え、

―ドガァァァン!!―

爆音と共に轟沈してようやく意識が動き始めた。

「た、退避だ! 全力で靄から離れろ!!」
「りょ、了解しました!!」

全艦に退避を促し、靄から全力で離れる。その間にも轟音はどんどん近づいてきていた。
逃げなければ。この意味不明の事態から遠ざから無ければ。
思考回復が早かったお蔭か、退避中も大小さまざまな赤い光が靄を突き破り。
これまた大小さまざまな実体弾が降り注ぎ、火球が海面に落ちて小規模の水蒸気爆発を呼ぶ。
近い所を雷撃の帯が通り過ぎた時は、思わず悲鳴を上げてしまった。

「■■■■■ュ■■■■■■■■■■■■■■■■ァァァァァッッッ!!!!!!!!!」
―GiGIiiiiiiAAAAaaaaaaaaaGYAaaaaaaiiiiiiiii!!!!!!!!―

「なんなんだ・・・何がいるというのだ!?」

34: 影響を受ける人 :2017/11/26(日) 22:34:04

時折聞こえてくる二つの咆哮。
魂が震え、予想も出来ない恐ろしい事態に腰が引けてしまう。
しかしそれでも彼は扶桑皇国海軍軍人、たとえ心が押しつぶされそうになろうとも、模範的な行動はとれた。

「距離を取りつつ砲撃戦用意!」
「し、しかし長官。敵の規模が解りません。それに状況も不明では・・・」
「五月蝿い!! 誰がどう見ての怪異共の攻撃だろうが!!」
「しかし、ですね・・・」
「しかしも糞も無い!! 昔の怪異共は火を噴いていたと言うではないか!! ならば雷撃、あれも怪異の仕業だ!!」

血走った目で捲くし立てる安田に気圧された副官は、そのまま砲術長に照準を靄の方に向けるよう言った。
流石のどこから出てくるかはわからない。単縦陣を組み、先頭に重巡【雲仙】【恐山】をつける。
あの二隻の能力は良く知っている。あの二隻に任せれば安心だ。
陣形が整い、迎撃態勢が出来たと報告が来てようやく一息つく。

「いいか。相手の狙いは荒い。恐らくこちらに我々がいる事に気が付いていないのだろう。
 靄から出てきたら一斉砲撃する。狙いは音源だが・・・」

最後の指示を出すのだが、狙う相手がこちらからも見えない。
そうなるとエリアを指定した方が良いと判断する。結局それぞれの艦の真横を狙うようにした。

――――

視点を入替え、九曜葛葉はと言うと・・・

(がぁぁぁぁぁ!! こいつ、瘴気垂れ流しの汚染兵器か!)

現在進行形の絶賛大ピンチであった。
接近して仕留めるという思考までは良かったが、相手の無軌道かつ冷徹な思考により捕えられ、がっしり捕えられてしまっていた。
無論九曜自身もその程度でどうにかなる存在ではない。全力で抵抗を試み、活路を探している。
しかし、“七支禍皇”はけして油断しない。
高速で動き回り、急旋回・急停止・急加速などと言った軌道を織り交ぜて振り回す。

更に厄介な事に高濃度瘴気がこちらを蝕んでくる。
いかに瘴気の中をそのまま飛ぶことができるウィッチだろうと、この濃度の中を飛ぶことは出来ない。
20分、いや。10分でも耐える事もできないだろう。
神獣モードが出来る九曜だからこそ、耐える事ができ。更に反撃するという行動が出来る。
しかし、こうも振り回されているとそれらが上手くいかない。

己の牙で表面をかみ砕き、爪とシールドブレードで斬りつける。
尻尾のドリルシールドで拘束している副砲を削りつつ、砲撃してくる副砲を残った尻尾で捌く。
レーザーを放つ砲門に分体が突撃して行き、実体弾を放つ砲門にシールドで防御した分体が体をねじ込んで暴発させる。
苦労して生み出した三尾の神獣型分体2体が、雷撃と火球で攻撃する。
“七支禍皇”を追いつめんと猛攻をかけていたが、“七支禍皇”とて黙ってはいない。

ネウロイがレーザーを曲げられるのは、自らの影響力範囲のみである事を生かし、まったく反対側のレーザー砲を全力稼働させて攻撃している。
更に再生能力を、攻撃を受けている面に集中し、硬度も上げた。しかし、こうも堪えないというのは気に入らない。
この時、二体とも同じ考えを持っていた。変化を呼び寄せる何かをしようとし、探そうとしていた。
その待ち望んだ変化が起こったのは、靄を突き破った時。
靄を突き破り、戦闘に夢中だった二体が航行する艦隊に気が付ついた。

そして最初に行動を起こしたのは、“七支禍皇”。
拘束を解きつつ、全力で艦隊めがけて九曜葛葉を分投げた。同時に艦体の大砲が火を噴く。
対処が遅れた神獣の悲鳴が、海上に木霊した。



以上です。
以下は現在の安田艦隊です。

35: 影響を受ける人 :2017/11/26(日) 22:35:36
安田艦隊
  第三戦隊
   戦艦【山代】【若狭】
  第三水雷戦隊
   軽巡洋艦【鬼怒】
   第九駆逐隊
    【有明】【夕暮】【白露】【時雨】
第一遊撃艦隊
  第六戦隊
   重巡【雲仙】【恐山】
  第四水雷戦隊
   軽巡洋艦【木曾】
   第二十一駆逐隊
    【初春】【子日】【初霜】【若葉】

さて沈没した駆逐艦は・・・〔コロコロ〕
2D6-4判定=出目7-4=3
上の左から数えて三番目。【白露】轟沈になりました。
さあここから戦闘に巻き込まれていくぞぉ(暗黒笑

タグ:

+ タグ編集
  • タグ:
最終更新:2018年01月08日 15:52