622 :名無しさん:2010/10/29(金) 15:03:00
帝國召還とのクロスもの
憂鬱召喚
「中隊長殿、やつらです。」
下士官の一人があわてた様子で、中隊長に下命を促す。
「構え。撃てっ!」
中隊長はむかってくる敵の軍勢に向けて発砲許可を出した。
その敵とは、豚鼻で二足歩行でヒグマより体格が大きく豚鼻が特徴的なオークと呼称される生物であり、その数およそ100以上。
軽機に自動小銃である昭五式小銃、九六式狙撃銃から次々と放たれる多数の銃弾が、オークたちに向かっていった。
人間だったら、通り抜けるのには蜂の巣になるなることは必須であろう。
しかし、彼らは進むたびに落伍者を出してかずを減らしつつあるものの、
驚くべきことに、常識外の丈夫な体を持ちアドレナリンが体中に回っている彼らには放たれた銃弾の大多数を占める6.5mm弾では威力不足だったようで、弾雨の中を進んでくる。
擲弾筒も放たれるが、彼らの頭の悪さのゆえのバラバラの突撃とやはり皮の厚さが破片を阻むため、効果が薄い。
距離が400m,300mと縮まっていく。
「プギィー!」
小銃や軽機の銃声より大きい音が響き、オークが悲鳴を上げ倒れる個体が一気に増えた。
中隊隷下の機関銃小隊の準備が整い射撃を開始したのだ。4丁の機関銃が金属ベルトを吸い込み、7.7m弾を次々に吐き出し弾幕を形成している。
さすがのオークといえども、強装の7.7ミリ弾は彼らの体にもこたえる。
さらに九五式対戦車噴進弾が放たれ、運悪く命中したオークがミンチになった。
仲間が次々に倒されていく様子にオークは浮き足立ち背を向けて遁走を始めるが、弾幕は途切れることなくオークの背を脅かす。
結構な数が逃げ出したが、後には多くの死体が転がることとなった。
623 :名無しさん:2010/10/29(金) 15:03:33
「全員集合!」
中隊長が集合を命じると、すばやく兵たちが集まり整列した。
見たところ被害はなさそうだ。
「被害および戦果は?」
「被害はありません。戦果はオーク50匹を射殺、ほか多数を負傷せしめました!」
中隊長の問いに対しの問いに対し、最先任の下士官が答える。
「完勝といえるが…。」
中隊長の返事の歯切れは悪かった。
次期主力小銃二式小銃は連射性能は優れるものの6.5mm弾のままの上、銃身が短いのでオークに対して不安であったし、
そもそも装甲車のように小火器の射撃に耐えるオーク共は彼らの常識から見て異常な存在だった。
もっとも「転移」自体が常識外のことだった。
「この世界は何なんでしょうか。」
最先任の下士官がつぶやいた。
「われわれ軍人は勤めを果たすだけだ。」
中隊長はこう返すしかなかった。
だが彼らは知らなかったが、彼らの国の頂点に居座るものたちもまた常識外でファンタジックな存在の者たちであった。
最終更新:2012年01月19日 12:40