551: 影響を受ける人 :2017/12/17(日) 22:45:24
この作品にはTS要素が含まれています。
オリキャラ化が含まれています。と言うかオリキャラが出てきます。
最低系である最強要素があります。というか、ほぼメアリー・スー状態です。
オリジナル設定、個人的解釈が入っています。
流血・グロイ表現が有ります。
それでも良い、という方のお読みください。



提督憂鬱×ストパン+零
第百二十二話 ―扶桑海事変:裏―05―

苦戦する事はわかってはいた。
しかし想定以上の能力を持ち、奇策を用いてくる冷徹に狂った相手に手古摺ってしまう。
分体を全て動員し、何とかダメージを与えようと奮闘するが有効打にならない。
その焦りと、“七支禍皇”の出鱈目な機動により、自分達が定めた戦闘領域から出てしまった事は己のせい。
そして、靄を突き破っての出現と同時に放たれた砲撃に対処が遅れたのも運が悪かったとしか言えない。

“七支禍皇”としても、そこに人類がいるとは知っていなかった。
だが、視認すると同時に素早く行動を決めた決断は圧倒的な殺意の御蔭か。
しかし九曜葛葉が砲撃を受けたという事実は変わらない。
受け身も取れず、咄嗟に防御担当の分体が総動員でシールドを張ったのが救いだ。
しかし、強固なシールドが展開できたのは頭部と、心臓と肺の部分のみ。

残りは通常のシールドのみ。それでも多層化させて防ぐ。
結果から言えば頭部と心臓と肺、これは全て守る事ができた。衝撃波が襲ってきたがそれほどと言う物ではない。
問題は他の部分。
内臓器官は断片被害・猛烈な熱量を防げたが、衝撃波までは防げなかった。その為、ボディーブローを食らった様な衝撃波が内蔵を抉る。
そして両手足、尻尾に関してはシールドを展開していた所はある程度防げたものの、シールドが展開できなかった部位に断片が襲い掛かり、傷をつけた。

放り投げられ、シールドで防いだが被弾し、防いだシールドが固定式で合った為に衝突して一時的に空中に留まる。
その際に様々な思いが胸中を交錯した。

 痛い! なぜ戦艦がここに!? 迎撃作戦を展開している海域に出てしまったのか?
 頭は無事、重要器官も無事だ。ぐぅ・・・右足に激痛が走っている。
 クソッたれ、痛み方からして骨まで到達している可能性がある!
 右腕が動かない!? 肩から痛みが・・・脱臼しているのか? 治す時間をとらないと・・・

衝撃から立ち直ろうとするが、“七支禍皇”は追撃を緩めなかった。
一度停止して放り投げた“七支禍皇”は、砲撃を受けたタイミングで再度接近。
上体を回して勢いを付けた副砲の砲身を叩きつけて薙ぎ払う。

「■■ュッッ■■■■■■■ゥゥゥゥッッ!!!」

硬い砲身のフルスイングをまともに受けた体が、海面に激突してはバウンドして跳ね飛んでいく。
不意打ちにつぐ不意打ちに、さすがの九曜も体勢が整えられない。
更に“七支禍皇”は全ての火力を憎い怨敵に叩き込む。

―GiGyaLiiiiiiAAAAaaaaaaaaa!!!!!!―

短い時間の様に感じ、長くも感じる時間が過ぎ去る。
まだまだ怨敵はいる。全てを皆殺しにするまでは止まらない。
この命尽き果てるまで止ってはならない。この憎悪が、怒りが燃料となり続ける限り。
とりあえず主砲のチャージを開始しておくとしよう。確実に仕留める為に。

素早く砲門を解放し、狙いを付けようとして・・・すぐさま靄から離れるように移動した。
同時に靄を突き破って、二体の巨大キツネが躍り出る。

「■■■■■■■■■ゥゥアァァァッッ!!!」
「■■■■■■■ィィッッ!!!」

咆哮をあげながら迫る二体に対し、振り抜く様に主砲を発射した。
チャージ時間が短いから威力はかなり低いが、それでも神獣モードの三尾形態のシールドを紙の様に吹き飛ばす。
大ぶりな一撃であったので、二体とも多重展開したシールドで数秒だけ時間を稼ぎ、それぞれの方法で避ける。
一体は跳躍で、一体は滑り込むように伏せて。
二体とも本体の心配をするが、負傷した場合を担当させていた分体から指示により、そのまま攻撃を続行する。

火球を吐きだし、雷撃を叩き込むのだが相手の機動が直角だったり、急停止したりと不規則過ぎた。
取りあえず本体から引き離す事が目的であるので、これはこれ良い。
問題は・・・

「こ、こっちに来るぞ!」
「退避、退避ぃぃ!!」

552: 影響を受ける人 :2017/12/17(日) 22:46:16

戦場に迷い込んだ部外者たち。
何故彼等がここにいるのかは・・・ある程度は想像できる。しかし今、この場にいては欲しくなかった。
最悪な事に“七支禍皇”は彼等に向かって後退している。
よほど慌てているのか砲撃が飛んでこない。流れ弾が飛んでこないのは良いが、少しは攻撃してほしいとも思ってしまう。
高速で後退していく“七支禍皇”の進路上に艦艇が重なった。

「ぶつかるぞ!!」

誰かが叫んだ。それを飲み込む様に“七支禍皇”が突撃してきて衝突する。
犠牲となったのは【有明】。100メートル級の巨体を支える脚部に引き潰され、円盤状の足から照射されるレーザー、それに伴う水蒸気爆発により残骸も無く沈んだ。
艦隊を斜めに通過したため【初春】にも被害が及ぶ事に。
【初春】は速力を上げて回避を試みたが艦尾が引き潰され、戦闘終了後には海上に浮かんではいなかったという。

最後の犠牲者は【子日】。彼女も回避を試み、何とか接触だけで済んだ。
右舷に大きな傷と歪みを受けたが船体は無事だ。
船体は無事だったが・・・“七支禍皇”が、凶悪な汚染兵器である事が兵士達に牙をむいてしまう。

「やった! 回避でk・・・ゲホッ!?」
「い、息が・・・ぐげぇぇぇ・・・」
「ダズゲ・・・ジニダグぺェ・・・・・・・」

兵士達の口から血の泡が吹き出し、咳をすれば床を真っ赤に染める。
眼は充血して、顔のあらゆる穴から血が噴き出して次々に人員が倒れて行った。
そして、全ての人が死に絶え、【子日】は無人で航行し続けるだけになった。
此の間、僅か30秒以内の出来事。
そんなありふれた悲劇が起こっているのも知らず、三体の巨獣たちは乱舞を続ける。

ただし。一方的に。
現在分体二体が追いかける形となっているが、有利に進めているのは“七支禍皇”。
と言うのも、

(ええい! 戦艦が邪魔だ!!!)
(盾に使いやがって! 知恵が回る敵は本当に厄介だな!!)

と、言うわけだ。
“七支禍皇”はちょうどいい人質兼盾として安田艦隊を利用し始めていた。
攻撃の姿勢を見せれば戦艦の陰に隠れ、砲撃をぎりぎり掠めるように放つ。
戦艦よりも旋回の早い砲塔を持つ重巡【恐山】【雲仙】は、果敢に挑もうとするも圧倒的機動力を有する敵を補足できない。
ならば、速力のある駆逐艦が追いかける手もあるのだが・・・

(来るなと言っているだろう!)
(隠れる場所が無い駆逐艦が来てもなぁ・・・ 瘴気でやられて、死ぬだけだぞ・・・)

分体が妨害してこちらに来させない様にしていた。
分体としては親切心で妨害しているのだが、下手に意思疎通ができないので困り果てている。
分担して挟撃すればいいのでは?と、思われるかもしれない。
しかし、“七支禍皇”はこの状況を作り出すために戦艦【若狭】の艦尾をレーザーで切り取り、実弾で穴だらけにしていた。
それにより、一体は【若狭】の傍を離れることは出来なくなってしまったのだ。

足手まといを狙うように動く“七支禍皇”。
決定打が足りず、着々と魔力を消費していく分体。
どう考えても分体の負けは確定している。打開するには、本体の参戦が重要なのだが・・・
激しい攻防戦をしている分体が、本体を再生中の救護担当分隊に問いかける

(再生状況はどうなっている!!)
(右足の破片取出しは継続中。無理やり切開して、骨まで届いている破片を・・・取り出し終った!)
(右の脱臼は直した! 現在打撲の治療中。)
(意識は有るのか! 本隊が目覚めないと魔力供給できないぞ!)
(もう起きてるよ! 現在麻酔無しで治療を 海 中 で手術しているから、痛みで起きてる!! もっとも、頭に衝撃を喰らっているから朦朧しているけど。)
(だったらさっさと覚醒させろ!)
(分体なのに本体に厳しいよね。)
(私は宮様の性格を模倣した分体だからな。厳しくやるさ。それよりも急げ!!)
(了解した。おい。鼻先でクサヤ出してやれ。)
*1
(遊んでないで、さっさとせんかあぁぁぁぁぁ!!!)

痛い子部隊の性格を模倣している高機動補助分体部隊の漫才に、問いかけた分体の頭が痛くなる。
打っ飛ばされた九曜葛葉はそのまま海面をバウンドした後、身体に張り付いていた八尾の人型分体によるシールドプレスを受け、海中に叩き込まれて砲撃から身を守る事ができていた。
しかし意識が戻らず、大慌てで治療を開始した。
強大な魔力に後押しされた再生能力は、真面な再生をしない時がある。

速い話、「捻ったけど歩けたので放っておいたら足がおかしくなってしまった。」と言う事になる。
体内に破片が有れば、異物を排除するどころか癒着しかねない。
その為、再生完了する前に治療を施す必要性があった。
といっても、神獣形態の状態では麻酔など効きはしない。
故に、麻酔無しでの手術だ。これで起きないものなどはいない。

553: 影響を受ける人 :2017/12/17(日) 22:47:14

戦国時代に生まれ、怪異を相手に戦い、時には人相手に戦いもした。
傷が付かない事などなく、大けがを負って寝込んだこともあった。
まだ感染症の概念の無い時代。治療される側になった時は、冷や冷やしたモノである。
いや。自分は分体であり、本体じゃないから心配するのはお門違いか?
ともかく、本体には起きてもらわないといけない。

「■■■■■■■■■ゥゥッッ!!!」
「■■■ァァ■■■■■■■■■ィィッッ!!!」
「■■■ィィ■■■■■■ゥゥァァッ!!!」
「■■■■■■■■■■■■ァァァィィッッ!!!」

どうやら起きたらしい。
背骨にダメージがあるようだが、腰痛さえ直す再生能力だ。生前にも有ったらとても喜んでいたのに。
豪勢な事に八尾の神獣分体が二体。三尾の神獣分体が二体の様だ。
三尾は、そのまま一尾になるまで減少した自分達と融合する。同時に記憶の同期が起こり、本体の指示も確認できた。
どうやら一気に決める気のようだ。

護衛にあたっていた分体が指示を確認すると同時に、海面がどんどん白くなり始めていく。
それは視界に移るすべての海面で起き始め。八尾の分体と戦闘を開始した“七支禍皇”でも確認できている。
海面が、視界にある範囲全てが凍り付き始めていた。凍らせている理由は艦隊の行動を拘束する事、簡単には沈まないようにする事だろう。
それを察すると同時に、“七支禍皇”の後ろから本体が凍りついた海面を砕いて現れた。

「■■■■■ュ■■■■■■■■■■■■■■■■ァァァァァッッッ!!!!!!!!!」
―GiGIiiiiiiAAAAaaaaaaaaaGYAaaaaaaiiiiiiiii!!!!!!!!―

“七支禍皇”が振り返り、九曜葛葉に向かって突撃して行く。
後方から襲い掛かる分体など目もくれない。ただただ愚直に、一直線に向かって行く。
御互いに、己の出せる最高速度で。
九曜は後方にアフターバーナーのような光跡をなびかせて、強力な超高圧縮多重展開シールドを前面に貼り付け。
“七支禍皇”は主砲にエネルギーをためつつ全ての砲身を、全ての火力を叩き込む。

御互いの距離が無くなっていく。
九曜の姿は痛々しい。
白い毛に血の跡が付き、いまだ治療中の背骨から、右足まで小さな分体達が張り付いている。
“七支禍皇”の体から高濃度の瘴気が漏れ出す。
濃度が濃すぎる瘴気は、自分の体を容赦なく溶かしていく。

そして、激突する前に攻撃を放ったのは“七支禍皇”の主砲たる高圧縮瘴気砲。
砲身のカバーを全開に開き、間髪入れずにはなったそれは、九曜が右にギリギリ避ける事で躱される。
当たらない。当たらないなら、振り回せばいい。
すぐさま旋回しつつ、一定距離を保つべく移動方向変えた。

<ガゴォォォン!!!>
―GIRIIiiiiii!!??―

また何かにぶつかった。
海面はすべて凍って、白い大地が出来上がっている。氷山など無いはず。
振り返ろうにも主砲の発射を中断できない。怒りともどかしさに身を任せてその場に移動しようとしたが・・・

(逃がさん!)
(おとなしくしろ!!)

八尾の分体二体が、“七支禍皇”に取り付き、尻尾をアンカー代わりにして固定していた。
先ほどぶつかったのは分体が展開したシールド。意識がそれた瞬間にさらに加速して、シールドつきの体当たりを敢行したのだ。
そして動きを封じるため、全力で爪をつきたてている。
上体を必死に動かして抵抗する“七支禍皇”だったが、主砲のエネルギーがとうとう尽き果て。
目の前に九曜が躍り出た。



以上です。
次回が戦闘終わりになるぜよ。

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最終更新:2018年01月08日 16:06

*1 (そんなもん、ねーよ。