537: ナイ神父Mk-2 :2018/01/30(火) 22:47:09
大陸SEED ゲート編 その16

戦後のプラントとユーラシアの状況

CE74年、ユニウス落下テロから端を発した戦争は再度ザフト、連合の双方に無視できない損害を与えた後に沈静化した。そして、各国は前途は暗い物の新しい秩序へと向かって歩みを進め始める。先ず、戦争終盤に於ける戦略兵器レクイエムによって多大な被害を受けたプラントは死亡したデュランダル議長の代理となった人物が人心が不安定化している事などから特例として議員選出用PCを使用せずにラクスクラインを議長として選出して任命する。

そして、ラクスが議長に就任した後行ったのが壊滅的な被害を受けた軍の再編を行う為、ジブラルタル基地周辺を除いて部隊を撤退し、其れと同時に前大戦と現大戦に置いて減少した国力を回復させる為のナチュラルの家族を含めたコーディネイター難民の保護を宣言、各所でザフトに拾って貰うべくザフトと友好乃至はザフトが拠点を置く地域へとコーディネイター達が列を成して移動を開始していた。そして、其れは灼熱の日光が照りつける中東地域も例外では無く撤退途中のザフトは平行して難民の輸送作業にも追われ始めて居た。

『一列になって列を乱さないで下さい!』

『ヴァルファウのカーゴにはまだ余裕が有るのでゆっくり進んで!』

付近を武装したザクが警戒する中、定員の乗り込んだ各種輸送機から順に離陸を初め、その開いた滑走路に続けて手の開いた近隣の基地から飛来したヴァルファウが再び着地して難民を再度収容すると言うのが此処数日の基地の光景で有った。MSが立って警護に当っていると言う事が抑止に成っているのか格好の餌食に見えるこのコーディネイターの集まりにブルーコスモスが何か仕掛けてくると言う様子も見られない為、余裕の出た緑服兵士2人は雑談しながら難民の様子を眺めている。

「しっかし、まるで古代史の民族大移動だねこりゃ・・・」

「ラクス様がコーディネイターの家族に限り若年のナチュラルでも受け入れを表明したって事も有るんだろうが・・・
此れだけ人が集まって来るだけ各国の状況が悪化しているって事なんだろう。」

「だけど、ナチュラルの受け入れなんて大丈夫なのか?プラント内でテロなんて起こされたら・・・」

「元々、プラント内にもナチュラルは居たんだし、そんな直ぐに犯人が解る真似しなんじゃ無いか?其れより俺は若手の方が厄介だと思うがね。」

そう同僚に漏らした兵士はタバコに火をつけて一息吸うと紫煙を吐き出した。その横に立っている兵士は何時もの事なのか気にしている様子は無く、振られた話題へと返答する。

「ああ、確かにそれは有るな・・・今の若い世代だとオーブから逃げてきた連中でもない限り碌にナチュラルと接触しないからな・・・」

「そんな連中とナチュラルが一緒になるんだ、ラクス様は大丈夫だと議会で言って居たが本当なのかねぇ?・・・」

538: ナイ神父Mk-2 :2018/01/30(火) 22:47:47

そんな不安とリンクする様に、始まった移民事業では地球から避難してきたナチュラルを連れた元コーディネイター難民とプラントで生まれ育った世代の人間との軋轢が生じ始め、其れが国内問題の拡大へや国民の不満として一時的に蓄積されて行く事に成るが、これはプラント内部で移民が多数派に成る事によって元居たコーディネイターの声が政府へ届き難く成る事で徐々に小さく成って行った。しかし、此れは消えたという事では無く、地下に潜って根が深くなる形で悪化していく事と成る。

ザフトが撤退を開始する一方でその影響を大きく受けたのがユーラシアの西側諸国である。現状、ザフトの軍事力に頼り切りで有った欧州はザフトの大半が地球より撤退した事で単独のでの戦力の整備を迫られる事に成ったので有るが、既に多くの技術者がロゴス関係者だという事で迫害を受けた事や残った工場から住民が燃料や食糧を確保する為に占拠した事で旧ロゴス所属の施設を使用する事は難しく成っていたのである。

幸いにもザフトが地球撤退時に余剰と成るMSや各種地上用兵器を提供する事を確約してはいた物の、元々ザフトの絶対数が少ない
関係上、量としては人口の少ない欧州からみて尚、スズメの涙程であったがそれでも数多くの一線級の装備を手に入れた事は大きく、ザフトから譲渡されたそれらは直ぐに欧州の再編した国防軍へと編入された。

又、欧州ではユーラシア東側、つまりロシアを中心に戦力を置くロゴスを指示する政府戦力に頭数で劣る事から比較的大人口を有している北アフリカと接近する事によって数の上でも対抗を試みようとした。しかし、それは同時に北アフリカと対立する南アフリカと道を違えると言う事であった。その為、EUでは北アフリカとの同盟を発表後に即日ビクトリア湖のマスドライバーをEUの所有物として接収し、更に周辺地域へ同日中に奇襲を仕掛けた北アフリカ軍が制圧する事をマスドライバー周辺地域を実効支配する。この動きに対して南アフリカは当然抗議を行うが北アフリカ、EU共に此れを聞き入れず更にユーラシアがザフト系MSを有する部隊を派遣して更に防備を固める事を持って返答とした。こうした事が背景と成り戦後の南アフリカとユーラシアEUとの関係は急速に悪化し、南アフリカでは新たな同盟国を探すと共に、北アフリカとEUに対抗できる軍備を整える事に心血を注いで行く事と成る。

539: ナイ神父Mk-2 :2018/01/30(火) 22:48:25
大西洋の戦後と南アメリカ

プラントやEUが曲りなりにも未来へ向けて動き出そうとするのと対照的なのが、前大戦と今大戦に置いて戦いを主導した大西洋連邦であった。国内環境は復興と平行して暴動を必要以上に加速させた首謀者達を拘束、国内全体に陸軍を治安維持部隊として派遣する事によって統制を保っていたがその状況は悲惨と言えた。国内は辛うじて体裁を取り戻したニューヨークを初めとした大都市圏を中心に復興が始まっている物の、多くの都市や復興途中の地域では畑や工場が海水に漬かり、家畜の餌を運ぶ為の重機等が故障、流れ着いた流木や残骸も退かし切れては居らず、酷い所では流れ着いた各種生物の死骸が腐敗を初めて疫病や害虫の大量発生を招いて居たのである。

そして、そうした自体に対応する各種の軍も多大な損害を受けており、特に海軍に関しては主力艦の殆どが相打ち乃至はユーラシア・ロシアへの亡命によって失われ、欧州に派遣した陸・空軍も少なく無い被害を受けた事によって殆ど余裕の無い状況に陥って居たのである。又、軍の被害や国内状況が一向に改善しないこの事態に民間の間では徐々に不満の矛先がロゴスから政府へと移ってきており、昨日まで反ロゴスのプラカードを掲げていた団体が次の日には政府を批判するプラカードに持ち替えてデモを行うと言った状況が現実であった。

そんな中、国政の場では半ば与党や大統領関係者が吊る仕上げを喰らう形となっており、当然ながらこの後に何とか実施された大統領選挙では元与党は歴史的大敗を喫し、その原因と成ったコープランド大統領共々、大西洋連邦を破滅に導きかけた勢力として人々の記憶や記録に残り続ける事と成る。

大西洋連邦が青息吐息であるのと対照的に、俄かに活気付いたのが南アメリカ合衆国であった。南アメリカは大西洋連邦から権勢が失われた事をチャンスだと考え、兼ねてより立てていた計画を実行に移した。其れは大西洋連邦に完全に利権を奪われたパナマ基地の奪還作戦である。幸い軍備に関してはデュランダル政権との密約によってプール分としてジンやシグーを販売されていた南アメリカはそれらのMSを主力としてロゴス派が脱出乃至大西洋連邦へと投降した隙を付いて電撃的に侵攻を開始。

戦力の減ったパナマへと雪崩れ込んで其の侭パナマ基地及び運河を含む周辺地域を完全に制圧する事に成功して、南アメリカは数年に渡って対立してきた大西洋連邦に対して初めて華々しい勝利を獲得する事に成功したのである。そして、奇襲とは言え敗北と言う事実は大西洋連邦が嘗ての力を失ったと言うこの上ない証拠と成り、其れまで保っていた地球連合の実質的な盟主と言う肩書きさえ東アジアに奪われ、東アジアはこの事実に増長。自分こそが地球圏の盟主で有ると言う自負と共にロゴスに押さえ込まれて居た中華思想を再燃させる事に成り比較的戦力少ない赤道連合のインド周辺や落ち目の大西洋のハワイ諸島周辺、ユーラシアロシアのシベリア周辺への軍事的挑発や威嚇、実効支配などを行っていく事となる。

この動きに対しては地理的に東アジアに近い地域は東アジアに対して警戒感を強め、オーブや赤道連合は兼ねてより進めていた同盟の計画を前倒しして発表を行い実質的な連合国家として国名を南洋同盟へと変更、又同時期に北アフリカ及びユーラシアEUが国家として統合を発表してAEUが成立。更にその流れに少し遅れて南アフリカ・南アメリカが南部同盟をL2へと脱出したミハシラがコロニー国家クレイドルを名乗る事によって世界は新たな秩序の元に運営されていく事に成る。

540: ナイ神父Mk-2 :2018/01/30(火) 22:48:56
原作ゲートネタ 原作後の勢力図一覧

南洋同盟→オーブ、赤道連合、大洋州連合で構成

南部同盟→南アフリカ、南アメリカで構成

AEU→北アフリカ、ユーラシア連邦欧州側で構成

アメノミハシラ→L2宙域に移動してコロニー国家へ

東アジア→勢力維持

大西洋連邦→パナマを除いて勢力維持

ザフト→コロニー増設にて勢力を増大恐らくL4宙域にも勢力圏を拡大

スカンジナビア→未定、可能性が有ればAEUに編入かザフトと同盟

ユーラシアロシア側→暫定でロシアで呼称80年までの紛争によって国土をAEUと東アジアに編入予定

541: ナイ神父Mk-2 :2018/01/30(火) 22:50:18
以上ですWIKIへの転載は自由です。取り合えず戦後直後辺りの状況をば・・・
この後細々とした勢力統合なんかをもう少し書いてゲート間戦争に行ければなと思います・・・

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最終更新:2018年02月03日 11:15