901: ham ◆sneo5SWWRw :2018/02/08(木) 21:05:22
この作品はGATE(ゲート) 自衛隊 彼の地にて、斯く戦えりと憂鬱のクロスものです。
原作の平成日本とは繋がりません。
色々破茶けてます。
こんなの無いだろ、なオリ設定もあります。
笑い飛ばす程度に読んでください。
残虐な、流血、死亡の表現があります。
以上の事を留意してお読みください。
GATEネタ GATE 皇軍 彼の地にて、斯く戦えり 第14話 戦女神の騎行 前編
盗賊。山賊。
手口と出現場所から名前は違えど、これらのならず者において共通していることは、食うに困って身を落とした経緯が主として挙げられることだ。
だが、その食うに困ってにも様々な理由がある。
一つは凶作で飢えた農民や町人。
江戸時代の藩であれば、施しをするところはあるが、欧州ではそんなところは全くない。
おまけに税収のキツさも鬼畜レベルである。
細かくは省くが、三行で表すと、こうである。
『生まれた時も、住むと決めた時も、結婚する時も、死ぬ時も税を払え。
収穫の六割と特産物を納め、自分の畑とは別に領主様の畑でも働け。
小麦を挽いたり、水車小屋を使ったり、橋を渡ったり、山や森に狩りに行ったり、川や海で釣りをしたりと、何かするにつけて税を払え』
うん、鬼畜である。
ゆえに、食べるのに困った農民が盗賊に身を落とす。
そしてもう一つは、傭兵。
以前話した通り、中世において、傭兵に給料は一銭も出ない。
24時間365日労働で、休暇無し、給料無し、保障無しである。
そんな労働環境で稼ぐとなれば、敵地での略奪しかない。
だが、戦争が無ければ、彼らの稼ぎ場所である敵地は存在しない。
ゆえに、盗賊や山賊として稼ぐしかない。
さて、盗賊団の襲撃は伊丹の予想通り、別方向から行われていた。
盗賊団と言っても、そこら辺の食い扶持に困って盗賊に身を落とした者たちならば、ピニャの想定通り一度破られた西門を目指したであろう。
しかし、この盗賊団には傭兵や脱走兵、敗残兵と言った、"戦い方を知っている者たち"が少なからずいる。
そのため、一度破られた西門は防備を強くしているであろうことから、逆に防備が弱くなった別方向からの攻撃であれば、奇襲効果もあると考えた。
現に、盗賊団の作戦は当たり、想定していない南門からの攻撃は完全な奇襲となっていた。
902: ham ◆sneo5SWWRw :2018/02/08(木) 21:05:55
1945年12月13日 深夜3時以降 特地 碧海沿岸のとある港街 南門
それは日の出まであと数刻という頃合いを見計らっての攻撃だった。
深淵のような暗闇の向こう側から、盗賊側の弓兵による火矢が『南門』に降り注ぐ。
その勢いと矢の数は、初戦とほぼ変わらなぬものであった。
盗賊団は、周辺に仲間を散らせ、同じように脱走兵や野盗、山賊、飢えて放浪する町人や農民等を掻き集め、戦力を回復、増強させていた。
その中には、帝国の焦土作戦で村を失った農民たちもおり、帝国憎しの感情から、盗賊団に合流したのであった。
歴史の修正力、あるいは原作の修正力であろうか、門の防衛を任されていたのは、ノーマであった。
ノーマの指揮の元、残っている正規兵や地元自警団からの警備兵、民間人を自主的、強制的に徴収した民兵による応戦が行われる。
民兵と言っても、矢が弾ければいい等の理由で動員された者たちで、これまで弓を手にしたこもないような農夫や若者が中心であった。
それでも敵を牽制するには有効だったし、ごく希に当たることもある。
弓矢、バリスタやカタパルトから石などの雑多なものが投射され、盗賊団も応戦するように弓矢を撃ちかける。
日本軍航空隊による盗賊狩りや、長い放浪により重装備を放棄せざるを得なかった彼らには、弓矢しか応戦する手段は無かった。
しかし、戦いを知っている盗賊団は、それだけ弓射に長けた者が多いために命中率では勝り、鎧を着こんでいることもあり1本2本当たっても弾かれることが多い。
一方で、警備兵や民兵の射撃の腕は先述の通りであり、鎧を着ている者は少なかった。
そのため、戦闘は盗賊団のほうが優勢であった。
互いに弓矢、そして投擲されたものが当たり、うめき声を上げながら倒れていく者が出始める。
そんな中、盗賊団で応射している兵達の間隙を縫うようにして、堅牢な楯を並べ鎧で身を固めた歩兵が雲梯と呼ばれる攻城用の梯子を抱えて城壁に迫る。
盗賊団の兵たちが即席で作った急増のものであるが、彼らにとっては無いよりはマシであり、守備隊にとっては厄介であった。
雲梯を立てかけられまいと岩を落とし、溶けた鉛や熱湯を大鍋から振り撒く。
立てかけられた雲梯を槍で引っ掛けて押し、登っている盗賊ごと地上に叩き落す。
斧を持った民兵たちが市壁に引っ掛けられた投げ縄を切断して回る。
しかし、完全な防御というものは存在せず、幾人かが城壁を登り切り、剣や槍を振るう。
確保された突入路に他の盗賊たちが続こうとしたとき、まだ太陽も上がらぬ空高くで、"3つ"の白い太陽が"西から"上がった。
一同がその白い太陽に気取られた時、盗賊団は"横撃"された。
盗賊団を横撃したのは、臨時編成捜索第3中隊から分派された鈴木少尉と桑原准尉により指揮された通称、鈴木隊であった。
彼らは伊丹からの命令により、遊撃隊として西門から出て、南門を攻める盗賊団の西側から攻撃を加えていた。
当の伊丹は煩悶に苦しむロゥリィが気になり動けずにいたため、次席副官の鈴木敏道少尉と知己の古参下士官である桑原准尉の二人に指揮を任せ、行かせることとした。
九二式軽戦車を装輪装甲車に改造した九二式装輪装甲車が1輌、
90mm高射砲を車載した重牽引車改造対空自走砲が1輌、
七〇口径40mm機関砲を1門装備した六輪自動貨車が1輌、
12.7mmM2機関銃を4門装備した、ガントラックが2輌、
投光器搭載六輪自動貨車が1輌の6輌が縦一列に並び、その右方向に盗賊団を捉えて射撃を加えていた。
903: ham ◆sneo5SWWRw :2018/02/08(木) 21:06:27
西門に残した重牽引車改造対空自走砲の90mm高射砲1門と120mm迫撃砲2門により発射された照明弾が照らす中、
90mm高射砲が水平射をし、40mm機関砲と20mm機関砲が盗賊を文字通り消し去り、12.7mmM2機関銃が鎧ごと大穴を開け、
各種銃器から発射される7.7mm弾と7.62mm弾で兵士がバタバタと倒れていく。
今まさに城壁を制圧しようとしていた盗賊団は、この突然の横撃に混乱が広がる。
今まさに自らの勝利に届こうとしているタイミング、
籠城しているものと思っていたからこその予想しえない場外の敵、
そして、一時的にとはいえ、照明弾に皆が注目したことが、奇襲効果を発揮していた。
90mm高射砲の水平射で固まっていた一団が吹き飛び、機関砲で人が消え、穴を開けられ倒れていく。
突然襲いかかる衝撃に、盗賊団の混乱は大きかった。
しかし、彼らの中にはアルヌスで経験している者がいた。
ゆえに、彼らは部下に、仲間に、市壁内への侵入を急がせた。
さすがにあれだけの飛び道具であれど、味方のいる市壁や内部では誤射を恐れて使えないであろうとの判断であった。
照明弾も間もなく消え、再び暗闇になる中、盗賊団は篝火を頼りに市壁へと群がる。
一方で、何人かが、あの程度の寡兵と言って、味方の生死を聞かず鈴木隊に突撃して行った者がいたが、彼らは己の無知を死で償うこととになった。
鈴木隊に突撃して行った連中は、突如として目の前に光の壁が出来た。
投光器による照射であった。
人間の目は暗闇の中から突然明るいところに、
あるいは逆に明るいところから暗闇に入ると、それぞれの環境に慣らすために瞳孔が開閉してしまい、
急激な変化に対応できず、視界が完全に塞がれてしまう。
そうして目が眩み立ち往生する盗賊たちへ、鈴木隊は容赦なく射撃を加え、盗賊たちを全滅させていった。
市壁に登った盗賊たちは守備隊を排除するよりも先に、門の開閉装置の制圧にかかった。
外にはアルヌスで戦った敵がいるのだ。
こんなところで殺戮の悦に浸ることに時間をかけるよりも、さっさと市内に侵入して乱戦に持ち込むことで、外の敵の攻撃を封じることが良いと考えたからだ。
ノーマが味方を勇気付けて勇戦するが、味方の士気は低く、容易く開閉装置は制圧された。
これはピニャが『門が破られることを前提にした戦術』に固執していたことが原因であった。
そう、市壁の守備兵は、自分たちが捨て駒にされていることを理解していたのだ。
最初の戦闘で同じ戦術を使ったのだ。
誰だって気付く。
さて、生粋の軍人ならともかく、元が民間人である自警団や民兵たちが、
それを理解してなお、まともに戦ってくれるであろうか?
答えは『否』である。
904: ham ◆sneo5SWWRw :2018/02/08(木) 21:07:00
誰だって、死にたくはない。
端から捨て駒にされていると理解すれば、死に物狂いで戦うよりも、逃げ出したい気持ちのほうが強いからだ。
弓矢が弾けるから等の理由で配備された民兵には特に多かった。
ゆえに、死守する者は圧倒的に少なく、
簡単に持ち場を離れて逃げ出す者も幾人か居たし、
恐怖に震えて武器を扱うことなく斬られる者も居た。
中には自棄になり手当たり次第振り回すものもいたが、元が民間と歴戦の傭兵である。
ただでさえ、剣を触ったことのない人間が振り回しても、当たるわけがなく、斬られるか捕らえられるかした。
開閉装置を制圧した盗賊たちは、装置の守備に幾人か残した後、
早々に市壁から内側に飛び降りるか、縄を急いで固定し、ラペリングで降りていった。
また、開いた門から我先にと侵入し、門の内側で木の柵で作った陣にいた守備兵に襲い掛かった。
乱戦に持ち込み、アルヌスの敵の攻撃の手を塞ぐ。
そう判断しての突撃であった。
市壁外に居た騎兵も入り、忽ち、敵味方が入り乱れる乱戦となる。
農夫が盗賊を桑で殴ったかと思えば、モーニングスターに弾き飛ばされる。
主婦が包丁を手当たり次第投げ、後ろから盗賊に襲い掛かれ捕らえられる。
子供が放せと非力な力で石を投げて怪我を負わせたかと思えば、突入した騎兵に轢かれる。
まさに地獄であった。
しかし、そんな彼らの乱戦が止まった。
土塁を、柵を飛び越えて、屋根の上から少女が降り立った。
人馬を蹴倒して、敵も味方も問わず彼女の周囲からはじき飛ばされ、周囲にぽっかりと穴が空いたかのごとく、彼女を中心としたサークル、疎なる空間が生まれた。
その瞬間に全てが停まった。
その破壊力と、衝撃に音が止み、戦いの喧噪が途絶える。
突如現れた真っ黒な何かに、衆目が集中する。
それはフリルにフリルを重ねた漆黒の神官服を纏った少女。
彼女は、両膝を地に着け、左手を大地に置き、後ろ手に回した右腕に、鉄塊の如きハルバートを握っていた。
彼女は、伏せていた顔をあげる。
神々しいまでの狂気を湛えた双眸を正面の盗賊たちへと向ける。
その黒髪は、凶々しいまでの神聖さで白銀のように輝いていた。
そして、喧騒が途絶え、いつ誰が歌いだしたのか、ようやく聞こえてくる戦女神の唄に気付いた時、少女の嘲笑と共に、城門で爆発が起きた。
以上です。
メインのヘリ部隊の戦闘に入れなかった・・・
後編は、なるべく早くに上げたいです。
今回はここまで。
リアルの関係、そして他にネタを抱えている関係上から、GATEネタはまだ期限未定長期休載になりがちですが、今後もよろしくお願い致します。
最終更新:2025年03月05日 17:07