418: 弥次郎 :2018/02/24(土) 21:36:03
大陸ガンダムSEED支援ネタSS 「Triumph&Survive」epilogue:Side H





Main Staring:
<Federation Atlantic Force,O.M.N.I.Enforcer>

William・“Old”・Hunter (Captain)

Yohan・M・August (Colonel)

Christiana・Maia(Captain)

Original:Mobile Suit Gundam SEED
Arranged by:ナイ神父Mk-2氏
Written by:弥次郎



      • CE70年7月15日午後7時34分 オーブ首長連合国 オノゴロ島 大西洋連邦軍仮設本営




オーブ軍の設備を接収し、掃除の後に現地入りしたスタッフを受け入れたその基地は、既に大西洋連邦軍の軍人であふれかえっており、既にオーブの中の大西洋連邦となりつつあった。

かなりの数のMSを投下したということは、それを戦闘後には引き上げねばならない。
かと言って、ひとまとめに回収する輸送機や揚陸艦などが都合よくあるわけもないし、戦闘で消耗や破損したMSは現地で可能な限りの補修と整備を行っておくことで、スムーズな撤収ができるというものだ。
また、機密保持も兼ねて戦闘で破壊されたMSの残骸については同じくMSや輸送車両などを用いて実施していた。
一応の大西洋連邦と連合理事国の間には紳士協定的なものはあるのだが、その手の防諜に力を注いでおくに越したことはない。

幸いにして、制圧された基地はMSの格納庫やメンテナンス設備があり、アストレイ系MSがそのMSとしての構造の基礎的な部分をGAT-Xシリーズ開発にあたって協力関係にあった大西洋連邦のMSと同じくしていたことで、それらは非常にスムーズに進んでいた。
何しろ、設備がそのまま利用できるのである。少なくとも現場の整備士たちは使い慣れたものに近いのだから、喜んではいた。
まあ、これが技術流出によるもの、と考えると眉を顰めてしまうのだろうが。

一方、戦闘が終わってから戦闘が始まる部署もまた存在する。
即ち、後方要員たちの戦争である。どの程度の物資が消費され、どの程度の損耗が出て、どの程度の余剰が出たのかを、各部隊からの報告を受けて集計して、整理していくのである。また、負傷者達の治療も行わなければならないし、死亡者については本国への遺体や遺品の輸送を行うなどの手続きが必要となる。そこで必要となる物資や書類の決裁も、当然行う。
軍隊とはお役所仕事なのである。
備品一つ、装備一つをとっても重要だ。これまではジャンク屋がちょろまかしていたところもあるのだが、これからはそうもいかなくなる。技術流出や漏えいを避けるためにも、徹底した対応が必要になるのだった。
その手の戦闘後に活躍する部隊が急遽用意されて、今現在も作業が行われ続けている。
全てに決着がつくのには、さらに十日以上かかるとの見込みが立っている。
今回の作戦が大規模だったために、それだけ仕事の量も多くなっているのである。

MSの本格導入は既にパナマや北米防衛戦で既に経験したとはいえ、それに慣れるまでは時間がかかってしまう。
というか、MSという兵科が生まれた分、発生する仕事の量も急速に跳ね上がっているのである。

「ああ、まったく……今日もまた長くなるぞ……」

愚痴を漏らしながらも扉から出てきた恰幅の良い、しかし程よく鍛えられた肉体の人物に、ライフルを手に入口を固める警備兵と、用意されていた車の脇で待機していた大尉の階級章を付けた女性が敬礼を送る。
それに返礼する人物、ヨハン・M・アウグストは、手早く車の後部座席へと滑り込む。
鞄を受け取った女性、クリスティアーナ・マイア大尉は運転手に合図し、発進させた。

「大佐、今回の調整はいかがでしたでしょうか?」

暫く走ったところで、マイアは切り出す。
アウグストの今回の仕事は、大佐以上の佐官及び将官を交えた上層の意見調整会であった。
別個に処理をしなくては混在して決済が出来なくなるのである程度分割しているが、かと言って完全に分割というわけにもいかない。
相互に連絡を取り合い、必要な物品の補給や人員の融通を行うなど、協力が必要なのだった。
合わせて、先頭結果の分析結果を報告し合い、政府や軍のさらに上層部へと報告を送る予定である。
それだけ、今回の戦闘に関しては慎重な分析と報告が必要だったのだ。

419: 弥次郎 :2018/02/24(土) 21:37:06

だが、それは途轍もなく難度の高い仕事だ。
事実、朝にはその体に力をみなぎらせ、気力に満ちていたアウグストも夕刻にはすっかり体力を消耗している。

「そうだな。望むに足る結果は出た。
 同時に問題も多数噴出だ、畜生が」

「MS派閥、ですか?」

マイアの指摘は、以前からアウグストが漏らしていたことでもあった。

「ああ。クソ忌々しい……MSの万能性に酔っ払ってやがる。
 ザフトのことを笑えん。あくまでMSはMSを相手取る兵科であり、戦闘の帰結はそれ以外も絡むというのにな……」

新しい兵科であるMS。
今回の攻略戦において、事前の訓練と戦訓の積み重ねもあって十分な戦果を挙げることが出来た。
だが、勝てた副作用は当然の如く発生していた。戦果を挙げたからこそ、その派閥の声が大きくなるということである。
元々は陸軍の出であり、MSを擁する部隊を率いているアウグストは、しかし、それ故にMSに対して冷静に扱いを行っていた。
それは戦場での運用だけではない、戦略を決定づける、軍略的な意味でも同じだった。

「万能性という意味では歩兵以上だ。いや、歩兵が巨大化しているだけなのだから、歩兵と同じとみるべきだろうな。
 だが、MSが全てを代替可能というわけじゃない。エネルギーのロス、人員のロス、資源のロス。積み重ねれば大きくなる。
 せっかく用意されている既存の兵科を敵に回して何になる?と、な。身内と戦争をしている暇などないだろうに……」

「ぶちまけたのですか?」

「ご丁寧に説明してやっただけだ。
 奴は顔を真っ赤にしていやがった。ま、ざまーみろってな。
 後方でぬくぬくとMSで遊んでいた奴に、南米で運用と研究を続けた俺に勝てるものかよ」

アイツはこの後はお望みの後方送りだ、とアウグストは笑う。
相手を焚きつけ、行き過ぎた発言を引きずり出して、失墜させる。
元よりMS派閥でも問題視されていたので、アウグストがやったのはいずれ来るはずだった単なる公開処刑に過ぎない。
暫く悦に浸ったアウグストは、しかし、不意に表情を引き締める。

「……勝利ではある。だが、まだ戦略的、戦争そのものの勝利ではない。
 通過点に過ぎないところではしゃぐのはまだ早すぎる。まだ先だ。まだ先の戦いを目指していくしかない。
 トロフィーを手に入れてはしゃいでるようじゃ、まだまだということだ」

独白のような言葉は続いた。

「まだ俺達の体制は万全じゃない。まだ地球から追い出したに過ぎない。
 戦争をここで終わらせるわけにはいかん。勝てる状況が出来たからこそ、止まれんぞ…」

しばらくの沈黙。
思索に沈み、その視線は窓の外の光景を眺め続けている。
そして、アウグストは不意に指示を飛ばした。

「マイア大尉、ハンター大尉との打ち合わせをセッティングしておけ。
 彼には宇宙に上がってもらう。それに、そろそろ教えるべきだろう」

「は、了解しました。何時頃に、何処で行いましょうか?」

「明日の午後、遅くとも明後日までには済ませたい。頼んだ」

何を教えるのかは言わない。
マイアは遅滞なくそれに承諾を示し、素早く手帳にメモをとった。
そんなマイアに対し、アウグストは自然体を維持したまま声をかけた。

「大尉。貴様は同席せずともいいぞ?
 俺は知っての通り物言いに容赦はない。ズバズバと言うつもりだ」

「問題ありません。そもそも、お気遣いを頂く人間は既に死んでおりますので」

「ぬかせ。まだ10年も経っていないだろうが」

「もう10年も経っておりますので、そのように…」

それもそうか、と笑うアウグストを乗せ、車は宿舎の方へと一路走り続けた。

420: 弥次郎 :2018/02/24(土) 21:37:53

    • 翌日 大西洋連邦軍仮設本営 士官用個室




「お呼びと聞きまして、ウィリアム・ハンター大尉、出頭いたしました」

戦闘の疲れも既に取れているのか、ハンターの敬礼は揺るぎがない。
部下を失っても、決死の戦いがあっても、メンタル面での影響をさらけ出すほど弱くはなかった。
流石軍歴が長いだけはあるな、とアウグストは素直に称賛する。
こういう人間こそ、これからの戦いに必要なのだと。

「よく来た、大尉。貴官のオーブ攻略戦での活躍は見事だった。私も鼻が高い」

「いえ、部隊には被害が出てしまいました…加えて、手練れと思われるパイロットにも、逃走を許しました」

「それは構わん。八名の隊で七名の隊と激突し、被撃墜一機 大破一機 戦闘不能二機の被害で、生存が七名。
 他方、ザフトは被撃墜が四機、残りも戦闘力が落ちており、離脱後に機体を持ち帰れないと判断したのかいずれも破棄した。
 メビウスでジンと戦闘していたころのキルレシオを見事に逆転している。指揮官と思しきエースに逆転されるまで圧倒していたんだろう?
 だとするならば、エースはともかくとして平均的な技量ではすでに上ということだ」

結局そのエースも撤退を選んだのだしな、とアウグストは付け加える。
そう。結局、ゲイツを操っていたエースのヴィルターも、戦闘の帰結を覆すことはできなかった。
辛うじて残存していたMSを離脱させることができた程度であり、それも予想外のトラブルと幸運が重なった結果。
そもそも、ハンターたちはそれまでに戦闘を行って武器弾薬やパイロットの大量などでハンデを抱えていた。
あの状況からザフトのMS隊が振り切って逃げ出せただけでも十分異常なのだ。

「その事実こそ、我々がザフトに勝っている証拠となる。
 むしろ、大尉のような熟練パイロットが対応できたのは幸運だ。
 他の隊ならばさらに被害が出ていたかもしれない。よく被害を抑えてくれた」

さて、と仕切り直し、アウグストは控えていた副官を呼ぶ。

「マイア大尉」

「は」

すっとマイアから差し出された書類を受け取ったハンターは、促されてその中身をサッと見通す。

「辞令……宇宙に、でありますか?」

宇宙への進出するように命じられた内容の書類。
さらには様々な手配書や指示を書きこんだ補完用の書類までまとめられている。

「宇宙でのMSの運用データを月面のアルザッヘル基地で受け取り、それに慣れてほしい。
 情けないが、宇宙での運用についてはまだまだデータ不足で、情報が不足しがちだ。
 そこで技量に優れたパイロット達を先行して宇宙に上げ、OS面や機体面での情報不足を補う、というものだ」

「宇宙……」

先日、オーブ戦の前に宇宙適応の試験を受けたが、どうやら部下たちも含めてクリアしたらしい。
生まれてこの方宇宙に出た経験が乏しいのだが、このような機会で行くことになるとは。
いや、MSパイロットのことを考えると、自分のような熟練者が宇宙でも必要なのだろう。
MSパイロットを揃えたのはこれまでだが、今後は練度の高いパイロットが必要。
宇宙はザフトのホームグラウンドとなる。そういう意味では、ザフトの方が宇宙でのMS運用に慣れているのだろう。

「今後のタイムラインとしては、安全な宙域での完熟訓練の後に、L1ポイントの制宙権の奪還を行ってもらう。
 それを行う間に地上戦線のケリは概ねつけ、本隊がいよいよ宇宙というわけだ」

「L1……世界樹ですか?」

「察しがいい。どうやら、ザフトの連中はそこに戦力を集め、地球と月の間の連絡を妨害したいらしい。
 おまけに、ザフトの支援を得た宇宙海賊やらジャンク屋どもやらが目撃されているとの報告が上がっている。
 どう考えても使い捨ての駒で時間稼ぎを図っているようだが、これを放置するわけにもいかん」

確かに、宇宙の中継点としてL1宙域はかなり重要だ。
それくらいは空軍、大気圏内の空軍に属していたハンターでも把握している。
世界樹攻防戦が発生したのも、月面基地と地球の間を寸断することを目的としていることは早くに一般見解になったのだから。
それの奪還。地球から叩き出せば、ようやく宇宙だ。宇宙には砂時計が、プラントのコロニーがある。
地球から月を経由してそこへ殴り込んで勝利すれば、この戦争は終わりとなる筈だ。
だが、その障害がL1宙域。そこを解放しつつ、MSを宇宙で運用するノウハウを積み、止めを刺す。
既に戦争を終わらせる流れを描きつつあるらしい。

「宇宙軍では新型MAの配備が進み、MSについても揃いつつある。
 これまでは安全策をとってこれまでは偵察や監視程度にとどめていた。
 だが、地上戦線が片付いたことで、状況は大きく変わったのだ」

「故に、反撃に出ると?」

「上には上の面子があり事情がある。同じように宇宙には宇宙の事情もな。
 宇宙での反撃を主体的にやりたいんだろうな」

421: 弥次郎 :2018/02/24(土) 21:38:48
大洋連合ばかりに戦果をとられているわけにもいかんらしくてな、と愚痴る。
面子の問題。戦後の権益に関わるのだ、戦果というものは。
確かにザフトを南米から叩き出し、オーブからも追い出し、ギガフロートの奪還に成功したのだが、
まだ戦果としては不満足ということらしい。少なくとも、ハンターが死に物狂いで戦ってもまだ足りないのだ。

「まあ、細かいことに関しては追って連絡を入れよう。
 そんなことは些事だ。……知りたいのは、彼女のことだろう?」

彼女、即ち、クラーラ・ユノーのこと。
自分の部下である、コーディネーターのパイロットのことか。

「まあ、落ち着け。
 貴様があれこれと調べているのは知っている。せっかくだ、知っていることを教えてやろうと思ってな」

視線がきつくなってしまったのか、あるいは表情に出たのか、アウグスト大佐は苦笑する。

「その前にだが……ガイウス・ユリウス・カエサル・オクタウィアヌス・アウグストゥスを知っているか?」

突然の話題の転換に、少し面を喰らう。
何故、いきなり話題がユノーのことからアウグストゥスへと変わるのか。
戸惑うが、すぐに答えを紡ぎ出す。

「ええ、ローマの皇帝であるとは…」

「まあ良いだろう。私はこの男を、極めて傲慢な男だととらえている」

いきなりの偉人に対する評価。それも、かなり過去の人物への評価だ。
それに少し面を喰らうも、ハンターはオウム返しのように聞き返す。

「傲慢?」

「ああ、まったく傲慢な男だ。ユリウス暦を思い出してほしい。
 一年の初めの月はドアの神であるヤヌス神に由来するJanuary。
 月の神でありその月に慰霊祭を行うことからフェブルウスに語源を持つFebruary。
 軍神であるマールスに由来するMarch。
 アプロディーテー、ウェヌスに相当する美の女神に由来するApril。
 ローマ神話における豊穣の女神マイアにその語源があるMay。
 そしてヘラと同一視もされる、ローマ神話のユピテルの妻であるユノからとられているJune。
 いずれも名だたる神の名前からとられている。まさに綺羅星の如く、か」

それは英語圏の、ローマの系譜がアメリカ合衆国を経て今も続いている大西洋連邦に生まれたハンターにはなじみ深い事柄だ。
英語に限らないが、欧米の文化は概ねローマのそれに由来し、言語的に見ても共通項が非常に多い。
ローマの時代にその語源を持ち、今もなおその系譜は続いている文化や言葉は、今もなお生き続けているのだ。

「ところが、どうだ?7月と8月は人の名前。それ以降の9月、10月、11月、12月は全て数字だ。
 おまけにその名詞の意味するところと実際の月には数字上のずれが起こっている。
 カエサルが自らの名前を入れて整理したユリウス暦を作り、さらにアウグストゥスが修正している。
 だが、これにはそれぞれの名前が入っている。神々の名前を冠する暦の列に、人である自らの名前を同列にな。
 そしてそれ以来、人類はその名前を使い続けている。ある意味我々は、二人の男の支配を未だに受けているということでもあるのだ」

たかが終身独裁官とその義理の息子がな、と言うアウグストは、アウグストが傲慢だと称したカエサルやアウグストゥスの如く、
傲慢に見える。それを真っ向から指摘するほど、ハンターは愚かな選択をしない。この大佐はこんな態度をとるが、野心家で権謀術中に通じる大佐であり、舌戦に入った場合は大体の相手が言い負かされてしまうのだ。
弁術(レトリック)にも通じるあたり、この男は生まれる時代をかなり間違えている気がする。
ともあれ、ハンターは大人しく無難な返答にとどめた。

「片方は皇帝の語源になったほどの男ですので、それくらいは……」

「一理あるな大尉。旧世紀、国王や皇帝というのは神から任命を受けた、神の血を引くのだと嘯いた権威を付けた。
 だがカエサル自身は皇帝でもなんでもない、終身独裁官だ。何の因果か私は語源的にはアウグストゥスが元の、アウグストという名字だ。まあ、私は自らの名前を大勢に使用させた彼らには及ばんだろうがな」

さて、と一息入れた大佐はようやく話を切り替える。

422: 弥次郎 :2018/02/24(土) 21:40:00
「……とまぁ、茶番であり、本論への前置きはここまでとしようではないか」

「はぁ」

曖昧な返事を返すハンターは、ようやくこの茶番が終わると聞いて内心安どのため息をつく。
ショーを行う人間の如く舌の回し、流れを支配する。この尊大な指揮官はまさに終身独裁官ではないか。
そして、ぐいっとカップの中身を呷って空にしたアウグストは、本論を切り出す。

「コーディネート技術の非合法化……人類の遺伝子改変に関する議定書とトリノ議定書については知っているかね?」

「はい。前者はC.E.17年、後者はC.E.55年に採択された、コーディネート技術の医療を超えた範囲の使用の禁止を定めたものです」

「その通り。だが、その後もコーディネーターは生まれ続けている。それも知っているな?」

「は。小官も、ユノー少尉もそのようにして…その、生まれたとは聞いております」

「ああ。そして、ユノー少尉を、あえて言わせてもらうが製造した連中もいたということだ」

少し濁すハンターに対し、アウグストはずばり言い切った。製造だと。
まさか人為的なコーディネートを施した子供が、何もない空間から自然発生するわけもあるまい?とアウグストは言い放つ。
そう、あくまでもコーディネーターというのは、そのコーディネーターの両親が子供の遺伝子をいじったうえで生まれてくるのである。
当然、父親と母親の存在が必要で、誕生までは母親の子宮かそれに類する器に納まらなければならない。
子供が自らの遺伝子を改変するなど、不可能なのだ。ファーストコーディネーターとされるジョージ・グレンも同じだ。
ジョージ・グレンを生み出さんと画策し、実行に移す側の人間が必要だ。

「トリノ議定書を始めとした協定や条約で、コーディネート技術の乱用は制限された。
 生まれてくる子供への不可逆的な遺伝的虐待(Genetic abuse)であり、今日まで積み重ねを経てきた社会に対して、その崩壊さえも引き起こしかねない深刻な負の影響が懸念される、という理由でな」

金を掛ければ子供を成功に導ける。
それは、平等でもなければ公平ではない。勿論コーディネートを希望すれば受けられるのは確か。
だが、高度に確実に遺伝子を弄るにはそれに見合った資金や設備が必要となる。
商業化の進行と資本主義的な原理の導入は、瞬く間にマーケットを形成し、階層となった。

また、コーディネートも所詮はヒトが成すこと。失敗や不具合は当然発生し、トラブルになる。
コーディネートを行いながらも生まれた『不良品』の子供を見て、親は言う、高い金を払ったのに、と。
嘗ては授かるものという認識だった子供は、その親にとっては金で買う「モノ」に過ぎなかった。
それがどれほど子供に対する虐待であろうか、想像だに難くない。

人を救うために作られた技術も、結局はヒトが扱う。
過ちを犯す人間が扱うからこそ必然として発生した結末。

アウグストは語る、コーディネート技術の治療行為を超えた利用の禁止と、その技術を持った者たちの末路を。
コーディネート技術の制限は、何もコーディネーターの誕生を制限しただけではない。
コーディネート技術を持つ側の人間たちの存在もまた縛り上げたのだと。
遺伝子を改変するための技術が、設備が、人間が、必要な物品が、使われるはずだった多くの物が余り、行き場を失ったのだと。
それは物理的なものだけでは無い。エネルギーや感情、熱意といったものも含まれている。

「問題なのは技術を持った人間達も同じだ。コーディネートに必要なものを作る人間も、未だに夢を見続けていた連中もいた。
 神の設計図を解明し、手を加えることこそ、人類が果たすべき次なるステップだという、まさに傲慢な考えのもとにな」

423: 弥次郎 :2018/02/24(土) 21:41:06

それは、ジョージ・グレンの考えとは恐らく違い、プラントの掲げる思想につながるのだろう、と付け加える。
遺伝子を変えることによって進化すべき、というナチュラル。遺伝子を変えたからこそ新人類、というコーディネーター。
根源的には、人間だけでなく、多くの生物がその細胞の中に持つ二重螺旋構造を持つ遺伝情報を担う塊があり、それに執着する人間の、途轍もなく人間らしく、同時に人間らしく、化け物の如き妄執と妄信があった。

「そして、その手の医療犯罪組織の有名どころの一つが『エフィメリス・ジーン・ケア』という会社。
 遺伝子に重きを置く社会学・遺伝子医療・倫理などの学者と、それを後援する資産家や企業の複合体。
 ……まあ、実際のところはその多くの構成員が社会から爪弾きにされた連中の吹き溜まりのような組織だ」

「……」

「腐っても技術は本物でな。遺伝子治療に関しては良い部類の技術を有していて、認可も得ていた。
 だが、その陰では遺伝子治療にかこつけた密造が進めていてな、その筋ではかなり有名だったそうだ。
 巧妙化していて、決定的な尻尾をなかなかつかませなかった……」

だが、と過去を語る大佐の弁に熱がこもる。

「グレーゾーンでの戦いについては有利だった。
 奴らはアーティスト気取りで、研究者で、それを最後まで捨てられなかった。
 特徴がさりげなく混ぜられていることが判明し、芋づる式に発覚していた。
 そして、そのタイミングが来る時を、ただひたすらに待った……」

「だからこそ、名前に月の名前を…」

なるほど、長々とアウグストゥスとカエサルのことを喋ったのはこれの為か。
カエサルの功績の一つがユリウス暦の制定であり、アウグストゥスがそれを修正したのだ。
今日の各月の名前にも影響している。偉そうに語ったのは、何も無駄なおしゃべりではなかったということか。
ようやく合点したか、と意地の悪い笑みを浮かべたアウグストは、大きく頷いた。

「そうだ。製造に際して関係する数字を、名前(ファーストネーム)やミドルネームに盛り込むことで、その『作品』の証とした。
 質の良いコーディネートを提供する見返りとして、生ける広告塔とする。合法のコーディネーターにもやっていてな、判別は難しかった。
 具体例としては、ファミリーネームは避けるがアイン・Dという作品もいた。これはどういう意味かはわかるだろう?」

アイン・D。その名前は特に違和感はない。
だが、他の言語で、英語以外で少し考えて、さらに『製造』という要素を加えると自然と意味が分かってしまう。

「アイン・D……通常のミドルネームでないとすれば、12月(December)に製造された最初(アイン)の個体……」

呟くようにハンターはその答えを漏らす。
信じられない、というのが正直な感想だ。
よもやそこまで、とも思う。だが、現実はそうだったのだ。
ハンターが考える以上に、人間の欲望は醜いのだ。

「察しの通りだ。ちなみにそのアインという好青年はコーディネーターに生まれたことを悲観して命を捨てた。
 製造された、という事実に強いショックを受けてな。ジョージ・グレンを暗殺した『ナチュラルの少年』とやらとは逆だ」

何たる皮肉なんだろうか、とアウグストは嘆く。
ナチュラルに生まれたことを悲観してジョージ・グレンを殺した少年がクローズアップされるが、コーディネーターに生まれたことを悲観した青年はクローズアップされない。
同じコーディネーターでも、ジョージ・グレンは特別視され、名もなき青年は注目さえ受けない。
一体両者にどんな違いがあるというのだろうか。同じコーディネーターではないのか。
ナチュラルに殺されることがそんなに特別か。自らの命を自ら捨てるよりも、悲劇的なのだろうか。

424: 弥次郎 :2018/02/24(土) 21:42:19
「ユノー少尉も、まさか……」

それに、と視線をマイアへとハンターは向ける。
マイア。つづりは恐らくMaia。少し弄ればMayとなる。
偶然と言えるかどうか、偶然で片づけるには、あまりにも出来過ぎている。
そのハンターの視線を、マイアは自然体で受け止める。それは、決して否定ではなかった。
戸惑いと混乱が、加速してしまう。

「そうだ。表向きには不妊治療、その実態としてはコーディネートだった。
 色々と不審な点があり代理母が通報して事が発覚。両親は当局の追及が及ぶ前に前触れもなく蒸発。
 代理母も知らなかったとはいえコーディネートに協力してしまったので、自らに影響が及ぶことを懸念して養育を拒否し、証人保護プログラムの庇護を受けることになった。

「……」

「結果として彼女は生まれながらの孤児となった。ニュースにこそならなかったが、有名になりすぎた彼女は代理母からも両親からもファミリーネームを得られず、唯一残されていた『クラーラ』というファーストネームと、製造番号であるJuno(ユノー)を自らの名前とした…せざるを得なかった。よもや勝手に名前を付けるわけにもいくまい?」

ユノが結婚・出産をつかさどる女神だというのにな、と憂鬱げに付け足す。
世の中は皮肉ばかり。生まれる前にすべてを決定されてしまう人生に、何があるのだろうか。
それは幸福で満ち足りているかもしれないが、同時にそれ以上にはならない、狭い幸福だ。
その狭い幸福を押し付けられ、生まれてくる子供は本当に幸福になれるのだろうか。
知らず、拳に力が入ってしまい。少し呼吸を入れて落ち着かせる。
八つ当たりなど、感情の爆発など、やるべきではない。

「その後は知っての通り。孤児院に入り、その後に軍に入った。
 まあ、私が勧誘したのも事実だ。少なくとも有能であれば無碍にはされん。
 開戦後は、コーディネーターの連中との戦争が始まってからは彼女の必要性も増大させているのだしな」

ナチュラルにコーディネーターが溶け込むのには、敵となるコーディネーターが必要だった。
コーディネーターの持つ高い能力が、高い能力を持つコーディネーターと戦うために必須となった。
いつだったか、ユノーが上司であるアウグストを知っている、と言っていたが、知っているどころではない。

「そして、だ。そのコーディネート犯罪者と思しき連中が集まっているのが、事実上の合法地域だ」

「プラント…」

「その通り。救いがないことに、コーディネーター自身もそれらの力を必要としている。
 第二世代、第三世代と経るごとにコーディネーター同士の子供は生まれにくくなる。
 その解決には、結局さらに遺伝子をいじる技術が必要となるわけだな。
 技術者にはコーディネーターもそれなりにいる。コロニー・メンデルにも、かなりの数がいたらしい」

メンデルについては知っているな、と目で問われる。
当然知っていた。「禁断の聖域」「遺伝子研究のメッカ」などの異名を持つ、巨大コロニー。
G.A.R.M. R&Dがそこに居を構え、コーディネートに関する研究が行われていたという。
もっとも、今はG.A.R.M. R&Dはとっくに倒産し、メンデル自体もバイオハザードの発生によって放棄されている。
だが、それでも残り続けているものがあった。

「だが、メンデルが崩壊した後、そこにいた人間達は一体どこに消えたのか?
 まともな連中ならばともかく、黒い噂の絶えないメンデルの連中が楽園から追放されて大人しくできるようなものか?」

「ありえないですね」

「そうだ。そもそも、メンデルが出来たのはコーディネートの禁止が一度は採択されてからだ。
 なればこそ、合法となっている地域に潜り込むしかない。コーディネーターが多いが、かと言ってプラントにはナチュラルがいないというわけではないだろう。差別やら何やらが大変であろうがな。
 遺伝子を変えることこそ人類の為と本気で信じて、他人にも善意から押し付けるほど熱心な連中もいるのだから、そこについては問題ないのかもしれない」

聞けば、過去にもそういった積極的なコーディネートの実施や社会制度の変革を訴えるキャンペーンやら団体もいたという。
遺伝子による統制。遺伝子調整による社会の維持。今日ある社会の問題の解決方法としては、なかなかに奇抜と言える。
確かに人間というのは遺伝子によって形質や体質などを定められてはいる。人間の能力をさらに拡張するには、より人間の能力を律速する領域に踏み込むべき、というのも一理ある。

425426: 弥次郎 :2018/02/24(土) 21:42:56

だが、まだそれは理論段階であり、実行も初期の段階に過ぎない。事実、コーディネーター同士の出生率の問題や、画一的な遺伝子コードソースに基づいたコーディネートによる脆弱性の発露のリスクなどが危険視されている状態。

コーディネーターの専売特許とさえ言われたMSは既にナチュラルも操ることができるようになっており、地球圏にはコーディネーターでなくとも高い能力を有しているナチュラルは多数いる。
否、宇宙に進出し、これまでの発展を作り上げたのはジョージ・グレンのようなコーディネーターもいたが、基本的にはナチュラルばかりだったのだ。コーディネート技術が生まれる前の方が、よほど人類は進歩を重ねてきている。

勿論それらの問題もコーディネーターの叡智が解決する、とプラントのプロパガンダは述べている。
将来的にはそうなるのかもしれない。過去では不可能とされたことを、現在では可能としていることが極めて多数ある。
だが、その『将来』とやらがやってくる前に、なぜプラントは戦争を仕掛けてきたのか?
将来がやってくるまで、コーディネーターの国家というのは続いていくのだろうか?ただでさえ子供が少ないのに。
そのようにアウグストは疑問を呈した。それについては、概ねハンターも同意できるところが多いものだった。
勿論これも連合のプロパガンダでもあるがな、と付け加えて、アウグストは結論を言う。

「まだ固まってもいないコーディネート技術に縋りつかねばならないほど、人類は弱くもなければ追い詰められてもいない。そう思わんかね?」

言葉にされると、何というか、奇妙な感情が湧いてくる。
感心というか、誇らしさというか、心強さだろうか。それとも、嬉しさというべきなのだろうか?
言いたいことに同意なのは間違いない。途轍もなく同意だ。だが、何ともこそばゆさも感じている。
正直言えば、カッコいい台詞を言われ、年甲斐もなくと感じ入ってしまった。
内に燻っていた行き場のない怒りが、ようやく静まった気がする。

(……)

同時に、なんだか、悔しさまで感じる。
嫉妬。何故だか、感情的に反発したくなる。
じっと思わず視線を送っていると、アウグストはおいおい、と声を上げる。

「言っておくが、私はナチュラルだぞ?哀れみを向ける時点で私への侮辱だ。
 ブルーコスモスに尻尾を振っている、などと言われているが、国際的に認められた条約に基づいて対応しているに過ぎない。
 そして、今回の戦争の帰結は、おそらくコーディネートの乱用の禁止の厳格化に繋がるだろう」

いや、そうじゃない、と言いかけて、自分の返答がかみ合っていないと判断して口をいったん閉じる。
暫く迷って、ようやく言葉を吐き出す。

「そうなる、のでしょうか?」

「なる。これは確定だろう。
 そもそも、半世紀以上前とごく最近の議定書さえ満足に守られなかった結果が今回の戦争だ。
 治療ではないコーディネートの非合法化の徹底にこれ以上にない追い風と言っていい。
 馬鹿を一カ所に集めるな、という貴重な教訓になった。その対価はあまりにも大きかったがな」

427: 弥次郎 :2018/02/24(土) 21:43:38

確かに、と頷くしかない。
理事国が用意した工業を行うコロニーを乗っ取って独立を宣言し、あまつさえ戦争をやって来た。
NJが散布されてエネルギー不足が発生し、数え切れない悲劇が起こった。
文明そのものが維持できなくなるのでは?とまで懸念されたのが、NJの影響力だった。
これを理性的などと言い放ったプラントというのは、核兵器による破壊以上のものを、
地球圏に広がっている文明を破壊するつもりだったのか。そのような邪推さえしてしまう。

コーディネートを行うと知能指数があがっても結果的に馬鹿になるんじゃないか?という俗説も、信じてしまいそうになる。
今ある社会がコーディネート技術に合わせて進化し、倫理観や価値観が変わるその時まで、禁止が続くことになるだろう。
だが、もう一つ引っかかる、とハンターは疑問を浮かべる。なぜ、ここまでアウグストは行動に移しているのだろうか。
義憤か、正義感か、それとも倫理か。それをぶつけてみると、そっけなく返事が返って来る。

「義憤ではないな。法に準じるべきだという意思だ。そこに余計な感情はない。
 そもそも、理性だとか感情だとか、その二元論で語ることの方が愚かだ」

つまり、それが悪いことだからという単純な理由だな、とアウグストは肩をすくめる。
ハンターは実のところは納得していない。この野心家の大佐が、そんな純粋な理由だけで動くのだろうか?
そうだとしたら、まあ、この大佐について見直す必要がありそうなのだが。

「まあ、出世にもつながるし、大尉が誤解したように私をコーディネートの被害者などと憐れむ連中も面倒なのでな」

訂正、この大佐はいつも通りだ。
言いたいことが言い終わったのか、アウグストは手をひらひらと振って退室を許可した。
オーブ戦後にアウグスト達が忙しいというのを把握していたので、ハンターは大人しくそれに従った。
敬礼を送り、そのまま退室するためドアまで進む。

「ああ、そうだ……最後に言っておくがな、大尉。
 ユノー少尉に対して余計な情をかける必要はないぞ」

ドアノブに手をかけたところで、不意にアウグストはそんな言葉を投げかけてくる。
情をかけるな、とは。確かに彼女は実の両親とそれに協力した技術者たちの遺伝的虐待の被害者である。
そういう意味では確かに同情の余地があるのが彼女だ。社会的にも保護を受けるとができるだろう。
だが、それを自分が成す必要はない、と言っている。

「では、如何すべきでしょうか?」

「特にやる必要はない、ということだ。
 彼女は既に満足を得ている。貴様はそのままでいい。彼女自身がそう言っている」

「……」

嫌に良い笑みを浮かべるアウグストに、反射で疑いの目を向けてしまう。
だが、彼女の報告ならば、彼女が満足しているならば、それでよいのかもしれない。
自分が全く理解できていないことを除けば、だが。
満足。大体、何を以て満足なのか?

「心配するな。それはこの私が保証してやる。
 間違いなく、ユノー少尉はこれまでの人生の中でもトップに入るレベルで充実している」

「さようですか、それでは」

疑問は尽きない。
だが、それを考えている余裕はないかもしれない。
次なる戦場は宇宙。更なる激戦が待ち受けているのだという予想が、ハンターの中に生まれていた。

428: 弥次郎 :2018/02/24(土) 21:44:53

「戸惑いはしたが、怒りはしなかった、か……つくづく予想を超えてくるな、あの男は」

「大佐も予想外でしたか?あの対応は」

「怒鳴るくらいはすると思ったがな。あの男は案外情を裏切れない。
 だが一方で軍人として律することを知っている。貴様や俺に感情をぶつけてもどうにもならんと知っているのさ。
 生まれてきた命に何ら罪はない。罪があるとするならば、生み出した側なんだと、自分に言い聞かせている」

「なるほど、大変好感が持てます」

「おいおい……ふっ、モテる男か、あいつは」

「頼れる大樹のような方ですよ、ハンター大尉は」

「俺はどうだ?」

「……悪だくみを唆してくる、ちょっと危険な男でしょうか?」

「こりゃあ手厳しい……」

「さあ、大佐。お仕事の時間ですよ」

「へいへい……」

429: 弥次郎 :2018/02/24(土) 21:45:34
以上、wiki転載はご自由に。
今回の話は、これまでのちょっとした伏線の回収でした。
ユノー、マイア、アウグスト、オクトーバー…スタッフクレジット的な奴で英語表記をしてたのも、共通項に気が付く人がいるかなぁと思っての採用でした。

実際は、JulyとAugustというのは、人名由来であるとも、Julyがユピテルの変形で、Augustが他の7柱の神々を習合した「究極の神」「偉大なる神」を意味するともされてます。時の皇帝の名前を盛り込んだ示威的な名前ではないからこそ、今も残っているのでは、と。実際、皇帝たちがコロコロと月の名前を変化させているのですが、それも皇帝の治世が続く間限定なんですよね。
まあ、全ては学説に過ぎませんけどもね。

アウグスト大佐は正真正銘のナチュラルです。
フルネームはヨハン・マールス・アウグスト。
彼がそれを知るきっかけになったのは、そのミドルネームを見た遺伝子操作犯罪の捜査を行う組織が「ひょっとして?」と思って声をかけたことだったり。まあ、まったく無関係だったのですが。

そして、こうも思うのです。
なぜ原作ガンダムSEEDでなぜ今回の話のようなのをやらんかった、と。
メンデルでの戦闘の時と世界観説明の時と…キラがオーブに寄った時くらいですかね?

さて、次はヴィルター達の方になりますね…
これで終わりになる、というのはフラグでした

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最終更新:2018年02月28日 08:57