鍛錬
「むぐう・・・・・・・・」
「はいこれでアンタの負け、だな」
がっくりとディスプレイのまえで項垂れるはルルーシュ・ヴィ・ブリタニア
少し離れた席には二人の男が座り、妙に盛り上がっている
男、と言ってよいのだろうか
高校生くらいか、そろそろ少年とは呼びがたい年齢の二人組みだ
ルルーシュに近寄るは日本の、ひいては全世界の対ブリタニア戦略のすべてを
統括する頭脳集団「チーム・オモイカネ」のリーダー「クロエ」こと城鐘恵
「またやられましたね」
「だってあいつら・・・・・・・無茶苦茶なんだ。無駄で無意味な行動をするかと思えば
それを生かした手を繰り出してくるし生かさないこともあるし
積極的に味方を巻き添えにするしぃ・・・・・・・」
現時点で人類最高峰たるコンピュータを用いた戦略シミュレーションで、あちらの二人組みにボコられた
彼らへの報酬は、彼らと知人へのルルーシュの手料理である
「まあ普通に知能と知性で競えば殿下は負けるなどありえないでしょう
ただ彼らは……坂本 雄二くんはまあ普通よりは頭がよい、という程度だけど
他人の嫌がる事、して欲しくない事を本能的に見抜くという嫌がらせに特化した、軍事的に貴重な能力だし
その相棒の吉井 明久くんは……まあそのなんだ、尋常でないくらいバｋ…頭がよくないけど
普通の、というかとてもまともで良好な感性と優れた直観力をもち理論とか常識とかまともとか
そういった方向性とはまったく異なる道筋を貫くという
僕たちのような情報とデータを積み重ねた上に結論を出すタイプの天敵だ」
「ええ、そして我々のようなタイプは同種の、そしてそれを上回るタイプには決して勝てない
シュナイゼルのような
だからこそ俺は」
「そういった頭の固さを保ったまま柔軟さを身に着けるべく彼らや様々なメンバーに相手をしてもらっているんですね」
「硬い、というか状況を予測し複数の可能性を想定してそれらへの対処法を立てておく
それが俺の持ち味だ 否定しようとは思わない
俺は俺のまま、俺として成長しシュナイゼルを、そしてシャルルを超えてやる」
二人の人物がそれなりの距離を保ち対峙している
かたや黒髪の妙齢の女性でジャパニーズ体操服をまとっており
子持ちであろうくらいの年齢にブルマは正直かなり痛ゲフッ
あぐぐぐ、ハイティーンくらいの服装が大変似合っている
かたや皮鎧を身にまとい、背に十本を超える様々な種類の小刀短刀を括り付けている
肌も露な皮鎧の女性が四つん這いの体勢を取る
「そんじゃー いっきまっすよーん」
その言葉とともに体操服姿の女性にむけてダッシュをかます
4,50センチほどの小刀を両手に構え、切りかかる
「死ねェ！」
しかし左右から素早く数限りなく繰り出される斬撃を黒髪の女性は
軽く涼しく避けかわし見切っていた
「こんなはずは・・・・・こんなはずは・・こんなハズわぁ！！！」
次の斬撃をかわし、足払いをかける
皮鎧の女は払われた勢いを生かして足甲での踵落しをかけるが
黒髪の女性は一歩踏み込み太ももの部分をつかんで関節技をかけようとする
それを見抜いた皮鎧の女は両の刀で牽制し、距離をとる
「くそぉ・・・・・武技があれば・・・・・・」
いや駄目だ たとえ武技があったとしてもヤツはそれに対応し、自分を圧倒するだろう
「このクソがぁ！！！！！！！」
「ありがとうね」黒髪の女、マリアンヌ・ヴィ・ブリタニアが
足元でボロボロになって倒れ付している皮鎧の女に礼を言う
「あなたほど腕利きの戦士…暗殺者が毎度毎度本気で殺そうと挑んでくれるから
わたしも戦士としての力量と気迫を維持できてる
もしあなたがいなくて子供たちが手元にいたら、闘争心を抑え切れなくて
その子らを殺してたわ、間違いなく
だから本当に感謝してるのよ、クレマンティーヌ」
「へえへえさよでっか」
「なにやら特殊な技術を失ってしまってるようだけど、取り戻せたら遠慮なく使ってね」
その瞬間がばりと起き上がったクレマンティーヌは、刃を纏った鞭を引き抜き振りかざす
(勝った！タイミングとしても油断してるしそうでなくともあいつの間合いの外！)
その時彼女が見たのは、手のひらをこちらに向けて突き出すマリアンヌの姿
(なにが おこった)
感じたのは腹部への強烈な痛みと、仰向けに倒れた自分
あり ね まだこの空間 けだ きのつかい できるように
アイツがなにか言ってるのが途切れ途切れに聞こえる
ま いっかげ よろ なおｔ むりにで
医者らしき連中が駆け寄ってくるのを感じる
あの骨野郎とこのおんな、どっちがつえぇかな
そんな事を考えながらクレマンティーヌの意識は闇の底に落ちていった
はいここまでです
なおクレマンティーヌはモモンガさまのアツい抱擁の後
この世界に転移してマリアンヌに拾われました
なぜか傷が癒えた状態で以後マリアンヌのオモチャと化しております
最終更新：2018年02月28日 11:50
