43: 弥次郎 :2018/03/10(土) 20:32:29
大陸SEED支援ネタ 「ブリーフィングファイル」3
Main Staring:
<Z.A.F.T,P.L.A.N.T.>
Ronald・Virta
John・Martinez
<FAITH:Special Forces,Z.A.F.T,P.L.A.N.T.>
Jonathan・Smith
Extra Staring:
<443th Mobile Suit Chasseur command:MS Command,Z.A.F.T,P.L.A.N.T.>
Alfred・Claus
Cain・Ernest
Original:Mobile Suit Gundam SEED
Arranged by:ナイ神父Mk-2氏
Special Thanks:時風氏
Written by:弥次郎
ブリーフィング:「特務隊FAITHについて」
「FAITHというと、あまり仕事に関する噂や報道を聞かないな」
「それもそうでしょう。特務隊とはいいますが、重要度の高い任務を評議会から直接受け取る部隊といった方がいいでしょう。
直接的な戦闘はもちろんのこと、隠密作戦や高危険度任務、重要拠点や重要人物の警護、新型兵器のテスト、教導など。
特に最近求められる仕事として、仮想敵(アグレッサー)としての役目もあります」
「仮想敵?」
「連合のMSを模したMSを用いて訓練における敵役を担当するのです。
操縦系統は模したMSならばともかく、鹵獲型となると操縦の違いやOS面での差異が大きく、パイロットに要求する要素が大きくなります。また、連合全体の錬度は非常に高いのです」
「相手のレベルを再現できる兵士が必要だが、それはFAITHを中心にしかいない、ということでもあるな」
「厳密には、集められるのがFAITHだけ、ということです。
戦線で支えとなるのはエースやベテラン。彼等を引き抜けば戦線状況は悪化する。
前線を支えることを優先するか、それとも後方を優先するか。その選択の結果は、ご存じのとおりです」
「だが、あんた自身がそういった任務ができるようには見えないが?」
「実務面でもFAITHは人材を選抜しています。こう見えて、私は一級の後方要員ですから。
物資面の余剰ややりくりを現場からの声に合わせて調整し、輸送課程をスムーズにする。
調整能力や状況把握にかけては負けていないと自負しています。だからこそ、FAITHの黒服となれたのですから」
「今は白服だろう?」
「はい。後方の勤務だけでなく、前線での指揮官が不足していますからね。
とはいっても、制服だけ前払いされたようなもので、まだ実地訓練中です」
「世知辛いな」
44: 弥次郎 :2018/03/10(土) 20:33:14
ブリーフィング:「指導を受けるパイロットについて」
「教導を行ってもらう兵士は、新兵が多いと聞いたが……」
「厳密には、宇宙での新兵が多いのです」
「宇宙での…?」
「はい。地上戦線の開戦当初は、宇宙で十分な経験を積んだパイロットが多くいました。
重力圏でも、宇宙でも、どちらでも戦えるだけの訓練を重ねたパイロットが多かったのです。
丁度、マルチネス隊員の頃合いの世代が、ギリギリでしょうね」
「カリキュラムでは、宇宙戦闘と重力圏での戦闘をやるのでは…?」
「いえ、複数の要因で訓練の短期化が図られ、地上戦線でのパイロットの多くが宇宙での戦闘訓練を短くしています。
なぜか、お判りでしょうか?」
「戦局の悪化ですか?」
「それもあります。ですが、それ以前から原因はありました。このMSのせいです」
「…バクゥに、ザウート?」
「……なるほどな。二足歩行型のMSではなく、地上に適した四足歩行やキャタピラ移動できるMSならば、訓練期間を短くできる。なにしろAMBACを教える必要が無いし、立体空間の把握が必要ないからな。
地上戦線では二足歩行型のMS寄り需要があった。だが、そればかりを優先した結果、通常のMSを宇宙で使うことが出来ない兵の割合が増えたわけか」
「御明察です。Zero Gravity Maneuver Fighter(無重力空間における機動戦闘兵器)の括りから離れたMSこそ、地上圏では必要となったし、そのMSは訓練がたやすい。ですが、その需要の拡大の、言わばツケという奴です。
また、地上圏での活動が長かったパイロットの復帰訓練という問題もあります。
MSを動かすだけでギリギリのパイロットにさらに複雑な操縦を教えて問題が怒らないとも限りません」
「地上ではベテランでも、宇宙では新米同然。そういうことなのですね?」
「はい。ですが、少なくともヴィルター隊の面々は宇宙経験者も多いと分かっております。
地上戦線にいた人間にいきなり宇宙での教導任務をやれ、と言われても厳しいかもしれませんが、貴方方ならばできると、そう判断しました」
「期待されているのか、無茶を強いられているのか……」
「一応褒めていますし、期待しています」
45: 弥次郎 :2018/03/10(土) 20:34:13
ブリーフィング:「L1宙域の現状」
「スミス隊長、L1宙域の情勢はどうなのでしょうか?戦力的に余裕があるとは思えないのですが」
「……マルチネス隊員の心配も極めて正しいです。
L1はもともと偵察や情報収集がメインの拠点。通商破壊の頻発で戦力は置かれていますが、あくまでも中継点です。一応の休憩は取れますが、連合によるL1への偵察活動も活発化しているために安全とは限らない。
一方でL1宙域には増援としていくらか試作兵器を回してもいます。
「だが、L1は事実上の最前線だ。デブリだらけの環境とはいえ、南米と違ってデブリの除去はたやすい。
遮蔽物無しで大軍を向こうに回すのは得策じゃない。どうやって抑える気だ?」
「大洋連合と思われる部隊のとっていた戦術を利用した、奇襲や強襲をメインとした遅滞戦闘を行っています。
トラップ、機雷、遠方から攻撃なども混ぜることで、L1の防御力を向上させています。
また、MSからの簡易な指示で戦闘を行う無人兵器や無人砲台など、可能な限りを」
「それで間に合うのか?」
「私見ですが、隊長のおっしゃる通り、そこまで耐久出来るとは思えません」
「ええ。ですが、L1を連合が放置するはずもない。月面、L3、その他の宙域にも注意を払うでしょう。
ですが、根拠をよく示されていませんが、少なくとも時間稼ぎを上層部は銘じています。
先程も言いましたように、地獄への片道切符を切るつもりか、真剣に終わらせるために行動しているのか、まったくわかりません」
「戦力は大丈夫なのか?」
「ひとまずは……頭数は何とかそろえてます。オーブから回収した地上軍の人員のおかげで、だいぶ楽ですから。
それに、オーブ同胞団やコペルニクスからの傭兵も多数います」
46: 弥次郎 :2018/03/10(土) 20:35:23
ブリーフィング:「オーブ同胞団」
「オーブ同胞団?」
「連合の進駐を受けることを考慮し、オーブ首長連合国からコーディネーターを主体とする亡命政府を受け入れています。
首長を引き継ぐ立場の人間が脱出できなかったためか、あくまでも現首長の奪還とオーブの解放を目的とする、と言っています」
「よく受け入れたものだな」
「連合の進駐を受ければ、コーディネーターがどういう目に合うのか……そのような懸念がありました。
連合のMSや艦艇に関する情報などを差し出してきたこともあったので、今後プラントへの協力をするならばと。
また、協力を申し出た人員には不足しがちだったメカニックやパイロットがいたことで、一応は受け入れはしました」
「…だが、犠牲者を補うには足りないだろう」
「ですので、上層部としてはそこまで期待はしていないようです。
保有戦力自体がMSが多くても20機前後、宇宙艦艇がギリギリ一個の隊を編成する程度。人員に至っては、言うまでもなく。
女子供まで混じっていたので、これまた厄介でした。作戦行動を任せるにしても、補給物資等のあてはほとんどなく、督戦ではありませんが連絡役と監視役を付ける必要もあります。連合からの鹵獲品や我々の装備から転用できるものを集めていますが、コストと発揮できる戦闘力に釣り合いが取れているか、と言われると……」
「釣り合わんのか」
「はい。また、彼らはあくまでもプラントを利用するという立場のようです。
正確には、プラントのことなど、連合を倒しオーブを取り戻すための手段としかとらえていない。
それは亡命政府としては正しいのでしょう。ですが、何処まで信頼がおけるのか、正直分かりません」
「それほどに…?」
「政治が絡むとはいえ、懸念し過ぎではないのか?」
「アスハへの、現在は地上で拘束されているウズミ・ナラ・アスハの信奉者が多かったのです。
シンパといっても良い、のめり込んだ人間です。何がそこまで引き寄せるのかは、まったくわかりません。
会話は成立しているようで、どこかおかしい。ずれているのです」
「……」
「人の脳味噌は幻想や幻覚を認識できます。それこそが生存に最も都合が良かったのでしょう。
ですが、そんなに人間は都合よいとはいえない。特にこの状況では、です。
そもそも、オーブに残らず、わざわざ苦難の道を選ぶのは得策ではありません。負ける公算が高いというのに」
「だから、使い潰すと?」
「……ええ。恐らく、彼らもこちらに銃を向けることをためらわない。ならば、そのように扱うのみです」
「コーディネーターのためにコーディネーターを潰す。矛盾しているな」
「いえ、矛盾などしていません。私は彼らを頼りにしていると、そう信じています」
「……」
「2+2は5です」
47: 弥次郎 :2018/03/10(土) 20:36:36
ブリーフィング:「新型機のテスト」
「俺の隊以外でもテストをやっている、と言っていたな。具体的には何処でやっているんだ?」
「そうですね…あちらこちらに。輸送隊、パトロール隊など。有名なところでは、第443MS猟兵部隊でしょうか」
「第443MS猟兵部隊…?」
「……確か、南米には宇宙戦線からの増援が多くいたが、その中でも嫌われ者がいた、と聞いたことがあるな」
「第443MS猟兵部隊の地上への派遣隊のことでしょう。彼らについては相応に把握していましたから」
「よく知り得たな、彼らのことを」
「後方要員ですし、FAITHの権限ならば報告書を探すのも容易いのです。
彼らにはヴィルター隊よりも少し前から、MSの補充に合わせて少し手を回しました。
ヴィルター隊に配備された正規品の完成には、彼らからデータの提供があってこそ、です」
「おいおい、テストをしなかったのかよ?」
「いえ、もちろんやりましたよ。ですが、FAITH内部でさえ、貴方方のように柔軟な人間がいるとは限らない。
権力はありますが、同時に、悪くも目立つ地位です。なので、練度的に劣らない隊へと渡し、多くを頼むしかなかったのです」
「…そうだったか、すまんな」
「いえ、気にしなくて構いません。
第443MS猟兵部隊についてですが、練度は高いです。この時期まで生き延びてきたパイロットが多く、経験も豊富です。
フリーダムの一機を任される程度には高い練度のパイロットもいます。
ですが……敢えて言うならば、練度がやや高すぎて追従が難しい、という問題が」
「追従が…?」
「練度が高く、危険な任務をこなしているMS隊であるので、平均練度は恐らくヴィルター隊以上でしょう。
ですが、少数精鋭とまでは言いませんが、過酷な篩にかけたことで維持している錬度です。
悪いとは言いませんが、補充を行うのには一定の下地が必要です」
「俺の持論だな。連携の前にみっちり仕込むというのは」
「ですが、育成に時間がかかるので平均技量が上がりにくかったという問題点もあります。
今後のプラントにとっては育成能力と練度、どちらも必要です。
恐らく、ヴィルター隊の指導方針は443部隊などとはそりが合わないということも少ないかと思われますので、ヴィルター隊で一定の技量を付けた人員は、この隊を始め目星をつけていた部隊と共に配属となります」
「孤立しないために、か」
「因みに、私が彼らに新型のMSを供与した時は、嫌がらせの体をとりました」
「嫌がらせ…?」
「MSの補充の際に、書類上はゲイツの数を減らし、ジンを送ることにしました」
「だが、それは……まさか…!?」
「ええ。ゲイツFSとジン・ハイマニューバG型を送りました。
外見上に大きな変化はない。けれど、内装は入れ替わっている。
おまけにパーツにばらしてしまえば、見分けなど付きにくいのですよ」
「よくやるものだな……」
「先方もよく心得たもので、受け取ったうえで、抗議文の体で報告を送っていただいています。
どうやら相当困惑したようですがね」
48: 弥次郎 :2018/03/10(土) 20:37:22
ブリーフィング:「ヴィルター隊の今後」
「俺達の隊の扱いは今後どうなるんだ?」
「所属は宇宙軍として、また本土防衛部隊として組み込まれるでしょう。
一方で、FAITHからの委任を受けるということで通常の部隊よりは扱いが良くなるように取り計らいます。
書面上の厳正さや報告の義務は厳しいかと思われますが、そこは対応をお願いします」
「表向きは嫌がらせの教導任務にも拘らず、案外好待遇だな」
「ザフトの傾向としては、戦果の挙げられる最前線こそ名誉でもありますからね。
FAITHは初期はともかくとして割合的に多いのは最前線を抜けてきた人間ですので、これまた名誉なこと。
ですが、そこから遠ざけられるのは、失態を重ねて追いやられるのは、不名誉なことです」
「だが、同じ教導を行う連中からも疎まれそうだな」
「良いのです。疎まれようが馬鹿にされようが、それ以上の、あるいはそれ以外の目を向けられては困ります。
その代わり、貴方のところに送られた兵には容赦はいりません。証拠を突きつけるなり、実機で分からせるなり、手段は任せます」
「いいのか?」
「ええ。貴方の裁量に任せます」
「追跡があるんじゃないか?」
「表向きは左遷、裏としては情報統制のための左遷、というカバーストーリーを被せます。
二重三重のストーリーを重ね、真実を隠すなど容易いことです。なにしろ、物資の流れに乗せて蔓延させれば、口伝えに蔓延しますから。
人と人の間のコミュニケーションを馬鹿にしてはいけません。ソースもなしに信じてしまう。
まして、宇宙船という狭く、制限された空間の内部では殊更に」
「……アンタは諜報やスパイに向いているかもしれんな」
「さあ、どうでしょうか…?」
49: 弥次郎 :2018/03/10(土) 20:38:44
ブリーフィングレコード:「ある日の第443MS猟兵部隊」
「隊長、いつもの通りの『嫌がらせ』です」
「『嫌がらせ』か。また…?」
「すり替えられているといった方がいいかと」
「数は?」
「ジンが3機分と『規格の合わない』実弾ライフルの弾薬と交換パーツ。
あと、『形状が違う』ビームライフルが数丁も『混じって』ます」
「またかよ……まあ、やるものでやるしかないな。
で、ケイン。以前間違って届けられたMSの具合はどうだった?」
「間違って、と言いますと…ああ、あのMSですか」
「『しょうがなく』動かしているアレだ」
「まだシステムの作りが甘いのかとんだじゃじゃ馬です。
操縦系の反応が敏感に作られ過ぎているので、これじゃ『使えません』。
機体を無理やりベクトル変化させることに特化し過ぎて、推進剤の消耗が激しいです。
『とんだ欠陥品を押し付けられてます』」
「『文句』の一つも言わんとな…報告書に書いておいてくれ、ケイン。あとで俺が目を通しておく」
「了解しました。失礼いたします」
50: 弥次郎 :2018/03/10(土) 20:39:25
以上、wiki転載はご自由に。
休みの日は良い…色々と書けます
時風氏、ごめんなさい、本当にちょっぴりの出演でした…(土下座)
57: 弥次郎 :2018/03/10(土) 21:39:55
修正
×二重三重のストーリーを重ね、真実を隠すなど、物資の流れに乗せて蔓延させれば、口伝えに蔓延します。
〇二重三重のストーリーを重ね、真実を隠すなど容易いことです。なにしろ、物資の流れに乗せて蔓延させれば、口伝えに蔓延しますから。
最終更新:2018年03月12日 16:14