48: 影響を受ける人 :2018/02/20(火) 22:25:09
この作品にはTS要素が含まれています。
オリキャラ化が含まれています。と言うかオリキャラが出てきます。
最低系である最強要素があります。というか、ほぼメアリー・スー状態です。
オリジナル設定、個人的解釈が入っています。
それでも良い、という方のお読みください。
その日。扶桑皇国の歴史に残る大事件が起きた。
穏やかで知られる天皇陛下が、なんと激怒されたというのだ。
その怒り様は凄まじく。待機していた護衛巫女たちが、身を乗り出そうとした天皇陛下を抑える事態にまでなったという。
手には刀が握られていたというのだから、その怒りの度合いは深い。
しかし、“何に”対して怒声をあげられたのかだけは定かではなかった。
わかっている事は、この時より海軍が人事異動や高官の退職等が多数発生し、一時期的に海軍と言う組織が機能不全に落ちいっている事。
堀井大将が投獄された事。堀井派が解散・・・解体された事も含めて。
堀井大将に関して弁護するならば、彼は派閥の者達が起こしたボイコットに関して全く知らなかったという。
天皇陛下が怒り狂う理由を事前に知った彼は、そのまま気絶して高熱を出して寝込んでしまった。
その間に、間違った気を利かせた派閥の者達が御前会議に出席する。
派閥の者達が何を言ったかは秘匿されており、まったく表沙汰にはならないので想像で補うしかない。
そして何故か気落ちしていた天皇陛下が無理をして同席していた場で、不敬な発言をしたらしい。
それが、天皇陛下が激怒した原因とされている。
ともかく、扶桑皇国海軍はこの事態を重く受け止め。再編成に没頭する事となった。
「皆さん。一応ではありますが、お疲れ様でした。」
「「「「「お疲れ様~」」」」」
辻正信が音頭をとってコップを掲げると、疲れ切った面子も同じ様にコップを掲げて応じた。
疲れている面子は主に海軍。陸軍組・外交組・内政組といった面々が同情の眼差しで見つめている。
何しろ堀井派が残した問題解決に、現在進行形で対処しているからだ。
ちなみに場所は某所にあるレストラン。別々の場所に集まったかの様に見せて、個々に集合した。
そして彼等の目の前には、畜産関係の夢幻会メンバーが育てた牛肉のステーキが並んでいる。
「労いとは言え、なんだか申し訳ないな。」
「喰わねば動けん。とりあえず食べよう。」
(これらがただ単に、自分が食べたいから生み出したとは・・・ 前世でもそうだったというし、複雑だ。)
面々がフォークとナイフで肉を切り分けていく横で、山本五十六も肉を切りつつも前世では知らなかった事実に溜息を吐く。
その溜息を聞いた隣の南雲忠一が、心配そうに大丈夫か聞いてきた。
「大丈夫だ。問題は・・・問題は有るが、取りあえず今の溜息は違う。」
「そうですか? なら、いいのですが。」
「ああ。それはそうと貴様。よくも逃げてくれたな。」
「・・・・・・さて、何のことやら。」
ソッポを向きつつ冷や汗を垂らしている海上保安庁のお偉いさんに対し、海軍で最も偉くなりそうな男が睨み付ける。
「とぼけるな。そんなに前世での対応が嫌だったのか?」
「そりゃそうですよ。自分は海軍なのか、海上保安庁の人間になってしまったのか。ごちゃ混ぜになってしまいましたからね。」
「双方に話を付けられるのが貴様だけだったからなぁ。」(お、この肉上手いな。)
「そりゃ、頼られるのは嬉しかったです。ですが、晩年になっても頼られるのはちょっと・・・」(フィレステーキ旨い!)
「交代要員を育て無かったのが悪い。」(これでまだ未完成というのだからな。生きている内にまた食べられるか?)
「育てましたよ。ただ、バランス意識が出来ない人物が多かっただけです。」(やわらか~)
そんな他愛ない会話をしていると、サーロインを食べていた近衛文麿が立ち上がり、手を叩いて視線を集めた。
「そのまま食べながら聞いてくれ。扶桑海事変は大きな原作剥離になり、対処療法で何とかした。
これは、別ルートでやってきた彼等・・・戦後組と呼ぼうか。彼等の危機意識によるものが大きいと判断している。
前世よりそのまま移動してきた者達には無い気迫がある。
気が抜けているというわけではないが、それでも打ち込む姿勢に違いがある事には間違いない。
彼等に負けないよう。より一層の奮闘を期待する。」
一気に言い、一同を見回す。
食べながらでも良いとは言ったが、誰も彼もが手を止めてこちらを真剣な眼差しで見ていた。
49: 影響を受ける人 :2018/02/20(火) 22:26:00
「原作剥離については、嶋田君が300年かけて行った改革等が影響していると、我々夢幻会上層部は判断している。
以前にも辻君が言ったように、「原作は参考書」程度に考えた方が良い。
欧州に関してもその影響力は小さくは無い。おおむね間違ってはいないはずだ。
この世界特有の指揮官型ネウロイの登場は、皆の記憶に新しいだろう。
彼等の登場によりカールスラント。ガリア両国の状態は原作よりも悪化すると見込まれている。
よって。遣欧艦隊の派遣は以前の会議の時決まったように、変更は無い。変えるのは編成だ。」
そう言いつつ視線を海軍側に向ける。視線を向けられた人物が起立し、資料を手に取った。
説明するのは山本五十六ではない。同じ所属の別の人物だ。
「編成ですが、以前は対空戦艦に改装した四隻。【伊勢】【日向】のAグループ。【山代】【若狭】のBグループ。
ウィッチ専用航空母艦1隻と通常空母1隻。それに護衛戦力を含めた戦力を送る予定でした。
しかし【伊勢】【若狭】の二隻が損失という状況になってしまいました。
その為、生き残った高速戦艦2隻をあてようという意見が有ります。大西洋において護衛戦力は必要不可欠ですから。
太平洋に関しては高速戦艦の活躍の場が少ないという判断もあり、抜いても問題ないと判断しています。」
「生き残った二隻を投入するのか・・・大丈夫なのか?」
陸軍の誰かが心配そうに問いかける。
「流石に1年以内に修理は出来なと思われます。【日向】【山代】のAグループ。【金剛】【霧島】のBグループに分け、Bグループは後発で出発させます。
修理のついでに、対空戦闘能力の強化を図ります。それで何とかなるかと。」
「さらなる打撃戦力を欲してきた場合はどうする?」
「重巡洋艦部隊を派遣します。幸か不幸か、遊撃艦隊だった【古鷹】【加古】【青葉】【衣笠】の四隻全てに加え、【雲仙】型が無事ですので。ですが、【雲仙】型は、扶桑から離す事は無いでしょう。」
「そうか。粛清等があったが、建造計画はそのまま実行か?」
「それについてですが、」チラリと山本五十六の方を見ると頷いた。「変更が入りました。」
「まず堀井派が極秘裏に進めていた【大和】型戦艦建造計画ですが、【大和】型戦艦3隻で打ち止め。
【日向】【山代】【金剛】型戦艦の代替え艦として、【伊吹】型戦艦を4隻建造となります。
当初【伊吹】型は3隻建造でしたが撃沈した艦艇が有った為、もう一隻建造してみようと」辻に視線を送りつつ「交渉しています。」
50: 影響を受ける人 :2018/02/20(火) 22:26:46
御茶を少し飲んで渇いた喉を潤し、報告を続ける。
「もっとも、【大和】型の建造は比較的ゆっくりと建造を進め、【伊吹】型の方を急ぐ予定です。
航空母艦に関してですが、将来においてジェット機を運用する事考え、予定通り【大鳳】型の建造計画を押し進めます。
こちらも長期計画ですので、それほど急いでいません。代わりに艦上戦闘機の開発を急いでいます。
対艦仕様と言える現行の駆逐艦の建造は、現在起工している分を除いて建造停止。
我々が設計した【秋月】型対空駆逐艦に切り替えていきます。もちろん対空兵装に改装していきます。」
聞いていた夢幻会メンバーであったが、杉山元が何かに疑問を抱いたのか手を挙げた。
「いいかな?」
「なんでしょうか。」
「被害からどの程度回復した。現状扶桑海を守る戦力は確保できているのか?」
最もな質問だ。この場にいる全員が知っておきたい疑問でもある。
「・・・現在大きいドッグは損傷が軽微だった戦艦に占領され、中小のドッグを全て使用して駆逐艦の修理を急いでいます。
どうも果敢に防空戦闘をする艦艇を嫌ったのか、駆逐艦の被害は多く、現状順番待ちです。
扶桑海の防衛に関してですが、比較的損傷の少ない【紀伊】【長門】を骨幹とした打撃艦隊を編成。これを第一艦隊とします。
戦艦二隻。第七戦隊の重巡四隻。そして第一水雷戦隊。以上が第一艦隊です
機動艦隊は交代で整備に入る予定ですが、被害を出した【赤城】が修理中ですので、第一機動艦隊が整備待機中です。」
「想像しかできないが・・・ 修理する計画が大変ではないか?」
「現場はてんてこ舞いになっています。帰宅時間が削られて・・・」
牟田口廉也が同情の眼差しで頭を抱える海軍一同を見る。
戦闘に参加した艦艇、その殆どが損傷を受けるという事態は想定していなかった。
九曜葛葉も尽力して港の整備は行っていたが焼け石に水。まったく数が足りていない。
常にドッグ待ちの艦艇が港に溢れ、訓練しようにもできないという笑えない状況。
更に戦艦が被害を受けて沈没したという事実は、世界に衝撃を与えた。
特に最新鋭と言えた【紀伊】型戦艦の沈没はショッキングな事件となって世界を駆け巡ったという。
少なからず、各国の建造計画に影響を及ぼしたのは間違いない。
51: 影響を受ける人 :2018/02/20(火) 22:27:22
「航空戦力の確保も大変だ。これからさらに手強くなるのに・・・」
「まったくだ。海軍のお蔭で脱出できたパイロットの救助は有りたかったが、それでも少なくない人員を失った。」
「ウィッチもな。精鋭部隊を揃えた【翔鳳】【瑞鳳】だが、それぞれ2人と3人も戦死している。」
「学兵の被害はどうだ?」
「負傷者は出たが、学兵の戦死者はいない。それが唯一の救いだな。」
「そう言えば・・・原作キャラが担ぎ込まれたと聞いたんだが。」
「お前、さっき聞いていなかったのか。ここはアニメや漫画の世界じゃない、現実なんだ。原作キャラだろうが負傷する。」
「魔力欠乏症や、魔導酷使病の発症も問題だぞ。回復までにどれだけかかるか・・・」
「嶋田さんがその辺を整えてくれているが、後遺症に悩まされる女性が増えるのは間違いない。」
「いかにウィッチが多いとは言っても、新兵じゃ話にならん。」
「これからは派遣した戦力が戻ってきますから、そこから・・・」
「そんなのは当たり前だ! それよりも彼女達が持てる武器の向上をだな・・・!!」
「陸軍の通常兵器は依然述べたのと変わらんが、陸戦ウィッチも増やしたい。そう思わんかね牟田口君。」
「この世界に来てからハッチャケてませんか、山下さん。」
なんだかんだで始まった大騒ぎを尻目に、山本五十六は完食して優雅に御茶を飲む。
その隣では「海保にも予算まわして欲しいな。」とか、「うち等もパイロット救助に動いたんだけどなぁ。」と言う南雲が寂しそうに一同を見回していた
「一応この世界では蛮行する輩はおらんから。無理ではないか?」
「ですよね~・・・ はぁ。」
「だからこの世界でも海軍はいればよかったのだ。そうすれば苦労もしまい。」
「そうかもしれませんけど・・・ 御馳走様でした。」
「そういえば・・・ 嶋田については聞いているか?」
「一応は・・・」
二人はこの場にいない功労者を思う。
別働隊の侵攻。この報告に対して夢幻会はもちろん、大本営も大混乱したという。
何しろあれほどの戦力が二つもあった等とは、まったく考えられなかったからだ。
しかも。片方の一体はどう聞いても現状の戦力で倒せるかどうかという怪物。
それを仕留めた九曜葛葉に対して、夢幻会の感謝はどれほどのものになるのか。
だが同時に、一個人が持つには逸脱した戦闘力を危惧するメンバーも出ている。
こればかりはどうしようもない。説明に来た分体に如何こうしても意味が無い。
以外に冷たい反応を示す分体に夢幻会は戸惑ったが、「辻正信を元にしていますので」と言うと一同納得。
約一名が反論したのだが、誰からも無視された。
それはともかく。それほどの力の持ち主でも負傷し、現在休眠に入っているという。
見舞いに行きたいと言ってみたが、あっさり首を振って断りを入れられた。
場所さえ教えてもらえればと言うと、こちらも駄目。
何でも昔、まだ今ほど信用されていない時期があり。九曜を快く思わない人物達が暗殺しようとした事があったそうだ。
その計画は有る事が切掛けで中止・・・と、いうか。破壊されてしまった。
「防衛本能と言える存在が、関係者すべて皆殺しにしたから。か・・・」
「眉唾物ですよね。」
「事実は小説より奇なりとは言うがな。」
実際、彼女が動いたという記録は無い。
しかし口伝で残っているし、都内某所には彼女を祭る神社も一応ある。
【黒毛九狐(こくうきゅうこ)】
禍神として扱われ、制裁・裁判官・弾劾者などと言われる。
完全に表の九曜とは反対の属性扱いであり、その神社の数も少ない。
恐ろしい祟り神であり、地域によっては「黒い狐がお仕置きに来るぞ。」という脅し文句まである。
微笑ましく思えそうだが、彼女はそんな生易しいものではない。
彼女は存在する。実在しているのだ。彼女の実態を知るのは数日後の事である。
以上です。
黒曜の殺戮シーンを外しました。夢幻会のシーンのみに絞って有ります。
前の物とは似たり寄ったりなので、感想は不要です。
最終更新:2018年05月06日 13:09