290: 影響を受ける人 :2018/03/10(土) 20:30:57
この作品にはTS要素が含まれています。
オリキャラ化が含まれています。と言うかオリキャラが出てきます。
最低系である最強要素があります。というか、ほぼメアリー・スー状態です。
オリジナル設定、個人的解釈が入っています。
流血・グロイ表現が有ります。
それでも良い、という方のお読みください。



提督憂鬱×ストパン+零
第百二十七話 ―大人達は責任を取る②―

―海軍軍令部総長 九鬼嘉明(くき よしあき)大将―

堀井派の連中はもう終わったも同然だ。
最後の最後で、堀井の奴が手綱を握れなかった結果だが・・・あれは酷いな。
九曜殿の事を知らぬとは言え、天皇家が狐に関連する神社仏閣の保護を行っている事など周知の事実だろうに。
しかし激怒された陛下を見るのは初めてだった・・・
普段は穏やかで、お優し御方だが・・・そんな人柄の人物ほど、その怒りは凄まじいという良い例か。

「それはそれとして・・・人手が足りん。」

いかにあの時の堀井派の人材が離れ始めていたとはいえ、規模としてはまだ大きかった。
それ故に、暴挙に巻き込まれて失脚していく高官が多すぎる。
調べれば調べるほど出てくる罪状。いやはや。
堀井に話してみたら、奴も知らん事があるなどはな・・・あってはならんと言うのに。
布団の上で頭を押さえて胃薬を飲んでいたな。

取りあえず末端に近く、それほど染まっていない人材を引き上げてはいるが・・・それでも足りん。
堀井派の連中もその辺がわかるのか、権力にしがみついて抵抗して来よる。
しかし天皇陛下直々の命令。しっかり結果を出さぬ限り、御怒りを鎮める事も敵わぬ。
九曜殿さえ起きて下されば・・・

「こんな弱音を信平が聞いたら。「軟弱物が!」と、どなるだろうな。」

苦笑しか浮かばんな。さて目の前の書類を片付けていかねば。
そう言えば、ウィッチ主上主義を掲げる佐島派。佐島透(さじま とおる)少将の動きも激しくなっている。。
彼等は当初夢幻会寄りの派閥だと考えていたのだが・・・
しかし夢幻会側からしてみても扱いにくいらしく、どうも距離を置かれているらしい。

「同胞ではないとか言っていたが・・・」

わからんが、どうにも奴は一人であれこれ動いているようだな。
一応支持者はいるようだが・・・どれも小物ばかり。対して意識する必要性は薄いが、無視するわけにもいかん。

―コンコン…―

「む? 入って良いぞ。」

もうそんな時間か。資料に向けていた視線を上げると、堀川がいた。

「お忙しかったでしょうか?」
「いや。ちょうど休憩を入れようともっていた所だ。」

別の部下(女性)を呼んで御茶をお願いし、来客用の椅子に座る。
御互いに忙し意味ではあるが、こうして話をしておかなければならん。

「先の戦い。よくやってくれた。」
「将兵の努力のタワモノです。 ・・・もっとも、最後の一撃に関しては冷や汗が止まりませんでしたが。」

そう言って苦笑しているが、コイツの度胸はかなりある。
恩人でもあった筈の堀井に食って掛かり、その前から此方に情報を流していたからな。
本人は「間違った事を行っている主君を、止めるような事しているだけです。」と言ってたが。
それはともかく、堀川に話しておきたい事があるのだ。

「堀井の取り巻きは来ていないか?」
「何度か。しかしすべて追い返しています。」
「そうか。不穏な事が有れば言え。すぐに対処する。」
「有難うございます。」

いくつか世間話を挟んでみるが、不穏な影は無い様で安心する。
九曜様が倒れられ。休眠している期間は慎重に行動しなければならん。
九曜様から出てくる黒い狐。自称ではあるが黒曜と名乗るあれは、文献で見る限り相当危険な存在だ。
九曜様の障害となりうるならば、天皇家に繋がる者ですら殺害する。
組織が有るならば丸ごと、民間人もお構いなしだ。

文献と伝承で知っていたが・・・すでに何名か行方不明者が出ている。
内密に処理してはいるが、どこまで持つかわからん。
昔に比べ、情報の伝達が早く拡散する。こちらの事ももうちょっと考慮してくれればいいのだが・・・
とりあえず、堀川が対象になっている事は無いようだ。
何故か安田の所に入っていないようだが・・・あちらは放っておいてもよいと判断したのか?

291: 影響を受ける人 :2018/03/10(土) 20:31:29

「九鬼大将殿。それで、自分が呼ばれた用件はなんでしょうか?」

おっと。いかんな。年を食うと話が長くなるし、長考も多くなる。

「ああ、すまん。対した事ではない。」

御茶を一飲み。

「現在計画されている遣欧艦隊。その司令官をやってみないかね?」
「遣欧艦隊・・・ですか? もう一度派兵すると?」
「うむ。ブリタニアやカールスラントはすぐさまウィッチを返してくれた。
 少数とはいえ、各国の義勇飛行隊も来てくれた。
 だから何もするわけにもいかん。」
「陸戦戦力も出すのですか?」
「出すつもりはない。ただしウィッチ専用空母を二隻派遣する。」
「前計画では一隻だったところを二隻ですか。豪勢ですね。」

ウィッチをこんなに大勢用意できるのも、リベリオンとウチぐらいなものだな。
少なくない戦死者が出てしまったが、それでも隊長陣は生きている。
昇進させて、部下を揃えて・・・忙しいな。水瀬の奴に任せよう。
あいつめ・・・

「沢山の未来ある若者。学兵が死にました。その責任は自分にあります。
 なので、あとは北郷に任せて自分は引退しようかと。」
「ふざけるな。」

あの時は素で返答してしまった。
陸軍のライバルは後任をしっかり補佐するつもりだというのに、そんなに逃げたいのか?
書類地獄から逃げたいだろうが、絶対に逃さん。
お、っとと・・・

「儂の考えでは重巡洋艦を中心とした部隊編成を考えている。」
「唯一無事な艦艇が重巡ぐらいしかありませんし。妥当だと思います。
 しかし。輸送経路の護衛は万全に出来ますか?」
「例の連中が建造しようとしている艦艇が、それにふさわしい艦艇になっている。
 まぁ。今すぐではないが、将来的には大丈夫だろう。
 相手の戦力も大幅に削った。再編成に、支配している大地の確保もある。
 奴さんらも、早々手出しできんだろうさ。」
「そうであればいいのですが・・・」

難しい表情で悩むが、それも仕方があるまい。
皇国を守るべき艦艇が激減している、奴らの戦力がどれほどかわからない以上は、警戒して置くに限る。

「そう言えば、戦艦に関してですが・・・」
「【大和】型戦艦に関しては建造する事が決定されているぞ。対空使用に変更してだが。」
「いえ。そちらではなく。」
「【若狭】に関してか? どうにも陛下の機嫌がよくないのだ。解体するしかあるまいて。」
「そちらでも無く。新型の方なのですが・・・」

連中が提出したあの戦艦に関してだったのか。いやはや、歳は取りたくないものだな。

「【伊吹】型戦艦。奇抜な戦艦だが、対比費用を考えるといい船だと思うぞ。」
「自分は、その辺はわからないのですが・・・どうにも気になりまして。
 集中防御するという試みは面白く、野心的であると思っています。
 また、砲塔を少なくすることで建造を速め、費用を抑えるのもよろしいのですが・・・
 個人的な見解と前置きしておきますが、後方に主砲が無いというのはどうにも。」

まあ。そうかもしれんな。
一応後ろには副砲があるそうだが、ワシ個人としても連装砲塔三基にして、後方の安全にも気を配りたいと思う。
確か堀井派の連中が研究していた給弾装置があったはず。
連装砲塔ならば、多少装置が大きくとも搭載可能であろうが・・・

「あの。予算の鬼が。大蔵省の魔王が許すと思うか?」
「・・・・・・無理そうですね。」

あの堅物。どうにかならんかな。
あの連中の中で幹部クラスらしいが・・・ 連中でも手におえんらしいしなぁ。

――某日某所:某料亭――

堀井派が天皇陛下の怒りに触れ、粛清対象になったという。
その事実が知れ渡ると、離れようとする人物たちが溢れ、引き留めようとする上官が走り回った。
しかし夢幻会、九鬼大将と言った面子が全力で職権を行使。次々に逮捕しては牢屋に送り込んでいった。
それでもなお逃げ回る堀井派は、悔しさに歯を食いしばって打開の道を探る。
それが、国に対する反逆だとしても。

「先方の方が、先にお見えになっています。」
「そうか。」

そう言って堀井派で唯一残った重鎮が、取り巻きを連れて足早に料亭内を移動する。
この料亭は先方がよく利用する場所らしい。
先方・・・ウィッチ脅威論を展開する、扶桑皇国の中では異端と言える一派で、曰く・・・

292: 影響を受ける人 :2018/03/10(土) 20:32:49

※ウィッチは潜在的な人類の脅威であり、人類の発展を妨げる癌である。
※人類の発展を促すには彼女等の排除が必要。
※ネウロイに対しては人類が作り上げた技術で対抗していけばいい。

発展を妨げているというのは少しだけあっているかも知れないが、生活に根差しているウィッチを全て排除する事など不可能。
男性の遺伝子にも含まれているし、全ての人類がある意味ウィッチやウィザードの子孫ともいえる。
それに現状の解決策が全く入っていない。支離滅裂な説明に胡散臭さもあって、誰からも支持されていない。
それでも、一定の支援者がいるというのだから、人間と言うのはわからないものだ。
堀井派の男は、そんな彼等の力を利用して実権を取り戻そうとしていた。

「ここか。」

目的地に着いた男は軽く戸を叩き、到着した事を伝えた。応答は無い。
訝しんだが急いでいた男は「失礼する」と言って、勢いよく戸を開く。

「返答ぐらいしt・・・」

少々イラついていた男は、戸を開いた勢いに任せて室内に入り・・・血溜まりを踏みつけた。
男の目の前には肉塊が散らばっている。部屋中に血しぶきが新たな絵画となり、天井に着いた血と汚物が滴となっておちる。
内蔵が丁寧に飾り付けられ、部屋をより一層狂気に彩る。
へたり込んだ男を介抱しようとした取り巻きが、部屋の惨状に悲鳴を上げて胃の内容物を逆流させた。

惨状が広がる部屋の中で、黒い何かがこちらを見た。
手にしていた人物の首をへし折り、ゴミの様に捨てながらにたりと笑う。
気が付いた部下が誰何しようとすると。その場にいた全員が、わけもわからぬ力で強引に部屋に連れ込まれて戸が閉まる。

「あはぁ♪」

楽しそうな。本当に楽しそうな声で割った女は、只々黒いという印象しかない。
狂気の笑みを浮かべ。眼差しは冷たく、虫けらを見る様に見ていた。

「お、お前はいったいd「じゃぁ。生まれてきた事を後悔して。」

男が、なけなしの勇気を振り絞って問いかけようとして遮られ。

「死ね。」

宣告が下った。

ある者は頭から押し潰され。ある者は生きたまま足から輪切りにされ。
ある者は生きたまま解体され。ある者は燃やされ。
ある者は削られ。ある者は小さく、細かく千切られ。
ある者は逆さまにされて、股から裂かれ。ある者は仲間の肉を内蔵が割けるまで食わされ。
ある者は・・・ある者は・・・・・・ある者は・・・・・・・・・

最後まで生きていたのは一人だけ。

否、“一体”だけ。

身体を滅茶苦茶に破壊しては歪な形に回復させ、再び破壊しては回復を繰り返す。
出来上がったモノは生きた肉塊。肌色の球体。
部屋の中央に鎮座する球体状になったそれは、もはや人としての尊厳などなく。
何処が顔なのか、どこが手足なのか、どこが胴体なのか。わからない。
惨状は、仲居がやってきて悲鳴を上げるまでそのままだったと言う。

その光景を黒い狐が歪んだ笑顔でみていた。
取り込まれ、自我を無くしてもなお、守護という思いは残った。
主を守るという純粋な思いは歪み切っていたが、主の意向は守っているつもり。

「キュルルルゥゥゥゥ・・・」

月夜が美しい空で、黒い狐が舞う。
人々は言う。黒い狐に気を付けろ。目を付けられれば地獄に連れて行かれる。
白き狐が眠りし時。隙をついた黒き狐が得物求めてさまよう・・・と。



以上です。黒曜の異常性が伝わればいいな・・・

タグ:

+ タグ編集
  • タグ:
最終更新:2018年05月06日 13:27