562: 弥次郎 :2018/09/24(月) 19:52:20

大陸SEED支援ネタSS「暗夜航路を拓く」

Main Staring:
<Nikaya,L1 Atack Fleet,2th Special Squadron,Pasific Union,O.M.N.I.Enforcer>
Sakon・Mizuhaya(Captain)
Fisher・Ness (Chief Petty Officer)

Staring Mobile Suit:
MS-10B RICK DOM-Bein Nicht
MS-14 Hi-ZACK

Original:Mobile Suit Gundam SEED
Arranged by:ナイ神父Mk-2氏
Written by:弥次郎


デブリ漂うL1宙域を進むのは、アーガマ級ニカーヤを旗艦とする大洋連合の宙域中枢突入艦隊であった。
多数のピケットMAとしてドラッツェやガトルが全方位を警戒し、オッゴや作業用MSが進路を邪魔するトラップやデブリを除去しつつ、優雅に、しかし力強く前進していく。前方はデブリもあって視界が開けていない暗い航路。
それを白亜の巨艦「ニカーヤ」を中心に進んでいく姿は、それが戦争の道具と分かっても一種の威厳と美しさがあった。

簡易な補給と整備を終え、陣容を整えて臨時の中継点となっていたウルド1を発してから既に2時間あまり。
今のところ、トラップやデブリ以外に目立った敵影の姿は見えない。時折ピケットMAが偵察機と思われる戦闘機を捕捉しているが、相手は捕捉されるとすぐに尻尾を巻いて引いてしまうために、戦闘らしい戦闘にもなっていない。
SFSの上でビームランチャーを構え対空監視を行うスナイパーたちも、流石に何もないことに違和感を感じ続けていた。

『全くだぜ、相手はこちらにまるで興味がないみたいだ…』

『それか俺達が見当違いの方向に進んでいるか…本当に情報は正しいのかよ?』

『ウルド1の情報が正しければ、だな』

ウルド1は制圧後に人員の拘束と尋問、また破棄されていなかった情報の精査を経て、目的地であるザフトの司令部要塞『レイヤード』の座標や外観などの情報を吐き出させていた。そこに至るための航路図も、また道中に配置されている戦力についても、だ。
それらの情報から突入艦隊はルートを定め、戦力を束ねて、こうして送り込んだ。
だが、一向に敵の気配が掴めない。それがどういうことか---

『あるとすれば……』

宙域の彼方をスコープ越しににらみながら、フィッシャーはつぶやく。

『相手はもうこちらを囲い込んで襲い掛かる準備が出来ているか、だな』

フィッシャーの言に、スナイパーたちは一様に表情を険しくする。
NJの妨害強度はこれまでの宙域以上であるし、デブリも多い。
警戒しているとはいえ、絶対に安全であるという保障などどこにもないのだ。

『ん、どうした?』

その時、ビームランチャーを構えるハイザックの通信回線に何処からともなく接触が入る。

『…こちら旗艦陸奥所属のリックドム・バインニヒツ、L1宙域突入艦隊 旗艦ニカーヤ応答されたし。繰り返す…』

『広域通信?友軍機か?』

『陸奥所属の……たしか、高級偵察機だぞ、リックドム・バインニヒツって奴は』

特徴的な背部ユニットに、脚部の無い特徴的な下半身、そしてモノアイ。
それはリックドムというにはあまりにも異色であった。
しかし、その脚部の無いリックドムはうまくスラスターによる姿勢制御をこなすと、スナイパーたちが見守る中で難なくランディングギアでニカーヤの甲板へと着艦してのけた。

563: 弥次郎 :2018/09/24(月) 19:53:12

その異形と、珍しい機体ということもあってニカーヤの格納庫にはパイロットや作業員たちが集まりつつあった。
ほどなく機体の固定が完了し、作業員たちが期待に取りつき、一通りの作業を開始する。

『突入艦隊旗艦のニカーヤ、こちら本隊より派遣されたリックドム・バインニヒツ、風見陽少尉。
 L1中枢宙域の偵察活動を完了した。情報の受け渡しを行いたい』

『了解した、すぐに情報の転送を頼む。また、直ちにブリッジへ出頭せよ』

『了解した』

MS-10B リックドム・バインニヒツの持ち帰った画像には、ウルド1を一回りほど大きくしたような要塞と、それを護衛するように展開している宇宙艦隊の姿が収められていた。やや不鮮明なところもあるが、ザフトの戦力であり、この突入艦隊の先に待つものであることは明らかだ。

「よくやってくれた」

「光栄です」

長距離を見つからないように隠密行動してきたためか、パイロットの顔に疲労が窺える。
だが、彼が持ち帰った情報は何よりも貴重だ。座標、敵戦力の具体的な陣容、および目標。それらすべてが揃っているのだ。
偵察情報はすぐさまニカーヤをはじめとする突入艦隊の中枢司令部へと伝えられた。
十数分後には、ニカーヤのブリッジに艦隊司令部の面々や各艦の艦長などが揃い、ミーティングが開始されていた。
モニターには撮影されてきたザフトの艦隊及びウルド3の写真(VI)が複数枚。一部画像は不鮮明だが、情報源としては十分すぎる量を撮影し、もたらしてくれた。
その資料が一通り回ったところで口火を切ったのは、ニカーヤ艦長にして中枢宙域突入艦隊の指揮を執る水早左近だった。

「諸君、見ての通り、敵は大戦力だ」

それは断言。
不鮮明な箇所が混じる写真でもわかる、ザフトの大戦力だ。
恐らくL1宙域に残っている艦艇をかき集めただろうというのはうかがい知ることができる。
艦艇だけでなく、作業を行っていると思われるMSやMA、MPの姿も映っており、艦載機の充実ぶりがうかがえた。

「やはり要塞を一つ落とした程度で戦力が削り切れたというわけではなさそうだ。
 しかも相手は軍事要塞まで戦力として買翔けている。要塞を擁する艦隊との決戦…まともに撃ち合うのは賢いとは言えんな」

「勝てなくはないですが、それではだめと?」

「いや、まともに撃ち合って負けることはないだろうが、それでは満足できん」

「?」

水早は不敵な笑みを浮かべ、芝居がかかった仕草でモニターを指さす。

「所詮はL1攻略作戦も宇宙での反抗作戦の一環にすぎん。
 まだこんなところで泥沼の消耗戦などやっている暇はない。
 犠牲を減らし、尚且つ今後の攻略を勢いづけるためにも圧倒いた勝利をもぎ取らねばならない」

やや戸惑いはあるが、各艦の艦長や部門のリーダーたちは頷く。
まだこの作戦は始まりに過ぎない。ここで足踏みなど、ザフトの思う壺だというのは共通認識としてある。
だからこそ、と前置きをし、水早は自分の思い描く最終的な勝利目標を告げる。

「完封勝利というものを、勝ち取ってみないか?」

それが、ウルド3攻略戦の流れを決める切除であった。
中枢宙域突入艦隊の司令部は、ウルド3攻略に向けたミーティングを開始したのであった。

564: 弥次郎 :2018/09/24(月) 19:54:21
以上、wiki転載はご自由に。
ナイ神父Mk-2氏がせっかく書いていただいたので、ついでにニカーヤ艦長の紹介も兼ねて一本書いてみました。
B-Day本編が長くなりそうなので、こういう形で吐き出さないとスマートに収まりそうにないですし…(白目
文章量がどんどん膨れ上がって大変です…

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最終更新:2018年10月03日 09:28