77: 弥次郎 :2018/07/01(日) 22:05:13
大陸SRW マブラヴ編 ある朝、そしてある休日
(また、か…)
人が多い、と一目連は意識の覚醒と同時に嘆息する。
自分の寝所があるのは、昨晩、征夷大将軍をはじめとした上層部との夕食会があり、翌日の訓練にすぐに迎えるようにと用意されて通された屋敷の一部屋だ。
自分と随行員を含む10名余りを受け入れるには些か大きい屋敷。明らかな監視だ。ホテルなどでもよいだろうに、あからさま過ぎて笑えて来る。
征夷大将軍への指南役。
その地位を一目連が獲得して以来、否、それ以前に紅蓮大将から推挙されて以来、自分は特に帝国の目を集め続けている。
この帝国への派遣依頼そのものに異はなく、自分の生まれや技術が役立つならばと引き受けたが、案の定だ。
閑話休題。
特に集団のトップであり、中心である自分への注視は強い。
人の気配、人の発する気、音、熱、空気の動き、振動---転生を経て、それらを感じ取る能力は磨き抜かれていた。
老いるとは一般的に衰えることを意味するのだが、逆に言えば無駄を排除していくということでもある。
成長した巨木の幹に大きな洞が出来上がるように、華美な装飾が消えてかえって美しさとなるように。
この年齢で、すでに並の人では不可能な領域に達することが出来ていた。
だからだろうか、自分へと向けられる視線や気配が、煩わしいほどにあるということに半ば呆れてしまっている。
明らかな敵意を感じることもある。別段自分はタダノのようにNTなどではないのだが、それ以外の理屈で人がいることが分かる。
嘗て、そう聞いたことがある。
極論、NTもイノベイターもSEEDもガンダムファイターもカテゴリーFもXラウンダーも阿頼耶識もなにもかも、ガンダムというのは一つの世界線に納まる。
宇宙世紀にガンダムファイターがいてもおかしくなく、XラウンダーがガンダムSEED世界にいてもおかしくない。
そして、基本的な世界観がガンダムSEEDに生まれた自分は、因子を受け取って成長しているような節がある。
最近では、その因子が指南を受ける、自分から見れば弟子にあたる煌武院悠陽に移りつつある気配がある。
何というか、成長が著しいのだ。自分の薫陶を受けたタケミカヅチやアマツミカボシなどは短かったためなのかそうではなかったが、前世に比べて徐々に人外染みた戦闘能力や身体能力を会得し始めている。このまま彼女が何処まで成長していけるのか、楽しみでもある。
一瞬で意識は覚せい状態にスイッチを切り替える。
すっと身を起こし、吐息を一つ。
すると、一斉に動きがあった。自分を見張る者たちの動きだ。自分が起きたことを受けて、シフトを変えるのだろう。
「おはようございます、一目連様」
同時に、襖越しに世話役の声が届く。
図ったかのようなそれに苦笑が浮かぶが、まあ、相手も察知しているのだろう。
自分の実力に関しては彼等の上位の実力を持つ紅蓮大将さえも認めている。
ある意味、彼らなりの意地なのだろう。精神年齢的に見て、孫どころか玄孫のような彼らのあがき。
(ほほえましく見させてもらおうか)
また一日が始まる。
その事に感謝を。すべてに感謝を胸中で呟き、一目連は身を起こして返事を返した。
78: 弥次郎 :2018/07/01(日) 22:06:28
「かの者たちは全くもって情けない限りです。
一目連師父のすべてに嫉妬して警戒して、何かにつけ私に異を述べるばかりです」
「嫉妬を覚えるのも無理からぬこと。身元も怪しい某を殿下のお傍に、まして指南役に、など常識的にはあってはならぬことでございましょう」
「それはそうでしょうが、今は違います。。
状況というものをよく理解せず、ただ自分の役割こそ正義と己惚れている武家が多いのです。
帝国は、この世界はなりふり構わずに自らを変えねばならぬのですから。
いえ、武家に限らず、帝国は自らの在り方を、今一度問わねばなりません」
<ドシン ガシン ガシン
<よく来てくれた 残念だが 目標など最初からいない
「その為には、今の武家・皇帝の在り方も変わらねばなりません」
<騙して悪いが仕事なんでな、死んでもらう
「ほほう、だまし討ちですか。貴方の方こそそっ首置いて行ってもらいましょう」
<メインシステム戦闘モード起動します
「と、話の途中で失礼しました、師父。しかし、全てを破壊してまでとは言いません。
嘗ての仏蘭西の二の舞いを演じるわけにはまいりません。先達が血を流し、命をとして気付いたこの帝国は、国土を半分失陥したとはいえ、多くの民を抱えております。その庇護がいきなり消えれば、それこそ帝国はBETAの波にのまれましょう」
<グイイン グイイン グィィン ポポポ
「加えて、私の周囲の者たちも私の地位を案じ、あるいは疎んじ、私に刃を向けることもいとわぬでしょう」
「愛するからこそ、従わぬ、と」
「あるいは、わが身の可愛さもありましょう。ですが」
<貴様…
<ボボボボ……
「私は、それら全てを赦します」
「…………」
「人という、弱きものです。そして弱きを前に、例えおのれが未熟でも、差し出す手を止めてはならないのです。
弱きも強きも、幼き者も老いたる者も、道を指し示すものが必要となります。
その時、自らの手が汚れるからと、選択を厭うてはならない。それが、将軍の、私の役目です」
<システム通常モードに戻ります
「師父、私があなたを指南役に命じたのは、紅蓮の推挙だけではありません。
大洋連合とのつながりでもありません。武術が、戦術機の扱いが、その理由ではありません。
その在り方が、なによりも強いからこそ。師父と仰ぐべきと、この私が感じたからこそです」
「……殿下。この老骨に余るお言葉でございます」
「謙遜は不要です。師父、一つ問います」
「はっ」
「私は、どこまで進むことができるでしょうか?」
「殿下がお望みならば、那由多の果てまでも」
「……安心しました」
79: 弥次郎 :2018/07/01(日) 22:07:55
【メカニック&人物解説】
〇アマノトスクネ
全高:27.7m
本体重量:43.2t
全備重量:54.8t
動力:高性能バッテリー/核融合炉
武装:
頭部20mm近接防御機関砲×2
肩部60mm機関砲×2
Type-101 複合兵装型突撃銃
斬機刀
短刀
クナイ×6
隠し腕×2
特殊機関:
テスラドライブ
解説:
一目連の指南役就任に際して支給された戦術機。
動力・装甲・武装は密かにC.E.世界及びマクロス世界技術により構築されたパーツに交換されており、中身は実質的にUC式のMSと遜色のないスペックを有している。それもそのはず、設計自体はジオをベースとしている。
肉体の無駄を徹底してそぎ落としたアスリートのようであるが、各種装備の配置などはジオと似通っているし、装甲を元に戻すと案外ジオそっくりに戻すことができる。格闘戦主体の為か、胴体を短めに、四肢を長めに設計が変更されている。
コンセプトとしては格闘戦・一対多数を主体としたエース用特機。
メインウェポンには斬機刀を採用。間合いに入れば大体これで決着がつく。
ロングレンジやミドルレンジでの戦闘はUNACなどに任せる方針であり、専ら敵陣営の頭を一気に切り裂くことが目的である。
本人の希望からQBやQTと似た動きができるようにスラスター・推進翼・機構が搭載されており、その挙動は戦術機というよりも嘗てのネクストを彷彿させる。
その他、投擲用のナイフや隠し腕など各種装備があり、トリッキーな戦い方も可能。
…一応リアル系の筈なのだが、近接ブレードを振るうだけで斬撃を飛ばしたり、妙なオーラを放ったり、弾幕を刀の一振りの風圧で切り払ったり、生身染みた動きをしていたり、気を練る訓練中に色が変わったという噂もあるので、徐々にガンダムに染まりつつあるようである。
ビーム兵器などは搭載していないのだが、これは帝国でのメンテナンスの都合や技術隠匿、また、駆動や反応にリソースを割り振っているためとされる。
80: 弥次郎 :2018/07/01(日) 22:08:37
〇煌武院悠陽
MS:B→A(TMS:C) MA:C AC:B 戦術機:B→A VF/SV:C KMF:B ゾイド:C オカルト:C 宇宙:C 生身:B→A 政治:A フロム脳:A
精神コマンド:集中 努力 激励 直感 絆 愛
解説:
我らが征夷大将軍殿下。
パイロットというよりは政治要員なのだが、念のため。
スペックや適性に関しては現状では平凡。他の大日本帝国衛士の例に倣い、格闘ステータスが高め。
精神コマンドは支援系のものが混じっているため中途半端なところがあるが、彼女の出自などを考えると順当。
素の時点で武家として鍛錬を欠かさずに行っていたところに、一目連をはじめとしたネームドに指導を受けるなどして経験値を積み重ねている。
事実、強化された武御雷に乗っていたとはいえ、UNACや所属不明の不知火に包囲されても救援が駆け付けるまで生き延び、共同で切り抜けているので、彼女の操縦技能は年齢が成長に適していることもあってめきめき向上している。鍛錬だけでなく、C.E.世界基準でのレトロゲームに触れて思考が柔軟になり、多少の事では動じ無くなったことも影響していると思われる(前向きな表現)。
また、一目連、紅蓮、虎鶫などの生身勢の影響もあって、現状生身適性はAランクよりのBランク。
元々大日本帝国衛士は生身適性が高い傾向にあったが、彼女もその例に漏れないところに教育をした結果である。
予測ではあるが、ガンダム世界に生まれたことでガンダムファイターの因子を持つ一目連らの影響で、急速に成長しつつある。
このままいくと戦術機に乗ろうが生身だろうが飛んでくる弾丸をぶった切るとかできそうである。
〇紅蓮 醍三郎
MS:A(TMS:C) MA:B AC:A 戦術機:S VF/SV:C KMF:B ゾイド:D オカルト(?):S 宇宙:B 生身:S
精神コマンド:気迫 鉄壁 必中 熱血 覚醒 魂
解説:
宇宙人。なんだか色々と世界観が違うお人。人間の皮を被った戦術機のような何か。
一目連の腕前を自ら試し、悠陽殿下への指南役としての登用を認めた。その際、両者がともに生身で激突したのに地形が変わったとのこと。
謎の技を繰り出す紅蓮もそうだが、それを刀一本で強引にぶった切る一目連も大概である。その時だけ、スーパー生身大戦だった。
彼が太鼓判を押したとはいえ一目連の指南役への就任は異論が出たのだが、対立候補を軒並み一目連が下した模様。
原作でのそれを反映してか、生身とオカルト(?)はどちらもSランク。
パイロットとしてのスペックはかなり上位なのだが、彼の階級などからスポット参戦にとどまる。
というか、彼が出撃すること自体かなりの異常事態である。
81: 弥次郎 :2018/07/01(日) 22:09:12
以上、ご一笑ください。ツッコミはご自由にw
最終更新:2023年08月20日 18:41