504 :earth:2012/01/16(月) 00:29:07
ストレス解消に書いたネタSS
思いつき成分が多分に多いので、クロス(ゲート)ネタが嫌な方は読まないことをオススメします。
戦後、列強筆頭の座に躍り出た日本帝国の首相官邸の人間達は多忙を極めていた。
「太平洋戦争に続いて、メキシコ紛争も漸く終わり、独ソもとりあえず停戦してある程度、世界は平和になったのに
何で仕事が減らない?」
「それは勿論、戦後こそ重要だからでしょう」
辻の言葉に嶋田は乾いた笑みを浮かべる。
「さっさと辞任したいんですがね。というより戦争終ったんだから何時までも軍人の私が首相をするのは拙いでしょう。
民間人、特に吉田さんなんて首相に適任だと思いません?」
「膨れ上がった帝国軍を一定規模に縮小するには、吉田さんだと力不足ですよ」
「やれやれ完全勝利したことがこうも裏目に出るとは」
拡大しすぎた帝国勢力圏。だが最低限の軍縮は必要ということで帝国政府は番犬たる軍の縮小に取り掛かっていた。
しかしここで問題なのは帝国軍の威信の高さだった。おかげで嶋田がまだ出張る破目になっている。
「まぁ周辺は比較的静かですから」
「当たり前です。この忙しい時期に面倒ごとなど御免被ります」
しかし嶋田の願いは叶えられることはなかった。
そう日本近海に異世界に繋がるゲートが出現したのだ。おまけに通じた先は……予想の斜め上をいく世界だった。
「津州皇国って、まさか蒼海訣戰の世界か?!」
夢幻会の会合出席者達は一様に頭痛を覚えた。
一部の者達は「気のせいか、最近、似たようなことがあったような気が」と呟き、辻に「楽屋裏ネタは止めてください」と
突っ込まれたが、勿論些事である。
505 :earth:2012/01/16(月) 00:29:41
「接触の結果、向こうは原作第一期の時期のようです」
「確かあの世界って技術レベルだと第一次世界大戦前程度だったよな? これってチャンス?」
「馬鹿言うな。ただでさえ太平洋を持て余しているのに、これで異世界にまでいく余裕があるか!」
「それに所詮は超常現象。というかむこうのG動力が関係しているのでは?」
「あと確か追那人はテレパスのような超能力をもっていましたな。下手をしたらこちらの情報が」
「しかし獣耳と尻尾は捨てがたい……あと壱代様も」
喧々囂々の議論の末、帝国は戦艦長門を中心とした艦隊を向こうの世界に派遣することになる。
「とりあえず交渉するにしても、初めに舐められないことが肝心でしょう」
勿論、帝国側からすれば最小限の派遣だった。
だが津州皇国をふくめ、向こうの国々は初めて見る巨大戦艦に圧倒された。
「これが異世界の帝国の戦艦ですか」
自軍のどの戦艦よりも巨大な戦艦を見て、多くの人間は驚愕した。中でも式に立ち会っていた一人の少女、津州皇国皇帝『壱代』は
は異世界の帝国の出現に危機感を持った。何しろ皇国は内乱によって少なからざる消耗を余儀なくされていた。
しかし同時にどの列強よりも優れた技術を持つ帝国との交流を行えば、自国の強化も図れると考える。向こう側の特使の話を信用する
のであれば、皇国を侵略する意図はもっていない。何とかうまく立ち回れば大きな利益が得られる。
(母から受け継いだ国を何としても守らなければ)
しかし事態は急展開を告げる。
日本帝国の出現に端を発したミリタリーバランスの崩壊によって蒼海世界は急激にきな臭くなっていく。
そして津州軍は列強、そして異世界の大国である日本帝国に備えるためにG動力研究を加速させる。
勿論、津州の動きは詳細には判らなかったが、急速に事態が悪化しつつあることは嶋田たちにも判った。
「何事もなければ良いのだが……そうも言っていられないか」
「我々としては、彼らのG動力は非常に興味深いものですからね。何しろ魂の研究でもある」
「しかし辻さん、下手をすれば……」
「判っています。引き際も考えておくべきでしょう。それに向こうに手を出しすぎると諸外国が騒ぎ出しますからね」
こうして物語は加速していく。
最終更新:2012年04月08日 19:51