105: ナハト :2018/08/06(月) 18:48:53
ちょっと思いついたssです。
扶桑海事変の裏の戦いですが
ちょっとしたIFだと思って読んでください。
106: ナハト :2018/08/06(月) 18:49:40
これは扶桑海事変の最終決戦ヤマ戦の後のお話である。
ヤマを撃破し、撃沈された艦艇の乗組員の救助を始めたウィッチ達の耳に救難通信が入った。
それによれば、
―――こちら【山代】! 救援を乞う!! 怪物が・・・怪物同士が戦っている!!
勝手に離脱した山代が救援を呼んだことには癪だったが
助けないにも行かないので、天龍を隊長に
救援部隊が編成され出撃する。
その中には暗い表情をした坂本がいて、竹井が心配そうに寄り添う
「美緒ちゃん・・・・やっぱり帰った方がいいんじゃ?顔色悪いよ」
「醇・・・・すまない、私は若との約束を守りたいんだ」
そう言って思い出すは先程の事だ。
覚醒し、巨獣となりヤマと幾つものの大型ネウロイを大きく破壊し、ヤマ撃破に貢献した彼女だったが
大きな力を代償に彼女は命を落としてしまった。
彼女が事切れる直前に駆け寄った美緒に
「ふ・・・・ふそ・・うを・・・・たの・・・む・・・・」
と言い残したのだ。
だから、今回の救援にも扶桑の危機だと考え
周りが止めるにも聞かずに出撃したのだった
「でも・・・・」
「大丈夫だ。無理なら後方支援だけするさ」
心配する竹井を無理矢理納得させる坂本
と、不意に
――――・・・・・て
はっと止まる坂本
その不審な様子に天龍が呼びかける
「おい、どうした」
「いえ・・・なにか・・・声が聞こえまして・・・・」
「声だあ?」
天龍が他の隊員に声を聴いたか?と尋ねるも皆聞いてないという
それを見た坂本も聞き間違いかと思ったが
――――・・あさんを・・・・すけ・・・・
「天龍隊長!聞こえます!はっきりと」
「そうか、なら、その声がなんなのかしっかりと聞いてみろ!」
「はいっ!」
そういわれて、目を閉じて集中する
声が何度となく響き、つなぎ合わせると
「天龍隊長!お母さんを助けてという声です!」
「ふむ、お母さんを助けてほしいとな・・・・どっちから聞こえる?」
「は・・・はいっ。あちらです」
坂本が指をさした方角に天龍が全員続けと
飛行をする。
107: ナハト :2018/08/06(月) 18:50:27
飛行を続けていると眼下には氷原が広々としていて
皆が呆然としてると、轟音が轟いた。
慌てて、そちらの方を見れば
氷原の上に巨大な物体が格闘していた。
一つは白色の巨大な狐で、一つが禍々しい黒色の怪異で周りにハッキリと見えるほどどす黒い瘴気を振り撒いていた
そして、狐の体のあちこちから出血しており、怪異の触手に体を巻き止められていて苦しんでいた。
この状況に困惑した天龍隊長は艦隊に状況を求めると
あの化け物どもを殺せ!!
二つともさっさと始末しろ!!
役立たずウィッチが!!
と言いたい放題だった。
これには流石に天龍もキレそうになったが
須藤によって止められた、
命令には仕方ないと
天龍が攻撃の指示を出そうとすると手を止めた
それは周りの人も同様だった。
その中、坂本が大声を出す
「待ってください!!先ほどの声と同じ人が
お母さんをあの怪物から助けて!!お母さんが死んぢゃう!!
と必死のお願いが聞こえてきました」
「・・・それははっきりと聞こえたんだな」
「は・・・はいっ!だから」
「安心しろ。俺も聞こえたよ。必死にお願いする子供の声が。
俺は、小さな子供が泣いてるのを見捨てるほど鬼じゃない
総員!!あの怪物を倒し、子供の願いを叶えるぞ!!」
「「「「「「「了解!!」」」」」
それからウィッチ達は必死に戦った。
天龍が見事な斬撃で触手の3本を切り落とした
江草は怪力を生かし、大型機関砲で怪異を大きくそがした
不和ヒビキ・スズの双子を生かしたコンビネーションを見せつけた
しかし、奴は強かった
全周位ビームや触手などの物理攻撃でウィッチ達が一人一人叩き落とされていく。
今のところ奇跡的に死者ないが、負傷者多数である。
この様子を後ろから魔眼で観測を伝え続けた坂本は茫然とするしかなかった。
もう突入できるウィッチが自分だけしかいなかったからだ。
108: ナハト :2018/08/06(月) 18:51:16
先輩たちがなすすべもなく叩き落とされていくのをみて
坂本は恐怖に震えるが、若との約束を思い出し、
震える体をむりやり抑え、北郷章香から預かった氷刻刀を抜き構えるが
やはり、体が震えて前に進まない
「く・・・くそっ!!動いて・・・・動いてよお!!」
咆える坂本の手にそっと誰かの手が重なって来た。
はっと左を見ると早良ミチルが、右に若本徹子がいて
半透明な姿でそっと微笑み消えていった。
坂本は待ってと言おうとしたがその前に消えてしまったことに
寂しさを覚えながらも、先ほどまで心に占めていた恐怖心が消えるのを感じ
目を閉じて心の奥底から湧き上がる力を両手に集中して込める
氷刻刀がそれまで、白銀の刃を付けていたが
青白い光を纏い、光り輝きだす
怪異は刀の光を見て、一瞬停止した後に、後ずさりする
まるで、その光に怯えるかのように
刀に力を込め終えた、坂本は両目をカッ!と開くと
ストライカーユニットを全力で飛ばす
怪異はその近づけさせまいと
触手とビームを飛ばすが、触手は刀に触れただけで簡単に斬り落とされ
ビームも刀によって凍らせながら落とされる
こうして、攻撃を潜り抜け
怪異の上空に到達した坂本は氷刻刀を振り上げて
そのまま一直線に振り下ろす
「うあああああああああああーーーーーーーーー!!」
怪異の頭部から氷刻刀を当てた個所から急速に冷凍しながら
振り下ろし終えた時には怪異全体が氷となった
しばし、その様子を見守っていたウィッチ・艦体の目の前で
怪異がひび割れる音が響いたと思うと、粉々に砕け散った。
そのようすに呆然としたウィッチと艦隊だったが
怪異を撃破したことを悟ると大歓声があがった。
坂本は茫然とたたずんていたが、大勢の人が集まって
もみくちゃにされたのであった。
お狐はいつの間にか姿を消していた。
それから、復帰した天龍が救助命令を出し
全員が救助活動に入った。
坂本も救助活動をしようとしたら
――――ありがとう
耳にそう聞こえ、坂本はどういたしましてと答えた。
これが扶桑海事変の終幕であった・・・・
109: ナハト :2018/08/06(月) 18:52:28
終わり
坂本の両手のシーンが描きたくて、こうなりました。
若本が嫌いだから殺したわけではありませんのでご了承ください
最終更新:2018年12月22日 13:14